ザビーネ・シャル

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ザビーネ・シャルZabine Chareux)は、アニメーション映画機動戦士ガンダムF91』、漫画機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場する架空の人物。『機動戦士ガンダムF91』本編での年齢は24歳(梁田清之)。

人物[編集]

宇宙世紀0123年3月16日に始まるフロンティア・サイドの制圧作戦に、クロスボーン・バンガードの精鋭部隊「黒の部隊(ブラックバンガード)[1]」の指揮官として参加する。

右目に眼帯を付けているが、これは過去の事故によるものであると言われている。MSパイロットとしては、隻眼というハンディを持ちながらも非常に高い技量を身につけており、宇宙世紀0120年代においては最高峰の実力を有する。また、指揮官としても優秀であり、クロスボーン・バンガードの総帥であるマイッツァー・ロナからの信頼も厚いが、成り上がり者として嫌う者も多かったようである。

性格は冷静沈着かつ非情であり、戦闘においては敵の命を奪うことを躊躇しない。しかし、その反面、無差別な殺戮行為を嫌い、戦闘能力を持たない者には攻撃を加えないなど、徹底した騎士道精神の持ち主でもある。

『ガンダムF91』でのキャラクターデザインは安彦良和。初期のデザインでは眼帯ではなく細身のゴーグルを着けていたが、「競泳用のゴーグルみたいだから」という理由で監督の富野由悠季に却下されている。なお、講談社の書籍『機動戦士ガンダムF91パーフェクトファイル』では、眼帯ではなく片眼鏡としている。同書によると隻眼なのか、伊達眼鏡なのかはスタッフ間でも決まっていないそうである。

劇中での活躍[編集]

コスモ・バビロニア建国戦争期(『機動戦士ガンダムF91』)[編集]

フロンティアIVの制圧後は、マイッツァーから直々に王女であるベラ・ロナの補佐役を命じられ、ベラにMSの操縦を指導する。また、これを期にベラに取り入り、ロナ家の家名を得ようとする面も見られ、その結果、彼に好意を持っていたアンナマリー・ブルージュの離反を招く。

その後、フロンティアI内の掃討作戦に黒の戦隊(ブラックバンガード)を率いて参加する。ここでの戦闘において、地球連邦軍に寝返ったアンナマリーのダギ・イルスを撃破するが、乗機であるベルガ・ギロスも損傷し、撤退する。また、随伴していたベラ・ロナは連邦軍に投降する。

宇宙世紀0123年3月30日には、フロンティアIにおいてバグによる無差別殺戮が行われるが、総帥であるマイッツァーに知らせずに独断で作戦を実行したカロッゾ・ロナのやり方と、作戦内容そのものの残虐さに反感を抱いたザビーネは、カロッゾの腹心であり計画の実行者でもあるジレ・クリューガーを処刑する。また、ラフレシアを撃墜するも半壊状態となったF91と、そのパイロットであるシーブックをあえて見逃す。

その後、フロンティア・サイドの制圧が完了した宇宙世紀0123年3月31日にはドレル大隊とともにコスモ・バビロニアに凱旋する。

以降のコスモ・バビロニア建国戦争期における詳細な戦果は不明であるが、『機動戦士クロスボーン・ガンダム』においては、コスモ・バビロニア軍のエースとしてシーブック・アノーと何度も戦闘していたことが語られている。また、その後にコスモ・バビロニアの残虐な殲滅戦のやり方に疑問を抱き、離反したことについても語られているが、離反の詳細な時期(戦争中なのか、それとも終戦後なのか)については明かされていない。

木星戦役期(『機動戦士クロスボーン・ガンダム』)[編集]

宇宙世紀0133年、ベラ・ロナ率いる宇宙海賊クロスボーン・バンガードのエースパイロットの1人として木星帝国との戦いに身を投じる。

一見ベラに付き従っているかのように見えるが、もともと彼はコスモ・バビロニアのやり方に反対していたのであって、コスモ貴族主義を捨てていたわけではなかった。その真の目的は、クロスボーン・バンガードの名を持つものが木星帝国を倒し、貴族主義を復興させることであった。キンケドゥ・ナウ(=シーブック)ら他のクロスボーン・バンガードのパイロットたちには、うすうすその思想を危険視されていたものの、彼と同じく貴族主義の信奉者も多く存在する。またキンケドゥも、ザビーネが木星帝国を本気で倒そうとしている点では信用していた。

しかし、イオの戦いで木星帝国を倒すのに失敗したのち、木星帝国のシステムは貴族主義と似通っていることに気付き、配下の貴族主義者とともに反乱を起こし、ベラとベルナデットを手土産に木星帝国に寝返る。しかし、トビアの活躍でベラは取り返されて反乱は鎮圧され、木星帝国と合流できたのはザビーネただ1人だけであった。

ザビーネは、木星帝国の貴族主義と異なる点を内側から変えて己の都合の良い国にしようとしていたが、その考えは木星帝国側に見透かされていたらしく、過酷で執拗な拷問を受けさせられ、その過程で木星帝国への服従を強制させる洗脳措置を受けたと思われる。自発的な意志ではなく、強制された思考に従うことを余儀なくされたことで正常な認識能力と判断力を狂わされたザビーネはかつてのような冷静沈着さや自然な感情を失い、常に笑みを浮かべ続けるなど、精神が破綻したようになる。

その後、クロスボーン・バンガードが連邦軍に捕まった際は、クロスボーン・ガンダムX2改で連邦軍の戦艦を狙撃し、クロスボーン・バンガードの仕業に見せかけて連邦軍との戦闘を引き起こす。その最中キンケドゥと対峙するが、このときキンケドゥのX1はF91との戦闘で消耗していたこともあり、X1のコクピットを貫いて撃墜することに成功する。

木星帝国が地球へ攻め込んだ際は、ドゥガチから「地球をやる」と言われる。そして最後の戦いで、復活したキンケドゥと対峙し、再戦する(このとき、キンケドゥを「すでに死んだ人間」と認識しており、本格的に発狂が進んでいたようである)。今度は機体が万全の状態であるキンケドゥとも互角の勝負を繰り広げるが、最後はコクピットにヒートダガーの一撃を喰らい、最後まで貴族主義への未練を口にしながら戦死する。

搭乗機[編集]

その他[編集]

  • ザビーネの担当声優が当初矢尾一樹と記述されていたことが、劇場版前売り券に付属した『機動戦士ガンダム0083』第1話ビデオのリーフレットで確認できる。また、矢尾自身も「青春ラジメニア」にゲスト出演した際に「僕が(ザビーネを)演じる予定だったのに、知らないうちに収録が終わっていた」と笑い話にしたこともある。
  • 『機動戦士ガンダムF91』劇中において、ザビーネは「ベラ・ロナ機は『ぼうはん』した」という発音の台詞を口にする。これは「ベラ・ロナ機は謀反した」の「謀反」(むほん)を誤読したものと考えられ、『ラポートデラックス機動戦士ガンダムF91』(ラポート株式会社・1991)P.60には、「ベラ・ロナ機は謀反した!」と表記され、さらに同書P.125〜135収録「アフレコ台本(抄)」のP.133では「謀反(ぼうはん)した!」と誤ったルビも付いた形で掲載されている。「謀反」に「むほん」以外の発音・読み方は存在しない[2]

脚注[編集]

  1. ^ 劇中におけるザビーネの台詞では「黒の戦隊」
  2. ^ 『新明解国語辞典第六版』(三省堂・2011)。

関連項目[編集]