ザク・マリンタイプ

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ザク・マリンタイプ (ZAKU MARINE TYPE) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ(MS)」の一つ。初出は、テレビアニメ機動戦士ガンダム』のプラモデル販促企画である『モビルスーツバリエーション (MSV)』。

作中の軍事勢力の一つである「ジオン公国軍」量産機「ザクII」の水中戦仕様。のちに「水陸両用MS」と呼ばれる系統の発端となった機体でもある。「水中用ザク」「水中型ザク」と呼称・表記されることもある。1986年に放送されたテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』では、「マリン・ハイザック」という呼称で登場する。

当記事では、各派生機の解説も記述する。

機体解説[編集]

諸元
ザク・マリンタイプ(マリン・ハイザック)
ZAKU Marine Type (Marine HI-ZACK)
型式番号 MS-06M またはMSM-01
所属 ジオン公国軍地球連邦軍ティターンズ
製造 ジオニック社
生産形態 試作機→少数量産機
全高 18.2m
頭頂高 17.5m
本体重量 43.3t
全備重量 60.8t
出力 951kw
推力 66,000kg(ハイドロジェット)
センサー
有効半径
3,200m
最高速度 45kt(水中)
武装 60mm機関砲×2
M6-G型4連装240mmサブロックガン
ブラウニーM8型4連装180mmロケットポッド×2

一年戦争時に地球に侵攻したジオン公国軍は、地球上のさまざまな地形、気候などの環境に対応したMSを開発する必要に迫られた。本機はその中でも、地表の7割を占める海洋に適応するべく開発された機体である。

当初はザクII F型をベースに開発が行われ[1][2]C型の改造機とした資料もあり[3])、浮沈のためのバラストタンク、推進用のハイドロジェットエンジンを設け、関節部分のシーリングなどの改造を受けたが、水深400メートルの水圧に耐えられる設計が要求された結果、大半のパーツが新設計に置き換えられた。武装は固定装備として頭部に60ミリ機関砲を2門、オプションとしてブラウニーM8型4連装180mmロケットポッドを胸部に設置可能。腕部携帯武器としてM6-G型4連装240mmサブロックガン(水中戦用ロケット砲)が用意されている。5機の試作機が西大西洋の潜水艦隊「シーサーペント」に配備されたが、要求性能を満たすことはできず、ザクベースの水陸機開発はここで断念されることとなる。当初の型式番号はMS-06のM型として承認されていたが、水陸用MS開発が本格化した段階でMSM-01に改編された。本機はMSM-01として2機が追加製造されている[4]。本機のデータを基にツィマッド社製の水中実験機が完成し、のちのゴッグとして量産化が決定した。製造されたマリンタイプ7機はゴッグの量産開始後に倉庫行きとなったが、戦争末期の地中海上陸侵攻作戦に際して全機実戦配備され、「レッドドルフィン」「シーサーペント」各部隊に2機、「グリーンサイレン」「ナーガIII」「マンタレイ」各部隊に1機ずつ送られている[4]。レッドドルフィン所属機では頭部機関砲にカバーをつけて塞いだ機体も存在する。

本機はM-1型とM-2型の2種の試作機が製造されたとする資料が存在する[5]。それによると、M-1型は耐圧性能は低いが、水中航行速度はM-2型より優れ[5]、M-2型はM-1型のテスト運用時のデータを反映し、関節部の防水シーリング、モノアイ保護用のシーリング追加など、信頼性が向上している[5]

その後、一年戦争が地球連邦軍側の勝利によって終結し、ジオン公国が所有していた多くの兵器が地球連邦軍に接収される。マリンタイプも当時残存していた全機が連邦軍の手に渡り、M-1型とM-2型の2種説によると、M-1型はダカール基地に、M-2型もニューギニア基地にそれぞれ配備された[5]とされている。

マリン・ハイザック
ザク・マリンタイプは『機動戦士Ζガンダム』にマリン・ハイザック(またはマリンハイザック)の名で登場する。番組中に登場するMSV出典機で唯一名前が変更されているが、多くの資料では名前以外の差異は説明していない。
放送当時発売されたプラモデル「1/144 マリンハイザック」取扱説明書ではザク・マリンタイプとは別個の設定が与えられている。本説明書では「水中用ハイザック」の名でも掲載されており、大戦後にハイザックのプロトタイプである「RX-106」の水陸両用型として少数生産されたものとされる。旧型のMS-06Mと違い、全天周囲モニター・リニアシート化や熱核エンジンの換装・フレームの改良によって性能が向上している。ただし基本設計がそのままのために型式番号は変更されていない[6]
その他の資料での記述としては、河川や港湾等の復旧・整備のニーズから、ザクII F型や陸戦型ザクIIのパーツを流用して新規に生産したというもの[7]や、戦後接収した機体をハイザックのコクピットに換装し、「マリン・ハイザック」の名称で呼んだ[8]とするものがある。
劇中での活躍
アニメ『機動戦士Ζガンダム』では、カミーユ・ビダンらが地球上でアウドムラを拠点に行動している第18話にて登場する。カミーユの乗るガンダムMk-IIに4機がかりで挑んだが、海上に誘導して攻撃という戦法で全機撃破されている。
アニメ雑誌「ニュータイプ」の付録にシロナガスクジラの生態調査をする2機のマリン・ハイザックが描かれたイラストのポスターがあった(のちにスニーカー文庫『機動戦士ガンダム』3巻に掲載)。イラストは末弥純の手による。
漫画『機動戦士ガンダム MS IGLOO 603』では、試作水中ビーム砲「エーギル」の射撃運用実験にザク・マリンタイプが使用された。パイロットはギュンター・ローズマン曹長。
小説『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では地球連邦軍太平洋艦隊の所属機として登場。既にカラバ側に流出していたザク・マリナーと比較し、彼らの機体が旧型であることが指摘されている。
ゲームブック『機動戦士Ζガンダム ジェリド出撃命令』で、マリン・ハイザックは主人公ジェリド・メサの愛機の1つとして選択可能の他、敵機としても登場する。武装の水中用ロケットガン(サブロックガン)は装弾数30発に設定され、水中では威力の上がる強力な火器としてデータ化されている。
備考 
画稿の初出は1981年5月15日発行の『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』で、「深海作業用ザク」の名称で掲載。その後プラモデル企画『モビルスーツバリエーション(MSV)』において設定が付加された。
MSV展開以前の資料では、「出力低下により、戦闘には適さない作業用[9]」とされていた。
バリエーション
  • MS-06M-1(MSM-01-1) ザク・マリンタイプ前期型
  • MS-06M-2(MSM-01-2) ザク・マリンタイプ後期型
  • MS-06M マリン・ハイザック
  • RMS-192M ザク・マリナー
  • RMS-188MD ザク・ダイバー

ザク・マリナー[編集]

諸元
ザク・マリナー
ZAKU-MARINER
型式番号 RMS-192M
所属 地球連邦軍→ネオ・ジオン
開発 ジャブロー[10]
生産形態 量産型
頭頂高 17.5m
本体重量 48.8t
全備重量 68.3t
装甲材質 チタン合金、一部ガンダリウム合金
出力 1,440kw
推力 8,800kg(ハイドロジェット)
センサー
有効半径
4,600m
武装 サブロックガン
ミサイル×14
曳航用マグネット・ハーケン装備
搭乗者 ネオ・ジオン兵

機動戦士ガンダムΖΖ』『機動戦士ガンダムUC』に登場するネオ・ジオンの量産型水陸両用MS。

一年戦争終結後に地球連邦軍が旧ジオン公国軍から接収し運用されていたザク・マリンタイプ(M-1型とする説[5]もある)を発展・改良させ、連邦のジャブロー工廠にて生産した機体。耐圧性の実験過程から全身のボディパーツ(外装)を新造のものに置き換えていたザク・マリンタイプ(マリン・ハイザック)とは異なり、ハイドロジェットパックなどの水中装備を半アタッチメント化している。機体そのものは回収した既存のザクIIの外装を流用しているのが特徴で、これにより生産性は向上。整備性、運用面においても扱いやすい機体となっている。この機体は第一次ネオ・ジオン抗争時、ネオ・ジオンが地球連邦本部のあるダカールを制圧した際に接収され、再びジオン側の機体として使用されることになった。当時ネオ・ジオン側にはカプールが新規に開発されていたが、兵士らは海のない宇宙で作られたカプールよりも地球製のザク・マリナーの方を信頼性が高いと考え好んで使用していた。

バリエーションは、一般用と指揮官用、さらにシュノーケルカメラ装備型の3種類が存在している。一般型は額にロッドアンテナ、指揮官用はブレードアンテナを装備。シュノーケルカメラ仕様は一般用をベースに左側頭部に潜望鏡タイプの有線カメラを装備したものである[5]。潜水時に海上へとカメラを伸ばし、周囲上空の偵察を行うことが可能。

脚部のハイドロジェットは陸上使用時には外すことができる。また、バックパックは換装が可能となっており、一般的なタイプの他に、水上航行を可能とする可変式推進器を2基備えた別タイプのものが存在する[5]。このバックパックと腕部マグネット・ハーケンも、脚部ハイドロジェットと同様にパイロットの任意で除装可能とする資料もある[11]。この水中用装備が陸上使用時で外せるシステムは、ゼー・ズールにも使用されている。

武装は肩部(3×2)&背部(8)サブロック(ミサイル)ランチャー、他機による曳航や敵機の位置探査に用いる[12]左碗部マグネット・ハーケンといった固定装備の他に、専用のサブロックガンを携帯する。ダカール周辺ではザク・マリンタイプと同型のサブロックガンを持った機体も登場し、劇中では主にこちらが活躍している。書籍『機動戦士ガンダムUC カトキハジメ メカニカルアーカイブス』では、ディザート・ザクの3連ミサイルポッドと小型シールドを右腕に装備した機体も描かれている。

MSVの機体と混同された例があり、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』(セガサターン版)や『Mobile Suit GUNDAM MSVS』では、「ザクマリンタイプ」の外見がザク・マリナーのものになっている。

劇中の登場
『機動戦士ガンダムΖΖ』第24話に登場。アフリカ沿岸の小島の洞窟を拠点とするネオ・ジオンの水陸両用部隊によって運用され、沖合いに着水したアーガマから発進したΖΖガンダムと交戦するが、水中戦でもまったく歯が立たずに全機撃破される。その後ダカール市街の戦いにも複数登場する。
小説『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』ではグリプス戦役前半に連邦軍からカラバに流出した機体が登場し、ジオン残党から合流したメンバーによって運用され、大きな戦果を上げる。この時点では新型機とされていた。
小説『機動戦士ガンダムUC』では、ニューギニアに潜伏していたジオン軍残党「シンブ根拠地隊」の機体がトリントン基地襲撃に参加する。
OVA『機動戦士ガンダムUC』では、トリントン湾岸基地襲撃に2機が参加。海上からのミサイル攻撃によって連邦軍の動きを牽制し、ジオン残党軍の上陸を成功させる。しかし上陸後、1機は倉庫内からの攻撃で撃破される。漫画『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』での描写によると、この攻撃は未完成のバイアラン・カスタム2号機によるものとされる[13]。もう1機はバイアラン・カスタム1号機のメガ粒子砲を受けるが、撃破されたかは不明。
デザイン[14]
デザインの第一稿は近藤和久、第二・第三稿は小田雅弘、第四稿はあさのまさひこと、それぞれ大きく異なるデザインが検討されたが、最終的には小田雅弘によるザクIIにパーツを追加したイメージのデザインを、明貴美加がクリンナップして[12]決定した。名前はアメコミヒーローの「サブマリナー」からとられたという。機体設定も当初は、ザクIIIを水陸両用型にしたもの(この時点でのザクIIIのデザインは未決定)となっていた。放送当時のプラモデルは高機動型ザクIIの金型を流用している。

ザク・ダイバー[編集]

諸元
ザク・ダイバー
ZAKU-DIVER
型式番号 RMS-188MD (RMS-188M)
所属 地球連邦軍
建造 地球連邦軍
頭頂高 17.7m
重量 45.8t
武装 サブロック・ガン他

『ΖΖ-MSV』として分類される地球連邦軍の水陸両用MS。

深海作業用に開発された機体で、従来の水陸両用MSを上回る深海潜行能力を備えている。型式番号はザク・マリナー同様ジャブローで開発されたことを示している[15]

本機は『機動戦士ガンダムΖΖ』における未使用デザインが、1989年発行の書籍『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑【PART.2グリプス戦争編】』において名称・型式番号と「ΖΖ-MSV」という区分が与えられたものである。


脚注[編集]

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  1. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編』77、110頁。
  2. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』128頁。
  3. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.1 一年戦争編】』40頁。
  4. ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション 1 ザク編』112頁。
  5. ^ a b c d e f g プラモデル『1/144 ザク・マリナー』取扱説明書より。
  6. ^ プラモデル『機動戦士Ζガンダムシリーズ No.17 マリンハイザック』取扱説明書より。
  7. ^ プラモデル『HGUC 1/144 ザク・マリナー』取扱説明書より。
  8. ^ 『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』329頁。
  9. ^ 『講談社のポケットカード(8) 機動戦士ガンダム モビルスーツカード』より。
  10. ^ 『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』264頁。
  11. ^ 『モビルスーツ全集(2) 水陸両用モビルスーツBOOK』双葉社、56-57頁。
  12. ^ a b 『モビルスーツ全集(2) 水陸両用モビルスーツBOOK』双葉社、110頁。
  13. ^ 『機動戦士ガンダムUC 星月の欠片』163-165ページより。
  14. ^ 大日本絵画『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』84頁。
  15. ^ 型番の法則は『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』355頁ほか。

関連項目[編集]