クィン・マンサ

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クィン・マンサQUIN-MANTHA)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は、1986年に放送されたテレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』。

作中の敵側勢力である「ネオ・ジオン」軍の所属機で、ニュータイプ強化人間などの特別なパイロット用に開発されたニュータイプ専用機。40メートル近い全高を持つ大型機で、これは『機動戦士Ζガンダム』に登場する「サイコガンダム」や、『ΖΖガンダム』にも登場する「サイコガンダムMk-II」に匹敵する。大型の肩アーマーをはじめとする各部に強力な武装を多数備えており、その戦闘力からネオ・ジオン軍の最強のMSとも呼ばれる。劇中ではクローン生産された強化人間の少女「プルツー」が搭乗し、主人公「ジュドー・アーシタ」たち「ガンダム・チーム」と戦う。

メカニックデザイン明貴美加

当記事では、小説およびOVA機動戦士ガンダムUC』に登場する小型の派生機、「クシャトリヤ」についても記述する。

機体解説[編集]

諸元
クィン・マンサ
QUIN-MANTHA(QUEEN-MANSA[1]
型式番号 NZ-000
建造 ネオ・ジオン
頭頂高 39.2m
本体重量 143.2t
全備重量 264.7t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 21,370kW
推力 287,100kg
センサー
有効半径
14,800m
武装 巨大ビーム・サーベル(出力1.8MW)×2
ファンネル(出力1.3MW)×30
頭部3連メガ粒子砲(出力13.6MW)
胸部メガ粒子砲(出力8.3MW)×2
腕部メガ粒子砲(出力6.5MW)×2
背部メガ粒子砲(出力7.8MW)×2
Iフィールド・ジェネレーター
搭乗者 プルツー(メイン)
グレミー・トト(サブ)
アンネローゼ・ローゼンハイン(アンネローゼ機)
その他 姿勢制御バーニア×10

ネオ・ジオン軍最大にして最強のニュータイプ専用MS。型式番号の「NZ」は、ネオ・ジオン (NEO ZEON) の象徴として開発された機体であることを示している。設計には接収した連邦製モビルアーマー (MA) 「サイコガンダムMk-II」や、そのほかのネオ・ジオン製MSすべてのノウハウが投入されている。

全身に多数のメガ粒子砲やファンネルを備える。肩部バインダーには巨大なメガ粒子偏向器を搭載し、攻撃・防御の両面において他機の追随を許さない。スラスターも大出力を確保しており、この種の巨大兵器としては機動性も高い。装甲も極めて堅牢であり、フルアーマーΖΖガンダムのミサイルの一斉掃射を受けても致命的な損壊を免れている。

頭部はサイコガンダムMk-IIを参考にしたに複眼式のカメラアイを持ち、同じく頭部自体がコクピット兼脱出装置として機能する。

個別の戦闘単位としては最強と言える性能を持つが、その分だけ搭乗者にも高い能力を要求するため、グレミー反乱軍内において本機の性能を引き出せるパイロットは、事実上強化人間であるプルツーのみであった。

武装
巨大ビーム・サーベル
肩部バインダーに搭載された格闘兵器。機体サイズに合わせた大きさと高出力を誇る。
ファンネル
背部のファンネルバインダーにキュベレイシリーズと同型のファンネルを30基搭載。
頭部メガ粒子砲
胸部メガ粒子砲
腕部メガ粒子砲
背部メガ粒子砲
名称が指す部位に搭載されたメガ粒子砲。戦艦の主砲クラスの出力を持つ上に拡散・収束が自由に可能。頭部には3基、それ以外の部位には2基搭載されている。
劇中での活躍
ネオ・ジオン内乱の際、グレミー・トト率いる反乱軍の切り札として戦線に投入された。プルツーが精神に乱れを起こした際には、グレミーが同乗することもあった。
クィン・マンサはその性能を存分に発揮し、ドック艦ラビアンローズを撃沈したうえ、ガンダム・チームΖガンダムおよびガンダムMk-IIを戦闘不能にするなど圧倒的な戦闘力を見せつける(ただし、ザクIIIには懐へ入られ、ビーム・サーベルの斬撃を受ける)。しかし、ジュドー・アーシタのフルアーマーΖΖにはその戦闘力も通じず、彼の説得に応じたプルツーは本機を放棄する。その直後、開放したコックピットにルー・ルカの半壊したΖガンダムによる狙撃を受け、機体は崩壊するアクシズと共に失われる。
漫画『機動戦士ガンダムReon』では、地球連邦軍特務部隊の機体として登場。パイロットはダン・クルーガー中佐。
ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』では、アンネローゼ・ローゼンハインの搭乗機としてグレミー反乱軍の残党により残骸が回収され、修復された。機体カラーが一新されたほか、アンネローゼのパーソナルマークである、マルコシアス隊のエンブレムがペイントされている。トラヴィス・カークランドのΖII、ヴィンセント・グライスナー搭乗のギラ・ドーガ、クロエ・クローチェ搭乗のトーリスリッターと交戦する。
サイコミュを稼働させるためのアンネローゼのNT能力が不足しているため、ファンネルの最大展開数や機体稼働時間にリミッターがかけられており、プルツー搭乗時よりも戦闘力は低下している。最後はトーリスリッターと共に破壊されるが、アンネローゼとクロエは脱出ポッドで共に生還する。
デザイン
デザインは明貴美加。準備稿では最終回用に出したいMSとしてオーラバトラーのようなデザインで描かれた。しかし、監督の富野由悠季が激怒してラフを描き直したため、それを元に改めてデザインし直すことになった。ガンダムタイプを思わせる頭部は、その当時ラフデザインが提出されていたガンダムMk-Vから挿げ替えられたものである。
首がなく頭が固定されずに浮いた状態でスライドするリニア構造という設定だったが、富野がその設定を映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で用いようと考えたため、公開用の設定書には首パーツが描き足された。しかし結局、その設定が『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で用いられることはなかった(明貴美加のインタビューより)。


クィン・マンサ・セプテット[編集]

トレーディングカードアーケードゲームガンダムトライエイジ』に登場。グレミー・トトの特殊部隊用MSとして開発されたが、グレミー・トトがルー・ルカに現を抜かしていたことにより実機は完成することなく終わった。「セプテット」は七重奏曲の意。

両肩に装備されている6基のバインダーは有人制御できるようにコクピットが搭載されており、セプテットモード起動時に分離してMS本体と連携する能力を持たせる予定だった。カラーリングはピンク。デザインは明貴美加。

クシャトリヤ[編集]

諸元
クシャトリヤ
KSHATRIYA
型式番号 NZ-666
所属 ネオ・ジオン
頭頂高 22.3m
本体重量 29.7t
全備重量 74.02t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 16,540kW
推力 200,000kg(推定)
武装 胸部メガ粒子砲×4
バインダー部メガ粒子砲×8
ビーム・サーベル×2
バインダー部ビーム・サーベル×4
ファンネル×24
マシンキャノン×2
ビーム・ガトリングガン×2(小説版のみ)
搭乗者 マリーダ・クルス
クシャトリヤ・ベッセルング
KSHATRIYA BESSERUNG
型式番号 NZ-666
所属 ロンド・ベル(ネェル・アーガマ)
頭頂高 22.3m
搭乗者 マリーダ・クルス
クシャトリヤ・リペアード
KSHATRIYA REPAIRED
型式番号 NZ-666
所属 ロンド・ベル(ネェル・アーガマ)
頭頂高 22.3m
重量 27.9t
武装 胸部メガ粒子砲×2
バインダー部メガ粒子砲×2(×2)
ビーム・サーベル×1
バインダー部ビーム・サーベル×2
マシン・キャノン×2
右脚部ビーム・ガトリングガン×1
左腕部ハイパー・ビーム・ジャベリン×1
改造ファンネル×12
3連シュツルム・ファウスト×1
搭乗者 マリーダ・クルス

ネオ・ジオン軍残党「袖付き」のニュータイプ専用MS。名称のクシャトリヤは、古代インドの階級で第2位の王族・武人層を意味し、フル・フロンタル指揮下のネオ・ジオンではフラッグシップであるシナンジュに次ぐ機体であり、戦闘部隊を率いることを物語っている。

クィン・マンサの大火力を20メートル級MSで実現するというコンセプトで開発され、コクピット周辺にサイコフレーム、両肩に武装コンテナとスラスターを集約したフレキシブル・バインダー計4基を採用することで機体の小型化に成功している。その代償としてIフィールド・ジェネレーターまでは搭載できなかったが、胸部メガ粒子砲口には拡散用のIフィールドが搭載されている。頭部形状はゲルググに似たモノアイ式になり、胸部や両手首などにジオンの紋章をあしらったエングレービングが施されている。

U.C.0096年当時のMSとしては破格の高性能機だが、「袖付き」が保有するサイコフレームは第二次ネオ・ジオン抗争時にアナハイム・エレクトロニクス社に発注した分しかなく、再生産する設備もないため、整備もままならないワン・アンド・オンリーの機体となっている。また、小型化されたとはいえ、ファンネルをはじめとした多数の火器を管制する本機の操縦は非常に複雑で、「袖付き」内でこれをあつかえるパイロットは強化人間であるマリーダ・クルスのみとなっている。

高い火力とサイズを活かしたMA的運用だったクィン・マンサに対し、小型化の結果である本機はMS的運用が多く取られ、ファンネルとのコンビネーションや対複数の格闘戦もこなしている。

武装
胸部メガ粒子砲
クィン・マンサから引き継いで搭載された火器。左右に2基の計4機を搭載。
バインダー部メガ粒子砲
「4枚羽」の渾名の由来となる肩部装甲とつながるバインダーに搭載された火器。1枚のバインダーにつき2基の計8機が搭載。
腕部ビーム・サーベル
両腕の袖部分に部分に格納された接近戦用武装。ほかのジオン系MSにみられる黄色ではなく、緑色のビーム刃を形成する。収納時はビーム・ガンとして使用可能。
バインダー部ビーム・サーベル
バインダーに格納されたサブ・アームごとに各1基を内蔵。ユニコーンガンダムの両腕を抑えるほどのパワーを持ち、敵機の拘束や奇襲・反撃にも使用可能。
ファンネル
バインダーに6基搭載されたサイコミュ兵器。カラーリングは小説版では銀色、OVA版では機体カラーと同じ緑でデブリと誤認されるほど小型。過去のファンネル搭載機同様、バインダーに戻すことで再充電可能。
マシン・キャノン
胸部メガ粒子砲付近に内蔵された実弾火器。
ビーム・ガトリングガン
メガ粒子砲やファンネルは機体およびパイロットにかかる負担が大きい兵装であるため、それらを補助する携行兵装として用意された[2]4銃身式の大型ビーム機関砲。劇中では同じアナハイム製で同一規格のジョイントを有するギラ・ズール(OVA版のみ)やユニコーンガンダムが装備・使用し、本機も最終決戦の際には右前腕部の側面に2挺装着して出撃する。
劇中での活躍
インダストリアル7強襲時は、数で勝るネェル・アーガマのMS隊を次々と撃破。そしてデブリ宙域に避難したネェル・アーガマにシナンジュやフル・フロンタル親衛隊と共に襲撃し、ユニコーンガンダムを鹵獲する。
パラオ攻略戦では脱走したユニコーンガンダムを捕える任務(実際にはユニコーンガンダムの真の性能を試そうとしたフル・フロンタルの策略)を受けて交戦するも、デストロイモードとなったユニコーンガンダムの性能と能力に押され、右手を失うなどマリーダ共々無数の傷を負い、ネェル・アーガマに収容される。OVA版ではバインダーや四肢を切断され、頭部をビーム・サーベルで刺されるなど、大破に近い損傷を受ける。その後、袖付き・ジオン共和国軍・ガランシェール隊にネェル・アーガマが制圧された際には再びマリーダが搭乗し、ローゼン・ズールの右腕を切断する活躍を見せる。
メガラニカへ向かう最終決戦では、手首より先を失った右腕に2丁のビームガトリングガンを装備して出撃し、ユニコーンガンダムの支援を担当する。ユニコーンガンダムとシナンジュの戦闘に介入してシナンジュの足止めを請け負った結果、ファンネルを全弾とも失い撃墜直前まで追いつめられるが、とっさに4枚の大型バインダーを切り落とし、それ自体をファンネルとして操りシナンジュに突撃・起爆させ、その場を離脱する。その後、バンシィのビーム・マグナムからネェル・アーガマをかばって爆散する。

クシャトリヤ・ベッセルング[編集]

OVA版に登場。ネェル・アーガマ内でトムラら「袖付き」側主導によって一度目の補修を受けた姿。左腕は肘から先が失われており、右脚は膝から先がフレームのみ、コクピットと頭部内フレームが露出している。連邦軍機のパーツを使って改修したため、モノアイの色がピンクから緑に変更になっている[3]。胸部メガ粒子砲の銃口は左右各2門のうち1門がそれぞれ塞がれている。バインダーは左右1枚ずつとなり、左側は内部フレームのみとなっている。ネェル・アーガマ内での攻防の際に使用された。

当初は再登場の予定がなく、原作と異なり大きく大破させたクシャトリヤを再度登場させるため、デザインされた。後述のクシャトリヤ・リペアードも同様である。

クシャトリヤ・リペアード[編集]

OVA版に登場。ネェル・アーガマのクルーの手によって二度目の補修を受けた姿。左腕の肘から先はユニコーンガンダムのオプション兵装であるハイパー・ビーム・ジャベリンが接合され、欠損していた後部バインダー部分にはギラ・ズール用の大型プロペラント・ブースターを転用し、右脚仮設フレームの足裏にはビーム・ガトリングガンが内装され、フレームが露出していたいくつかの部分も装甲で補修されている。バインダーが減ったことで搭載武装は減少しているものの、これによる相対的な軽量化とブースターの推力によって機動性はむしろ向上している。ファンネルは小型シュツルム・ファウストの弾頭を先端に接合することで、それ自体を誘導ミサイルとする方式に改造された。従来の格納箇所であるバインダー裏面のラックは穴埋めされ、表面の開閉式カバー内部にコンテナを増設している。インダストリアル7宙域での最終決戦にて使用される。

脚注[編集]

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  1. ^ バンダイ1/400ガンダム・コレクション箱表示より。
  2. ^ 『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルス 1』135頁より。
  3. ^ 『グレートメカニックDX24』7頁より。

関連項目[編集]