バクゥ

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バクゥは、テレビアニメ機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する、モビルスーツ(MS)に分類される架空のロボット兵器の一機種。

メカニックデザイン大河原邦男

本項では、発展型であり同一種に分類されることのあるラゴゥ及びメディアミックス作品に登場する派生機についても解説する。

機体解説[編集]

諸元
バクゥ
BuCUE
型式番号 TMF/A-802
全高 11.07m(ターレット基部まで)
重量 69.30t
動力源 バッテリー
武装 2連装ビームサーベル(後期型のみ)
【背部ターレットオプション】
450mm2連装レールガン
400mm13連装ミサイルポッド 他
搭乗者 アンドリュー・バルトフェルド
メイラム
ハダト
カークウッド
蘊・奥
伝八
ラッキー・ラッキー
ラス・ウィンスレット
ザフト軍一般兵士

ザフトの陸上部隊において主力機となる4足歩行MS[1]。機体設計は陸戦型機の開発を専門とするプラントのアジモフ設計局が担当[2]。陸上での稼働試験は地球のスカンジナビア王国に存在する民間軍事会社にて行われた[3]

血のバレンタイン」から約1か月後のC.E.(コズミック・イラ)70年3月15日に発表されるとともに就役[4]。激戦区として予想されていたビクトリアやアラスカでの運用を想定して開発されており、極寒地でも運用できる適応力を持っている[4]。獣型MSという風貌はザフト機の中で異彩を放つ物となるが[4]、これは本機が戦車や戦闘ヘリを参考に設計がなされたためである[2]

本機は4足を持つ事から、障害物の存在する険しい地形を走破可能としている[4]。また、脚部に無限軌道を有しており、これによって高速移動を行う走行形態を持ち、両形態を使い分ける事で高い走破性能を実現している[4]。加えて背部にはウイング付きのスラスターが設置されており、これによって高い旋廻能力をも獲得[2]。そのため、機動力を生かして想定外の位置や速度から敵を撃破する一撃離脱戦法を得意とする[4]。一方で、前面装甲の防御力を重視しているため、それらに比べて腹部装甲は脆弱となる[5]。そのため、全高が下がる走行形態は歩兵等への対処としても機能している[4]

背部ターレットの装備は選択式であるため、任務に応じて換装し、機動戦から対要塞戦にまで対応可能[4]。当初は対戦車戦において活躍したバクゥであったが[4]、後期型においては対MS戦を想定し、ビームサーベルが頭部へ追加された[2]

武装[編集]

450mm2連装レールガン[注 1]
本機の主兵装の一つ。プラズマ化した弾頭を投射し[7]、リニアガンタンクを一撃で撃破する威力を持つ[2]
400mm13連装ミサイルポッド
ターレットは回転式となっているため、全方位に発射可能[2]。弾頭先端にはセンサーを備え、自動的に敵機を認識・追尾する[2]
2連装ビームサーベル
後期型のバクゥが装備する[2]。連合から奪取したGAT-Xシリーズの同装備をベースに実用化したもので[4]、使用の際は頭部両側から展開し、すれ違い様に敵機を攻撃する。
同様の装備はラゴゥも搭載し、フリーダムジャスティスに搭載されたラケルタ・ビームサーベルの原型となった[8]

劇中での活躍[編集]

ザフト勢力圏の1つ北アフリカ地域へ降下したアークエンジェルを襲撃するべく、現地に駐留するアンドリュー・バルトフェルド隊が使用し、地上戦に不慣れなストライクを苦しめる。砂漠戦の終盤やアラスカ攻防戦においては、頭部両サイドより出力されるツインタイプのビームサーベルを装備した後期型が登場。また、グレイブヤード戦においては蘊・奥の飼い犬である伝八が操縦した。
アラスカ攻防戦においては戦車部隊相手に優位に立っていたが、苦戦する描写もあった。また、サイクロプスに巻き込まれ破壊された機体も存在した。第三次ビクトリア攻防戦ではストライクダガーを撃墜している。

2年後の『SEED DESTINY』においてもザフトの地上戦力として現役であり、ガルナハン攻略作戦エンジェルダウン作戦への参加が確認されている。

『DESTINY ASTRAY R』においては、何でも屋集団『荒野の野犬』リーダーのラッキー・ラッキーが頭部をバクゥ戦術偵察タイプのものとした機体に搭乗している。

備考[編集]

バクゥは初期デザイン段階において人型の上半身と四脚の下半身を併せ持つ機体として描かれていたが、画稿を重ねる内に四脚の動物型MSとなった[9]。監督である福田己津央は、動物型MSの採用は2000年代に流行していた「ゾイド」シリーズや「デジタルモンスター」の影響があると語っている[10]
バクゥという機体に対し、デザインを担当した大河原邦男はインタビューにおいて、「モビルビースト」という新たな枠組みを作れるものだとする見解を示している[11]
初期型は走行形態を中心にアークエンジェルなどの艦船と同じく3DCGで描かれることもあったが、後期型は四足歩行でのアクションとの兼ね合いから従来のMSと同じくアニメーターによる手描きで描かれている。

バリエーション[編集]

「機動戦士ガンダムSEED MSV開発系譜」[12]では、バクゥおよびバリエーションである戦術偵察タイプ、バルトフェルド専用改修タイプと「ケルベロスバクゥハウンド」各種に、ラゴゥを加えた機体群を「バクゥ目」という名称で分類している。この系譜より後に設定されたもの(ラゴゥハイマニューバ)は含まれていない。

バクゥ戦術偵察タイプ[編集]

諸元
バクゥ戦術偵察タイプ
BuCUE Tactical Reconnaissance Type
型式番号 TMF/TR-2
動力源 バッテリー
武装 2連装火砲
2連装ビームサーベル

『SEED MSV』に登場。敵陣への威力偵察を目的とした特殊機。最大の特徴として、ザフトが独自開発したアクティブステルス機構を搭載している。この機構に用いられるコロイド技術は、ミラージュコロイドのような不可視化を実現するものではなく、音波探知のレーダービーム反射を無効化するものである。また、一部の機体にはニュートロンジャマー下においても索敵が行える量子ビットストリーム通信機をレドームに採用している[13]。尚、機体に装備された2門の火砲は通信システムと火器を兼ねるレーザー砲である[13]

基本的に他の1個小隊規模のMSと行動を共にする運用形態を採っているが、ザフトの軍組織図に無い国防事務局直轄の特殊部隊で使用されているという資料もある。

店頭プロモーション用OVA『機動戦士ガンダムSEED SEED ASTRAY RED FRAME』において、頭部のみが登場。ロウ・ギュールが落札するが、頭部を奪還しようとしたザフトのシグーディープアームズとの交戦中に紛失。その後『荒野の番犬』リーダーのラッキー・ラッキーの手に渡るが、ロウが仕込んでいたプログラムによりロウに奪還される。

バクゥ バルトフェルド専用改修タイプ[編集]

諸元
バクゥ バルトフェルド専用改修タイプ
BuCUE Waltfeld Custom Type
型式番号 TMF/A-802 P-Mod.W
動力源 バッテリー
武装 サーベルファング×2
脚部スパイク×4
【背部ターレットオプション】
450mm2連装大型レールガン
400mm13連装大型ミサイルポッド
搭乗者 アンドリュー・バルトフェルド
アイシャ
イライジャ・キール
ロレッタ・アジャー
山吹樹里
リーアム・ガーフィールド

『SEED MSV』が初出。アンドリュー・バルトフェルドの専用機。ラゴゥ開発の過程で生み出された実験機。実戦運用は想定されていなかったが、その性能に惚れ込んだバルトフェルドが強引に徴用し専用機とした。

複座式コクピットの採用や動力・駆動系の改修、一部装甲の強化などを行っている。動力・駆動系の素材の特に強度が必要な部分には、新たに軽量超アラミド繊維補強プラスチック材が採用された。胴体に追加されたジェットエンジンによって優れた加速性を発揮するが、高性能に比例してパイロットにも相応の技量が求められ、バルトフェルド以外には扱える者はいなかった。

格闘用武装として特殊合金製のサーベルファングとスパイクを装備。頭部のファングはサーベルタイガーの牙を思わせるほどのサイズを持ち、接近戦において高い有効性があるが、メンテナンスやコスト等様々な問題点が表面化したのに加え、地球連合軍から強奪したGAT-Xシリーズのテクノロジーを解析して作られたビームサーベルの実用化もあり、制式採用されることは無かった。

機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』では、ロウ・ギュールと知り合ったマーチン・ダコスタが、窮地に陥ったロウを救うべくイライジャ・キールに本機を託した。最終的に本機はジャンク屋の所有となっている。その後、作業用に改修され、対ゴールドフレーム天戦以降、主に山吹樹里キャプテンGGのサポートを受けながら搭乗している。改修後の本機を目の当たりにしたバルトフェルドは、その変わり果てた姿に「可愛い子猫」と例え、嘆いていた。

ケルベロスバクゥハウンド[編集]

諸元
ケルベロスバクゥハウンド
Kerberos BuCUE Hound
型式番号 TMF/A-802W2
全高 12.26m(ターレット部ウィザードアタッチメントまで)
重量 69.81t(ウィザードアタッチメント基部含む)
動力源 バッテリー
武装 ビームファングシステム(中央頭部×5、ウィザード頭部×4)
ウィザード頭部リトラクタブルセレクション内ビーム砲×2
搭乗者 アイザック・マウ
アレック・ラッド

機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』に登場。ユニウス条約の影響を受け、新規開発ではなく改修によって作られたバクゥの派生機種[14]。旧世代化しつつあったバクゥの延命も兼ねており[15]、背部にザクシリーズと同規格のウィザードシステム対応アタッチメントを追加し、装備の共用化を図っている[15]。その他、本体部は頭部が改修されており、ビーム兵器が内蔵されている[16]

武装(バクゥハウンド)[編集]

ビームファングシステム
本体中央頭部に計5基装備されている。

ケルベロスウィザード[編集]

バクゥハウンド用に開発された接近戦用ウィザード[16]。左右のスラスター前部に多重関節式のブームに取り付けられた2つの頭部を持つ[16]。装着時は本体の頭部と含めて三つ首の魔犬ケルベロスを髣髴とさせる風防となる[16]

バクゥが獣型故に人型MS用ウィザードの性能を最大限に発揮する事が難しかった事から開発されたパックであり[16]、プログラムと構造の観点からバクゥハウンドとの併用で性能を最大限に発揮する[15]。スラスターの増設によって機動性が向上し、敵機への接近と撃破が容易となっている[16]

尚、ケルベロスウィザード後部にはハードポイントが存在し、ライフル等を尻尾のようにマウントする事が可能である[注 2]。ウィザード部分の二つの頭部は開閉部で敵機を捕縛する事も可能[17]

武装(ケルベロスウィザード)
ビームファングシステム
左右の頭部に2基ずつ、計4基備える。
取り外す事で手持ちのビームサーベルとする事が可能で、連結しジャベリンタイプとしても運用できる。この機能は主にザクシリーズ等で運用された際の使用を想定している[15]
ウィザード頭部リトラクタブルセレクション内ビーム砲
ウィザード左右の頭部にそれぞれ1門ずつ内蔵する。照準は頭部のスポッティングセンサーで行われる[15]。頭部がそれぞれフレキシブル構造のブームで接続されていることから、個別に照準や敵機補足が可能であり、変幻自在な戦闘が可能となる[15]
有効射程を抑えて連射性能に特化しており、近距離戦での制圧能力を重視している[15]

劇中での活躍(バクゥハウンド)[編集]

西ユーラシア地方の対ハンニバル級陸上戦艦「ボナパルト」戦にて、ノーマルのバクゥと共に3機が実戦投入される。ファントムペイン所属のブルデュエルを撃破するが、その直後同じくファントムペイン所属のストライクノワールによって全機が撃破された。

専用機[編集]

アイザック・マウ機
Δ ASTRAY』に登場。黄緑の機体色が特徴。行動を共にするアグニス・ブラーエ達の母艦アキダリアに配備され、専用ザクウォーリアに乗り換えるまで愛機を務めた。
アレック・ラッド機
FRAME ASTRAYS』に登場。純白の機体色が特徴。叢雲劾駆るハイペリオンGと互角の勝負を繰り広げた。その戦闘でケルベロスウィザードを破壊されてからは、ブレイズウィザードを常用した。この状態は「ブレイズバクゥハウンド」と呼ばれる。

ラゴゥ[編集]

諸元
ラゴゥ
LaGOWE
型式番号 TMF/A-803
全高 11.49m(ターレット基部まで)
重量 70.18t
動力源 バッテリー
武装 2連装ビームキャノン
2連装ビームサーベル
クロー
搭乗者 アンドリュー・バルトフェルド
アイシャ

バクゥより一回り大型の上位機種[2]。CE71年1月23日のカオシュン基地陥落に伴い、ゲイツやゾノとともに発表[18]。指揮官用として少数が量産配備された[14]

本機はバクゥと比較しスラスターの増設や脚部構造の強化により、運動性が向上している[2]。また、対MS戦を想定し、頭部センサーの増強や脚部クローの追加が行われた[2]。加えて、GAT-X強奪によってもたらされたビーム兵器も導入され、機動性・攻撃力がともに向上している[19][注 3]。機体名は七曜羅睺に因む[20]

また、各種兵装を円滑に機能させるため、コクピットは砲手と操縦士で分担する複座式となっている[2]。これによってそれぞれのパイロットが操縦と遠距離戦に専念する事が可能となっている[1]。そのため、ラゴゥは砲撃で敵機を牽制し、それで撃破に至らなかった場合は急速接近し、白兵戦に挑む高機動戦を得意としている[5]

武装
2連装ビームキャノン
背部に装備される。本体のジェネレーターからエネルギーを供給している[2]
2連装ビームサーベル
バクゥのものより出力・安定性が向上している[2]
クロー
本体脚部に装備される。敵機を刺突する事が可能な兵装[2]
劇中での活躍
砂漠での戦闘において、アンドリュー・バルトフェルドがメインパイロット、アイシャがガンナーとして搭乗し、キラ・ヤマトストライクと交戦する。フェイズシフトダウンを起こすまで追い詰めるが、SEEDを発動したキラのストライクにアーマーシュナイダーを突き立てられ、爆発・四散する。この戦いでアイシャは死亡するが、バルトフェルドは奇跡的に生還する。

ラゴゥハイマニューバ[編集]

『機動戦士ガンダムSEED Re:』に登場。ラゴゥにジンハイマニューバのスラスターを用いて機動力の強化を図っているほか、2門の砲塔を追加することで火力も強化されている。また、ラゴゥ本体も尾部にアンカーランチャーが追加されている等、随所に変更点が見られる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 資料によっては本装備をリニアガンとした記述も存在する[6]
  2. ^ 電撃ホビーマガジン2006年10月号掲載、設定画稿内の記述。
  3. ^ だが、資料によって本機のビーム兵器は開発当初から採用されていたとする記述も存在する[5]

出典[編集]

  1. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEED コズミック・イラ メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、102-107頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年7月1日初版発行、20-25頁。 (ISBN 978-4-7580-1108-2)
  3. ^ ときた洸一「機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女」第1巻 角川書店 2016年11月 (ISBN 978-4041046722)
  4. ^ a b c d e f g h i j 『1/144 HG モビルバクゥ』バンダイ、2007年1月、組立説明書。
  5. ^ a b c 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編Vol.2』講談社、2003年5月29日初版発行、10-11頁。(ISBN 4-06-334725-7)
  6. ^ 『機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編Vol.2』講談社、2003年5月29日初版発行、29頁。(ISBN 4-06-334725-7)
  7. ^ 『機動戦士ガンダムSEED&SEED DESTINY MOBILE SUIT FILE』講談社、2005年4月、36頁。(ISBN 978-4061791527)
  8. ^ 『1/144 HG フリーダムガンダム』バンダイ、2003年6月、取扱説明書。
  9. ^ 『機動戦士ガンダムSEED コズミック・イラ メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、300頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  10. ^ 『機動戦士ガンダムSEED コズミック・イラ メカニック&ワールド』双葉社、2012年11月28日初版発行、265頁。(ISBN 978-4-575-46469-6)
  11. ^ 『月刊ホビージャパン』2004年12月号。
  12. ^ 機動戦士ガンダムSEED MSV開発系譜(ZAFT編)
  13. ^ a b 『機動戦士ガンダムSEEDモデルVol.3 SEED MSV編』ホビージャパン、2004年5月31日初版発行、53頁・57頁。(ISBN 4-89425-336-4)
  14. ^ a b HGスターゲイザーシリーズ初回版付属ガイドリーフレットvol.5「アストロノミカル・オブザベーション」(2006年)より
  15. ^ a b c d e f g 『HG 1/144 ケルベロスバクゥハウンド』バンダイ、2006年11月発売、組立説明書。
  16. ^ a b c d e f 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月15日初版発行、86-87頁。(ISBN 978-4-7580-1126-6)
  17. ^ 『機動戦士ガンダムSEED FRAME ASTRAYSスペシャルエディション』メディアワークス、2009年2月発売、89-92頁。(ISBN 9784048676298)
  18. ^ 『電撃データコレクション 機動戦士ガンダムSEED外伝2』メディアワークス、2007年8月15日初版発行、75-76頁。(ISBN 978-4-8402-4202-8)
  19. ^ 『HG R 1/144 ラゴゥ』バンダイ、2012年2月発売、組立説明書。
  20. ^ 『月刊ガンダムエース』2004年5月号、角川書店、34-35頁。