ジムIII

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ジムIII(ジムスリー、GMIII)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」の一つ。初出は、1986年放送のテレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』。

作中の登場勢力の一つ「地球連邦軍」の量産機で、前作の『機動戦士Ζガンダム』に登場する「ジムII」の発展型。同じく『Ζガンダム』から登場する「ガンダムMk-II」の技術が用いられており、バックパックの形状などに似通った部分が存在する。

当記事では、各バリエーション機についても記述する。

機体開発[編集]

諸元
ジムIII
GM-III
型式番号 RGM-86R
RGM-86G[注 1]
所属 地球連邦軍
カラバ
建造 地球連邦軍
生産形態 量産機
頭頂高 18.0m
本体重量 38.6t
全備重量 56.2t
装甲材質 チタン合金セラミック複合
一部ガンダリウム使用
出力 1,560kw
推力 20,300kg×4(背部)
(総推力)81,200kg
センサー
有効半径
10,900m
武装 肩部ミサイルポッド×2
(マイクロミサイルor中型ミサイル)
腰部二連大型ミサイルランチャー×2
ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
バルカン砲×2
搭乗者 地球連邦軍一般兵
カラバ一般兵
エアーズ市民軍
その他 姿勢制御バーニア×10

一年戦争当時の地球連邦軍主力機「ジム」の改良型「ジムII」に、さらなる近代化改修を施した機体。大半の機体は一度完成したジムIIの再改修機で[1]、少数の新規生産機は「ヌーベル・ジムIII」とも呼ばれ[2]、地上用の機体はRGM-86Gの型式番号が割り当てられる[2]

グリプス戦役後の政権交代と同時にティターンズ主導の兵器開発が軒並み中止・凍結あるいは統合され、官立工廠の規模縮小とアナハイムへの開発委託拡大、コストパフォーマンスに難があったネモも生産が中止された中、RGM-89ジェガンが開発・配備されるまでの代替戦力確保のために「ジムII」の延命策として「GMIII」計画が推進された[2][注 2]

ジムIIは基本的にジムのマイナーチェンジにとどまったが、ジムIIIではガンダムMk-IIやバーザムなどの技術を転用することで、大幅な設計の見直しが行われている[2]。腕部ユニットの部分的なムーバブルフレーム化をはじめとして[2]、一部装甲材質やセンサーが大幅に改良され、機体各所にミサイルを追加することで支援機としての機能を高めている。重装備化により自重は増大したが、バックパックなど機体の3割強をガンダムMk-IIと同型のパーツに換装することで、機動性の向上を実現した[1]

グリプス戦役当時の量産機としては画期的な高性能を誇る本機だが、歴代のジムシリーズの中では活躍期間は短い。あくまで改修機の再改修機という範疇にとどまることや、わずか数年後により高性能なジェガンが登場したことで、軍の関心は本機から離れ主力MSとしての立場を失った。宇宙用のR型と地上用のG型、後述の新規製造機体のヌーベル・ジムIII、早期警戒型ジムIIIを合わせた総数が800機とする資料もある[2]


武装[編集]

ビーム・ライフルの形状は一見ジムII用と同一だが、より小型軽量かつ高出力化(1.9MW→2.8MW)された専用ライフルとなっている。しかし、Eパック式ではなくエネルギー充填型なのは相変わらずで、撃ち尽くしてもリロード不可なため、一般に充填型ライフルはEパック方式よりも射撃回数が多めとはいうものの、戦闘継続性に問題を残していた(ただし、このライフルについてはエンプティから次弾発射可能時までの最低リチャージ時間が約15秒とする記述[3]もある)。

肩部ミサイルポッドの仕様は2種類あり、ノーマルミサイルポッド(中型ミサイルタイプ)は各4発同時発射を4回可能。オプションミサイルポッド(小型ミサイルタイプ)は各15発同時発射を2回可能とされている。腰部に装着される大型ミサイルランチャーは二連でパックされており、発射後4枚のプレート(『ガンダム・センチネル』の設定画内記述では「高機動プレート」)を開く特異な形状を持つ。このプレートはミサイル自体の運動性向上を目的とするものであり、アクシズなどの重MSに対抗する目的で装備されている。大型ミサイルは腰だけではなく、コネクタを介してバックパックの上端に4発取り付け可能であると記述されている。ビーム・サーベルはRX-78ガンダム式の円柱形からガンダムMK-II式の角形へと変更され、装備数も2本に増えている。


劇中での活躍
第一次ネオ・ジオン抗争期(『機動戦士ガンダムΖΖ』)では、カラバに配備された緑系統のカラーリングの本機が、カラバの主力機としてダカールなどで登場したが、活躍云々以前に出番が少なかった。その後、グリプス戦役と第一次ネオジオン抗争が終結したことによってエゥーゴ・カラバは発展的に解消して連邦軍と一体化し、本機も連邦軍へ移籍した。
第二次ネオ・ジオン抗争期(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)では、ロンド・ベル以外の連邦軍、特にルナツー守備隊の機体として登場するが、単なるやられ役としてまったく活躍も見せ場もなく終わっている。ただし、最終局面においてνガンダムがアクシズを押し返そうとする中、ロンド・ベルへの援軍として多数の本機が登場し、νガンダムやジェガン、そして敵であるギラ・ドーガと共にアクシズを押し返そうとする機体もあった。
機動戦士ガンダムUC』ではジムII、ネモらと共に登場。すでに旧型となりつつあるが[注 3]、ジェガンへの機種転換が進む中で地上、宇宙共にまだ多数が運用されており、ガーベイ一族と袖付きによる破壊と殺戮から地球連邦政府首都ダカールを守るために奮戦した。アニメ版ではジェガンのシールドを、ダカール戦ではビーム・ジャベリンを装備した機体が登場した[注 4]。通常の緑カラーの他に、デザートカラーで塗装された機体も登場している。劇中ではジムIIやネモがジオン残党軍相手にほぼ一蹴されたのに対し、本機はそれなりの勇戦ぶりを見せている。
デザイン
デザインはカトキハジメ、クリンナップは佐山善則が担当。カトキは若干太目のシルエットでデザインしたが、佐山によるクリンナップではスリムなシルエットに変更され、頭部や胸ダクトのデザインなどが差し替えられている(なおジムにしては太目なシルエットは、ヌーベル・ジムIIIに受け継がれた)。
元々『機動戦士ガンダムΖΖ』放送当時にあったドワッジディザートザクザクマリナーなどと同様、既存プラモデル製品の金型(ジムIIの本体とガンダムMk-IIのランドセル)を再利用して軽易に製品化する企画のMSであったが、放送当時は製品化はされなかった。後の2011年7月にHGUCシリーズとして初インジェクションキットされた。
アニメ『機動戦士ガンダムUC』での登場に伴い、カトキハジメにリファインされている。その際、脚部スラスターユニットが小さく控えめになり、ソールパーツ(スリッパ)の上縁ラインが独特の段差付きとなり、胸部が台形から長方形に変更されている。また佐山デザインにあった頭部両舷を前後に走るエッジとその頂部のパネルラインモールドは消滅した。上記のインジェクションキットではこのリファインされた形状で商品化されている。これは後にHGUC化されたジムIIでも同様である。

ヌーベル・ジムIII[編集]

諸元
ヌーベル・ジムIII
NOUVEL GM-III
型式番号 RGM-86R
所属 地球連邦軍
カラバ
建造 地球連邦軍
生産形態 量産機
頭頂高 18.42m
本体重量 42.30t
全備重量 68.22t
装甲材質 チタン合金セラミック複合
一部ガンダリウム使用
出力 1,620kw
推力 81,200kg
センサー
有効半径
10,900m
武装 肩部ミサイルポッド×2
(マイクロミサイルor中型ミサイル)
腰部大型ミサイルランチャー×2
ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
バルカン砲×2
搭乗者 レックス・ファビオ

雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場する、地球連邦軍のMS。名称の「ヌーベル」とは、フランス語で「新しい」を意味する。

ジムIIのさらなる性能向上を目指し、ガンダムMk-IIの設計の一部を取り入れたジムIIIには、ジムIIから改修できる規格をもつ上記の物とは別に、全く新規に設計、製造された物とが存在した。後者のタイプを区別のためヌーベル・ジムIIIと呼称している。

このヌーベル・ジムIIIはジェネレーターがより強力なものに変更され、それに伴い胸部の排気ダクトも増設されており、パワードジムネロのように4つある。また頭部はバルカンの総弾数とセンサーを強化した新設計の物となっている。このためジムIIからの改修機であるタイプのジムIIIと比較して、ガンダムMk-IIの簡易生産型と呼べるまでに性能が向上。そして後にネモと同型のジェネレーターに換装してコストダウンをはかった後期生産型が作られ、第二次ネオ・ジオン抗争に至るまで主力機として運用され続けた。バーザムという、別系統で開発されたガンダムMK-II系量産機とは好対称の機体である[1]

武装はジムIIのものを共用していた前述のジムIIIと対照的でガンダムMk-IIの主力武装を装備しているが、バーザムと同様、連邦軍のMS武器の大半を装備可能となっている。

ΖΖ時に提出された「初期稿」での設定画には、ガンダムMk-IIと同仕様の盾に装着した「近接防御ミサイルクラスター」なる火器、前腕のミサイルパイロン&ミサイル(各2発)、腰部側面へのクラッカーまたはマイクロミサイルなどの記述がある[4]

機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』では、マリアナ基地の「エリアX」にガンダムデルタカイとの技術比較検証用として配備されていた機体に、フレスベルク隊のレックス・ファビオ中尉が搭乗する。「デビルズ・ネスト」攻略戦ではバーザム改と交戦する場面もある。

デザイン
上記の通り『機動戦士ガンダムΖΖ』版ジムIIIのクリンナップ前のカトキハジメ画稿がセンチネルで流用されている。発表順から見ると、このヌーベル・ジムIIIのデザインが『センチネル0079』版のジム後期生産型ガンダムのベースになっている。

早期警戒型ジムIII[編集]

PCゲーム『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』に登場(型式番号:RGM-86EW)。

ジムIIIを早期警戒型に改修した機体。強力な索敵システムを搭載したバックパックが特徴であり、後方支援用にミサイルも内蔵している。そのため、コストパフォーマンスに問題が生じ、少数の生産に終わった。

なお、PCゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスド・オペレーション』では、同コンセプトの機体「EWAC-ジムIII」(型式番号:RGM-86E)が登場する。

ジムIII・ディフェンサー[編集]

ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者 審判のメイスに登場(型式番号:RGM-86+FXA-05D)。

ジムIIIにGディフェンサーを装備した機体。 ガンダム[グリンブルスティ]との連携を想定し、サラミス改級「デルフォイ」に二機配備されたが、Gディフェンサーを装備する事で機体が大型化し、それに伴い大型のMSハンガーが必要となるため、母艦の格納庫を圧迫してしまうという結果を招いている。

しかし、機体性能の向上は確かな物であり、[グリンブルスティ]との連携で小惑星基地「ダモクレス」を占拠したネオ・ジオン残党の運用する シュツルム・ディアスリゲルグハンマ・ハンマ等と渡り合っている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ Bクラブ70号『月刊MSジャーナル』には型式番号末尾のRは宇宙用を指し、地上用のG型(RGM-86G)も生産されたという設定も記載されている。
  2. ^ 「MOBILE SUITS GUNDAM4[要出典]」の解説においては、カラバとアナハイム・エレクトロニクス社の共同開発であり、地球連邦軍がカラバを統合した後に正式採用されたとも記載されている。カラバにあったライセンスも地球連邦軍に統合された際に連邦軍に移り、そのために安価でアナハイム・エレクトロニクス社に製造させることができるとされる。
  3. ^ ただし、その2機種に比べ若干新しいこともあり、作中では隊長クラスが使用していた。
  4. ^ ジュアッグと交戦したこの機体は両肩のミサイルポッドを外していた。

出典[編集]

  1. ^ a b c 大日本絵画『ガンダムウォーズIII ガンダム・センチネル』106頁。
  2. ^ a b c d e f 『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム (GA Graphic VOLUME 1) 』ソフトバンククリエイティブ 2010年9月 80-84頁。(ISBN 978-4797359046)
  3. ^ 『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム (GA Graphic VOLUME 1) 』92頁。
  4. ^ 大日本絵画『ガンダムウォーズIII ガンダム・センチネル』107頁。

関連項目[編集]