アッザム

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アッザム (ADZAM) は、アニメ機動戦士ガンダム』に登場する、架空の兵器。

ジオン公国軍の試作型モビルアーマー (MA)。型式番号「MAX-03」に後のモビルアーマーと同じく「MA」の2文字が含まれているが、MAという兵器体系が確立する前に開発・製造された機体である。

機体解説[編集]

諸元
アッザム
ADZAM
型式番号 MAX-03
所属 ジオン公国軍
製造 ジオン公国軍グラナダ工廠
生産形態 試作機
全高 24.0m[1]/25m[2]
全幅 55.9m[2]
本体重量 300t[1]
全備重量 220t[3]
装甲材質 超硬スチール合金
推進機関 ミノフスキークラフト
出力 620,000kW[2]/84,000馬力[3]
最高速度 16km/h[2]
武装 連装メガ粒子砲×8[2]
アッザム・リーダー×3[2]
乗員人数 8名[2]
搭乗者 マ・クベ
キシリア・ザビ
ジオン公国軍一般兵
ガルシア・ベロン・デ・ジブリデス・ロメオ(THE ORIGIN)

アッザムは、月面に配備されていた移動式対地攻撃兵器ルナタンクを元に開発された重機動砲座[4]。最大のスペースを占めていた機体下部の燃料タンクに代わって、大出力のジェネレーター4基、ミノフスキークラフト、主武装の換装、アッザム・リーダーなどが搭載された。更にロケット・エンジンを廃し8基のローター[5][注 1]を搭載、4基の接地用ダンパーを設置するなど、重力下でも使えるように再設計されている。また、使用目的に合わせてコクピットも改修された。乗員は操縦士と射撃手の2名であるが、非常時にはオートパイロット機能を使用して1名での運用も可能であった。

搭載されたミノフスキークラフトは試験段階のものであり、当時のジオン公国軍のミノフスキークラフトの技術は地球連邦軍に対し遅れていたためローターによるサポートがあっても短時間しか浮遊できない[6](しかし劇中では長時間浮遊していた)。

武装はルナタンク時代の重機関砲から「砲塔式メガ粒子砲[注 2]に換装され、連装砲塔8基を円盤形の機体四方上下に配置。対地、対空双方に対応しており死角はない。ただし本機のメガ粒子砲はガンダムのシールドに何度も防がれており、威力は後に登場したMA「ブラウ・ブロ」や「ジオング」のメガ粒子砲に比べて劣る[注 3]

また、機体底部から「アッザム・リーダー」と呼ばれる特殊武器を搭載。これは、目標に電磁波高周波)を浴びせ、高熱(最大4,000℃)にするとともに電子回路にダメージを与え、破壊するものである。攻撃手順は、まずカプセルから触媒(これをリーダーと呼ぶ)を目標周辺に振り撒き、次いで磁場発生装置から複数のワイヤーを降ろして即席の檻を形成し、その後高周波を目標に当てる。この放熱磁場は時間と共に弱まる[注 4]マ・クベによればザクを行動不能にすることが可能とされ、ガンダムに対しても一定の効果を発揮した。後にこの武装は改良され、プラズマ・リーダーとしてヴァル・ヴァロに搭載された。

試作機として2機が製造され、うち1機はオデッサで交戦。本来は対トーチカ兵器として使用されるはずだったが、偶然にもガンダムと交戦することになった[6]。本機のモビルスーツ (MS) とは異なる設計思想は後のMAの原型となり、数々の機体が開発された。

劇中での活躍[編集]

テレビ版『機動戦士ガンダム』では、第18話にて登場。劇中ではマ・クベの飛行基地的に扱われ、かなり長時間飛行しているとみられる描写がある。本機にはオデッサ方面軍の司令であるマ・クベと前線視察に来た突撃機動軍のキシリア・ザビが搭乗し、戦闘機ドップ2機に護衛されて夜間飛行を行った。

翌日、本機は第102鉱山基地に駐機していた。そこへホワイトベースから脱走したアムロ・レイの乗るガンダムが襲撃をかけてきたため[注 5]、急遽マ・クベとキシリアが本機に搭乗してガンダムを迎撃した。アッザム・リーダーなどで攻撃したが決定打を与えられず、逆に砲塔を数基破壊され、辛うじて撤退している。この時ガンダムの性能を身をもって味わったキシリアは、「我らもテスト中の各モビルスーツの実戦配備を急がねばならない」と呟いており、中盤以降にジオン軍の新兵器が多数登場するようになる伏線となっている。なお、劇場版ではアッザムが登場するシーンはカットされている。

漫画『機動戦士ガンダム0079』では、接地用ダンパーや火薬式主砲を収納できる円盤型の機動兵器に描かれており、よりSF的なデザインになっている。連邦軍の陸上艦船を多数撃破するなどしたが、特殊な対空砲弾の反撃を受け、上空に避退。そこをセイラ・マスGアーマーに急襲され、撃墜された。

漫画『機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles』では、マット・ヒーリィ中尉の搭乗する陸戦型ガンダムを捕獲するため投入される。アッザム・リーダーの展開時の形状から、「トリカゴ」と呼ばれていた。アニッシュ・ロフマン曹長の陸戦型ジムを行動不能とするが、リーダーの射出口を狙われ撃破される。主砲はビーム砲であった。180mmキャノン砲の直撃を受けても全く無傷でかなりの重装甲である。なお、この機体はゲーム『SDガンダム GGENERATION GENESIS』では「アッザム改」となっている。

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ジャブロー攻略時に指揮官であるガルシア少将機が登場する。ジャブロー内部に侵入するもトラップにひっかかり、味方のMSもろとも岩盤の下敷きとなった。本作では、従来の設定で接地用ダンパーとされたものが脚とされ四足歩行を行っている。また上部に長いハッチが付属しており、フラスコのような形状になっている。その機体デザインは、漫画『機動戦士ガンダム戦記』に登場したものと同じデザインを流用している[7][8]が、脚部を折り畳む機能が追加されている。

宇宙用アッザム[編集]

監督の富野喜幸による、当初の52話分の構想を書いた通称「トミノメモ」の記載では、当初予定の第43話『グラナダ攻略』において、宇宙用アッザム(アッザム改)の登場が予定されていた[9]が、放映期間短縮により出番がなくなった。キシリアの指揮の下シャア・アズナブルが操縦し、かなりの活躍を見せる筈であった。このコクピットでキシリアはシャアに刺殺される場面も想定されていた。

マイナーバージョン[編集]

アッザム・オルガ[編集]

ゲーム『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』に登場。

カラーリングはライト・パープル。4基の接地用ダンパーにブースターを装備している。武装はメガ粒子砲が実弾の対地機銃に変更され、新たにミサイルが搭載されている。地球連邦軍のMS部隊を殲滅するが、ホワイト・ディンゴ隊によって撃墜される。

なお、名称はゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』収録のリメイク版の台詞の字幕によって明らかになった[10]

メタルアッザム[編集]

漫画『NIGHT=HAWKS!』に登場。(型式番号:MAX-03M

腹部には眼や口が描かれている。地球連邦軍基地を占拠したジオン公国軍W=ダブデ陸戦艇の部隊に配備され、第13独立電撃部隊ナイトホークスの旗艦「ウェルディア」への攻撃の際に投入される。アッザム・リーダーを放ってG・キャノンF1やG・タンクを苦しめるが、チャアミン・ブラウン曹長が搭乗するG・ダミーによって一刀両断され撃破される。

なお、カードダス『SDガンダム外伝 ジークジオン編』において同名のキャラクターが登場するが関連性は無い。

アッザム改修型(リペア)[編集]

漫画『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』に登場。

キンバライド基地において独自に改修された機体。大口径のメガ粒子砲や安定脚つき球形ミノフスキークラフトなどMAアプサラスの装備が追加され、さらに機体管制のために武装したザクIの上半身が接続されている。なお、これらの追加装備に加えてエネルギー供給用の大型ケーブルを引きずっているため、アッザム本来の飛行能力はかなり損なわれている上に、活動範囲も限定されてしまっている。何らかの状況でケーブルを失うと、メガ粒子砲も一発しか放てなくなる。

劇中ではノイエン・ビッター中将が搭乗し、ペガサス級強襲揚陸艦アルビオンを返り討ちにすべく砲撃を浴びせる。しかし、ケーブルを損傷してしまった上に、本体であるザクIも直接攻撃を受け、撃破される。そのあまりにも異様な姿から、アルビオンのシナプス艦長には、「ジオン残党の怨念が具現化したような醜悪な姿」と酷評されている。

原典であるOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、ビッターはザクII F2型に搭乗するため、登場しない。

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関連機体[編集]

ルナタンク[編集]

諸元
ルナタンク
型式番号 G87
所属 ジオン公国軍
製造 ジオニック社グラナダ工廠
生産形態 量産機
全高 25.8m
本体重量 278.6t
最高速度 30km/h(走行)
武装 2連装砲塔×8
乗員人数 パイロット1名
砲手4名(改良により2名)

メカニックデザイン企画『モビルスーツバリエーション』で文字設定のみ設定され、『MSV-R』で大河原邦男によって改めてデザインされた。

月面のグラナダ基地防衛用に、MSの補助兵器として開発された機体。月面重力下のみで運用されるため、機体下部のキャタピラは本体に比べ小型となっている。戦闘は下面中央のロケットエンジンによって飛行状態で行なわれ、本体の4分の1をプロペラント・タンクが占める[11]。機体側面4か所の板は補助飛行システムと推定されている。武装は2連装実弾砲[12]を8基(機体上部、下部に各4基)装備。1名のパイロットと4名の砲手(後の火器管制システムの改良で2名に)によって操作する。 U.C.0077年から開発が始まり、U.C.0078年7月に1号機がロールアウト。開戦までには22輌が完成、当初の50輌の配備予定が75輌に変更されたが、U.C.0079年6月頃までの34輌の生産にとどまっている。全機がグラナダに配備され、U.C.0079年10月の月での動乱により28輌が消失。残存した機体も稼動不能となり、終戦後に全機解体されている。

漫画『虹霓のシン・マツナガ』では、宇宙世紀0079年2月27日の月のマス・ドライバー基地攻略の際にザクIマゼラアタックキュイとともに少なくとも3機が投入され、防衛システムを沈黙させる。しかしその後、連邦軍のレールガン搭載艦「サントメ・プリンシペ」の砲撃により1機が撃墜される。マス・ドライバー基地は同艦による混乱に乗じたエアーズ市民軍によって奪還される。

小説『MSV-R ザ・トラブルメーカーズ』では、地球連邦軍のドミニク・アレストが一年戦争終結直後の混乱に紛れ、ジオン共和国から裏取引で入手した機体が登場する。サイド6コロニー「アガルタ」の工場地下のドックに秘匿されているが、犯罪容疑がかけられ追い詰められたドミニクが部下3名とともに搭乗し出撃する。コロニー内で傭兵ディーン・ウェストらのMSと交戦し、回転しての無差別全方位砲撃により「アガルタ」は崩壊するが、砲身をすべて切断され降伏する。

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ゲンブ[編集]

小説『機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ』に登場。

チーム・シャドウのシャドウ5襲撃後にジオン残党軍「ヘルズゲート」がアッザムを母体として開発した巨大MA。防御力が大幅に強化されており、重装甲化に加えてIフィールドと対ビーム・コーティングが用いられている。武装は艦載砲クラスの大型メガ粒子砲1門と、2連ビーム砲18基。また、コクピットシステムも独自のものを採用している。

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RFアッザム[編集]

漫画『機動戦士ガンダムF90』に登場。(型式番号:OMAX-03RF

オールズモビルが運用する。宇宙空間での行動も可能になっており、武装も単装メガ粒子砲を8基装備、内蔵式のミサイル、接地用ダンパーをクローに換装するなどの強化が図られている。またビーム撹乱膜を展開する能力も持っており、艦砲を弾き返す堅牢さを見せる。4機が出撃し、火星の衛星軌道上で第13独立機動艦隊にかなりの損害を与えるが、最終的に全機撃破される。

名称と型番はゲーム『SDガンダム GGENERATION-F』で設定されたものである。

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脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ なお、ミノフスキークラフト搭載は『GUNDAM CENTURY』(みのり書房、1981年9月)が初出で、その前後に発行された書籍ではこのローターのみで飛行するような表現がされていた。また『講談社ポケット百科シリーズ33 機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション2 ジオン軍MS・MA編』(1984年4月)では「8基のホバーエンジン」とされている。
  2. ^ 火薬主砲との記述もある[要出典]。公式サイトでは、アッザムの武装はメガ粒子砲と記載している。
  3. ^ ブラウ・ブロやジオングのメガ粒子砲はルナチタニウム装甲のガンダムやガンキャノンを一撃で大破させる威力がある。またザクバズーカもガンダムのシールドを貫通することが可能である(第5話大気圏突入時の戦闘)。
  4. ^ アッザムとガンダムの戦闘中におけるキシリアの発言より。
  5. ^ アムロが第102鉱山基地をオデッサ基地と勘違いしたため。

出典[編集]

  1. ^ a b GUNDAM OFFICIALS』25-26頁。
  2. ^ a b c d e f g 大河原邦男・松崎健一監修『ファンタスティックコレクション・スペシャル 機動戦士ガンダム・マニュアル』朝日ソノラマ、1981年3月。
  3. ^ a b 『講談社のポケットカード8 機動戦士ガンダム モビルスーツコレクション』1982年1月。
  4. ^ 設定画より。『機動戦士ガンダム ガンダムアーカイブ』メディアワークス、1999年6月、271頁で確認。
  5. ^ 『テレビマガジン』1981年2月号付録『機動戦士ガンダム大事典』上巻(講談社)9頁。
  6. ^ a b 機動戦士ガンダム公式Web「メカ-アッザム」
  7. ^ 『月刊ガンダムエース』2014年4月号特別付録(1)『機動戦士ガンダム0083 REBELLION』第00巻「千葉智宏インタビュー」163-164頁。
  8. ^ 『愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編』419頁。枠外の著者コメントより。
  9. ^ 日本サンライズ『機動戦士ガンダム記録全集 5』190頁。
  10. ^ オリジナル版にも同じ台詞があるが不明瞭であり、以前のWikipediaでは聞き取りミスにより「アッザモード」という名称になっていた。
  11. ^ 孝岡春之介・高崎とおる『機動戦士ガンダムMSV-R ザ・トラブルメーカーズ』第2巻、アスキー・メディアワークス、2014年3月、303頁。
  12. ^ 『機動戦士ガンダム MSV-R ジオン編』講談社、2014年2月、42-43頁。

関連項目[編集]