高機動型ザクII

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高機動型ザクII(こうきどうがたザクツー、ZAKU II High Mobility Type あるいはZAKU II High Maneuver Model[1])は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ(MS)」の一つ。

『機動戦士ガンダム』本編に登場する「ジオン公国軍」量産型MS「ザクII」を宇宙戦用に特化した機体[2]で、背部と脚部に増設された大型の推進器を特徴とする。生産時期などによって複数のバリエーションが存在するが、一般的には型式番号である「MS-06R」、または単に「06R」「R型」と呼称されることも多い。

概要[編集]

『機動戦士ガンダム』本編には登場しない機体で、元々はメカニックデザイン企画『モビルスーツバリエーション(MSV)』の原型のひとつである、みのり書房刊のムックガンダムセンチュリー』(1981年9月)で、ザクのバリエーションの一つとして記述されたのが始まりである。シャア・アズナブル専用ザク(S型)を上回る高機動性能を持つ、黒い三連星が使用したエースパイロット専用の機体として設定されていた。

その後、講談社刊の『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE』上[大河原邦男によるデザイン設定が起こされる。さらにホビージャパン社刊の『How To Build Gundam 2』において、ストリームベースによる黒い三連星機の作例が大反響を呼び、1983年4月から始まったプラモデル企画『モビルスーツバリエーション』でも第1弾として模型化された。模型化に合わせて詳細な設定が作られ、MSVのミリタリー色を強める流れとして設定された[3]R型ザクを駆るジョニー・ライデンシン・マツナガなどのアニメ本編には登場しないエースパイロットたちともあいまって、MSVシリーズ第1弾にして同シリーズを代表する製品となった。スケールも1/144から1/100、1/60、さらに1/30のバブルキャスト(発泡スチロール製)モデルも発売された。

『ガンダムセンチュリー』の記述においては、MS-05BザクIMS-06FザクII、MS-06Rを高機動型ザクII、とされたが「ザクII」という表記を初めて前面に押し出したのがMS-06Rのプラモデルであったため、MS-06Rが「ザクII」であり、MS-06Fを「ザクI」とするような混乱も多かった(MS-06Rのプラモデルの箱には「ザクⅡ」としか記述されていなかった)

機体解説[編集]

ザクII F型 (MS-06F) をベースとして、ザクIIの陸戦能力をほぼ完全に廃し、宇宙空間用に特化された高機動型。背部・脚部以外は従来のザクIIとほぼ同じ形状だが、フレームやジェネレーターなどの内部構造は大幅な設計変更が加えられており、事実上別のMSとなっている。

大幅に向上した推力に比例して推進剤の消耗が激しく、稼働時間はS型以上に短くなっている。このため制御が難しい機体となってしまったが、それに見合う性能の高さから熟練のエースパイロットたちからの人気は高く、配備の希望が殺到した。

いくつかのバリエーション・タイプがあり、特にR-2型はザクII F型の後継機種となる次期主力機コンペティションでリック・ドムとその座を賭けて争い、さらにR-3S型は後のゲルググの直系の試作機に位置づけられる。バリエーションにRD-4型も含める見解もあるが、後述のように問題視する見方がある。R型の総生産機数は派生型を含めて78機とするのが定説だが、100機あまりとする説もある[2]

名称は、R-1、R-1A、R-2、R-3S型はいずれも「高機動型ザク(II)」あるいは単に「ザクII」とされるのが一般的である。RP、R-2P型は当初は型式番号のみであったが、のちにどちらも「試製高機動型ザクII」とする資料がある[1]

なお、開発経緯は各派生型(バリエーション)の解説に譲る。

RP型[編集]

試製高機動型ザクII(RP型)[編集]

諸元
試製高機動型ザクII[1]
ZAKU II High Maneuver Proto Model[1]
型式番号 MS-06RP
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック
武装 420mmロケット砲
360mmロケット砲
他ザクII F型と同じ
搭乗者 エリオット・レム
シン・マツナガ

『MSV』で設定された機体(設定時期はR-1, R-1A, R-2型より後)。「高機動型プロトタイプ」などと呼ばれることもある[4]

R型の開発は一部の優秀な熟練パイロットによる、ザクIIのさらなる高機動化の要請に対応したものとされるが[5][6]F-2型とは別のラインで、F型を継承する主力機の開発を模索したものとする資料もある[1]。試作型である本機の開発にはF型の後期量産型[7](またはF型の最新ロット[8]。C型説もあり[9])2機が使用されている。

F型からの改修点は背部、腰部、脚部の3点で[10]、背部ランドセルのメイン・スラスターはF型をはるかに上回る推力218tのものを2基搭載[10]、腰部のインテグラル・タンクを大型化[11]、脚部には推力45tのサブ・スラスターが3基ずつ増設されている[12]。さらに後頭部の動力パイプ基部に増設されたアンテナも特徴的である。また、武装として420mm[7]と360mmの2種のロケット砲バズーカ)の試作品が用意されており、前者は生産性の問題から不採用、後者は装弾数を増やすことで標準兵装として承認されている[11]

開発は月面のグラナダ基地でおこなわれ、完成した1, 2号機はオレンジ・イエロー[10](ディグロウ・オレンジ[12])でほぼ全身を塗装されている。エリオット・レム少佐(当時、中佐説[1]または大佐説もあり[6])が1号機に搭乗して[10]高機動飛行テスト、マニュアルプレート操作時の機体保持テスト[11]など2週間のテストがおこなわれ、極めて良好な結果に終わり、即時に量産化が決定する[10]

作中での活躍
漫画『機動戦士ガンダムMSV-R 虹霓のシン・マツナガ』では、グラナダ近傍で企画された黒い三連星ザクII S型との模擬戦のためにレム少佐からシン・マツナガ中尉(当時)に2号機が与えられる。しかし起動テストにおけるランバ・ラル大尉のザクIとの模擬戦の際にエンジンが暴走し、エアーズ市付近に不時着する。
三連星との模擬戦には1号機が使用されるが、試作パーツが追加されており、両肩のスパイク・アーマーとシールドが取り外されスラスター・ユニットを装備、胸部と股間部にもスラスターを追加、ランドセルにはザク・フリッパーに似たブームが取り付けられている。頭部アンテナは通常のブレード・アンテナで、塗装はライト・グレーを基調とする。連邦軍によるマス・ドライバー基地への攻撃開始により模擬戦は中断、迎撃のため1号機はメイ・カーウィンによって再調整され、両肩とランドセルはもとの仕様に戻される。のちのマツナガのR-1A型と同様の再塗装を施され、模擬戦のメンバーとともに出撃し、大型レールガン搭載艦「サントメ・プリンシペ」の破壊に成功するが、爆発に巻き込まれシールドと右脚を破損する。
またこの直後、マ・クベ少佐(当時)が自ら提唱する統合整備計画を推進するため、RP型のパイロットを務めたマツナガにR型の開発計画が不利になるような証言をするよう求めるが断られる。結局マ・クベはキシリア・ザビ少将に、R型の計画は限定的に認めても構わないと上申し、統合整備計画と並行して進められることとなる。

R-1型[編集]

高機動型ザクII(R-1型)[編集]

諸元
高機動型ザクII
ZAKU II High Mobility Type
ZAKU II High Maneuver Model[1]
型式番号 MS-06R-1
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック社
頭頂高 18.0m[1]
装甲材質 超硬張力鋼(超硬スチール合金)[1]
武装 ザクII F型と同じ
搭乗者 ブレニフ・オグス
シン・マツナガ

『MSV』で設定された機体。単に「高機動型ザクII」とされることが多いが、先行量産型とも呼ばれる[13]

R型として最初の量産タイプ[11]。RP型から生産効率向上のため構造の整理がおこなわれ、外部設置式の伝導ケーブルやサーキットが増加している[11]。また小型スラスターの追加や[12]、腰部インテグラルタンクの胴体部や脚部への分散配置がおこなわれている[11]。さらに推進剤の積載量を確保するため、ザクII F型ベースではなく全面的に再設計されたとも言われる[1]。脚部も外観上はRP型と大きな変化はないが、上記の理由によりまったく新しい構造に変更されたという[1]

外観的に通常のザクIIと変わらない部分にも若干の変更がみられ、右肩正面下部に2本のインテーク状のスリット、シールド裏側に2つの補強リブ、左肩スパイク・アーマー外縁の補強[14]、肘の円形の張り出し、腰部フロント・アーマーの4つの台形状の張り出しが追加されている。

F型からかなりの設計変更をともなうことから[6]、R-1型の生産ラインが設けられた施設は少なく[11]、またメイン・エンジンの動作不良が多発したこともあり[11]、初期生産分として発注された22機の生産にとどまっている[15]。機体は実戦テストも兼ねて、本国防衛本隊などの要塞基地や、パトロール艦隊へ配備されているが[11]、推進剤をすぐに使い切ってしまうパイロットが続出している[10]。これは、一年戦争初期の一週間戦争ルウム戦役で多くの優秀なパイロットを失っていることも原因の一つである[10]

制式塗装はグリーンで[11]、F型に近いが同機の黒い部分も胴体と同じ濃いグリーンである。ただし、ア・バオア・クー防衛部隊に配備された機体はF型と同一の塗り分けとなっている[16]

パーソナルカスタム機
ブレニフ・オグス専用機
『MSV』に登場する制式塗装のR-1型を、書籍『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』においてはブレニフ・オグス中佐の機体であるとしている[17]。ルウム戦役後の数ヶ月間に搭乗している。
制式塗装であるためカスタム機の要素はなかったが、『エース・パイロットログ』で新たにパーソナル・エンブレム(撃墜マーク入りの斧と"Master of Hawk"の文字)が設定され、同時にプレミアムバンダイで予約が開始された『マスターグレード』の本機では左胸に描かれている。
シン・マツナガ専用機
マスターグレード』(Ver.2.0ではない)では、シン・マツナガの機体をR-1型としている。宇宙世紀0079年7月下旬にマツナガが本国に召喚され、大尉に昇進した際に受領し、慣熟飛行をおこなっている。塗装は白とグレーを基調としているが、R-1A型とは塗り分けやマーキングが異なる。

高機動型ザクII(R-1A型)[編集]

諸元
高機動型ザクII
ZAKU II High Mobility Type
ZAKU II High Maneuver Model[1]
型式番号 MS-06R-1A
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック本社工場
グラナダ工廠
生産形態 量産型
全高 18.0m[18] / 17.5m[19]
頭頂高 17.5m[18]
本体重量 61.8t[18] / 58.0t[19] / 56.8t[20]
全備重量 76.8t[18]
装甲材質 超硬張力鋼(超硬スチール合金)[1]
出力 1,012kw[18]
推力 49,800kg[18] / 60,000kg[19]
/ 52,000kg[9]
センサー
有効半径
3,200m[18]
武装 320mm試作バズーカLB16K[21]
320mm試作バズーカLB19K[21]
ほかザクII F型と同じ
搭乗者 黒い三連星
シン・マツナガ
(「パーソナルカスタム機」も参照)

一般に「高機動型ザクII(MS-06R)」は本機を指し[22]、『MSV』で詳細な型式番号が設定された。『ギレンの野望』をはじめとする一部ゲームでは「改良型」とも呼ばれる。

推進剤消費量の問題を解決するため、背部と脚部の燃料タンクをカートリッジ式に改修されたのがR-1型との最大の相違点である[10]。特に脚部のものは円筒形に形状変更されている。これにより母艦内での補給が簡便化されたほか[1]、宇宙空間での補給も可能となり[1]、本機を擁する小隊には補給用カートリッジを搭載したザクが随伴することとされている[22]。以上により、作戦行動時間が延長されている[23]。また不調であった推進器類はエリオット・レム中佐が周囲の反対を押し切り、ツィマッド社製のものに換装したと言われる[1]

本機からコックピットに脱出システムが採用されており、緊急時にシートと基部を前方に射出することが可能となっている。基部はある程度の推進機能を持ち、太陽電池や生命維持装置なども搭載されている[24]。搭乗時にはサバイバル・キットとの接続が可能な、専用のノーマルスーツ(M79F MK.III)とヘルメット(M78D MK.VI)の着用が義務付けられている[24]

運用試験で高成績をおさめ[1]、生産工程の問題点もある程度解消され、いくつかの拠点で生産が可能となる[6]。また各部隊から熟練パイロットを照合し、適正な配備がなされていく[25]。しかし、生産工程の複雑さゆえに、生産ラインや時期によって機体ごとの性能にばらつきが生じている[26]。外装も、R-1型と同型のものとF型から流用した機体がある[26]

本機は稼働条件が複雑であるものの、極めて高性能であることからエース・パイロットからの評価は高い[27]。しかしながらコストの高騰によりF型のような大量生産にはいたらず[27]、R-1型からの改修機が10機ほどのほか[10]、生産途上のR-1型11機の仕様変更を含めた[22]新規生産は56機にとどまり[6]、計80機程度の生産で終わっている[19]。このため、熟練パイロットの間では「連邦軍の戦艦を沈めるよりも、Rタイプを手に入れるほうが難しい」とまで言われている[27]

GUNDAM OFFICIALS』では背面画稿がR-1型と同一のものになっている(脚部推進剤タンク)。

パーソナルカスタム機
黒い三連星専用機
書籍『SFプラモブック1 機動戦士ガンダム REAL TYPE CATALOGUE』が初出。黒い三連星ドムとともに地球に降りる直前まで使用した機体で[28]ザクII S型からチームカラーとなった黒、紫、グレーの3色で塗り分けられている。右肩のシールドには黄色いパーソナル・エンブレムが描かれているが、これは本来は突撃機動軍章であるものの、黒い三連星のMS以外には使用されていないといわれる[29]。機体番号はガイアが「03」、マッシュが「02」、オルテガが「06」[21]。グラナダ工廠でR-1型の基礎フレームを用いて製造されており、ほかの同型機とは細部の意匠が多少異なる[30][21]。ガイア機は頭部にブレード・アンテナが装備されることもある[31]
ムック『HOW TO BUILD GUNDAM 2』に、のちに『MSV』に携わる小田雅弘と川口克己による改造作例が掲載された。武装は1機がザク・バズーカにジャイアント・バズの砲身を付けたもの、ほかはマゼラトップ砲(いずれも外付けの弾倉を追加)を携行しているが、前者は『マスターグレード』として発売された際に320mm試作バズーカ「LB16K」として設定、立体化された。さらに後部もジャイアント・バズのものに差し替えることで「LB19K」となる[21]
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、一年戦争終結後もジオン独立同盟によって3機とも保管されており、サイド3宙域でガイア機(ブレード・アンテナ装備)にシャア・アズナブル大佐、マッシュ機にカムジ准尉、オルテガ機にファビアン・フリシュクネヒト少尉が搭乗して「ホワイトベースII」のMS隊を撃退する。
シン・マツナガ専用機
『MSV』に登場。「ソロモンの白狼」の異名をもつシン・マツナガ大尉の搭乗機でもっとも有名な機体で、パーソナル・カラーである白を基調する。R-1型がベース機とされ[32]、肩、肘、腰部フロント・アーマーにR-1型と同じ意匠が見られる(ただしデザイン時期はこちらが先)。頭部には基本的にブレード・アンテナを装備するが、未装備の画稿も存在する[23]。また、のちにランドセルのスラスターをヅダの土星エンジンの技術を応用したものに換装したとも言われる[33]
ソロモン攻防戦の際、主が不在の間に格納庫内で連邦軍のソーラーシステムに焼かれ、消失する[6][34]
マスターグレード』(Ver.2.0)と『ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー』ではR-1A型とされるものの、脚部推進剤タンクのデザインはR-1型と同じになっている。これについて前者の説明書では「円筒形のものより大容量のカートリッジタンク」とされ、後者では製造工廠や生産時期の違いに加え、R-1型とする資料の存在や、広報用の代替機説などさまざまな見解が示されている。漫画『MSV-R 虹霓のシン・マツナガ』でも同様に、脚部推進剤タンクはR-1型と同型になっている。
シン・マツナガ専用機(カスタムタイプ)
もともとは『MSV』で上記のマツナガ専用機に両肩ともスパイク・アーマーの時期があった(と言われている)とする文字設定から始まり[35]、小田雅弘が『ホビージャパン』でそれをもとに製作した作例(「MS-06R-1A改」とされ、塗り分けは上記と異なる)を、『ガンダムエース』連載の「MSVスタンダード」で大河原邦男がイラスト化し[36]、さらに『MSV-R』で彩色画稿化し設定を追加したものである。「カスタムタイプ」の名称はプレミアムバンダイから『マスターグレード』で発売された本機の商品名による。
「MSVスタンダード」での塗り分けは作例を踏襲しつつ腕部にアレンジがなされており、上記の機体同様R-1型の意匠が見られる(作例およびMSV-R版はF型と同じ)。
『MSV-R』では上記の機体とは別の、マツナガ大尉の代替機とされており、適正なパイロットが見つからなかった余剰機を転用している。R-1型からの改修機とされ、脚部推進剤タンクは円筒形。塗り分けは「MSVスタンダード」からさらに変更されており、白のほかにグレーが濃淡2色使われている。足の甲の青は作例を踏襲しており、同じく『MSV-R』で設定された専用のFS型とも共通する。
漫画『MSV-R 虹霓のシン・マツナガ』では、グラナダ工廠でエリオット・レム少佐(MSV設定では当時は中佐)が各種戦闘記録をもとに調整を加え、性能向上を試していたR-1型がR-1A型に改修され、マツナガ大尉に譲られる[34]デギン・ザビ公王の直命により、ミネバおよびゼナ・ザビが座乗するグワジン級戦艦をアクシズに送り届ける際に搭乗、武装はロング・バレルのザク・マシンガンやゲルググ用のロケット・ランチャー、ジャイアント・ウォーハンマーや大型ヒート・ホークを使用する。最後は連邦軍艦隊を足止めするために有志ともにとどまり、ラストでは四肢を失い漂流する本機が描かれているが、コックピット・ハッチは開いている。
マサヤ・ナカガワ専用機
『MSV』に登場。ア・バオア・クーEフィールド防空大隊所属のマサヤ・ナカガワ中尉が搭乗する機体。ブレードアンテナが頭頂部に装備されており、右肩のシールドはR-1型と同じだが、右肩ブロックのスリットは塞がれている。茶色を基調としたパーソナルカラーで塗装されており、連邦軍では一時期上半身の写真しか確認されていなかったため、迷彩を施した地上用の機体と誤認されている。
『エース・パイロットログ』ではEフィールド防空大隊のエンブレム(イノシシの図案)が設定され、同時期にプレミアムバンダイで予約が開始された『マスターグレード』の本機では左上腕部に描かれている。
エリック・マンスフィールド専用機
『MSV』に登場。ジオン本国防空本隊所属のエリック・マンスフィールド中佐が搭乗する機体。グレーの低彩度迷彩のパーソナルカラーで塗装されており、ブレードアンテナが側頭部に装備されている。右肩には本国防空隊のグリフォンのエンブレムが描かれている。ア・バオア・クー攻防戦でも確認されており[37]、ギレン・ザビとともに本国から移動したと推測されている。
ロビン・ブラッドジョー専用機
アーケードゲーム『機動戦士ガンダム スピリッツオブジオン』に登場。「修羅の双星」の異名をもつチームの一人であるロビン・ブラッドジョー中尉が搭乗する機体。青とグレーのパーソナルカラーで塗られており、左肩のスパイクはグフのように反ったものが2本、黄色く塗られている。
アナベル・ガトー専用機
MSV-R』に登場。のちに「ソロモンの悪夢」として連邦軍におそれられるアナベル・ガトー大尉が搭乗する機体。青、緑、白のパーソナルカラーで塗装されている。肘の形状は通常のザクIIと同型で、ブレードアンテナは未装備。実戦ではザク・マシンガンを主兵装としていた。夏元雅人による漫画『機動戦士ガンダム 0083 REBELLION』にも登場し、性能で上回る不死身の第4小隊ジム・カスタム3機を単機で退却に追い込む。
ユーマ・ライトニング専用機
『MSV-R』に登場。のちに「キマイラ」隊に配属となるユーマ・ライトニング少尉が搭乗する機体で、若手パイロットにR型が配備された一例でもある。水色、白、グレーのパーソナルカラーで塗装された機体は、ロバート・ギリアム専用機とよく誤認されている。
ヴィンセント・グライスナー専用機
ゲーム『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』内のシナリオ『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク 』に登場。「マルコシアス」隊の隊長を拝命し宇宙に上がったヴィンセント・グライスナーが搭乗する。ブレード・アンテナは装備されているものの、塗装はザクII F型と同様であり当初はカスタム機の要素はないが、ソロモン攻防戦参加の際に胸部にマルコシアス隊のエンブレムが追加されている。ゲーム内での名称は「高機動型ザクII改良型(VG)」だが、機体にはR-1型の意匠が見られ、脚部推進剤タンクもR-1型と同型である。

マイナーバージョン[編集]

高機動型ザクII(R-1D型)
『ホビージャパン』の連載企画「MOBILE SUIT in ACTION ジオンの星」に登場する機体(型式番号:MS-06R-1D[38]。単に「ザク」、または「Rタイプ」と呼ばれる。
背部メイン・スラスターのさらなる性能向上に加え、脚部サブ・スラスターも強化されているため、一般のパイロットによる操縦は極めて困難であったという。全身を黒系に塗装され、改良型のジャイアント・バズを携行する。ア・バオア・クーの防衛ラインに転属となった突撃機動軍第13独立中隊「ドラグゥン13」に配備される。主なパイロットはデグナー・ロメオ。
高機動型ザクII海兵隊仕様
ホビージャパン発行の雑誌「ゲームぎゃざ」に登場する、ゲームオリジナルのMS(型式番号:MS-06R-1M)。
ザク改高機動タイプ
プラモデル(ガンプラ)「マイクロガンダム」として1994年に発売された。
ザクII改の脚部およびバックパックをR-1A型のものに変更した機体で、発売された商品の塗装は黒い三連星専用機のものになっている。また、シン・マツナガ専用機の塗装が施された「ザク改高機動タイプ2」も発売された。

R-2型[編集]

試製高機動型ザクII(R-2P型)[編集]

諸元
試製高機動型ザクII[1]
ZAKU II High Maneuver Proto Model[1]
型式番号 MS-06R-2P
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック社
生産形態 試作機
頭頂高 17.5m[1]
装甲材質 超硬張力鋼(超硬スチール合金)[1]
武装 ビーム・ライフル
搭乗者 エリオット・レム

『MSV』で設定された機体(設定時期はR-2型より後)。「ビーム兵器搭載型」とも呼ばれる[2]

次期主力機の各社競合選定用に[1]、R-1A型にジオニック社で開発中であったMS-11(のちのMS-14ゲルググ)用の新型ジェネレーターを搭載した機体[39]。外観上は、のちのR-2型と同型の脚部増加装甲とランドセルの燃料タンクのほか、新型ジェネレーター搭載のため胸部の容積が1.4倍になり[40]、胸部左右が前後に張り出しているため、ランドセルは一部ステーを介して取り付けられている。また胸部側面にはインテークが追加されている。

低出力のビームの発射に成功するものの[39]、ジェネレーター出力や[1]冷却効率に問題があり[39]、本機でのビーム兵器搭載は断念される[39]。なお、本機もテスト・パイロットはエリオット・レム中佐が担当している[1]

塗装は『MSV』では設定されておらず、のちの書籍・ゲーム・立体物などでそれぞれ異なる解釈がされているが、大別するとRP型を継承したオレンジ系[13][41]と、ザクII F型のようなグリーン系[1][42]に分けられる。また試作型ビーム・ライフルも、新規デザインの長銃身のものと[41]、漫画『機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…』でアクト・ザクも使用する、マラサイ用ビーム・ライフルに類似したもの[42]がそれぞれ設定された。

高機動型ザクII(R-2型)[編集]

諸元
高機動型ザクII
ZAKU II High Mobility Type
ZAKU II High Maneuver Model[1]
型式番号 MS-06R-2
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック社[9]
生産形態 試作機[9]
全高 18.0m[9]
頭頂高 17.5m[9]
本体重量 49.5t[9] / 58.2t[20]
全備重量 75.0t[9]
装甲材質 硬張力鋼(超硬スチール合金)[1]
出力 1,340kw[9]
推力 60,000kg[9]
センサー
有効半径
5,600m[9]
武装 ジャイアント・バズ[43]
他ザクII F型と同じ
搭乗者 エリオット・レム
ジョニー・ライデン
ギャビー・ハザード
ロバート・ギリアム

『MSV』で設定された機体。単に「高機動型ザクII」とされることが多いが、一部ゲームなどでは後期型とも呼ばれる。

1号機はR-2P型をベースに[40]、ジェネレーターはMS-11用を簡略化したものに換装されており[40]、胸部の外観はもとのR-1A型と同様に戻っている。その後製作された2号機以降も、当初はR-1A用のジェネレーターを搭載するが、2週間後には1号機と同型のものに換装される[40]

メイン・スラスターは推力316tのものを2基、脚部サブ・スラスターはそれぞれ58tが1基、45tが2基と[44]、R-1型と比較してさらなる増強がなされている[39]。またランドセルの燃料タンクの大型化などにより推進剤搭載量が18パーセント増加している[10]。さらに脚部は大腿部を除いてふたたび新規設計されているという[14]。装甲も、材質の変更により軽量化と耐衝撃性の向上を両立[40]、脚部外側は増加装甲が追加されるが[10][39]、後部の形状は機体によって差異があったとされる[40]

また、ザクIIのR-1A型まではコックピット・ハッチが左胸にあり、シートに座ると自動的に右胸のコックピットに移動する方式が採られているが、本機ではコンソールをスライド式にすることによって右胸にハッチを設け[40]、直接コックピットへ搭乗可能なダイレクト・イン方式に変更されている[10]

以上の改修により、F型と比較すればR-1型以上に別物の、新規設計機と言っても差し支えないほどの機体となり[40]、「ザクの皮を被ったゲルググ」と呼ばれることもある[14]

リック・ドムとの次期主力機のコンペティションでは引き続きエリオット・レム中佐が搭乗し、模擬実戦テストにおいて機動性や、最大戦速における攻撃能力の高さを示す[40]。しかし火器搭載量や生産性などの問題が指摘され[40]、総合性能でリック・ドムに敗れている[10]。稼働条件もR-1A型以上にシビアであったとも言われる[45]。なおコンペティションの際の本機は黒系を基調とするが、左肩のスパイク・アーマーと右肩のシールドは対照的に派手なピンクで塗装されている[46]

上記の理由により、本機は4機が完成した時点で生産中止となっている[47]。このうち1機は開発チームのもとに残され、ほかはジョニー・ライデン少佐をはじめとするエース・パイロットに配備されている[10]

この4機の他に、それら以外の本機が登場する作品がある。

  • ゲームブック『機動戦士ガンダム 最後の赤い彗星』
一年戦争終結前後にシャア・アズナブル大佐が搭乗する。専用機ではないが、機体色は防錆塗料の色のままで、偶然にもパーソナルカラーの赤となっている。ただし存在しないはずの5号機と設定されている。
「修羅の双星」の異名をもつチームの一人であるカート・ラズウェル中尉の専用機が登場。赤とグレーのパーソナルカラーで塗られており、左肩のスパイクはグフのように反ったものが1本、黄色く塗られている。なお本作は独自設定が多く、架空戦記的内容ともいえる。
宇宙世紀0082年に、Dr.Qと戦う際にジョニー・ライデンとシン・マツナガが搭乗(R-2型とは明言されていないが、脚部形状と、ランドセル上面にはみ出した大型のタンクが共通する)。ライデン機はのちにバックパックウェポンを取り付け、ビームガンを使用する。
パーソナルカスタム機
ジョニー・ライデン専用機
『MSV』に登場。R-2型を代表する機体で、ジョニー・ライデンが少佐への昇進と同時にア・バオア・クーで受領する[44]。彼はR-1A型を申請していたものの支給に漏れ、しかし幸運にもさらに高性能なR-2型を得ることとなる[44]。パーソナル・カラーであるクリムゾン・レッドと黒を基調に塗装されている。左肩スパイク・アーマーの外縁がR-1型と同様に補強され[14]、さらにスパイクが細長く延長され黄色く塗られているのが特徴。彼が本機に搭乗していた期間は短いが、本機こそが自分の愛機であると周辺に漏らしていたという[14]
一年戦争後に刊行された戦場写真集で、「赤い彗星のRタイプ」と間違って紹介されたこともあるが[10]、宇宙世紀0079年10月に4度目のオーバーホールを終えた直後の塗装は、濃度は違えどほぼシャア・アズナブルザクII S型と同じ塗り分けであったとされる[14]。この数日後に彼は本機を降り「キマイラ」隊に転属となるが[14]、ソロモン攻防戦直後のテキサス・コロニー付近で当初の塗装の本機が撮影されており、当時の連邦軍の作戦担当将校の間ではシャアの「ゲルググ」ではないかと推定されている[48]。しかしシャアがテキサス・コロニーに入港したのはその後であると判明し、ライデン機とされた[48]。ただし当時の彼はキマイラ隊で高機動型ゲルググに乗り換えているはずであり、さらなる物議を醸している[45]
ギャビー・ハザード専用機
『MSV』に登場。ギャビー・ハザード中佐のパーソナルカラーであるブラウンとブラックに塗装されている。
ロバート・ギリアム専用機
『MSV』に登場。ロバート・ギリアム大佐のパーソナルカラーであるスカイ・ブルーとクリーム・イエローに塗装されている。

フルバレットザク[編集]

諸元
フルバレットザク
Full Bullet Zaku
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作機
頭頂高 18.0m
重量 69.8t
装甲材質 超硬スチール合金
武装 胸部2連バルカン砲
高速破砕砲×2
3連ミサイルポッド
3連マシンガン
ビッグガン×2
ヒート・ホークシンボル
搭乗者 ジョニー・ライデン

漫画『機動戦士ガンダムMSV戦記 ジョニー・ライデン』に登場。MS-14B 高機動型ゲルググに乗り換えた後の、ジョニー・ライデン搭乗のR-2型を改修した機体。

メカニック曰く「真のR-2」。ビーム兵器の使えないザクに多量の実弾系武装を装備することによる、「1発では駄目でも100発の弾丸をもって敵を撃破する」をコンセプトとして開発された。万一ビーム兵器搭載機(ゲルググ)が開発できなかった時のための「プランB」であり、同作においては、R-2型の機動力はプランB実行時に大重量の武装を施してなお機動性を保つためのものでもあるとされている。

武装は、左腕に3連マシンガン、右肩シールド内に2連装の高速破砕砲、右腕に3連ミサイルポッド、胸部に2連バルカン砲、左右腰部にビッグガン、頭部にはブレードアンテナの代わりにヒート兵器であるヒートホークシンボルが設置されている。脚部はR-2型と大差ない。

ア・バオア・クー戦にて乗機の高機動型ゲルググが大破したジョニー・ライデンが搭乗し、同戦場にて連邦のフルアーマーガンダムと交戦、相打ちになり大破している。なお、「フルバレット」という呼称はジョニー・ライデンが敵のフルアーマーに対抗して命名したもので、ジオン公国軍によって正式に与えられた名称ではない。

ドズル専用ザク後期型[編集]

雑誌「MJ(模型情報)」で連載されたメカニックデザイン企画『F.M.S』に登場したMS(型式番号:MS-06R-2S)。

ドズル・ザビの専用機としてソロモン工廠で開発されていた機体で、この時点で既にMS-06R-3が完成していたとされる。黒のカラーリングにFZ型に近い胴体形状をしている。武装には専用マシンガンを持ち、イラストでは他に腰に付けられた大型ヒートホークの柄や左腕部の機銃、腹部の2連メガ粒子砲などを確認することができる。このメガ粒子砲へエネルギーを供給する、専用のエネルギー・バックアップ用随伴機とともに運用される予定だった。

予想以上の早さで星一号作戦が発動されて地球連邦軍がソロモンに迫ったためにドズルはビグ・ザムを使用し、本機はデータのみがグワジンに回収された。

R-3型[編集]

高機動型ザクII(ゲルググ先行試作型)[編集]

諸元
高機動型ザクII(ゲルググ先行試作型)
型式番号 MS-06R-3S[49][50][51]
MS-06R-3[2][50][51]
所属 ジオン公国軍
建造 ジオニック社
生産形態 先行試作機
頭頂高 19.0m[49]
全備重量 73.7t[49]
装甲材質 超高張力鋼[49]
出力 1,390kw[49]
推力 56.600kg[49]
センサー
有効半径
6,200m[49]
武装 ビーム・ライフル×1[49]
ヒート剣[49]
50mmバルカン砲×2[49]
搭乗者 トーマス・マイヤー

メカニックデザイン企画『M-MSV』(大河原邦男コレクション)に登場する機体。

連邦のガンダムに対抗できる高性能MSを開発するため、R-2型をベースに開発された。高機動型ザクとしては最終型に当たり、ゲルググの試作機と言われている機体。外観はそれまでの高機動型ザクから大きく変わり、トサカのある頭部に加えて肩部・腕部などがゲルググに近いシルエットとなっている。

ジェネレーター出力の大幅な向上により、試作型のビーム・ライフルの装備が可能となったほか、ドム系の物と比較して先端が鋭い形状のヒート・サーベルを持つ。

元々、MS-06R-3に当たる機体は「ザクIII」(『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場したザクIIIとは別物)として『MSV』で発表予定だったが、デザイン画稿が未発表のまま企画は終了したため、『M-MSV』で改めて本機が設定され、ザクとゲルググのミッシングリンクが繋がることとなった。なお、カードゲーム『ガンダムウォー』では、肩パーツなどよりゲルググに近いデザインの本機が登場する。

作中での活躍
『SD CLUB』第14号掲載の小説「モビルスーツコレクション・ノベルズ Act.7 閃光の源」では、セイ・ウエノ技術大尉のもと、テスト・パイロットのトーマス・マイヤー軍曹によるビーム・ライフル試射の様子が描かれ、直後に連邦軍のMS隊と交戦する。
なお、一年戦争後は博物館に送られたとされている[2]

その他[編集]

宇宙用高機動試験型ザク[編集]

諸元
宇宙用高機動試験型ザク
高機動試作型ザク[52][53]
型式番号 MS-06RD-4
所属 ジオン公国軍
建造 グラナダ[2]
生産形態 試作機
頭頂高 17.5m[54] or 18.0m[53]
本体重量 不明[53] または 60.3t[54]
全備重量 不明[53] または 77.5t[54]
出力 986kw
推力 53,000kg
センサー
有効半径
3,200m
武装 120mmマシンガン
ヒート・ホーク
搭乗者 アイナ・サハリン

OVA機動戦士ガンダム 第08MS小隊』に登場する試作型MS。名称については公式サイトでは「高機動型ザク」と記載されている。

R-2型と次期主力機コンペティションを行ったMS-09R リック・ドムの、脚部熱核ロケットエンジン開発の為の試作機とされる[55]ドムのリック・ドムへの転用計画が軍主導で行なわれたために、上半身がジオニック社製のザクII、脚部がツィマッド社製のドム、という機体になったと言われている[56]。上半身のザクII部分はR型[56]とも、F型[56][57]ともされる。

なお、本機については、リック・ドムのデータ取りのためのマッチング用の実験機であるため、R型のバリエーションとすることを問題視する見方がある[2]。また、ドムのリック・ドムへの改修計画の時期や、本機の開発経緯についても不明な点が多いとされる[2]

機動戦士ガンダム THE ORIGIN MSD』(以下『MSD』)では、この機体をベースにドムが開発されたと設定され、ジオニック社製のザク系のパーツが用いられていることについて、新たな説明がなされている(下記のドム試作実験機の項を参照)。

ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズでは、本機の開発指示を行うことで、リック・ドムの開発/量産化を早期化させることが可能となる。また本機を開発せずともリック・ドムの開発/量産化は行える。

劇中での活躍
『第08MS小隊』第1話に登場。アイナ・サハリンテストパイロットをつとめる。宇宙暦0079年10月6日、量産型ザクII 3機[58]に護衛されて連邦軍勢力圏内に侵入。ジムとの交戦データの収集を試みた[59]。連邦軍のRGM-79E 初期型ジム小隊と遭遇。ザクマシンガンとヒートホークを装備した本機は初期型ジム2機を撃墜し[60]テリー・サンダースJr.軍曹の乗機を大破させた。その後、シロー・アマダが搭乗した先行量産型ボールと交戦。相撃ちとなって機体は爆散した。

ドム試作実験機[編集]

諸元
ドム試作実験機
型式番号 YMS-08B
所属 ジオン公国軍
生産形態 試作機
全高 約18.0m
武装 ヒート・サーベル
ビーム・バズーカ

『MSD』に登場。宇宙用高機動試験型ザクとの共通点が多い試作機で、プロトタイプドムの前段階の機体とされている。当初は、機体の軽量化とスラスターの高出力化による短距離跳躍および短時間の大気圏内飛行を目的としたYMS-08A高機動型試作機が試作されたが、スラスターの出力不足とコストパフォーマンスの悪さから競合相手のグフに敗れ[61]、のちに地表でのホバー推進による高速滑走を目的とした本機が製造された。

機体の各部にザクやグフのパーツが使用されているのが特徴で、頭部はダクトと動力パイプが露出したMS-07C-5グフ試作実験機、胴体や腕、大腿部はザクIIと類似した形状を持つ。MS-06RD-4からは肩アーマー、頭部、バックパック、足などが換装されている。ツィマッド社における初期のモビルスーツ開発では、ジオニック社や軍研究機関のデータを技術基盤にしていたため、本機のようなジオニック社のモビルスーツをベースにした実験機を多く試作していたとされる[62]。同じYMS-08Bの型式番号で地上戦用と宇宙仕様の2機種が存在し、地上戦用はグフ[63]、宇宙仕様はザクタイプやMS-06RD-4を元にした開発が行われ、それぞれ胸部装甲とコクピットが流用されている。地上戦用は後のドムの開発に、宇宙仕様はリック・ドムの開発に繋がる試作機であり、後者はドムの試作段階から宇宙転用が検討されていたことを示す存在である[62]

武装は制式仕様のドムとほぼ同一仕様のヒート・サーベルを標準装備するほか、専用ジェネレーターを内蔵した大型ビーム・バズーカの運用試験も本機で行われた。しかし、本機のビーム・バズーカは連射性能に難があったため、制式化されることはなかった[62]

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』における高機動型ザクII[編集]

諸元
高機動型ザクII
ZAKU II High Mobility Type
型式番号 MS-06R-1A
所属 ジオン公国軍
全高 17.5m
全幅 9.5m
武装 MS用対艦ライフルASR-78
ジャイアント・ヒート・ホーク
MS用バズーカA2型
MS用マシンガン
ヒート・ホーク
搭乗者 黒い三連星

漫画・OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、黒い三連星専用機が登場する。特にOVA版は、初めて高機動型ザクIIが登場した映像作品(ゲーム内での映像は除く)となった。

宇宙世紀0079年1月23日(従来の設定では1月15日)のルウム戦役で黒い三連星が搭乗するが、『MSV』以来の設定ではこのとき彼らはザクII C型に搭乗したとされている[64](のちのゲームなどではザクIや高機動型ザクIIとしたものもある)。また高機動型ザクIIの開発時期は明確にはされていないが、少なくともルウム戦役時にはまだ開発されていないとされる。

パーソナルカスタム機
黒い三連星専用機
パーソナル・エンブレムが文字通り黒い3つの星が並ぶデザインになり、ランドセルがグレー一色に変更された以外は、ほぼ従来設定と同様の外観である(OVA版。漫画版では、脚部およびランドセルが強化装甲[65](特殊装甲[66])に覆われている)。主な武装はガイアがMS用バズーカA2型、マッシュがMS用対艦ライフルASR-78[67]、オルテガがジャイアント・ヒート・ホークを使用する[68]。なおガイア機は、バズーカの予備弾倉を多く携行するため両肩にシールドを装備している。
ルウム戦役で地球連邦軍の艦隊旗艦であるマゼラン級「アナンケ」を撃沈、レビル将軍を捕虜にし、三連星はジオン十字勲章を授与される。
漫画『THE ORIGIN MSD ククルス・ドアンの島』では、宇宙世紀0078年12月25日にア・バオア・クー宙域で、テスト・パイロットから実戦部隊に転属となった三連星に代わり、開発訓練Y-02小隊によって3機の実働テストがおこなわれている。モノクロでしか確認できないが、このときはまだパーソナル・カラーに塗装されていない。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』における高機動型ザクII[編集]

サイコ・ザク[編集]

漫画・OVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場。高機動型ザクIIに「リユース・P(サイコ)・デバイス」(以下「RPD」)を搭載した実験機(型式番号:MS-06R)。

制式名称は「リユース・P・デバイス装備 高機動型ザク」だが、名称が長いことからリビング・デッド師団旗艦艦長の発案により、「サイコ・ザク」と呼称されることになり、同師団所属のダリル・ローレンツが搭乗する。塗装は赤とオレンジを基調としており、デザインはR-2型をベースとしているが[69]、機体のベースがR-1(A)型かR-2型のどちらかであるかは明言されていない。

パイロットの神経の電気信号を直接機体に伝達させるRPDを搭載しており、さらに各部の増加スラスターによって高機動時の運動性が向上している。関節部にはシーリング処理が施され、動力パイプにも同様の措置が行われている。バックパックは大型化されて2基の長大なロケットブースターが増設され、そこに装備された多数の武装で継戦能力の延長と攻撃力の増強が図られたハイエンド機として完成している。バックパックにはサブアームが2基搭載され、武器の交換や保持した武器の使用を可能としている。武装はマガジン式に変更されたザク・バズーカ3基、ジャイアント・バズ2基、ザク・マシンガン、ヒートホーク、シュツルムファウスト3基。さらに、ザク・マシンガンとザク・バズーカのマガジンを4つづつ搭載しているほか、OVA版ではビーム・バズーカと超大型のロケットブースターが追加装備されている。

実験段階ではフレームのみで運用され(名称は「リユース・P・デバイス実験用高機動型ザクII[70])、実験機の下半身を義足のダリルが、上半身を両肩から義手のショーン・ミタデラが動作試験を担当することで行なわれた結果、実験機は実戦投入レベルに到達し、ダリルの訓練期間もほぼ皆無の状態で実戦配備される。性能を完全に引き出すにはパイロットの四肢の義肢化が必要であるため、ダリルは物語開始時点で失っていた両足、直前の戦闘で失った左腕に加え、無事であった右腕を軍の命令で切断する(これにより、ダリルは曹長から少尉へ二階級特進)。1年戦争末期の0079年12月、本機はサンダーボルト宙域において単機でムーア同胞団艦隊に壊滅的な被害をもたらすことに成功したうえ、イオの駆るフルアーマー・ガンダムにも死闘の末、勝利する。最終的に本機は戦闘による損傷で爆発・消失してしまうが、ダリルは「白い悪魔を倒した英雄」と讃えられる。

その後、開発主任であるカーラ・ミッチャムの精神障害(幼児退行)によりジオン軍でのRPDの開発は頓挫するが、師団の壊滅時にそれまでの実験データを持ち出して戦線を離脱していた助手のJ・J・セクストンが南洋同盟に保護されており、そこでは彼の主導により本機と同様のMSの開発が進んでいることが示唆されている。

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 『機動戦士ガンダム MSV コレクションファイル[宇宙編]』講談社、1999年11月。
  2. ^ a b c d e f g h 『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』320-324、332、793頁
  3. ^ 『モデルグラフィックス』2008年4月号20頁
  4. ^ 『ガンプラ・ジェネレーション』講談社、1999年4月、119頁。
  5. ^ 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年3月、8頁。
  6. ^ a b c d e f 『マスターグレード MS-06R-1「ザクII」シン・マツナガ大尉機』説明書、1996年6月。
  7. ^ a b 『コミックボンボン』1983年2月号、講談社。
  8. ^ 『マスターグレード MS-06R-1A シンマツナガ専用ザク Ver.2.0』説明書、バンダイ、2008年11月。
  9. ^ a b c d e f g h i j k 『ガンダムメカニクスI』ホビージャパン、1998年5月。
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『模型情報・別冊 MSバリエーション・ハンドブック1』バンダイ、1983年3月、9頁。
  11. ^ a b c d e f g h i j 『模型情報』1984年6月号、バンダイ、10頁。
  12. ^ a b c 『模型情報』1984年4月号、バンダイ、裏表紙。
  13. ^ a b ガシャポン戦士』のおまけシールより。
  14. ^ a b c d e f g 『マスターグレード MS-06R-2「ザクII」ジョニー・ライデン少佐機』説明書、バンダイ、1996年6月。
  15. ^ プラモデル『1/144 MS-06R ザクII』説明書、バンダイ、1983年4月
  16. ^ プロショップ専用商品『マスターグレード MS-06R-1 ザクII Ver.2.0 ア・バオア・クー防衛部隊機』バンダイ、2009年12月。
  17. ^ 『戦略戦術大図鑑』11頁より。ただし、同書137頁での彼の使用機種一覧に06R型はない。
  18. ^ a b c d e f g 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.1 一年戦争編』(バンダイ、1989年)
  19. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムRPG』ホビージャパン、1997年3月、56頁。
  20. ^ a b 『機動戦士ガンダム MS ENCYCLOPEDIA MS大全集 98』メディアワークス、1998年5月、22頁。
  21. ^ a b c d e 『マスターグレード MS-06R-1A「ザクII」チームカラーバリエーション 黒い三連星』説明書、バンダイ、1999年6月。
  22. ^ a b c 『模型情報』1984年6月号、バンダイ、13頁。
  23. ^ a b 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、141頁。
  24. ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、180-193頁。
  25. ^ 『マスターグレード MS-06R-1A「ザクII」 チームカラーバリエーション 黒い三連星』説明書、バンダイ、1999年6月。
  26. ^ a b 『マスターグレード MS-06R-1A シン・マツナガ専用ザク Ver.2.0』説明書、バンダイ、2008年11月。
  27. ^ a b c 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、96頁。
  28. ^ 『HOW TO BUILD GUNDAM 2』ホビージャパン、1982年5月、132頁。
  29. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、41頁。
  30. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、13頁。
  31. ^ 『1/144 MS-06R ザクII』ボックスアート、バンダイ、1983年3月。
  32. ^ 『SDガンダム GGENERATION-F データブック2 MSコレクション』ソニー・マガジンズ、2000年9月、31頁。
  33. ^ プラモデル『マスターグレード MS-06R-1 ザクII Ver.2.0 ア・バオア・クー防衛部隊機』付属小冊子「ザクMSV読本」、バンダイ、16頁
  34. ^ a b 『機動戦士ガンダム MSV-R ザク編』講談社、2013年2月、巻末掲載漫画「虹霓のシン・マツナガ Intermission」。
  35. ^ プラモデル『1/100 MS-06R ザクII シン・マツナガ大尉機』説明書、バンダイ、1893年10月。
  36. ^ ガンダムエース』2010年4月号、講談社、巻頭ポスター。
  37. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、61頁。
  38. ^ 『ホビージャパン』1987年7月号、71-73頁。
  39. ^ a b c d e f 『模型情報』1984年6月号、バンダイ、21頁。
  40. ^ a b c d e f g h i j プラモデル『1/144 MS-06R-2 ジョニー・ライデン少佐機』解説書、バンダイ、1984年2月。
  41. ^ a b ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 ジオン独立戦争記』バンダイ、2002年5月。
  42. ^ a b フィギュア『ジオノグラフィー R-2型ザク」EX』バンダイ、2007年8月。
  43. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2003』メディアワークス、2003年4月、101頁。
  44. ^ a b c 『コミックボンボン』1983年12月号-1984年2月号掲載漫画「エースパイロット列伝 No.1 ジョニー・ライデン」、講談社。
  45. ^ a b 『マスターグレード MS-06R-2 ジョニーライデン専用ザク Ver.2.0』解説書、2008年9月。
  46. ^ ソフト『機動戦士ガンダム ジオン軍ミリタリーファイル』バンダイ・デジタルエンタテンメント、1997年。
  47. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、97-99頁。
  48. ^ a b 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション1 ザク編』講談社、1984年4月、158頁。
  49. ^ a b c d e f g h i j 『SD CLUB』第8号、バンダイ、1990年1月、35頁。
  50. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .25 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.4 MS開発戦争編】』24,102頁
  51. ^ a b 『機動戦士ガンダムMS大全集2013[+線画設定集]』69,303頁
  52. ^ 『モビルスーツ全集3 ザクBOOK』11、116頁
  53. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムMS大全集2013[+線画設定集]』26、254頁
  54. ^ a b c 『モビルスーツ全集3 ザクBOOK』127頁
  55. ^ 『第08MS小隊』公式サイトの記述。ただし劇中において搭乗者のアイナ・サハリンは「ザクの改良型」としか発言していない。
  56. ^ a b c 『総解説 ガンダム事典 Ver.1.5』160頁
  57. ^ ホビージャパン『GUNDAM MECHANICS』より。
  58. ^ 『第08MS小隊』第1話、サンダース軍曹の発言より。
  59. ^ 機動戦士ガンダム第08MS小隊WEB、「MS-ジオン軍- MS-06RD-4」
  60. ^ 『第08MS小隊』公式サイトでは、MS-06RD-4が初期型ジム2機を撃墜。小説版では、初期型ジム1機が護衛のザクIIに追われて消息不明としている。
  61. ^ 講談社『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション(2) ジオン軍MS・MA編』11、88-89頁。
  62. ^ a b c プラモデル『HG 1/144 ドム試作実験機』取扱説明書より。
  63. ^ コクピット窓状の部分に支柱が2本入っていることから、YMS-07AプロトタイプグフあるいはYMS-08A高機動型試作機がベースになっていると思われる。
  64. ^ 『機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション2 ジオン軍MS・MA編』講談社、1984年4月、巻末の「ジオン公国軍 軍人名鑑」。
  65. ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2』152頁
  66. ^ 『愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN VII ルウム編』96頁
  67. ^ 『HG THE ORIGIN 高機動型ザク ガイア/マッシュ専用機』説明書、バンダイ、2015年6月。
  68. ^ 『HG THE ORIGIN 高機動型ザク オルテガ専用機』説明書、バンダイ、2015年9月。
  69. ^ マスターグレード『高機動型ザク“サイコ・ザク”Ver.Ka(GUNDAM THUNDERBOLT版)』説明書。
  70. ^ 『機動戦士ガンダム サンダーボルト RECORD of THUNDERBOLT』ホビージャパン、2016年6月、50頁。

関連項目[編集]