ジムIII

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

ジムIII(ジムスリー、GMIII)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」のひとつ。初出は、1986年に放送されたテレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』。

作中の登場勢力のひとつ「地球連邦軍」の量産機で、前作の『機動戦士Ζガンダム』に登場する「ジムII」の発展型。同じく『Ζガンダム』から登場する「ガンダムMk-II」の技術が用いられており、バックパックの形状などに類似点が存在する。

当記事では、各バリエーション機についても記述する。

機体解説[編集]

諸元
ジムIII
GM-III
型式番号 RGM-86R
RGM-86G[注 1]
全高 18.6m[2]
頭頂高 18m[2]
本体重量 38.6t[2]
全備重量 56.2t[2]
装甲材質 チタン合金、一部ガンダリウム[2]
出力 1,560kW[2]
推力 20,300kg×4[2]
総推力:81,200kg[3] / 109,000kg[4]
センサー
有効半径
10,900m[2]
武装 肩部ミサイルポッド×2
腰部2連大型ミサイルランチャー×2
ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
バルカン砲×2
搭乗者 地球連邦軍一般兵
カラバ一般兵
その他 姿勢制御バーニア×8[2]

一年戦争当時の地球連邦軍主力機「ジム」の改良型「ジムII」に、さらなる近代化改修を施した機体。ジェネレータ出力の強化のほか、各種アビオニクスや制御系統にジオン系技術を取り入れ大幅な強化が図られている[1]

グリプス戦役後の政権交代と同時にティターンズ主導の兵器開発が軒並み中止・凍結あるいは統合され、官立工廠の規模縮小とアナハイムへの開発委託拡大、コストパフォーマンスに難があったネモも生産が中止された中、RGM-89ジェガンが開発・配備されるまでの代替戦力確保のために「ジムII」の延命策として「GMIII」計画が推進された[5]

資料によっては、ジムの改修機となるジムIIに対し本機は完全再設計とするもの[1]や、本機を部品の規格にジムIIとの互換性を持たせつつ性能を向上させた新設計の機体であるとし[6]、ジムIIからの改修型は緊急措置的なものに留まったとするものもあるが[6]、新設計のものを後述のヌーベル・ジムIIIとして区別する場合もある。開発はカラバ[7]、もしくはカラバとアナハイム・エレクトロニクス社の共同開発とされ[8][9]地球連邦軍カラバを統合した後に正式採用されたと記載している資料もある[8][6][7]

ジムIIは基本的にジムのマイナーチェンジにとどまったが、ジムIIIではガンダムMk-IIバーザムなどの技術を転用することで、大幅な設計の見直しが行われている[5]。腕部ユニットの部分的なムーバブルフレーム化をはじめとして[5]、バイザーが大型化し[9]、一部装甲材質も改良された。機体各所にはミサイルなどのオプション装備が追加可能で、支援機としての運用を可能としている[9][6]。重装備化により自重は増大したが、バックパックなど機体の3割強をガンダムMk-IIと同型のパーツに換装することで、機動性の向上を実現した[10]

歴代のジムシリーズの中では活躍期間は短く、あくまで改修機の再改修機という範疇にとどまることや、わずか数年後により高性能なジェガンが登場したことで、軍の関心は本機から離れ主力MSとしての立場を失った。短命に終わった理由として、実戦配備の始まった第一次ネオ・ジオン抗争期にはMSの性能向上が「恐竜的進化」といわれるまでに極限まで達しつつあり、そうした中にあってはジムIIよりも大幅に強化されたとはいえパワー不足であったこと、基本設計に無理を強いた部分があるために発展性に乏しかったことが挙げられている[1]。宇宙用のR型と地上用のG型、後述の新規製造機体のヌーベル・ジムIII、早期警戒型ジムIIIを合わせた総数が800機とする資料もある[5]。この800機という生産数はジムシリーズの中で最も少ないとされる[1]。本機を単なるジェガンまでの繋ぎではなく[6]、ジム系列の集大成[6]とも言える傑作機[9]であり、後世の機体の設計や運用にも影響を与えたとしている解説もあるが[6][9]、劇中での活躍は多くない。いずれにせよ本機が「ジム」の名を冠する最後の機体となった[9]

武装[編集]

機体各所にウェポン・ラッチが設置されており、状況に応じて複数のオプションを換装し、汎用MSと中距離支援MSとしての役割を兼任することができる[9]。性能で上回るジェガンが実戦配備されて以降は、徐々に支援機としての運用が主になっていったとされる[9]

ノーマル・ミサイルポッド
両肩部にそれぞれ装備。1基あたり4発の中型ミサイルを装填可能[6][9]で3セット[9]計12発内蔵する。オプション・ミサイルポッドとは選択式でどちらかを装備可能[6][9]
オプション・ミサイルポッド
両肩部に装備可能なミサイルポッドの一つ。1基あたり15発のマイクロミサイルを装填可能[6][9]で2セット計30発内蔵。ノーマル・ミサイルポッドとは選択式でどちらかを装備可能[6][9]
大型ミサイルランチャー
両腰部にそれぞれ装備する。ネオ・ジオン製の重MSに対応するため、特殊な弾頭形状を有する高機動ミサイルを装填する[6]。対艦攻撃も想定されていたとする資料もある[9]。2基1セットで1発組の計2発。なお、ジョイントによって他の部位への装着も可能[6]
ビーム・ライフル
ジムIIに装備されたものの更新型[6]で、出力は2.8MWと向上している[2][9]ビーム・ライフルの形状は一見ジムII用と同一だが、より小型軽量化された専用ライフルとなっている。しかし、Eパック式ではなくエネルギー充填型なのは相変わらずで、撃ち尽くしてもリロード不可なため、一般に充填型ライフルはEパック方式よりも射撃回数が多めとはいうものの、戦闘継続性に問題を残していた[要出典](ただし、このライフルについてはエンプティから次弾発射可能時までの最低リチャージ時間が約15秒とする記述[11]もある)。
ビーム・サーベル
バックパックに装備される。ガンダムMk-IIのものと同型だが、ビームの発振ユニットは普及した量産品であり[6]、出力は0.4MWと低下している[2]
頭部60ミリバルカン砲
連邦軍MSの標準装備。2門装備[9]
シールド
RX-78に装備されたものと同型であるが、対ビームコーティングや軽量さなどが向上している[6]
劇中での活躍
機動戦士ガンダムΖΖ』(第一次ネオ・ジオン抗争期)では、カラバに配備された緑系統のカラーリングの本機が、カラバの主力機としてダカールなどで登場したが、活躍以前に出番が少なかった。その後、グリプス戦役と第一次ネオ・ジオン抗争が終結したことによってエゥーゴ・カラバは発展的に解消して連邦軍と一体化し、本機も連邦軍へ移籍した。
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(第二次ネオ・ジオン抗争期)では、ロンド・ベル以外の連邦軍、特にルナツー守備隊の機体として登場するが、やられ役としての登場であり、活躍も見せ場もなく終わっている。ただし、最終局面においてνガンダムアクシズを押し返そうとする中、ロンド・ベルへの援軍として多数の本機が登場し、νガンダムやジェガン、そして敵であるギラ・ドーガと共にアクシズを押し返そうとする機体もあった。
機動戦士ガンダムUC』ではジムII、ネモらと共に登場。すでに旧型となりつつあるが[注 2]、ジェガンへの機種転換が進む中で地上、宇宙共にまだ多数が運用されており、ガーベイ一族と袖付きによる破壊と殺戮から地球連邦政府首都ダカールを守るために奮戦した。アニメ版ではジェガンのシールドを、ダカール戦ではビーム・ジャベリンを装備した機体が登場した[注 3]。通常の緑カラーの他に、デザートカラーで塗装された機体も登場している。劇中ではジムIIやネモがジオン残党軍相手にほぼ一蹴されたのに対し、本機はそれなりの勇戦ぶりを見せている。
デザイン
デザインはカトキハジメ、クリンナップは佐山善則が担当。カトキは若干太目のシルエットでデザインしたが、佐山によるクリンナップではスリムなシルエットに変更され、頭部や胸ダクトのデザインなどが差し替えられている(なおジムにしては太目なシルエットは、ヌーベル・ジムIIIに受け継がれた)。ΖΖ時に提出された「初期稿」での設定画には、ガンダムMk-IIと同仕様の盾に装着した「近接防御ミサイルクラスター」なる火器、前腕のミサイルパイロン&ミサイル(各2発)、腰部側面へのクラッカーまたはマイクロミサイルなどの記述がある[10]
元々『機動戦士ガンダムΖΖ』放送当時にあったドワッジディザートザクザクマリナーなどと同様、既存プラモデル製品の金型(ジムIIの本体とガンダムMk-IIのランドセル)を再利用して軽易に製品化する企画のMSであったが、放送当時は製品化はされなかった。後の2011年7月にHGUCシリーズとして初インジェクションキットされた。
アニメ『機動戦士ガンダムUC』での登場に伴い、カトキハジメによってリファインされている。その際、脚部スラスターユニットが小さく控えめになり、ソールパーツ(スリッパ)の上縁ラインが独特の段差付きとなり、胸部が台形から長方形に変更されている。また佐山デザインにあった頭部両舷を前後に走るエッジとその頂部のパネルラインモールドは消滅した。上記のインジェクションキットではこのリファインされた形状で商品化されている。これは後にHGUC化されたジムIIでも同様である。

ヌーベル・ジムIII[編集]

諸元
ヌーベル・ジムIII
NOUVEL GM-III
型式番号 RGM-86R[10]
頭頂高 18.42m[10]
本体重量 42.30t[10]
全備重量 68.22t[10]
装甲材質 チタン合金セラミック複合[10]
一部ガンダリウム使用[10]
出力 1,620kW[10]
推力 81,200kg
センサー
有効半径
10,900m
武装 肩部ミサイルポッド×2
(マイクロミサイルor中型ミサイル)
腰部大型ミサイルランチャー×2
ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
バルカン砲×2
搭乗者 レックス・ファビオ

雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場する、地球連邦軍のMS。名称の「ヌーベル」とは、フランス語で「新しい」を意味する。

ジムIIのさらなる性能向上を目指し、ガンダムMk-IIの設計の一部を取り入れたジムIIIには、ジムIIから改修できる規格をもつ上記の物とは別に、全く新規に設計、製造された物とが存在した。後者のタイプを区別のためヌーベル・ジムIIIと呼称している[10]

このヌーベル・ジムIIIはジェネレーターがより強力なものに変更され、それに伴い胸部の排気ダクトも増設されており、パワードジムネロのように4つある。また頭部はバルカンの総弾数とセンサーを強化した新設計の物となっている。このためジムIIからの改修機であるタイプのジムIIIと比較して、ガンダムMk-IIの簡易生産型と呼べるまでに性能が向上。そして後にネモと同型のジェネレーターに換装してコストダウンをはかった後期生産型が作られ、第二次ネオ・ジオン抗争に至るまで主力機として運用され続けた。バーザムという、別系統で開発されたガンダムMk-II系量産機とは好対称の機体である[10]

劇中での活躍

機動戦士ガンダム U.C.0094 アクロス・ザ・スカイ』では、マリアナ基地の「エリアX」にガンダムデルタカイとの技術比較検証用として配備されていた機体に、フレスベルク隊のレックス・ファビオ中尉が搭乗する。「デビルズ・ネスト」攻略戦ではバーザム改と交戦する場面もある。

デザイン
上記のとおり『機動戦士ガンダムΖΖ』版ジムIIIのクリンナップ前のカトキハジメ画稿がセンチネルで流用されている[10]。発表順から見ると、このヌーベル・ジムIIIのデザインが『センチネル0079』版のジム後期生産型ガンダムのベースになっている。
『ガンダム・センチネル』の作例においてはシールドとビームライフルはガンダムMk-IIのものを装備させたものが掲載されていた[12]

早期警戒型ジムIII[編集]

PCゲーム『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』に登場(型式番号:RGM-86EW)。

ジムIIIを早期警戒型に改修した機体。強力な索敵システムを搭載したバックパックが特徴であり、後方支援用にミサイルも内蔵している。そのため、コストパフォーマンスに問題が生じ、少数の生産に終わった。

なお、PCゲーム『機動戦士ガンダム アドバンスド・オペレーション』では、同コンセプトの機体「EWAC-ジムIII」(型式番号:RGM-86E)が登場する。

ジムIII・ディフェンサー[編集]

ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者 審判のメイス』に登場(型式番号:RGM-86R+FXA-05D)。

ジムIIIにGディフェンサーを装備した機体。ガンダム[グリンブルスティ]との連携を想定し、サラミス改級「デルフォイ」に2機配備されるが、Gディフェンサーを装備したことによる機体の大型化に伴って大型のMSハンガーが必要となり、母艦の格納庫を圧迫してしまうという結果を招いている。

しかし、機体性能の向上は確かであり、[グリンブルスティ]との連携で小惑星基地「ダモクレス」を占拠したネオ・ジオン残党の運用する シュツルム・ディアスリゲルグハンマ・ハンマなどと渡り合っている。

ジムIII・パワード[編集]

諸元
ジムIII・パワード
GM-III POWERED
型式番号 RGM-86RF[13]
頭頂高 18.6m[13]
全備重量 64.6t[13]
装甲材質 チタン合金(一部にガンダリウム合金[13]
出力 1,560kW[13]
武装 頭部バルカン×2
ビーム・ライフル
ビーム・サーベル×2
シールド
腰部高性能2連ミサイルランチャー×2[13]
搭乗者 ウバルド・モリーナ[13]

宇宙世紀0092年を舞台とする漫画『機動戦士ムーンガンダム』に登場[13]。メカニックデザインは、漫画の作画担当である虎哉孝征[13]

地球連邦軍外郭部隊「ロンド・ベル」所属のクラップ級巡洋艦「ラー・ギルス」に配備された、ベテランパイロット用の改造機[13]。パイロットはラー・ギルスMS部隊を率いるウバルド・モリーナ隊長が務め、P(パパ)001のコールサインで呼ばれる[13]

無重力空間での白兵戦を主体としており、頭部には複合センサーを内蔵した耐弾仕様のバイザーユニット、胴体部に耐ビームコーティング仕様の増加装甲、両肩に強化されたショルダースラスターを装備する[13]。これらの改修で上半身のボリュームが増したことにちなみ、「パワード」の名が与えられた[13]。機体色は初代ジムを意識したグレーと赤のツートンで、部下の4人が搭乗するジムIIIはこれに加えて、左肩がパイロットごとのパーソナルカラーに塗装されている[13]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ B-CLUB』70号掲載の「月刊MSジャーナル」には「型式番号末尾のRは宇宙用を指し、地上用のG型(RGM-86G)も生産された」という設定も記載されている[1]
  2. ^ ただし、その2機種に比べ若干新しいこともあり、作中では隊長クラスが使用していた。
  3. ^ ジュアッグと交戦したこの機体は両肩のミサイルポッドを外していた。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 『B-CLUB』70号 バンダイ、1991年7月、46頁。(ISBN 4-89189-450-4)
  2. ^ a b c d e f g h i j k 『別冊アニメディア 機動戦士ガンダムΖΖ PART.2』学習研究社、1987年3月、90頁。
  3. ^ 『機動戦士ガンダム 新MS大全集』バンダイ、1988年2月、75頁。
  4. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1989年3月、52-53頁。(ISBN 978-4891890186)
  5. ^ a b c d 『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム (GA Graphic VOLUME 1) 』ソフトバンククリエイティブ、2010年9月、80-84頁。(ISBN 978-4797359046)
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 『HGUC 1/144 ジムIII』バンダイ、2011年7月、組立説明書。
  7. ^ a b プラモデル『HGGB ジムIIIビームマスター』バンダイ、2018年4月、組立説明書。
  8. ^ a b MOBILE SUITS GUNDAM4[要文献特定詳細情報]
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 「MECHANIC FILE RGM-86R ジムIII」、『週刊ガンダムファクト・ファイル』第31号、デアゴスティーニ・ジャパン、2005年5月17日、 5-6頁、 JAN 4910289130557
  10. ^ a b c d e f g h i j k l 『ガンダムウォーズIII ガンダム・センチネル』大日本絵画、1989年9月、106-107頁。(ISBN 978-4499205306)
  11. ^ 『マスターアーカイブ モビルスーツ RGM-79 ジム (GA Graphic VOLUME 1) 』ソフトバンククリエイティブ、2010年9月、92頁。(ISBN 978-4797359046)
  12. ^ 『ガンダムウォーズIII ガンダム・センチネル』大日本絵画、1989年9月、219頁・233頁。(ISBN 978-4499205306)
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA、2018年5月、 156-157頁、 JAN 4910124010587。

関連項目[編集]