A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-

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A.O.Z Re-Boot
ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-
漫画
原作・原案など 矢立肇富野由悠季(原作)
作画 藤岡建機
出版社 KADOKAWA
掲載サイト 電撃ホビーウェブ
発表期間 2014年5月24日 - 連載中
巻数 既刊3巻(2019年8月30日現在)
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A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』は藤岡建機の漫画作品。『電撃ホビーウェブ』で連載中。

概要[編集]

ADVANCE OF Ζ』シリーズ第3弾に当たる作品。第1弾『ティターンズの旗のもとに』と第2弾『刻に抗いし者』は時代背景を除きほとんど関連性はなかったが、本作の作者である藤岡は第1弾のメカニックデザインを担当しており、また本作は第1弾の終盤に登場したモビルスーツガンダムTR-6が物語の鍵になっている。本作は第1弾のその後の時代の物語であるが、登場キャラクターについては関連性がない。

ウェブコミックとして不定期に連載。作中は時系列が目まぐるしく前後し、その境界もほとんど明確にされていない。単行本化に当たっては、新たに連載されたこれまでの前日譚に当たる「第2章 双極のアルカディア2-1」から「同2-3」に加筆した「第0章 紅蓮の航路」が第1巻に収録された(これについては時系列がほぼ一定している)。第2巻では、それ以前に連載されていた「第2章 双極のアルカディア」が加筆修正(一部削除)されて「第1章」として収録された。

A.O.Z Re-Boot[編集]

本作に先駆けて、『電撃ホビーマガジン』2014年1月号から連載された企画。『ティターンズの旗のもとに』や本作に登場したメカニックの設定を、藤岡の描き下ろしによるイラストとともに再整理してゆく。

第4回で公式外伝の「再起動」を公表、本作のあらすじと初期設定が掲載され、第5回では初期プロットによる見開きの漫画も掲載された。『電撃ホビーマガジン』の休刊後は『電撃ホビーウェブ』に移り、不定期に連載中。

火星前史[編集]

スペース・コロニーの建設と時を同じくして、人類はアステロイド・ベルトや木星、火星にまで進出、火星都市が建設される。コロニーへの宇宙移民開始をもって宇宙世紀へと移行、火星都市もサイドA「アルカディア」へと発展するが、地球圏の開発と発展により忘れられていく[1]

アルカディアは、地球に居場所がなくなった者たちが最後にたどり着く土地となり、地球連邦政府および連邦軍の手が届かない一種の独立自治国となっていく[2]。宇宙世紀0079年の一年戦争終結後、ジオン軍残党組織のうちキシリア・ザビ派は火星へと落ち延び、アルカディアを制圧。以降ジオンマーズを名乗り[1]アクシズと連携をとりながら火星プラントの生産力による強大な軍事力をもって火星を実効支配する[2]

一方で、0083年のデラーズ紛争終結後、オメガ率いるギレン・ザビ派の残党は火星に移ってレジオンを名乗り、ジオンマーズに対して火星の覇権を巡ってゲリラ活動をおこなう[1]

0088年2月のグリプス戦役終結後、アクシズと合流したティターンズ残党のうちトリスタン率いる一大派閥(「トライステラー」とも呼ばれる)はTR計画機を持ち出して火星へと落ち延びる[2]。ジオンの後継者を名乗るアリシア・ザビは、ティターンズ残党を率いて劣勢にあったレジオンに参入、「インレの翼」の投入によってジオンマーズは壊滅状態に陥り[2]、アリシアはレジオン建国を宣言する[1]

ジオンマーズの圧政に苦しんでいたアルカディアの市民は、レジオン新政権を快く受け入れる。アリシアは火星統治の礎として、かつてジオン・ズム・ダイクンが唱えた新人類思想を継承し、その思想は地球から遠く離れた火星の住民にも強く響いたという[1]

レジオンは旧ジオン系の軍事技術を徹底的に排除し、同時に火星プラントでTR計画機をはじめとするティターンズ製MSを再生産する。ガンダムTR-6の配備によって、TR計画が想定していた組織的な運用による防衛体制を整えることに成功する[2]。また、一般兵士用にはおもに鹵獲したハイザックバーザムを配備・再生産している。これは、レジオンはジオン残党組織ではなく、火星で新たに生まれ変わった組織であるというアリシアの考えによるものであり、それゆえ旧ジオン系の兵器はレジオンに相応しくなく、モノアイをもつティターンズ製MSはジオンを起源とする技術が本来の持ち主のもとに戻ったものと見なされ、積極的に導入されている[3]

本作は、これ以降の火星を舞台としている。

あらすじ[編集]

宇宙世紀0089年、地球から数十万人の移民を乗せた輸送船団が火星に到着する。それに随伴していたのは、第一次ネオ・ジオン抗争でアクシズのネオ・ジオン軍に加勢するためにジオンマーズから派遣されていたチェスター宇宙艦隊であった。しかし、彼らがいない間に火星はレジオンに支配されていた。チェスター艦隊はレジオンの検閲部隊を全滅させ、戦いの火蓋を切る。火星降下作戦を開始するチェスター艦隊を迎え撃つため、衛星フォボスの宇宙港からアリシアに代わりグロリア・ザビが搭乗するガンダムTR-6[クインリィ]が出撃する。

2年後の0091年10月、レジオン建国後にみずからの兵器を奪われ、アルカディアに潜伏していたティターンズ残党は、ジオンマーズと結託して「インレの翼」奪回作戦、通称「輝ける星」作戦を発動する。火星の重要拠点5箇所(オリンポス火山レジオン基地、アルカディア、閉鎖中のフォボス宇宙港、工業プラント、氷河地下インレ建造秘密基地)のうち、フォボス宇宙港を除く4箇所に対してほぼ同時に襲撃を開始する。

用語[編集]

インレの翼
ガンダムTR-6[インレ]の上半身を構成するガンダムTR-6[ファイバーII]を指す。しかし、単に「インレ」や「ガンダム・インレ」と呼ばれることも多い。本記事では「インレの翼」で統一する。
アリス親衛隊
アリシア・ザビのクローン強化人間6名で構成され、ガンダムTR-6[キハールII]に搭乗する。クローンの特性を活かして、各機を同調させての攻撃をおこなう。肉体も強化されており、華奢な身体でMSのコックピット・ハッチをこじ開けるほどの怪力をもつ。
うさぎ狩り
レジオンの刑罰のひとつ。罪人をMSに乗せ、アリシアおよびアリス親衛隊の攻撃から30分逃げ切れば無罪放免とされる。事実上の「見せしめ」である。
エレノア
火星の監視衛星。火星での飛行はアリシアとアリス親衛隊以外は禁止されており(さらにキハールIIは宇宙用ではないため、実質的に宇宙に出られるのはアリシアのみ)、禁を破って飛行すれば本衛星により狙撃される。MSによるジャンプも禁止されている。
SSD
「スターシップダウン (Star Ship Down)」の略。エゥーゴの拠点のひとつで、地球の衛星軌道上に位置する小惑星基地。インレの下半身を構成するガンダムTR-6[ダンディライアンII]を所有する。火星にも届くラジオ放送を発信している。

登場人物[編集]

レジオン[編集]

アリシア・ザビ
レジオン総帥で、ザビ家の末裔とされる少女。太腿まで伸びる長髪をリボンで結んでいる。地球圏のネオ・ジオン軍に与しようとはせず、殺し合いが好きな「殿方」に代わり、火星を争いのない中立で平和な「本当のジオン」「女の楽園」にしようとする。アリス親衛隊からは「大姉様」と呼ばれる。
宇宙世紀0091年にはリハイゼに搭乗する。ダイアナに対しては「うさぎ狩り」の失敗において暴行を加えたり、シンシアより価値を見出したりと愛憎半ばな態度をとる。
グロリア・ザビ
レジオン副総裁。三つ編みで、眼鏡をかけている。アリシアの姉妹とされる強化人間だが、クローンであるかは明言されていない。アリシアの思想に心酔しており、「繭入り」と呼ばれる月に一度のアリシアの休息時には代わってレジオンの指揮を執る。
シンシア
アリス親衛隊のリーダーで、アリシアの3番目のクローン。前髪をヘアピンで留めている。「インレの翼」のパイロット候補で、好戦的で独善的な性格。レジオンの次期副総帥の座を狙っている。「輝ける星」作戦の際、アルカディア旧市街地でティターンズ残党に拘束される。
ダイアナ
アリス親衛隊唯一の男性。キハールIIの4番機に搭乗。「インレの翼」のパイロット候補であるが、シンシアとは正反対に闘争心が薄く、また他人に対し慈悲深い面をもつ。火星から宇宙に出ることを望んでいる。男性であることから、ほかの親衛隊員との連携がとれず思い悩むが、ホシマルらティターンズ残党の男性との出会いにより自信を取り戻す。その後、脱走騒ぎを起こす。
フェリシア
アリス親衛隊のひとり。「輝ける星」作戦の際にはインレ建造秘密基地の護衛に当たる。
オメガ
台詞にのみ登場。かつてのレジオンの首領で、レジオン建国後のアリシアとの不和による内紛のあと、シャア・アズナブルの決起が噂される地球へ向かっている。
カロン
レジオン参謀。ティターンズ残党と内通しており、レジオン側の情報を流す。
マリナ
元ティターンズの設計技術者で、その技術はTR計画にも転用されている[4]パプテマス・シロッコのもとでMSの設計に携わった経歴をもち、彼を尊敬するとともに自分も同じ天才であると自負している[4]。トリスタンらとともに火星に逃亡[4]、その後は技師長としてレジオンにおいて重要な立場にあるが、アリシアや親衛隊ら「小娘」にこき使われることに不満で、ぶつぶつと文句を言う。また、人類の生存権のすべてを繋ぐ技術者ネットワーク「エフラファ」の一員でもある[4]
語尾に「でしゅ」「ましゅ」を付けるのが口癖で、常にハロを持ち歩き、端末として使用している。シャルルには兄と慕われている。
ウェンディ
女性士官。祖母は宇宙世紀開始とともに火星に移住。内乱で孤児となるが、ジオンマーズから火星を取り戻してくれたアリシアを崇拝しており、常に写真を持ち歩いている。パイプライン事故では処理班を率いてリバウンド・ドックに搭乗する。その際の功績により特務部隊のMS隊隊長に昇格、アリシアから直々にバーザムIIを受領する。
アーチャー
特務部隊長官の女性で、「輝ける星」作戦の際には工業プラントの護衛任務に就いている。ジオンマーズに夫と子供を殺されており、チェスターを恨んでいる。

ティターンズ残党[編集]

トリスタン
残党のリーダーで、「船長」と呼ばれる。アルカディア最古の居住ブロックにアジトを構え、裏社会を牛耳る[5]。「輝ける星」作戦ではアーリー・ヘイズルに搭乗し単機で居住ブロックから蜂起し、シンシアを拘束する。
グリプス戦役では、総帥ジャミトフ・ハイマン直属の秘密特殊部隊を率いて組織の暗部に関わる非道な任務を遂行し、TR計画にも設立時から深く関わっている[5]。戦役末期にティターンズの主導権を握ったパプテマス・シロッコに不満をもつ派閥を束ね、ガンダムTR-6をはじめとする多数の戦力を手中に収めたとされるが、あえてそれを決戦に投入せず(このことがティターンズ敗北の一因であったともいわれる)、残党を率いて火星に落ち延びる[5]
連載当初は「トリスタ」「サンスタ」と呼ばれていた。
ミズノ
クローンの強化人間の女性で、クローン元の記憶(本人曰く「ニセモノの記憶」)をもつ。ホシマル以外には別名のマーキュリーで呼ばれることが多い。昼間はシスターを装ってアルカディアの孤児院で子供たちの面倒を見、夜はコロンブス級補給艦を利用した酒場「トライステラー」の経営者兼ウェイトレスとして働く。その美貌を活かしスパイとして情報収集もおこなっており[5]、ジオンマーズ、レジオン、SSDにも内通している。「輝ける星」作戦では連絡役を務める。
ホシマル
「凄腕」を自称する元MSパイロット[5]。酒場「トライステラー」ではドリンクを担当するが、トイレの水で薄めたり、工業用アルコールでかさ増ししたりしている。「輝ける星」作戦ではズサブースター・マリンタイプを装備したアーリー・ヘイズルに搭乗し、ジオンマーズの水中部隊との共同作戦に参加する。
地球に残した自称「彼女」の写真を常に持ち歩き、地球に帰ることを望む。直情型で短気な性格だが、ガンダムの「ニセモノ」であるアーリー・ヘイズルを本物に変えてみせると豪語したり、「輝ける星」作戦で死を覚悟する隊員たちに生きて帰るよう説得するなど、熱血漢でもある。連載当初は「星浦」と呼ばれていた。
ツキモリ
ミズノと同じくクローンの強化人間で、クローン元は「OVER THE MIND計画」の被検体「3号」と同一[5]。クローン元の記憶ではミズノ(のクローン元)と恋人同士であったという。マッシュルームカットの中性的な容貌で、酒場「トライステラー」では女装してウェイトレスとして働く。「輝ける星」作戦ではヘリオスに搭乗し、ホシマルとともにジオンマーズの水中部隊との共同作戦に参加する。
常に冷静で皮肉屋、敬語で話す。インレにある程度近づけばシンクロできる能力をもつ。連載当初は「月田」または「森月」と呼ばれていた。
ドナルド
「輝ける星」作戦を抜け駆けし、レジオンに参加してノンブラビに搭乗しパイプライン事故の処理班に同行するが、ウェンディによって事故の実行犯に仕立て上げられ、救援に駆け付けたシンシアに拘束される。「うさぎ狩り」の刑に処され、トリスタンが用意したジム・クゥエルに搭乗し、交戦するアリス親衛隊の中からダイアナ機を人質にとるものの、リハイゼのトライブレードにより敗れる。そこで戦死したと思われていたが生き延びており、ミズノが稼いだ金を孤児院に届ける役目を引き受ける。
容貌や、ミズノが名前を「ベル……」と言いかけたり、ヘルメットに "M" をあしらったエンブレムが描かれているなど、『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に登場するベルナルド・モンシアと同一人物であることを示唆する描写が多い。
アポロ
チーフ・メカニックで、「親父」「爺さん」と呼ばれる。「輝ける星」作戦に際し、ジム・クゥエルにガンダム・ヘッドを取り付けアーリー・ヘイズルに改修するが、作戦には参加せず火星で天寿を全うすることを決意する。

ジオンマーズ[編集]

アウトロー・チェスター
ジオンマーズの総司令官。一年戦争ではキマイラ隊に所属し、ゲルググ系MSに搭乗していた[注 1]
コルト
猛牛の異名を持つインレ奪回部隊の隊長。

民間人(0150年代)[編集]

第0話ほかに登場。火星都市マリーナシティにある学校のクラスのひとつが舞台で、生徒として本編の登場人物と名前や容姿が同じ人物も登場するが、関連は不明(ただし先生が、生徒たちが強化人間であることをほのめかす場面がある)。

ホシマル
10日後に控えたマリーナシティの「再起動祭」のパレード衣装の選定で、ティターンズの制服を推薦する。連載時には「星丸」と表記されていた。
カーバイン
パレード衣装の選定で女子生徒たちとともにジオン公国軍のノーマルスーツを推薦し、ホシマルと対立する。
ツキモリ
頭はいいが、ロボットみたいに何を考えているか分からないことから、多くの生徒からは「ガンダム君」のあだ名で呼ばれる。ティターンズを「悪」と決めつけることに異を唱える。連載時には「月森」と表記されていた
バルヲ
クラスの先生で、オネエ言葉を話す。独身。生徒曰く、宇宙世紀の歴史の話になると「暴走モード」になる。歴史の授業の体裁で本編の語り部役になることもある。連載時には「水野」という名前で、再登場時には「バルオ」と表記。
オバラ
単行本化の際に第0話に加筆され登場する女子生徒。「サボりのオバラ」と呼ばれ、パレード衣装選定のホームルームもサボっていたが、ツキモリに気がある様子で、ホシマルとカーバインらの板挟みに遭うツキモリを助けようとする。子分の女子生徒がひとりいる。
マリリン
名前のみ登場。女子生徒から火星の「再起の英雄」と呼ばれ、バルヲ先生に話をねだる。

単行本[編集]

第1巻には、『月刊ガンダムエース』2003年7月号に掲載された、本作の前日譚に当たる藤岡の短編漫画「OVER THE MIND」が収録された。

  1. 2018年12月27日刊行 ISBN 978-4-04-912225-1
  2. 2019年5月27日刊行 ISBN 978-4-04-912510-8
  3. 2019年8月30日刊行 ISBN 978-4-04-912812-3

関連リンク[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ キシリア親衛隊の一員としてギャン系MSに搭乗していたとも言われる[6]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 第1巻、111-112頁。
  2. ^ a b c d e 「A.O.Z Re-Boot Vol.52」『電撃ホビーウェブ』KADOKAWA
  3. ^ 第1巻、150頁。
  4. ^ a b c d 第1巻、151頁。
  5. ^ a b c d e f 第2巻、142頁。
  6. ^ 「A.O.Z Re-Boot Vol.22」『電撃ホビーウェブ』KADOKAWA