地中貫通爆弾

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地中貫通爆弾(ちちゅうかんつうばくだん、: Bunker Busterバンカーバスター)は、硬化目標や地下の目標を破壊するための特殊な航空爆弾である。

掩蔽壕破壊弾特殊貫通弾とも呼ばれる。

概要[編集]

高空から投下されることによる位置エネルギーによって大きな速度を得、地上目標のコンクリート盛土を貫通したのち地中深くで爆発する。

通常は自由落下による高速度が利用されるが、投下後にロケットブースターで加速させるものも存在した。貫通能力が使用方法によって異なり、自由落下の場合に粘土層を30m、ロケットで加速した場合に鉄筋コンクリート壁を6.7m貫通したとされる。落下・貫通時の物理力に耐えるために弾殻は厚く、貫通距離が求められるものは弾体が細長くなる。

歴史[編集]

この種の兵器は、第二次世界大戦中に登場した。当時のイギリスドイツ軍Uボートによる通商破壊で甚大な被害を受けていた。イギリス軍はUボート戦力を殲滅しようとしたが、Uボートはブンカーと呼ばれる頑丈なコンクリート製の掩蔽物下に停泊していたため、通常の爆弾では直撃させても被害を与えられなかった。そこでイギリス軍は、トールボーイや通称「地震爆弾」と呼ばれたグランドスラムなどの超大型爆弾による攻撃を行った。これはブンカーに対して十分有効であり、Uボートのうち何隻かを破壊したが、あまりにも巨大で効率的な兵器とは言い難かった。

また、イギリスはロンドン地下に強固な防空壕を作り政府・軍司令部など重要施設を移したため、ドイツ軍は防空壕破壊用の地下貫通爆弾で空爆を行った。この地下貫通爆弾は徹甲弾頭がその重量の80%を占めており、地表および防空壕天井を貫通した後に炸薬が爆発するように作られていた。ドイツ軍の地下貫通爆弾が登場すると、イギリスは防空壕をさらに堅固なものに改装するなど、攻撃側と防衛側での競い合いが続いた。

第二次大戦後の冷戦時代には、防護された地下施設などの硬目標に対しては核兵器を使用することが想定されていたため、通常弾頭に高い貫通能力を備えた航空爆弾は開発されなかった。しかし、湾岸戦争で核兵器を使用せずに地下施設を破壊する必要が生じ、当初はグランドスラムのような炸薬量の多い兵器の使用が考慮されたが、第2次大戦の使用例から、単純に炸薬量の多いだけの航空爆弾は硬目標に対する効果が低いことが顧みられ、結局、急ぎ新しい爆弾を設計・製造することになった。

これによって、一般に“バンカーバスター“として知られるGBU-28が作られた。この総重量4,700ポンド(2,132キログラム、なお炸薬量は630ポンド(約286キログラム)の爆弾の他に、これより小型のもの、またより大型の「MOP(Massive Ordnance Penetrator.大型貫通爆弾)」も開発され、以降アフガニスタン戦争イラク戦争でも用いられた。

また、地下貫通爆弾の弾頭に核兵器を搭載したRNEP(Robust Nuclear Earth Penetrator)と呼ばれる兵器の開発計画が存在する。

関連項目[編集]