デスティニーガンダム
デスティニーガンダムは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する、モビルスーツ (MS) に分類される架空の兵器の一機種であり、同作の後期主役機の一つ[1]。「デスティニー」は英語で「運命」を意味する。メディアや関連商品では「デスティニーガンダム」と公称されるが、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』作中内の設定においては、同作の他のガンダムタイプ同様に「デスティニー」と呼称される。
概要[編集]
ガンダムシリーズにおいてはアニメ作品『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第35話から登場した。
デザインを担当した大河原邦男は雑誌記事において、オーソドックスなガンダムでありながらも主翼のデザインが難航し、最終的には一軸で小羽根を開閉する形となったと語っている[2]。
また、サンライズの設定制作部は雑誌記事において、監督である福田己津央は「とにかく最強」というコンセプトを提示し、それを元にシンのキャラクター性を踏まえて悪相なフェイスやシャープなデザイン、グレーがかったカラーリングを採用したという。また、高機動時の残像はデスティニーガンダムの素早さを表現するための演出として取り入れられたという[3]。また、福田己津央はインタビューに際し、「SEED DESTINYはどちらの陣営が善悪という話ではない」と前置きしつつ、デスティニーガンダムの悪相は小さな子供に解り易いよう記号化したものであると説明している。また、掌のパルマ・フィオキーナはキャラクターデザインを手がけた平井久司のアイデアで、元々は「ドラゴンボール」のかめはめ波のような攻撃を想定されていたという[4][注 1]。
設定解説[編集]
デスティニーガンダム DESTINY GUNDAM[1][5] | |
---|---|
型式番号 | ZGMF-X42S[1][5] |
分類 | 高機動試作機[6] ガンダム[7] セカンドステージシリーズ[1][5] |
所属 | ザフト 強襲揚陸型MS戦艦[8]ミネルバ →宇宙要塞メサイア |
全高 | 18.08m[7] |
重量 | 79.44t[7] |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲[9] |
動力源 | ハイパーデュートリオンエンジン[9][1][5] |
OS | MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM Ver.1.62 Rev.29 |
武装 | MMI-GAU26 17.5mmCIWS×2 MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル アンチビームシールド[10] MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2 MMI-X340 パルマフィオキーナ掌部ビーム砲×2 RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン×2 MMI-714 アロンダイト ビームソード M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲 |
搭乗者 | シン・アスカ |
ザフトによって開発されたモビルスーツであり、換装によってあらゆる戦局への対応を目指したインパルスガンダムと異なり、最初からあらゆる状況に対応し得る「コンプリートMS」として開発されている[1][5]。当初はインパルスの新たな装備としてフォースシルエット、ソードシルエット、ブラストシルエットの三装備を統合発展させた「デスティニーシルエット」の開発が行われたが、戦闘時のエネルギー消費量や、インパルス本体への負荷が大きいといった問題を抱えた事から、改めて本機が新規開発される運びとなった[11][注 2]。デスティニーの開発はプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの指令によって開始され、彼から「最高の技術を全て盛り込む」ことが求められた。これは、核エンジンやミラージュコロイドといった、ユニウス条約によって禁止された各種技術を使用することを意味しており、機体にはこれらの技術を発展させた装備も用いられている。加えて、これら既存技術の発展転用だけでなく「MSによる戦闘運用の新たなる創造」とも言うべきデスティニー独自のシステムも多数採用された[12][注 3]。
最新型の動力機関であるハイパーデュートリオンエンジンの搭載によって獲得した膨大な出力を多彩かつ強力な兵装群に用いており[10]、外部装備なしでも恐るべき総合性能を持つ[14]。さらに、インパルスに用意されていたフォースシルエット、ソードシルエット、ブラストシルエットの各武装を統合・高性能化して装備することに成功した。これにより、いかなる戦闘距離においても敵機を圧倒する最大の攻撃力と驚異的機動力を発揮する[15][注 4]。
また、ソフト・ハード両面に対し通常をはるかに超える反応速度を見せ始めたシン・アスカ向けの調整が加えられたため、シンの潜在能力を余すことなく発揮[17]。専属パイロットであるシンが搭乗した時にこそ真価が発揮されるMSとなった[12][注 5][注 6][注 7][注 3]。
様々なガンダムタイプMSの特色をも加えられたデスティニーはザフト究極のMSとされる[20][注 8]。その性能はストライクフリーダム、インフィニットジャスティスといった同時代の他勢力の機体と同等とされている[22][23][注 9][注 7][注 10]。
ハイパーデュートリオンエンジンには原子炉が用いられているが、この事実を秘匿するため、型式番号は「A」ではなく代わりにセカンドステージシリーズを示す「S」が付与されている[1][5][注 11]。また、デスティニーは事実上「サードステージ」に位置付けられる機体であるものの、核を搭載する等の公にできない特性からセカンドステージ相当として扱われたとする資料もみられる[25][注 12]。型式番号にはコンセプトナンバーで欠番となっていた「4」を割り当てられている[26]。
機体構造[編集]
核エンジンとデュートリオンシステムのハイブリッド動力であり、二つのジェネレーターの相互補完によって理論上パワーダウンすることはない[27][注 13] 。性能面で従来の動力機関の数倍の出力を発揮する[28]。
- 頭部
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』アニメーション第3期、第4期OPにおいては、額に型式番号の一部である「2」をイタリア語で示す「DUE」(ドゥーエ)の文字がみられる。
- コックピット
- ハイパーデュートリオンエンジンを搭載したデスティニーには、新型のコックピットが採用された。外景表示用のモニターは、前面及び側面のパネルがシームレスで一体化したことによって、視認性の高い広域視界を実現している。OSも新型の「MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM (Gunnery United Nuclear-Deuterion Advanced Maneuver System[注 14] Ver.1.62 Rev.29)」が採用されており、高度化した多彩な装備群を円滑に運用できるようになっている[14]。
- コンソール
- インターフェースをはじめとした機器類は高度化しているものの、セカンドステージシリーズのコックピットとほぼ同様の配置を保っている。これにより、シンが初搭乗の際でも戸惑うことなく操縦が可能だった[14]。
- 高出力稼動時には中央のサブディスプレイがポップアップする[14]。一方で、デスティニーやレジェンドのコクピットには通常モードのほか、ハイパーデュートリオンエンジンに対応した最大出力モードである「ハイパーモード」が導入されており、パイロットの判断で機体性能を調節できるとした資料もみられる[30]。
- 関節機構
- 全身のあらゆる箇所に多彩な武装が備えられたデスティニーは、性質の異なる複数の武装を戦闘中にタイムロスなく使いこなす必要があった。これを実現するため、機体各処の可動部に対してより人間に近い動きを可能とする機構が備えられている[31]。
- デスティニーガンダムの全身を覆う装甲は、可動部周辺においてより細かく分割して装着されており、それらの装甲を五体の運動と連動してフレキシブルにスライドさせることで可動域が拡大し、運動性を向上させている。この機構は装甲に隙間を作ることで防御力の低下を招いてしまう。同様の機構は ストライクフリーダムにも採用されているが、ストライクフリーダムではキラ・ヤマトの被弾率の低さを理由に防御力の低下を無視して運動性を極限まで向上させ、被弾しないことを目的とした機構であった。しかし、デスティニーでは専属パイロットであるシン・アスカの戦闘データを解析し、彼の運用実績にあわせた可動範囲の設定と装甲分割を行うことで、敵に対する無防備な瞬間を最小限にとどめながら最大の機動性を発揮する、より現実的な機構が採用されている。なお、この装甲調整はシン・アスカに引き渡された後も、複数回にわたって微調整が行われている[31]。
- 関節を構成する内部骨格はヴァリアブルフェイズシフト装甲技術を転用した特殊素材で構成されており、これにより五体の運動に合わせて素材の性質が変化する、柔軟性のある関節が造られている[31]。この特殊素材は、硬化と柔軟化に必要な電力を常に安定供給されており、余剰電力が光子として放出されることで“鈍い金属光”を帯びている。それゆえ、この特殊素材を用いた関節機構の採用にはデスティニーの持つ膨大な出力が不可欠である[32]。
- これらの機構を持つデスティニーの機体構造は通常のMSの数倍複雑であり、生産性と整備性の面では大きな問題を抱えている[33][注 15]。
- 光の翼
- 背部のウイングユニットはフリーダムの能動性空力弾性翼を発展させたものであり、大気圏内を問わず絶大な機動性をもたらす[34]。
- また、高機動時に形成される「光の翼」は、ウイングユニット内部に惑星間航行システムであるヴォワチュール・リュミエールを転用した高推力スラスターが搭載されており、これを最大加速させた際や推力の増大時に発生したものとしている[30]。一方で、元々スターゲイザーに搭載された同名の技術は、太陽風のみならず各種レーザーや粒子ビームを受信・変換する事で光圧推進に利用できるレーザー推進としての側面を併せ持つことから、スターゲイザー以外のこの技術を取り入れた軍用MSでは、機体内のレーザー発信器を利用する事で能動的な瞬発的加速力に優れるモデルを搭載したとする資料もみられる[35]。デスティニーは特殊なエネルギー変換によって得られた強大な光圧を推進力としており、ハイパーデュートリオンエンジンから供給される無限の電力を用いて巨大な光の翼を形成し、他に類を見ない超加速を発揮している[36]。また、デスティニーは高機動時にミラージュコロイドを広域散布することで、超高機動と同時に周囲の空間上に自機の光学残像を形成する事が可能となっている[1][5][注 16]。
武装[編集]
- MMI-GAU26 17.5mmCIWS
- 両側頭部に内蔵された近接防御機関砲。実体弾式の火器であり、対人制圧及び敵機への牽制の他、ミサイル迎撃など、その用途は多岐にわたる[10]。
- MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル
- 前期セカンドステージシリーズのビームライフルの改良型であり、ハイパーデュートリオンエンジンからの豊富な電力供給に対応した改良によって、大幅な出力と連射性の向上を実現している[1][5]。一方で、このビームライフルはインパルスガンダム用のMA-BAR72 高エネルギービームライフルの改良型であり、速射性と射角に優れるとした資料もみられる[14]。また、中距離戦闘用[10]、バランスの取れた性能を持つとした資料も存在する[7]。
- アンチビームシールド[10] / シールド[1][5]
- 防御面積を拡大可能な伸縮機構によって取り回しの良さを両立した、軽量且つ超硬度を誇る特殊合金製の対ビームコーティング防盾。ビームシールドとの併用も可能[10]。アニメ『SEED DESTINY』第37話においては、グフイグナイテッドのスレイヤーウィップによって破壊されたビームライフルからの爆風を防ぐために用いられている。
- MX2351 ソリドゥス・フルゴールビームシールド発生装置[注 17]
- モノフェーズ光波シールドを改良した、手甲形のビームシールド発生装置。展開形状の任意調整が行えることから、オールラウンドにおける使用に適している[1][5]。また、ビーム兵器・実体弾を問わず遮断可能で、展開中でもシールドの内側からの攻撃は可能とされる[14]。両腕のビームシールドを連結させ防御面積の拡大を行う事も可能[38]。
- MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲[注 18]
- 両手の掌に装備された隠し武器とも言えるビーム砲。密着した状態の相手を確実に破壊する装備で、通常有り得ないゼロ距離での格闘戦を想定したこの兵装から、デスティニーガンダムの特異さを窺い知れる装備の一つとなっている。新機軸の兵装の一つであり、故に戦術バリエーションも未知数[1][5]。また、ビーム砲を構える動作無しに攻撃を行うことが可能で、組み合っての接近戦闘などでの使い勝手も良いとされる[7]。
- 資料によって短距離ビームソードと記述したもの[30]、ビーム砲というよりもの開放型のビームジェネレーターに近い装備とした資料もみられる[39][注 19]。
- また、威力面の設定では戦艦クラスをも一撃で破壊可能とした資料もみられる[26][注 20]。
- RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン
- ソードインパルスに装備されたフラッシュエッジビームブーメランの発展型。オリジナルにあった実体刃ブーメランとして用いるための二刀連結機能は持たないが、ビーム刃を延長することで手持ち式のビームサーベルとしても使用可能となっている[1][5]。また、投擲時の出力でもアンチビームシールドを容易に切断する威力を持ち、並みのMSなら一撃で破壊できるとした資料もみられる[7]。簡易ドラグーン式のビームのブーメランとなっている[14]。
- 非使用時は両肩部に装備されている。
- MMI-714 アロンダイト ビームソード[注 21]
- エクスカリバーレーザー対艦刀の改良モデルとなる大剣。艦艇を一刀両断するエクスカリバー譲りの高い切れ味を持ち、同時に格闘戦でも猛威を奮う。グフイグナイテッドが持つビームソードの使い勝手の良さを併せ持つとした資料[7]、対ビームコーティングを施したシールドを両断可能とした資料もみられる[39]。形状自体はソードストライクガンダムが装備していた『15.78m対艦刀 シュベルトゲベール』に近い。一方でその長大な刀身から想定はしてあると言えど決してバランスは良好ではなく、自在に操るためには達人とも言える技量がパイロットに求められる[1][5]ほか、使用の際にはデスティニーが持つ五体の柔軟性も不可欠であり、仮に他の機体に装備させても使いこなすことは不可能とされる[40]。この装備とソードインパルスガンダムに用意された「エクスカリバー レーザー対艦刀」の特性に対する説明として、その構成からビーム刃部分で敵装甲を焼灼しつつ、実体刃部分で押し切る攻撃が可能であり、ビームと実体刃の特性からMAのような巨体を撃破するのに適した装備とした資料もみられる[41][注 22]。非使用時は右背面のウェポンラックに刀身を折りたたんで装着されている。
- M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲
- 破壊力と精度を併せ持った大型ビームランチャー。ハイパーデュートリオンエンジンからの豊富なエネルギー供給によって、ブラストシルエットに搭載されたケルベロスを凌駕する威力を誇る[1][5]。また、ハイパーデュートリオンからのスムーズなエネルギー供給によって連射性に優れるとした資料[30]、ハイパーデュートリオンエンジンからの豊富なエネルギー供給によって大威力と長射程に加え連射性能にも優れ、その性能はを含めた既存のMS用ビームランチャーを遥かに凌駕。対艦戦、対要塞戦だけでなく対MS戦でも高い運用性を誇るとした資料もみられる[42]。
- 発砲時の砲身は22mと機体の身長を超えるほどであるが、機体本体でも採用された基本構造体の細分割化と連動スライド機構が生かされており、非使用時は左背面のウェポンラックに銃身を折りたたんで装備している。他にも変形機構を持つ武装は存在するが、ここまで複雑化したものはない[40]。
劇中での活躍[編集]
- PHASE-35 - PHASE-37
- 初登場は第35話のジブラルタル基地で、シンの新たな乗機としてレジェンドと共に登場。ミネルバの艦載機として配備される。
- 第37話でレイが搭乗するレジェンドと共に、アスランとメイリン・ホークが脱走に使用したグフイグナイテッド追撃のために出撃、これを撃墜する。
- PHASE-38
- ヘブンズベース守備隊のウィンダム数機、デストロイを単独で2機、レジェンド、インパルスとの連携で1機、合計3機撃破するといった戦果を挙げ、反ロゴス同盟軍の勝利に大きく貢献する。
- PHASE-40 - PHASE-42
- 第40話から第42話までのオペレーション・フューリーでは、ムラサメ数機を瞬時に撃破し、カガリ・ユラ・アスハ駆るアカツキを圧倒するが、キラ・ヤマトのストライクフリーダムによって阻止される。そのままストライクフリーダムとの一騎討ちに突入するも、不利と見て一時撤退する[注 13]。
- さらにその後、レジェンドとの連携でストライクフリーダムを追い詰めるが、インフィニットジャスティスに乗り込んだアスランの参戦により片腕を落とされ、再び撤退を余儀無くされる。
- PHASE-45
- プラント本国に標的を定めたレクイエムの発射を阻止するために出撃。レクイエム攻略戦においてデストロイ、ザムザザー、ゲルズゲー、ウィンダムらを次々と撃破しダイダロス基地司令部を制圧、プラント本国を救う活躍を見せる。
- PHASE-49 - PHASE-50
- メサイア攻防戦において、再びアスランの駆るインフィニットジャスティスに挑む。しかし、機体及びほとんどの兵装を破壊され月面に墜落、機体は大破する。パイロットのシンは無事であったが、機体は稼動不能の状態となった。寄り添う様に横たわる本機とインパルスの姿が、この回のエンドカードとして使われ物語を締め括る[注 23]。
ハイネ専用デスティニーガンダム[編集]
ハイネ専用デスティニーガンダム DESTINY GUNDAM HEINE WESTTENFLSS CUSTOM[19] | |
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型式番号 | ZGMF-X42S-REVOLUTION[19] |
所属 | ザフト |
全高 | 18.08m[19] |
重量 | 79.44t[19] |
武装 | MMI-GAU26 17.5mmCIWS×2 MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル アンチビームシールド[10] MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置×2 MMI-X340 パルマフィオキーナ掌部ビーム砲×2 RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン×2 MMI-714 アロンダイト ビームソード M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲 |
ガンプラ30周年を記念して発売されたT.M.Revolutionとのコラボレーションアルバム「X42S-REVOLUTION初回生産限定盤 Type A」における付属キット、「HG 1/144 ハイネ専用デスティニーガンダム」のプラモデルとして登場した[45]。
このキットは、T.M.Revolutionの西川貴教が『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』作中において声を演じた、ハイネ・ヴェステンフルスのパーソナルカラーであるオレンジ色を基調として、デスティニーのカラーリングを一部変更したものである。
- 設定解説
- 地球連合との戦争末期にザフトが投入した最強のMS・デスティニーは、長らくシンが搭乗した一機のみだと思われてきた。しかし、他にも同型機が存在することが近年公開された資料によって明らかになった。最強のMSとパイロットを組み合わせた部隊で地球連合の戦力を一蹴し、戦意を阻喪させることを企てていたザフトは、各戦線から戦績優秀なエースパイロットを集め、デスティニーを主力MSとして効果的に運用するための特殊部隊「コンクルーダーズ」の構想を抱いていたのである[19]。
- ハイネ・ヴェステンフルスもコンクルーダーズの一角に選ばれ、専用に調整されたデスティニーの製造も行われていた。しかし、彼は機体の完成直前に戦死し、部隊も編成されることはなかった。その後、同機はザフトの兵器保管庫に保存されている[19]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ バンダイより2005年8月に発売されたゲームソフト『機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.』においてはデスティニーガンダムの攻撃方法の一つとして、掌からビーム砲撃を行うものもみられた。
- ^ 過剰ともいえる武装を搭載したデスティニーシルエットは、コアスプレンダーを備えたインパルスの複雑かつ精密な機体構造に大きな負荷を与え、さらに消費する電力の膨大さから到底実戦での運用には耐えられるものではなかった。この運用データから、最強の万能機を創り出すには、まったく新しい機体をゼロから設計した方が効率的だと判断され、結果としてデスティニーシルエットの製造は4機で中断され、デスティニーガンダムの開発へと移って行った[11]。
- ^ a b 一方で、デスティニーガンダムは地球連合との戦いに終止符を打つべく開発が進められた機体であり、秘められたその力にコーディネイターの未来の礎を託さんとシン・アスカに与えられた。その機体開発にギルバート・デュランダルが関与したとする資料もみられる[13]。
- ^ フォトストーリー作品『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSV戦記』作中においては、デスティニーガンダムの前駆型となるデスティニーインパルスがメサイア本部を中心としたリアルタイムの敵・味方分布データや、未来予測を含めたAIによる補助を受ける描写がある。また、同作においてデスティニーインパルスは機能が増えた分に複雑化したシステムの管理に対応するため、アビオニクス/ベトロニクスの強化によってパイロットが機体の細かなコントロールに煩わされることなく戦闘を遂行可能とした説明もみられる[16]。
- ^ 引き渡しの直前にシンの各種戦闘データを基に大掛かりな再調整や微改造も行ったとする資料もみられる[12]。
- ^ 機体は開発当初よりシン・アスカの専用機と目されている[18]。一方で、後続の媒体では「ハイネ専用デスティニーガンダム」のように、シン・アスカ以外の搭乗機であるデスティニーガンダムが設定されたものもみられる[19]。
- ^ a b アニメーション『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第36話作中においては、ジブラルタル基地に搬送されたデスティニーガンダムが、ギルバート・デュランダルの手からシン・アスカへと引き渡されている。また、作中ではデュランダルの口頭から、デスティニーとは火力・機動力・防御力・信頼性、そのすべてでインパルスを凌駕する最強のMSであり、最新のインパルスの戦闘データからシン・アスカ専用の調整が施されていると説明される。
- ^ サンライズ公式サイトの説明では、(登場時点においては)レジェンドと並ぶ最強のMSであった事は間違いないと説明されている[21]。
- ^ ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスとの戦力比較においては、機体コンセプトの違いから混戦ではストライクフリーダムが勝るものの単機での戦闘ではデスティニーが勝るとされる[24]。
- ^ 機体の性能を発揮するシン・アスカが搭乗したことで、史上最強の機体となったとする資料もみられる[1][5]。
- ^ デスティニーガンダムは核エンジンやミラージュコロイドの搭載によってユニウス条約に違反した機体となったが、これをすでに条約が形骸化していた事の現れとした資料もみられる[1][5]。また、当時すでにユニウス条約は形骸化し核エンジンの搭載は問題視されなかったとする資料もみられる[15]。
- ^ 純粋に性能で判断するならばサードステージかそれ以上のハイステージにも値する機体とした資料もみられる[12]。
- ^ a b デスティニーガンダムに搭載されたハイパーデュートリオンエンジンは「核エンジンとデュートリオンシステムの相互補完によってパワーダウンは有り得ない」という設定であるが、テレビアニメ第42話において計器類の「HYPER CAPACITOR」(コンデンサー)の残量が足りないレッドゾーンに突入した描写が有る。これに際し、「PEAFECT ARCHIVE SERIES 5 機動戦士ガンダムSEED DESTINY」に記載された森田繁の発言では「デュートリオンのチャージが間に合わなかった…ということしておいてください(笑)」との返答がなされている[27]。その一方で、サンライズ公式サイトでは「いまだ実戦でのデータを取り調整をかけている段階であったが、急激に最大ポテンシャルを発揮したことによって機関部に何らかのエラーを起こし、どちらかのチャージが間に合わなくなってしまったのが原因だろうと思われる」と記載されている[21]。
- ^ 「核・デュートリオン統合先進機動システム」の意[29]。
- ^ 一方で、装備類の高度化に反して、前期セカンドステージシリーズの特徴であった変形・合体機構は持たず、本体部のつくりや装備は比較的スタンダードと言えるとした資料もみられる[14]。
- ^ 小説作品『機動戦士ガンダムSEED DESTINY B』においては、このミラージュコロイドの効果を使用したアストレイノワールDが視覚的な残像とレーダーへの効果の双方でブルーフレームを攪乱する場面もみられる[37]。
- ^ ソリドゥス・フルゴールとはラテン語で堅固な輝きの意。
- ^ パルマフィオキーナ (palma fiocina) とはイタリア語で掌の銛の意。
- ^ 2005年に発売されたゲームソフト「機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.」においてはビームライフルのように遠距離の敵に対しビームを発砲する描写が存在するが、アニメーションのデスティニーが同様の攻撃を可能としているかは定かではない。アニメーション「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」第45話においてはデストロイガンダムのコクピットを粉砕し、その背面までビームが貫通する威力を見せた。
- ^ 威力はそこそこだが、並のMSならば一撃で破壊可能とした資料もみられる[7]。
- ^ 名称の由来は、円卓の騎士の長サー・ランスロットの愛剣アロンダイトから。
- ^ アニメーション『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第42話ではストライクフリーダムに実体刃部分を真剣白刃取りされたほか、第43話ではインフィニットジャスティスのビームサーベルによって両腕を破壊されたため使用不可能となった。また、第50話においてはインフィニットジャスティスのビームサーベルによって刀身を切断されている。
- ^ デスティニーガンダムはデスティニープランを守る象徴として[17] レジェンドと共に戦い続け、メサイア攻防戦においてアスラン・ザラが駆るインフィニットジャスティスと一騎打ちを行う。序盤は互角の戦闘を行っていたが、最終的には戦いの最中にシンが混乱した結果[43]、ビームサーベルを受け止めた発砲寸前のパルマフィオキーナ 掌部ビーム砲を持つ右腕を破壊され[43]、さらに脚部ブレイドで右脚部を切断され破壊されてしまう。しかし、この結果は性能差によるものではなくパイロットの能力及び戦闘時の精神的な安定の度合いを含めた成り行きであり[15]、最強と評されるデスティニーガンダムの性能的優秀さが否定されるものではない[44]。
出典[編集]
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参考文献[編集]
- 書籍
- 『テレビマガジン特別編集エクストラ機動戦士ガンダムSEED&SEED DESTINY MOBILE SUIT FILE』講談社、2005年5月。ISBN 4-06-179152-4。
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY オフィシャルファイル メカ 03』講談社、2005年9月。ISBN 4-06-367157-7。
- 『公式ガイドブック3 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 誓いの宇宙』角川書店、2005年12月。ISBN 4-04-853927-2。
- 『ロマンアルバム 機動戦士ガンダムSEED DESTINY [デスティニー編]』徳間書店、2006年2月。ISBN 4-19-720243-1。
- 『ホビージャパンMOOK 機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデルVol.1』ホビージャパン、2006年3月。ISBN 4-89425-403-4。
- 『ホビージャパンMOOK 機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデルVol.2 DESTINY MSV編』ホビージャパン、2006年3月31日。ISBN 4-89425-415-8。
- 『PERFECT ARCHIVE SERIES 5 機動戦士ガンダムSEED DESTINY』竹書房、2006年5月。ISBN 4-8124-2687-1。
- 『電撃データコレクション機動戦士ガンダムSEED DESTINY 下巻』メディアワークス、2007年11月15日。ISBN 978-4-8402-4087-1。
- 『機動戦士ガンダムSEED DESTINY MSエンサイクロペディア』一迅社、2008年11月25日。ISBN 978-4-7580-1126-6。
- 『ガンダムの常識 オールガンダム大全集 21世紀篇』双葉社、2011年5月22日。ISBN 978-4-575-30314-8。
- ムック
- 『グレートメカニック17』双葉社、2005年6月。ISBN 4-575-46427-9。
- 雑誌
- 『ザ・テレビジョン2005年35号』角川書店、2005年8月9日。
- 『月刊ガンダムエース 2005年5月号』角川書店。
- 小説
- 後藤リウ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 4 示される世界』角川書店、2005年11月1日。ISBN 4-04-429111-X。
- 後藤リウ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 5 選ばれた未来』角川書店、2006年4月1日。ISBN 4-04-429112-8。
- 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY 下巻 絆を求める者』メディアワークス、2006年8月15日。ISBN 4-8402-3498-1。
- 千葉智宏『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY B 下巻』KADOKAWA、2014年6月。ISBN 978-4-04-866760-9。
- 分冊百科
- 『週刊ガンダム ファクト・ファイル 第127号』デアゴスティーニ・ジャパン、2007年4月3日。
- 『週刊ガンダム ファクト・ファイル 第147号』デアゴスティーニ・ジャパン、2007年8月8日。
- 『週刊ガンダム パーフェクト・ファイル 第25号』デアゴスティーニ・ジャパン、2012年3月27日。
- 『週刊ガンダム パーフェクト・ファイル 第61号』デアゴスティーニ・ジャパン、2012年12月4日。
- 『週刊ガンダム パーフェクト・ファイル 第64号』デアゴスティーニ・ジャパン、2012年12月25日。
- プラモデルキット
- 『1/144 コレクションシリーズ デスティニーガンダム』バンダイ、2005年5月。
- 『1/100 デスティニーガンダム』バンダイ、2005年7月。
- 『HG 1/144 インフィニットジャスティスガンダム』バンダイ、2005年8月。
- 『HG 1/144 レジェンドガンダム』バンダイ、2005年10月。
- 『HG 1/144 デスティニーガンダム』バンダイ、2005年11月。
- 『EXモデル 1/1700 ミネルバ』バンダイ、2005年11月。
- 『1/100 インフィニットジャスティスガンダム』バンダイ、2006年5月。
- 『MG 1/100 デスティニーガンダム』バンダイ、2007年10月。
- 『MG 1/100 デスティニーガンダム エクストリームブラストモード』バンダイ、2007年10月。
- 『1/144 HG ハイネ専用デスティニーガンダム「X42S-REVOLUTION初回生産限定盤 Type A」付属キット』バンダイ、2010年3月。
- 『RG 1/144 デスティニーガンダム』バンダイ、2013年7月。
- 玩具商品
- 『MOBILE SUIT IN ACTION!! ZGMF-X42S デスティニーガンダム』バンダイ、2005年6月。