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モビルアーマー

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モビルアーマーMOBILE ARMOR あるいは MOBILE ARMOUR、以下MA)は、テレビアニメ機動戦士ガンダム』を第一作とする「ガンダムシリーズ」に登場する、架空の兵器の分類の一つ。

作品ごとの世界観によってMAの定義は異なるため、下記で解説する。

各作品シリーズにおけるモビルアーマー

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『機動戦士ガンダム』(宇宙世紀)シリーズ

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解説

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モビルアーマー("MOBILE All Range Maneuverability Offence Utility Reinforcement" 、全領域汎用支援火器)[1]という言葉は、作品中では『機動戦士ガンダム』の第26話でレビルが言及するのが初[2]であるが、この時点では「ジオン軍がそういう新兵器を開発中」という情報のみで、実際に機体が登場したのは次々回の第28話でグラブロが登場した時である。

設定上の原点は、ジオン公国軍が配備したビグロの原型機「MIP-X1」にさかのぼる。MIP社が開発したMIP-X1は、ジオニック社が開発したモビルスーツ(MS)の原点であるクラブマン (ZI-XA3, MS-01) に敗れ、主力兵器としての地位を獲得できなかった[3]。しかし、MIP-X1はAMBACは宇宙空間での性能は極めて高かったことから、AMBACシステムを用いた強力な機動兵器・MAとして開発される運びとなった[1]。MSは汎用兵器としてはその性能を発揮したものの、それ故に局地戦に対応しきれない事態も発生していた。MAはその解決策となる攻撃力を重視した移動支援火器として機能し、一年戦争時において通常のMSに搭載できるほど小型ではなかったサイコミュを実機投入する事も可能だった[4]

MAは移動砲台との中間的な存在であるアッザムを経て、MIP-X1の発展型であるビグロ、攻撃力重視の通常型MAとしては究極系のビグ・ザムに派生。また、一年戦争時点では未だ開発段階だったサイコミュを搭載するニュータイプ専用機としてブラウ・ブロエルメスが開発されている[1]

一方、地球連邦軍では、MAという概念がそもそも存在せず、ボールガンタンクといった、ジオン軍でいえばMAの範囲に含まれるような機体でもMSと呼んでいた[5]。宇宙世紀0083年頃になると、地球連邦軍は旧ジオン公国軍の兵器開発を研究し、MSの汎用性とMAの局地戦能力を付加した機体としてアッシマーギャプランなどの可変MA (TMA) が誕生した。さらに、TMAで培われた技術をMSにフィードバックした機体群としてΖガンダムガザCなどの、MS形態に変形できる可変MS (TMS) が開発・実戦投入された[6]

備考

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頭字語(アクロニム)やMIP-X1の設定はみのり書房の雑誌「月刊OUT」別冊『GUNDAM CENTURY』(1981年刊)から。

もともとはテレビシリーズの低視聴率に対する、スポンサー側の意向によるテコ入れ用の「わかりやすい怪物的な敵」として登場させられたものの一つ(当初、ジオンの機動兵器はザクのみの予定)であったという。しかしニュータイプ用などストーリーに大きく係わる設定の機体も登場し、結果的に宇宙世紀世界のメカの世界観を広げる存在となった。テレビシリーズに登場したMAの設定は、全て監督・富野由悠季によってラフスケッチ(基本デザイン)が描かれ、これを大河原邦男がクリーンナップするかたちで決定稿となっている[要出典]

『機動武闘伝Gガンダム』シリーズ

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機動武闘伝Gガンダム』の未来世紀を舞台とする世界観において、MAの位置づけは不明である。ただし、少なくともネオ・ジャパン軍所属のMAファントマが登場しており[7]、また、デビルガンダムの最終形態(コア)も可変モビルファイター(MF)としてMA形態を有している[8]

『新機動戦記ガンダムW』シリーズ

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新機動戦記ガンダムW』のアフターコロニーを舞台とする世界観において、明確なMAは登場しない。可変MSスコーピオ[9]やガンダムエピオンの可変形態をMAと呼称する資料が存在する[10]

『機動新世紀ガンダムX』シリーズ

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機動新世紀ガンダムX』のアフターウォーを舞台とする世界観においては、MAの登場要因や特別な意味づけはなされておらず、人型のMSに対し純粋な機動兵器と説明される[11]

劇中で登場するのはグランディーネパトゥーリアエスペランサ、飛行用MAガディールとなる。

また、ガンダムアシュタロンの可変形態もMA形態と呼称される[12]

『∀ガンダム』シリーズ

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∀ガンダム』の正暦を舞台とする世界観においては、「ムットゥー」の可変形態をMA形態と呼称している[13]

『機動戦士ガンダムSEED』シリーズ

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コズミック・イラを舞台とする世界観の『機動戦士ガンダムSEED』におけるMAは、重装甲と単機で任務を遂行する火力、戦闘機並みの空戦能力を並立させた重戦闘機として扱われる[14]

地球連合軍では作業と防衛用のMAとしてミストラルを開発。さらにメビウス・ゼロが開発され、これを原機としてメビウスが開発される[15]。C.E.70年6月2日のグリマルディ戦線の戦いにおいて特別なパイロットを必要としたメビウス・ゼロ部隊が壊滅的な損害を受けたことをうけ、ミストラルに代わる主力MAとしてメビウスが選定された[16]。また、地球連合軍ではMAへの可変能力を持つMSとして、イージス[17]レイダーを開発している[18]

一方で、『SEED DESTINY』ではMSの技術を取り入れたMAが新たに開発されている[19]。アドゥカーフ・メカノインダストリー社では、物量で交戦相手であるザフトに勝ることから、巨大MAであるザムザザーゲルズゲーを開発している[20]。またメビウスに代わる主力量産MAとして同じく大型機であるユークリッドを量産している。地球連合軍の大型機動兵器は大型可変MSであるデストロイを含め、全て量産機である。

また、ザフトではユニウス条約によりMSの保有数に制限が設けられたことで、MSの多機能化の一環として可変MSの開発の機運が高まった[21]。かつて地球連合軍から奪取したイージスを再検証し、セカンドステージシリーズの5体には何らかの可変または合体機構を導入している。また、その開発途上では非可変MA、プロトカオスが試作された[22]

『機動戦士ガンダム00』シリーズ

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機動戦士ガンダム00』においては、MSとは異なる非人型の局地戦兵器をMAとしている[23]

『機動戦士ガンダムAGE』シリーズ

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機動戦士ガンダムAGE』においては、本編の前史である「コロニー国家間戦争」の時点でMSという概念はサイズや形態を問わず機動兵器の総称として位置づけられており[24]、MAという概念は存在しない[25]

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』シリーズ

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機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場するMAは、本編から約300年前に開発された完全無人の自動兵器とされている。自動的かつ効率的に戦争を遂行することを過剰に突き詰めた結果、MAは人類の手に負えない存在となり、当時の総人口の4分の1を喪わしめる程の殺戮をもたらした。このMAに対抗するためにMSが開発され、両者の激しい戦闘こそが「厄祭戦(やくさいせん)」と呼ばれる大戦となり、地球圏を荒廃させた元凶となった。大半のMAが駆逐されたことで「厄祭戦」は終結したものの、MSと同じく終戦から約300年後の現在も稼働可能な状態で放置された機体が一部に残っており、MSの動力源であるエイハブ・リアクターから発せられるエイハブ・ウェーブを感知すると、休眠状態から覚醒し自動的に攻撃を仕掛けるようプログラムされている[26]

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』シリーズ

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機動戦士ガンダム 水星の魔女』においては、MSのガンドノードが「アーマーパック」を装備した形態がMAとして運用されている。

脚注

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  1. ^ a b c 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、54-56頁。ISBN 4-87777-028-3
  2. ^ 厳密にはこれ以前に第18話にアッザムが登場したが、特にモビルアーマーという説明はされてない
  3. ^ 『ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、34頁。ISBN 4-87777-028-3
  4. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月30日、2006年7月(復刻版)、129頁。ISBN 978-4063721768
  5. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、102-103頁。ISBN 978-4063721775
  6. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、40-43頁。(ISBN 978-4891890186)
  7. ^ 『電撃データコレクション 機動武闘伝Gガンダム』メディアワークス、2000年5月、62-63頁、ISBN 978-4840215763
  8. ^ 『電撃データコレクション 機動武闘伝Gガンダム』メディアワークス、2000年5月、54-55頁、ISBN 978-4840215763
  9. ^ ときた洸一『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』講談社、1997年10月、172-173頁。ISBN 978-4063218206
  10. ^ 『1/100 HG ガンダムエピオン』バンダイ、1995年11月、組立説明書。
  11. ^ 『機動新世紀ガンダムX 公式MSカタログ』講談社、1997年6月、102-103頁、ISBN 978-4061033115
  12. ^ 『機動新世紀ガンダムX 公式MSカタログ』講談社、1997年6月、38-39頁、ISBN 978-4061033115
  13. ^ 『電撃データコレクション20 ∀ガンダム』メディアワークス、2007年7月、50頁。(ISBN 978-4840239677)
  14. ^ 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.1』講談社、2003年2月17日初版発行、29頁。(ISBN 4-06-334678-1)
  15. ^ 『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年7月1日、102-103頁。ISBN 978-4-7580-1108-2
  16. ^ 『ホビージャパンMOOK 機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月、148-149頁。ISBN 4-89425-336-4
  17. ^ 『ハイグレード 1/144 イージスガンダム』バンダイ、2002年12月、組立説明書。
  18. ^ 『1/144 HG レイダーガンダム』バンダイ、2003年11月発売、組立説明書。
  19. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル フェイズ01』講談社、2005年7月、44頁。(ISBN 978-4063671551)
  20. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月、112-113頁。ISBN 978-4-7580-1126-6
  21. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、20頁。ISBN 978-4-7580-1126-6
  22. ^ 『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、77頁。ISBN 4-89425-415-8
  23. ^ 『機動戦士ガンダム00N integrated G-ROOMS 』アスキーメディアワークス、2011年6月、10-11頁。(ISBN 978-4048705837)
  24. ^ 『機動戦士ガンダムAGE〜追憶のシド〜』第1巻68Pより、「コロニー国家間戦争」終結前後よりコールドスリープしていたレウナ・イナーシュが、大型機動兵器シドをMSと呼称。
  25. ^ デザイナーの石垣純哉は、デファースのデザイン画にMAと記載している。
  26. ^ 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ メカニック&ワールド弐』双葉社、2017年8月16日、14-19頁。ISBN 978-4-575-46504-4