マグネット・コーティング (ガンダムシリーズ)

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マグネット・コーティングは、アニメ『ガンダムシリーズ』に登場するモビルスーツ(架空の有人ロボット兵器)用の架空の技術。

概要[編集]

登場はアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する地球連邦軍モスク・ハン博士がガンダムに対し、この技術を施したとするエピソードである。これ以外に、ガンダムシリーズの映像作品の脚本に「マグネットコーティング」が登場したことはない。ただし設定上は存在し、ガンダムシリーズの設定資料集や小説、漫画作品などにおいて、作品世界上で確立した架空の技術として言及されることがある。

関節の可動摩擦面に磁力コーティングを施すことで抵抗を減らし[1][注釈 1]、機体の反応速度を向上させるものとされる。この処理をおこなったRX-78ガンダムの反応速度は従来の「3倍以上」[2]であるとされている。

センサーの精度[要出典]や、駆動部分・各種関節部分の駆動力・機動力などの向上を図る為の改良作業と設定されている。また、非公式設定ではあるが「ガンダムセンチュリー」では、マグネットコーティングによって180°姿勢変換にかかる時間が1.5秒から1.1秒に短縮されたと記述されている。ジオンの最新鋭機であるゲルググでさえ180°姿勢変換にかかる時間は1.5秒なので、マグネットコーティングの効果が如何に高いかが窺い知れる。

ガンダムはフィールドモーターによって駆動しているため、作業内容としては電気系統の調整や内部部品の交換などが中心で、外見的な変化は無いが、劇中では、この技術について「油を注すような」(ブライト・ノア談)、「急場しのぎ」(次回予告より)の処置と表現されているが、従来のモビルスーツにこの技術を施すことは実質的に機体の改造であり、成功すれば別種の機体に生まれ変わる事を意味していた。

ジオン公国軍がペズン計画で開発した高性能モビルスーツの一つ、アクト・ザクにもこの技術が採用されていたという。

一年戦争以降はどの陣営の機体も、量産機でさえこの処理が施されるようになったため、有効性は相対的に消滅している。

劇中での活躍[編集]

アニメ本編[編集]

第39話でのシャリア・ブルが操縦するブラウ・ブロとの戦闘において、主人公でガンダムのパイロットであるアムロ・レイ少尉(TV版では曹長)がニュータイプ能力に覚醒し、通常のパイロットではありえないほどの判断力と鋭敏な操縦技能を獲得したため、操縦系統にオーバーヒートを起こしたガンダムの操縦系統の強化として、第40話において、この技術をガンダムに施すシーンがある。

モスク・ハン博士いわく「理論的には無限の反応速度が得られる」処置であったが、出力の強化は行われなかったようであり、アムロはガンダムの反応速度の上昇とそれに伴うパワーとのバランスに関して処置後の試運転の最中に不安を漏らすシーンがある。

この処置は結果として大成功であり、ガンダムは操縦系統において以前の3倍の反応速度を得たため、その動きを見たシャア・アズナブルを驚愕させ、シャリア・ブル以上のオールレンジ攻撃を駆使するララァ・スンとも正面から渡り合えるようになった。

そして、その後の戦いでシャアはカスタマイズされたガンダムに追い詰められ、ララァは追い詰められて危機に陥ったシャアをかばって戦死、第39話において「シャリア・ブルの名誉のため」と称して操縦系統に不調を来たしたガンダムをわざと見逃したシャアは、この技術に対して高い代償を支払うことになった。

小説版[編集]

1979年から1981年にかけて刊行された富野喜幸(富野由悠季)による小説版『機動戦士ガンダム』では、アムロはララァとの戦いの中、それまでの乗機であったガンダムを撃破され、最初からマグネット・コーティングが施されている後継機、G-3ガンダムへと乗り換える。

小説版ではマグネット・コーティングの原理について、関節に磁性材料を塗布して磁気反発で摩擦を低減するという、磁気軸受と同様の原理が設定されている。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN[編集]

2001年から2011年にかけて連載された安彦良和による漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、第19巻「ソロモン編・前」に登場。前述した1979年のテレビアニメ版(ファーストガンダム)第40話とおおむね同様の経緯で、ガンダムRX78-02号機[注釈 2]に導入される。原理についても詳しい言及や図示があり、反発力によってフィールド・モーターの軸を完全な非接触支持にして摩擦抵抗による損失をなくすため、ミノフスキー物理学の応用で安定化させた磁気単極因子(モノポール)を関節駆動系に注入する技術である、と説明されている[4]

モスク・ハン博士の説明を聞き終えたアムロは、いい加減な実験でガンダムを弄られると感じ、当初は反発して激昂する。しかしその後、モスクがAMBACの稼働実験中の暴走に巻き込まれて負傷しつつも、ガンダムの反応性能を向上させることに成功して科学者としての矜持を示すと、アムロも思い直して態度を改め、マグネット・コーティングの効果を高く評価する。

なお『THE ORIGIN』のアニメ版では、一年戦争編のエピソードが映像化されていないため、マグネット・コーティングへの言及もない。

機動戦士ガンダムUC[編集]

福井晴敏による小説『機動戦士ガンダムUC』には、ユニコーンガンダムの各関節にマグネット・コーティングが施されているという言及が登場する[5]。登場人物の一人であるアーロン・テルジェフによる解説によれば、ユニコーンガンダムは内骨格であるムーバブルフレームの構造材にサイコフレームを使用することにより、各関節の駆動装置が操縦者の感応波(脳波)をダイレクトに受け取ることができ、マグネット・コーティングされた関節部との組み合わせによって「天井知らず」と形容されるような反応速度を実現しているという。マグネット・コーティングへの言及には「もちろん」という枕詞がついており、この技術が一般的に普及していることを示唆した描写になっている。

可変モビルスーツへの応用[編集]

グリプス戦役の時期(『機動戦士Ζガンダム』)に登場した可変モビルスーツの多くは最初からマグネット・コーティングが施され、変形に要する時間を短縮するのに役立っていた。

宇宙世紀以外の作品[編集]

ハイパーモードが発動状態のゴッドガンダムには一種のエネルギーフィールドが展開されており、これが機体の気脈やファイターの第六感を引き出すだけでなく、マグネットコーティングの効果を有しているという設定がある。また、小説版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』において、ガンダムヘビーアームズにマグネットコーティングを施して反応速度が向上したという描写がある。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 原理については資料や言及のある作品ごとに細部の差異もある。「#劇中での活躍」も参照。
  2. ^ 作品や設定資料によっては「マグネット・コーティング施工後に型式番号がRX-78-2からRX-78-3へと変更された」「2号機から3号機に乗り換えた」とされる場合もあるアムロ機だが(詳細は「ガンダム (架空の兵器)」を参照)、少なくとも『THE ORIGIN』の場合、アムロ機の機体番号は最初から最後まで「RX78-02」のままとなっており、本編の終盤でシャアのジオングと相討ちになって撃破される場面(ラスト・シューティング)の直後も、左胸に記された「RX78-02」のマーキングを確認できる[3]

出典[編集]

  1. ^ 『小説 機動戦士ガンダムIII』(ソノラマ文庫)
  2. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』(講談社・1981)
  3. ^ 安彦良和 (w, p, i). "めぐりあい宇宙編" 機動戦士ガンダム THE ORIGIN vol. 23, p.32 (2011年11月26日), KADOKAWA, ISBN 978-4-04-715770-5
  4. ^ 安彦良和 (w, p, i). "ソロモン編・前" 機動戦士ガンダム THE ORIGIN vol. 19, pp.48-50,62,81 (2009年6月26日), KADOKAWA, ISBN 978-4-04-715260-1
  5. ^ 小説『機動戦士ガンダムUC』第3巻、第5巻。

関連項目[編集]