ジ・O

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ジ・O(ジ・オ、THE-O)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器で、有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は、1985年放送のテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』。

作中の敵側勢力である地球連邦軍特殊部隊「ティターンズ」の所属機で、木星船団指揮官「パプテマス・シロッコ」が自身の専用機として開発した。ずんぐりした体型の大型機だが、全身に配置された推進器によって高い機動性を発揮する。特殊能力者「ニュータイプ」でもあるシロッコに対応した特殊な操縦システムを持ち、主人公「カミーユ・ビダン」が搭乗する「Ζガンダム」や、アクシズ(ネオ・ジオン)指導者「ハマーン・カーン」が搭乗する「キュベレイ」と渡り合う。

当記事では、各バリエーション機についても記述する。

機体解説[編集]

諸元
ジ・O
THE-O
型式番号 PMX-003
所属 ティターンズ
建造 ジュピトリス
生産形態 試作機
全高 28.4m[1]
頭頂高 24.8m[1]
本体重量 57.3t[1]
全備重量 86.3t[1]
装甲材質 ガンダリウム合金[1]
出力 1,840kW[1][注 1]
推力 38,200kg[1]
16,200kg×6[1]
総推力:135,400kg[4]
センサー
有効半径
11,300m[1]
武装 ビーム・ライフル
ビーム・ソード×4
搭乗者 パプテマス・シロッコ
その他 姿勢制御バーニア×50[1]

木星帰りのニュータイプパプテマス・シロッコが来るべきエゥーゴアクシズとの最終決戦に臨むべく、巨大輸送船ジュピトリス工廠にて開発を行ったPMXシリーズMSの4番目の機体。重MSに位置付けられる[5]

設計者であるシロッコ自身の専用機として開発したMSであり[6]、管制システムには独自開発の[3]バイオセンサーが導入されている[6][注 2]。ビット兵器に代表される遠隔誘導端末の制御機能を有してはないが、感応波の増幅並びに追従性能向上に対する効果は大きく、機体制御の補佐システムとして優秀な性能を有している[3]。なお、シロッコがノーマルスーツを着用しないのは本機のインターフェイスを完全に稼働させるためである[3]

機体背部には加速用のスラスターを持ち、MAを凌駕する推力をもたらす[6][注 3]、さらに全身の装甲上には50基もの姿勢制御用スラスターが配されており[3]、機体の運動性は高い[7]。各スラスターはあらゆるベクトルに対応しており、MSよりもMAに近い特性を持つ[3]。本機のボディユニットはこれらのスラスターとプロペラントタンクの集合体からなる[3]

本機はMS1機を凌駕する大出力のジェネレーターと強固な装甲を持つ[3][注 1][注 4]。空間戦闘用に特化されており、脚部や各部の装甲は、一般的なMSのそれとは構造が大きく異なり、スラスターとカウンターウェイトの機能を統合した複合的な機動ユニットとして設計されている。本機の脚部モジュールは1Gでの歩行脚としての機能も有するが、スラスターや装甲の特性からランディングギアとしての意味合いが強い[3]

武装面ではビーム・ライフルおよびビーム・ソードを携行するのみであり、グリプス戦役末期のMSとしては比較的簡素な仕様となっている[注 5]。これらの武装をより有効に活用すべく、通常の腕以外に独立したサブ・マニピュレーター(隠し腕)を腰部フロントスカートに内蔵する。通常のマニピュレーターと同様のエネルギーサプライシステムを持ち、武装の携行とビーム・ソードのドライブが可能[6]

機体名のジ・Oは神の意思を表す[注 6]

武装[編集]

ビーム・ライフル
出力は2.6MWだが[1]、集束率、命中精度が高く信頼性に優れる。また、メガランチャー級の高出力ビームを発射可能であり、その上で連射が可能であるともいわれる。シロッコが独自開発した物であり他機での運用は不可能[3](ただし後述のタイタニアでは同型のビーム・ライフルの携行も検討されている)。エネルギーパックも独自規格のものを採用している[3]
ビーム・ソード
腰部サイドアーマーに2基ずつ計4基を装備。出力0.39MW[1]。一定方向にバイアスがかかったビーム刃を形成するため「サーベル」ではなく「ソード」と呼称される[3]
小型メガ粒子砲
小説版に登場する武装で、肩や胴体の各所に配置されている。威力は高く、流れ弾の一撃でガンダムMk-IIを倒し、パイロットのエマ・シーンに致命傷を負わせている。

劇中での活躍[編集]

グリプス戦役終盤においてシロッコの乗機として出撃し、地球圏の覇権を賭けてエゥーゴのΖガンダムおよび百式、そしてアクシズのキュベレイとの激戦を繰り広げる。特にキュベレイとの交戦時には、同機のサイコミュ兵装ファンネルをビーム・ライフルで数基撃ち落とし、戦闘を優勢に展開している。キュベレイのパイロットであるハマーン・カーンはシロッコと並ぶ強力なニュータイプであり、両者の間に常人の介入を許さない超常的な戦闘を展開した。

最終局面においてはΖガンダムとの決戦に臨んで圧倒するも、死者の念を取り込んだ同機とそのパイロットであるカミーユ・ビダンの超自然的な力によって制御不能に陥る。最後はウェイブライダーに変形したΖガンダムの突撃によってコクピットを貫かれ、シロッコと共に爆散した。

ジ・Oの巨体を目にした百式のパイロットであるクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)は、本機を「ジュピトリスの達磨」と称している。

小説版ではアニメ版と搭載武装の一部が異なっており、全身に無数のメガ粒子砲を装備している。メガ粒子砲の斉射によってキュベレイのファンネルを破壊したほか、流れ弾がガンダムMk-IIに命中して同機のパイロットであるエマ・シーンに致命傷を与える。最後はΖガンダムの発生させた超常現象によって制御不能に陥り、コロニーレーザーの閃光に呑み込まれ、消滅した。

デザイン[編集]

デザインは小林誠が担当。アニメ最終回が迫っていることから、模型化を考慮せずにデザインの発注が行われた[8]

小林によれば本機はリック・ディアスの発展機であり[注 7]、胸部デザインはポルシェ・935のフロント周りがイメージベースとも語っている[8]。「ザクIIにヘルメットを被せてみた」というマラサイと同じく、低年齢視聴者層へのサービスと考えてデザインしたという。歩行は基本的に考えず、陸戦ならばホバー、宇宙ではスラスターで行動という設定であり、ジオングと差別化の意味も含めてフレームのみの逆関節脚部や巨大なスカート装甲を配置している[8]

小林自身も「ジ・オ」のデザインモチーフを気に入っており、自身のイラストや漫画、メカデザインなどで頻繁に使用された(『ドラゴンズヘブン』のネオジオ、『SAMURAI 7』の紅蜘蛛など)。電撃ホビーマガジンにもデザインを現代風にリファインした「ジ・オ」のイラストや作例を何度か掲載し、遂には自分の息子に「児央(ジオ)」と名付けたほどである。

ジ・O II[編集]

諸元
ジ・O II
THE-O II“HAUER”
型式番号 PMX-003
所属 ネオ・ジオン
搭乗者 フレデリック・F・ブラウン

漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』に登場するMS。小林誠のイラストが元になっている。

宇宙戦用の試作機をベースに開発された重装甲・重武装の要塞攻略用地上型MS。

ジ・Oの開発に携わっていたジオン系技術者が陸戦用に製造した物で、脚部に計12基のホバーユニットを搭載している。全高は30m近くあり、シロッコのジ・Oより一回り大きい。銃身の長さが通常型MSの全高とほぼ同サイズの巨大なマシンガンを携行するほか、胸部に2連装カノン砲、背部に地対空ミサイル等を装備する。頸部の砲口らしき部分から発砲している描写もあるが詳細は不明。脚部の隠し腕でビームソードを使用する事も可能。砂漠戦仕様の本機は、ごく少数が生産され、前線に投入されたとされる。

劇中での活躍
ネオ・ジオン軍の地球撤退を支援すべく、フレデリック・F・ブラウン大尉と共に最前線へ送り届けられた。地対空ミサイルでA/FMSΖ-007IIの編隊を壊滅させるなど指揮官機として活躍するが、旗艦ガイア護衛中にΖΖガンダムの奇襲を受けて両腕を喪失。隠し腕のビームソードも通用しなかった為、そのまま巨体でΖΖガンダムを押さえつけて乗員退避を支援した。直後に至近距離からハイメガキャノンの直撃を受けて撃破されたが、コックピットは損傷を免れていたため、ブラウン大尉はマウアー大尉のシュツルム・イェーガーに救出され生還した。

ブレッダ[編集]

諸元
ブレッダ
BREDA[9]
型式番号 PMX-005
所属 ネオ・ジオン
生産形態 試作機
頭頂高 22.3m[9]
本体重量 34.2t[9]
全備重量 75.6t[9]
装甲材質 ガンダリウム合金[9]
出力 3,880kW[9]
推力 13,800kg×2[9]
12,800kg×4[9]
9,200 kg×4[9]
センサー
有効半径
12,200m[9]
武装 バルカン・ショットマシンガン[9]
ビーム・ライフル×2[9]
50mmバルカン砲×2[9]
搭乗者 フレデリック・F・ブラウン
クレイ
シンクレア

漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』、および『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』や『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』収録の短編「SIDE OPERATION OF ZION 0092」に登場。

ジ・OIIの小型版とも言える機体[9]。ジ・OIIは高性能ではあるが機体サイズが大きく、敵の目標になりやすいため大きな損傷を負うことが少なくなかった[9]。そのため、ジ・OIIのノウハウを活かした通常MSサイズの実験機が数機試作されたと言われる[9]。そのうち非公式ながら唯一記録として残っているのが本機であり[9]、ジ・OIIをベースとした軽量型MSとして試作されている[10]。先行量産型10機が地上で実戦テストをおこなったとされるが、戦果などは公表されておらず[10]、連邦側にもヨーロッパ戦線で1回だけ遭遇した際に記録されたデータが残されているだけである[9]

作中での活躍
『ジオンの再興』では、宇宙世紀0092年にネオ・ジオン軍の地球残存部隊がヴィルボトン基地から宇宙へ脱出する際にブラウン大尉が搭乗。複数のΖΖガンダムA/FMSZ-007II ZETAからなる大部隊に包囲されるが、クルツ大尉のサザビーやマイヤー小尉のG-3の援護もあり、ザンジバルに乗り込み宇宙へ上がる。
「SIDE OPERATION OF ZION 0092」では特殊部隊所属のクレイが搭乗。後方奇襲撹乱作戦のため、ガウあるいはそれに曳航される輸送機に搭載されるが、目標ポイント到着前に連邦軍の試作MA、G-RAYの攻撃を受けて脱出、ブラウン大尉のジャギュアと共に応戦する。ジャギュアが囮になっている間にG-RAYの背部に飛び乗ってメイン・ノズルの破壊に成功するが、直後にミサイル・ハーガンで捕縛され、ゼロ距離射撃を受けて撃破される。
PCゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスドオペレーション』では、宇宙世紀0089年にネオ・ジオン軍のエースパイロット、シンクレア少佐が搭乗する。
デザイン
OVA『機動戦士ガンダム0080』の近藤和久によるイメージイラストでは、この機体の頭部を持つMSがケンプファーの暫定的デザインとして描かれている[11]

ジャギュア[編集]

諸元
ジャギュア
JAGUAR
型式番号 PMS-007
所属 ネオ・ジオン
生産形態 試作機
頭頂高 21.0m[12]
本体重量 32.0t[12]
全備重量 74.5t
装甲材質 ガンダリウムα合金[12]
出力 3,900kW[12]
推力 13,800kg×2[12]
13,800kg×4[12]
8,900kg×6[12]
総推力:136,200kg
センサー
有効半径
12,300m[12]
武装 バルカン・ショットライフル
ビーム・サーベル×2
30mmバルカン砲×4
搭乗者 フレデリック・F・ブラウン

「SIDE OPERATION OF ZION 0092」に登場。

ブレッダの発展型で、武装や推力が強化されているが[12]、もはやジ・Oの面影はない。同じクラスのサザビー(陸戦用重装型)よりわずかに性能は上とされる[12]。しかし組み立てに非常に時間とコストがかかるために7機の生産にとどまっており、正確なデータは得られていない[12]。なお、外観の若干異なる宇宙用の機体も存在する[12]

作中での活躍
特殊部隊の隊長機としてフレデリック・F・ブラウン大尉が搭乗する。後方奇襲撹乱作戦のため、ガウに曳航される輸送機に搭載されるが、目標ポイント到着前にG-RAYの攻撃を受けて脱出、残った機体を率いて連邦軍MS隊と交戦する。G-RAYの攻撃により左腕を破壊され、味方機はほぼ殲滅されるが、クレイのブレッダの攻撃により行動不能に陥ったところを撃破。単機で撤退するが、この戦闘は未確認のためジオン軍公式戦闘報告には記録されていない。

タイタニア[編集]

ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズに登場するMS(型式番号:PMX-004)。

ジ・Oの発展型として、シロッコがジュピトリスで設計を行っていた機体[13]。アクシズの技術であるサイコミュ・システムを搭載し[13]ファンネルを装備しているのが特徴で、これはシロッコとハマーン・カーンの一時的癒着による産物であると言われる[14]。「隠し腕」は両肩に2対ずつ装備、6本のビーム・ソードによる攻撃も想定されている[注 8]。携行武装はデュアル・ビーム・ガン、あるいはジ・Oと同型のビーム・ライフル[注 9]。なお、本機にはIフィールド・バリアを搭載する予定もあったという[注 10]

シロッコは、本機を戦後に世界を統治する女性のための機体と考えていたとされ[14]、同じPMXシリーズのパラス・アテネを踏襲した外観と、純白のカラーリングが象徴的である。しかしシロッコの死亡により実機が製作されることはなかった。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b スペック上のジェネレーター出力は2,000kW未満と控えめだが、これは本機の優位性を保つため軍部に虚偽のデータを報告したためであるとされる[2]。熱核反応炉は大型艦艇に匹敵する規模のものを搭載し、一般的なMSを大きく凌駕する動力性能を備え、その出力の高さは、上半身のみでもMAとして成立するほどであるという[3]
  2. ^ このサイコミュは同時期にアナハイム・エレクトロニクス社が実用化した準サイコミュの一種であるバイオセンサーと類似するが、シロッコが独自開発した収斂進化的なモデルである[3]
  3. ^ 推力38,200kgの大型ノズル1基、および推力16,200kgの小型ノズル6基を搭載(合計135,400kg)
  4. ^ 装甲についてはTV版ではΖガンダムとの最終決戦まで直撃を受けていないためあまり顕著になっていないが、小説版ではキュベレイファンネル攻撃と百式のビームライフルを全身に受けて武器のほぼすべてを使用不能にされながらも主要可動部分は問題なく動いており、驚異的な防御力を発揮している。
  5. ^ 近藤和久のコミック版では携行武器は無く、後述の小説版に準じた全身にメガ粒子砲を内蔵した機体になっており、両腕・両足が有線式のビーム砲になっていた
  6. ^ 当時のMSデザイナーのインタビューでは機体名は“神”そのものだと述べられている(THE=唯一 O=完全球体 唯一にして完全なる球体は神しかあり得ないという思想から引用したと述べている)
  7. ^ ホビージャパン発行のムック『ガンダムゲームズ』や小林の著作『ハイパーウェポン』のインタビューなど。
  8. ^ 『GGENERATION GENESIS』における攻撃時の映像より。
  9. ^ 『GGENERATION SPIRITS』までは前者、『WARS』以降は後者を装備。
  10. ^ 『GGENERATION』第1作目でのみ装備。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム PART3』近代映画社、1986年4月、117頁。
  2. ^ 『プロジェクトファイル Ζガンダム』ソフトバンククリエイティブ、2016年9月、76-77頁。(ISBN 978-4797386998)
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 『マスターグレード PMX-003 ジ・O』バンダイ、2010年8月、組立説明書。
  4. ^ 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム PART3』近代映画社、1986年4月、88頁。
  5. ^ 「ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編」バンダイ、1989年3月、112頁。(ISBN 978-4891890186)
  6. ^ a b c d 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー PMX-003 ジ・オ』バンダイ、2002年12月、組立説明書。
  7. ^ 『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 上巻』角川書店、1997年5月 、42頁。(ISBN 978-4073063025)
  8. ^ a b c #ハイパーウェポンp.40
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、45頁。
  10. ^ a b 近藤和久『機動戦士ガンダム ジオンの再興』角川書店、1996年2月、17頁。
  11. ^ コトブキヤ 御意見無用ファクトリー キャストキット「ブレッダ」パッケージ外箱。
  12. ^ a b c d e f g h i j k l 『ホビージャパン8月号別冊 機動戦士ガンダム「新世代へ捧ぐ」』1988年、44頁。
  13. ^ a b 『SDガンダム GGEBERATION-0 ガイドブック』アクセラ、1999年7月、131頁。(ISBN 978-4873000268)
  14. ^ a b 『SDガンダム GGENERATION-F データブック2 MSコレクション』ソニー・マガジンズ、2000年9月、130頁。(ISBN 978-4789716048)

参考文献[編集]

  • 小林誠 『ハイパーウェポン 再生なき永遠の闇へ HYPERWEAPON YESTERDAY,TODAY,AND,NO FUTUREモデルアート、2005年4月。


関連項目[編集]