レイダーガンダム

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レイダーガンダム(RAIDER GUNDAM)は、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』に登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空の有人式人型ロボット兵器の一つ。地球連合軍強化兵士ブーステッドマン」用に開発した3機の1機。クロト・ブエルの搭乗機として劇中後半より登場し、主人公たちと敵対する。背中のウイングと顔面のビーム砲が特徴の黒い機体で、「イージスガンダム」と同系列の可変MSとして開発された。「レイダー」は英語で「襲撃者」、「侵入者」を意味する。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、関連作品に登場する派生機についても解説する。

機体解説[編集]

諸元
レイダーガンダム
RAIDER GUNDAM
型式番号 GAT-X370
分類 X300系[1]
高機動強襲用MS[2]
全高 17.94m
重量 84.01t
装甲材質 トランスフェイズ装甲
武装
  • 100mmエネルギー砲「ツォーン」
  • 破砕球「ミョルニル」
  • 2連装52mm超高初速防盾砲
  • 短距離プラズマ砲「アフラマズダ」×2
  • M417 80mm機関砲
  • M2M3 76mm機関砲×2
搭乗者 クロト・ブエル

デトロイトに本拠を置くアズラエル財団傘下の国防連合企業体が[3]、前期GAT-Xシリーズのデータを基に開発した後期GAT-Xシリーズ3機中の1機。

連合軍は先んじてGAT-333を開発していたが、アズラエル率いる連合軍艦隊のオーブ侵攻に合わせて一部スペックを簡略化・改装して急遽建造したのがX370である[4][注 1]

初期GAT-Xシリーズの1機GAT-X303 イージスと同じくX300系フレームを採用した可変MSとして開発されたが[1]、より簡素化した変形機構を導入している[1]。イージスは主に宇宙空間での対艦戦闘を想定したMA形態を採用していたのに対し、本機は大気圏内運用も考慮されており[2]、背中の大型可変翼を展開した猛禽のような飛行型モビルアーマー (MA) に変形する。設計も対艦戦を重視したイージスに比べ、対MS戦を重視したものとなっている[2]。また同じ後期GAT-X機のフォビドゥン同様にMS形態においても大気圏内の空中戦闘を行える。この可変機構と機体特性を生かし、MAの機動性で敵を撹乱しつつ接近、瞬時にMSに変形して打撃を与え、再びMAに変形して離脱するという、一撃離脱戦法を基本戦術とする[2]。また、多大な余剰推力を活かし、ザフトのグゥルのようなMS用輸送機としての運用も可能であり、実際の運用では同じ後期GAT-X機のカラミティを背に乗せて戦闘を行った。

強化されたバッテリーを導入するとともに[5]、初期GAT-X機に採用されたフェイズシフト装甲の省電力型トランスフェイズ装甲をコクピットなど重要部位のみに配置したことで、稼働時間が大幅に延長されている[6]

武装[編集]

100mmエネルギー砲「ツォーン」
顔面の砲口より発射される高出力エネルギー砲。射程は短いが、機体の機動性との相乗効果で高い威力を発揮する[7]。ツォーンはドイツ語で「怒り」の意。MS・MA両形態で使用可能。
破砕球「ミョルニル」
モーニングスターに類似したスパイク付金属球(質量兵器)。MS形態時のみ使用可能。金属球・持ち手・高分子ワイヤーで構成され、球を敵機に投げ放ち、球に内蔵されたスラスターで軌道をコントロールをしつつ高速で叩きつける。金属球は高密度に圧縮した反発材で構成されており[7]、通常装甲のMSなら一撃で破壊可能なだけでなく、PS装甲を採用する機体にも奥にダメージを与えることができる[2][注 2]。また、金属球を振り回すことにより、対ビームコーティングの施された高分子ワイヤー[7]部分で相手の攻撃を防ぐことが可能となっている[注 3]。ミョルニルは、北欧神話トール神が持つ大鎚ミョルニルに由来している。
2連装52mm超高初速防盾砲
右腕に装備されたシールドと2連装高初速機関砲を組み合わせた複合武装。劇中の発射エフェクトは実弾武装に用いられる黄色の光軸だが、OPの一部のシーンではビームに用いられる緑色の光軸となっており、公式サイト及び小説版ではビーム砲と記述されている(小説版で実体弾でもあるかのような描写もあるため、ビームと実体弾との切り替えが可能という可能性もある)。形態を選ばずに使用可能で、MS形態では腕部、MA形態では肩部のラックに装着される。グリップが折り畳まれているため、これを展開すればマニピュレーターによる手持ちも可能。
短距離プラズマ砲「アフラマズダ」
腰の大型クローの付け根に位置し、MA形態時に接近して、クローで敵機に対してのゼロ距離攻撃に使用される。プラズマを打ち出す銃火器にもなり、出力とバレル調整で先端に小型のビームサーベルを形成することもできる[7]。MA形態時のみ使用可能。アフラマズダは、ゾロアスター教の最高神「アフラ・マズダー」に由来する。
M417 80mm機関砲
MA時の機首に格納された大型機関砲。MA形態時のみ使用可能。
ドッグファイトでの使用を想定されている[7]
M2M3 76mm機関砲
MA時に折りたたまれた肩から展開される機関砲。MA形態時のみ使用可能。
突撃時の使用を想定した装備[7]

劇中での活躍[編集]

連合軍の強化パイロット「ブーステッドマン」のクロト・ブエルが搭乗。コズミック・イラ(C.E.)71年6月15日の「オーブ解放作戦」において初めて実戦投入され、僚機フォビドゥンとの連携によりフリーダムを追い詰めるが、ジャスティスの介入を受け撤退を余儀なくされる。その後はカラミティを含め3機で戦闘を行うが、能力増進の為の薬物が切れたことによる禁断症状のためにパイロットの3人が戦闘を継続できなくなり撤退した。その後は主にジャスティスと交戦し、ジャスティスの背部リフター「ファトゥム-00」を使った攻撃により機体の一部を破壊され撤退した。

オーブ戦線から脱出したアークエンジェル、クサナギを追って宇宙に上がり、月面の地球連合軍基地に配備されたアークエンジェル級2番艦「ドミニオン」新たに母艦とした。直後のアークエンジェル追討任務によりL4コロニー群宙域で戦闘を行い、フリーダムの頭部をニョルニルで破壊する活躍を見せる[8]

第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において、プロヴィデンスドラグーン・システムによる攻撃を受け中破したバスターに襲いかかるが、バスターの元僚機であるデュエルとの撃ち合いにより撃墜された。『スペシャルエディション完結編 鳴動の宇宙』では、プロヴィデンスと交戦する前のバスターと交戦し、撃墜された。

備考[編集]

頭部に装備されたツォーンは監督である福田己津央のアイデアで、敵の機体であるために凶悪さをアピールするため付けられたものであると大河原邦男は語っている[9]

レイダー制式仕様[編集]

諸元
レイダー制式仕様
Raider Full Spec
型式番号 GAT-333
全高 17.94m
装甲材質 トランスフェイズ装甲
武装
  • GAU-8M2 52mm機関砲ポッド×2
  • AIM-957Fキングコブラ赤外線誘導短距離AAM×2
  • M20 20mmクロー部機関砲×2
  • M2M3 76mm機関砲×2

他 副翼ウェポンプラットホームに搭載可能な各種兵装

搭乗者 エドワード・ハレルソン
ウォーイック
パーマー 他

本来の開発計画に基づいて生産されたレイダーの制式仕様機。ザフトの空中戦用MSとの戦闘を考慮した場合、エールストライカーとスカイグラスパーの組み合わせでは戦力が不十分であったことから開発された[10]。型式番号はGAT-333で、型番上ではX370よりも先に開発された機体だが、実際の就役は後となった。X370に実装された頭部ツォーン、2連装52mm超高初速防盾砲、破砕球ミョルニルは全て排除され、その他の武装は実弾機銃に換装されたアフラマズダをはじめ、実体弾武装がメインとなっている。また、大気圏用航空機として高い飛行性能を持つため、幾つかのスラスターも省略。より高出力なターボジェットエンジンを搭載する[4]。尚、後に対MS戦闘能力の向上を踏まえビームライフルやアフラマズダを装備した後期型の制式仕様も存在する[6]

サブアームに保持される大型の副翼は、翼面のラッチにMS形態時の携行武装やミサイルをマウント可能なウェポンプラットホームとして使用可能となっており、航続距離の延長と戦闘能力を上昇させている。大気圏突入の際に発生する高温度の熱を機体本体から遮断する断熱材の役割を果たしており、大気圏外へ離脱後には専用ポッドを用いて大気圏再突入を行うことで直接目標に降下・攻撃を行う戦法が可能であり、強襲機としての能力はX370を上回る面もある。

MA形態時は上部にMSを搭乗させることが可能であり、無線コントロールすることでサブフライトシステムとしての運用も可能となっている。

武装(制式仕様)[編集]

GAU-8M2 52mm機関砲ポッド
105ダガーにも装備される。MA形態時は副翼上面のパイロンに火器として設置される他、MS形態時では手持ちの携行火器としても用いられる。ディンの装甲を貫通可能な威力を有する[11]
AIM-957Fキングコブラ赤外線誘導短距離AAM
MA形態時の本体両肩部に装備される。画像追尾への切り替えも可能[11]
M20 20mmクロー部機関砲
クロー基部に装備。砲身は収納可能[4]
M2M3 76mm機関砲
X370にも装備された突撃戦を想定した火器[7]

劇中での活躍(制式仕様)[編集]

八、八作戦時にザフト軍カーペンタリア基地を急襲した。南米独立戦争時にエドワード・ハレルソンが宇宙でモーガン・シュバリエガンバレルダガーと交戦。また、ロンド・ミナ・サハクの配下のソキウスの1人が搭乗し、ジェネシスαを襲撃したジンハイマニューバ2型を撃墜している。『スペシャルエディションIII「運命の業火」』では、ヘブンズベース攻防戦において、ヘブンズベースに配備されていたレイダー制式仕様がレジェンドと交戦し、3機のウィンダムと同時に撃墜された。

備考[編集]

ホビージャパン編集部によれば、当初はムゥ・ラ・フラガ専用機としてガンバレルを装着したアイデアも存在したとされている[12]

ゲルプレイダーガンダム[編集]

諸元
ゲルプレイダー
Gelb Raider
型式番号 GAT-X370G
武装
  • 100mmエネルギー砲「ツォーン」
  • 超破砕球「スーパーミョルニル」
  • 2連装52mm超高初速防盾砲
  • ビーム砲×2
  • 短距離プラズマ砲「アフラマズダ」×2
  • 115mmレールガン×2
  • 115mm単装砲×2
  • M417 80mm機関砲
  • M2M3 76mm機関砲×2

機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R』に登場。地球連合軍第81独立機動群「ファントムペイン」と、アクタイオン・インダストリー社主催の企業チームによるGAT-Xシリーズ強化再生計画「アクタイオン・プロジェクト」に基づき開発された機体。本来、後期GAT-Xシリーズは計画の対象外であったが、アクタイオン社のエンジニアであるヴァレリオ・ヴァレリが、公私混同的な理由から強引に開発を承認させたという背景を持つ。ブラウカラミティロートフォビドゥンとの運用を前提として設計されており、人工知能「80」と連携システム「トリオシステム」を搭載した無人機[13]。機体名の「ゲルプ」はドイツ語で「黄色」を意味し、機体にも黄色のアクセントカラーが配されている。

後期GAT-Xシリーズの中では唯一量産化されたレイダーだが、本機は生体CPU用の先行製造機をさらに発展させるというコンセプトで開発された。I.W.S.P.を分解・再設計した追加ユニットを背部と脚部に装着し、火力と推力を約2倍に増強している。

武装(ゲルプ)[編集]

超破砕球「スーパーミョルニル」
鉄球の突起がより長く鋭利になり、打撃力が増している。
2連装52mm超高初速防盾砲
2連装超高速防盾砲の両脇にラゴゥのビーム砲を追加している[14]
115mmレールガン、105mm単装砲
背部に装着されたI.W.S.P.からの流用武装。

備考[編集]

本機のデザインは、モデラーのセイラマスオによるもので、制作したモデルそのものが公式設定となっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ つまり、本機は厳密に言うと他の後期GAT-Xシリーズの2種とは微妙に異なり、「レイダー」というMSの先行建造機である[4]
  2. ^ プラモデルキット「HG 1/144 レイダーガンダム」取扱説明書では「PS装甲にダメージを与えられる」としている[7]
  3. ^ 本編でイザーク・ジュールの乗るデュエル アサルトシュラウドの攻撃のビーム、ミサイル、レールガンを防いだこともある

出典[編集]

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  1. ^ a b c 『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年7月1日初版発行、4-6頁、および98-101頁。 (ISBN 978-4-7580-1108-2)
  2. ^ a b c d e 『機動戦士ガンダムSEED OFFICIAL FILE メカ編vol.3』講談社、2003年9月9日第一版発行、12-13頁。(ISBN 4063347702)
  3. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房、2006年5月、162-167頁。(ISBN 978-4812426876)
  4. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月31日初版発行、105-109頁。(ISBN 4-89425-336-4)
  5. ^ 『パーフェクトアーカイブス 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房刊 2006年5月 162-167頁。(ISBN 978-4812426876)
  6. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、54-57頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  7. ^ a b c d e f g h 『1/144 HG レイダーガンダム』バンダイ、2003年11月発売、取扱説明書。
  8. ^ アニメーション「機動戦士ガンダムSEED」PHASE-46 2003年8月31日本放送
  9. ^ 『コミッカーズ』2003年秋号、美術出版社、36-39頁。
  10. ^ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED外伝』メディアワークス、2007年8月15日第一版発行、40-41頁。(ISBN 978-4-8402-3907-3)
  11. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル VOL.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日初版発行、163-165頁。(ISBN 4-89425-415-8)
  12. ^ 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月31日初版発行、127頁。(ISBN 4-89425-336-4)
  13. ^ 『ガンダムウェポンズ 機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY R ターンレッド編』ホビージャパン、2014年12月。(ISBN 978-4-7986-0934-8)
  14. ^ 『月刊ホビージャパン』2014年1月号、55-56頁。

関連項目[編集]