ガルバルディ

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ガルバルディ (GALBALDY) は、「ガンダムシリーズ」に搭乗する架空の兵器。有人操縦式のロボット兵器「モビルスーツ(MS)」のひとつ。シリーズ第1作として1979年に放送されたテレビアニメ機動戦士ガンダム』のプラモデルガンプラ)販促のために企画されていた『MS-X』で設定された。

作中の軍事勢力のひとつ「ジオン公国軍」が開発した局地戦用MSで、『機動戦士ガンダム』本編に登場する「ゲルググ」と「ギャン」の特徴を兼ね備えた機体。もともとは、全52話想定の『機動戦士ガンダム』各話のプランを記した「トミノメモ」に名称のみ存在した機体で、主人公「アムロ・レイ」のライバル「シャア・アズナブル」の乗機として設定されていた。1985年にテレビ放映された『機動戦士Ζガンダム』では、地球連邦軍の独自改修機「ガルバルディβ」、翌1986年に放映された『機動戦士ガンダムΖΖ』では、ネオ・ジオン軍の改修機「ガズアル」と「ガズエル」が登場する。

本記事では、小説や漫画作品などに登場するバリエーション機の解説も記載する。

ガルバルディα[編集]

諸元
ガルバルディα
GALBALDY α
型式番号 MS-17
頭頂高 18.4m
本体重量 41.7t
全備重量 72.9t
装甲材質 超硬スチール合金
武装 ビーム・サーベル
ビーム・ライフル
シールド
搭乗者 トワニング
フィーリウス・ストリーム
シャア・アズナブル
パッカデリア

ジオン軍の兵器開発計画「ペズン計画」にもとづいて開発された機体で、ビーム・ライフルの運用能力をもたないギャンを再設計し、ゲルググの生産ラインを利用して製造された[1]。ゲルググにギャンの格闘能力を付加した機体である[2]。当初は単に「ガルバルディ」と呼ばれる。『MS-X』の設定では、ギャンは実機の生産が行われておらず、本機の外見はゲルググに似ている。生産ラインが同じであるためゲルググとの部品共有率は高く、本機のコクピット周りの構造はゲルググJに流用されている。

開発については諸説があり、試作機が完成する前に一年戦争が終結したとするものや、若干機がグラナダのキシリア・ザビ傘下ニュータイプ部隊に配備されたというものもある。大気圏内での飛行を目指したA型と宇宙用のB型が存在する。

一年戦争後は開発施設のペズンごと地球連邦軍に接収され、B型の改修機である後述の「RMS-117 ガルバルディβ」が開発される。この機体の完成によって、原型となった本機は便宜上「ガルバルディα」と呼ばれるようになる。

「トミノメモ」の中ではガルバルディの名で登場する回のあらすじがあるが、一箇所「ガリアブ」という名称で表記されている。シャア・アズナブル(搭乗機はZEONOGRAPHYにて立体化)ほか、部下のパッカデリアらがこれを駆ってエルメスの護衛にあたる。

なお、模型化のための木型が作られているが、その頭部にはカメラバイザーが装備されている。現在入手できる設定画には描かれていない[3]

勁文社のゲームブック『機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星』では、ア・バオア・クーを脱出したシャアを追撃していたトワニングがガルバルディに搭乗し、シャアと一騎討ちを行う。

模型情報」誌上のメカニックデザイン企画『F.M.S.』(福地モビルスーツステーション)では、MS開発部門の技術者らとともにズワール型高速巡洋艦「ガールアウス」に乗せられ、アクシズへと疎開するガルバルディαが描かれている。

漫画『機動戦士ガンダム ギレン暗殺計画』では、ギレン親衛隊に配備されたフィーリウス・ストリーム機が登場。

高機動型ガルバルディα[編集]

諸元
高機動型ガルバルディα
GALBALDY α HIGH MOBILITY TYPE
型式番号 MS-17R
頭頂高 18.4m
本体重量 53.5t
全備重量 81.1t
装甲材質 超硬スチール合金
武装 専用ビーム・サーベル
ビーム・マシンガン
シールド
ニードル・ミサイル(シールド内蔵)
ハイドポンプ(シールド内蔵)
搭乗者 リカルド

矢立文庫のWeb企画『アナハイム・ラボラトリー・ログ』に登場。

一年戦争直後にアクシズに移送されたガルバルディαを、アクシズ側が独自に改良した機体。脚部を高機動型ゲルググ(キマイラ艦隊所属 ア・バオア・クー戦仕様)と同型のものに換装することで空間戦闘における機動性の向上を計っているほか、バックパックも変更されている。武装はゲルググJのものと同型のビーム・マシンガンと、ギャンのものと同型のビーム・サーベルおよびシールドを装備。

宇宙世紀0084年、アクシズから月面のアナハイム・エレクトロニクス社へとドワス改が移送される際に1機が通常のガルバルディαとともに護衛を担当し、ドワス改とともにティターンズの重巡洋艦「アル・ギザ」所属のMS部隊と交戦。ティターンズ部隊を戦闘不能に陥らせる。

ガルバルディβ[編集]

諸元
ガルバルディβ
GALBALDY β
型式番号 RMS-117[注 1]
全高 19.0m[5]
頭頂高 19.0m[6]
本体重量 36.3t[5]
全備重量 56.9t[5]
装甲材質 チタン合金[5]
出力 1,507kW[5]
推力 15,800kg×4[5]
総推力:63,200kg[7] / 126,400kg[6][注 2]
センサー
有効半径
9,200m[5]
武装 ビーム・ライフル
ビーム・サーベル
シールド裏ミサイル×2
搭乗者 ライラ・ミラ・ライラ
ジェリド・メサ(テレビ版のみ)
その他 姿勢制御バーニア×10[5]

宇宙世紀0087年を舞台とする『機動戦士Ζガンダム』に登場。作中では単にガルバルディもしくはガルバル[注 3]と呼ばれる。

一年戦争後の厳しい財政事情のなかで連邦軍が開発した機体[8]。ジオン軍の機体を導入し、消耗した戦力の立て直しを図った[9]。このRMS-117もそうした機体のひとつであり、ジオン軍から接収したガルバルディα(B型[10])をベースに[2]、マイナーチェンジを施した機体である[8]

おもな改修点は外装の軽量化[10]、推進器、ジェネレーターの変更などといった近代化措置である[9]。試作機は宇宙世紀0083年にロールアウト[9]、宇宙世紀0085年以降は、全天周囲モニター・リニアシートを導入し、さらなる改良が施された[9]

コクピットは左胸に存在する[2]。機体の軽量化もあって運動性は向上している[10]。頭部モノアイレールは一見左右の旋回のみに見えるが、劇中ではカメラは横レール上を上下している。

月面のグラナダやルナツーに配備され、ライラ・ミラ・ライラ率いるガルバルディ隊によって運用される。パプテマス・シロッコ指揮下のドゴス・ギアにも配備される。

武装[編集]

ビーム・ライフル
ストックの形状以外はゲルググのライフルと同型。テレビ版ではグリップ部分にエネルギーパックが収納されており、それをMSのマニピュレータで交換する場面がある。照準センサーはより高精度の新型に交換されている[2]リック・ディアスも使用する[11]
ビーム・サーベル
予備を含めた2基を装備。収納箇所はランドセルで、左側上面の丸いモールドの中に露出しない状態で納められている[2]。テレビ版8話でのジェリド機も、背中に手を回して抜刀する。しかし、テレビ版第7話でのライラ機とガンダムMk-IIとの交戦シーンでは、開いた右肩のブロックから抜刀しているように見える場面がある(肩ブロックの装甲が破壊された直後に背中に手を回しているため、このように見える)。のちに劇場版でのカミーユとライラの交戦シーンはこれを基に一部旧画を併用して描き直しているため、それに準ずるかたちで同様のアクションを行っている。
シールド
伸縮可能で、ミサイルを2発内蔵している。
信号弾
頭部のトサカ部分に内蔵され、これにより僚機に撤退などの指示を送ることが可能。

このほか、『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』ではバリュートを装着した状態の機体(ライラ機)が登場する。

デザイン
メカニックデザインは永野護。「7年程度ではMSのデザインもそう変わらないだろう」という判断で一年戦争当時のMSから発展性の少ないデザインでまとめられた。しかし、永野の言によればガンダムのファンには不評であったとされ、なかには、このガルバルディβは連邦製のMSであるにもかかわらず、「ジオンのMSはこんなに細くない」などという理不尽な批判もあったといわれる[12](外見については上述のようにガルバルディαを連邦がリファインしたため)。

高機動型ガルバルディβ[編集]

月刊模型誌「電撃ホビーマガジン」で連載された『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場(型式番号:RMS-117)。「ガルバルディβ高機動型」とも呼ばれる。

宇宙世紀0080年代中盤に入って旧式化していたβを、大規模な改修を行わずに強化する案で製造された機体。胸部に増加装甲、偏向板を兼ねる小型スラスターユニット2基を装備する。これはプロトタイプアッシマーTR-3[キハール]のユニットを小型化したもので、自由に可動することで姿勢制御を行う。エネルギーパックやマガジンなどを取り付けられるラッチが左右1基ずつ設けられ、駐機時には折りたたむことができる。バックパックには高機動ブースターポッドを装備する。T3部隊共通の強化型ジェネレーターを内蔵し、アームを介してバックパックの増加装甲に接続する。これによってガンダムTR-1[ヘイズル改]のものと同様の可動領域を確保している。通常はカバーパーツを装着しているが、カバーを外して露出するマウントラッチにはさまざまな装備を接続することが可能である。ガンダムTR-1[ヘイズル]と同型のシールド・ブースター2基を装備する際には強化型ラッチを介して接続する。またハイザック・キャノンと同型のキャノン砲ユニットとミサイルポッドを取り付けた実体弾系装備や、ゼク・アインの第二種兵装と同型のビームスマートガンと複合レドームを取り付けた長距離攻撃仕様などの武装プランが用意されていた。さらに機動性向上のために脚部スラスターカバーを開放する改良が施されている。なお、本来の装備であるビーム・ライフルは、取り回しを優先してストックが切り詰められている。

連邦軍パイロットのマキシム・グナー大尉とともにT3部隊に送られ、部隊色の濃紺と淡紺、黄色の塗装に変更される。しかしグナー大尉のエゥーゴへの転向・脱走により本機は失われ、行われるはずだった各種新型装備のテストは、ヘイズル2号機に継承される。

ガズアル / ガズエル[編集]

諸元
ガズアル / ガズエル
GAZ-R / GAZ-L
型式番号 AMX-117R(ガズアル)
AMX-117L(ガズエル)
頭頂高 19.0m
本体重量 40.5t
全備重量 70.8t
装甲材質 チタニウム・コンポジット
出力 2,130kW
推力 19,100kg×4(腰部)
(総推力)76,400kg
センサー
有効半径
10,300m
武装 ビーム・キャノン(出力3.8MW)兼大型ビーム・サーベル(出力1.0MW)×2
ビーム・サーベル(出力0.4MW)×2
ヒート・ランス
搭乗者 ニー・ギーレン(ガズアル)
ランス・ギーレン(ガズエル)
その他 姿勢制御バーニア×10

宇宙世紀0088年を舞台とする『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場。「ガズR」「ガズL」と略記される。

ネオ・ジオン軍が開発したガルバルディα (B型) の発展機。連邦軍のガルバルディβと同じく第2世代MSに準じた近代化改修が施されているが、性能はこちらが上回る。ハマーン・カーンの乗機であるキュベレイの護衛を担っているため、「ロイヤルガード・ガルバルディ」とも呼ばれる。しかし実際は、情緒不安定な強化人間キャラ・スーンの乗機であるゲーマルクを護衛および監視するために出撃することが多い。ガズアルにニー・ギーレン、ガズエルにランス・ギーレンがそれぞれ搭乗する。

2機での連携運用が基本で、カラーリングおよび肩アーマーと腕部のウェポンラック兼シールドの位置が左右逆である以外に性能差はない。ガズアルはシルバー&ブルーで、増加装甲は右 (Right)、ガズエルはシルバー&レッドで左 (Left) に増加装甲を装備。ロイヤルガードとしての役目から、胴体から脚にかけて装飾的なエングレービングが施されている。武装は背部のビーム・キャノン兼用大型ビーム・サーベル2基と、下腕部のウェポンラックのビームサーベル2基、ビーム・ライフルとヒート・ランス。

劇中では特に活躍シーンはなく、最初にガズエルが乱戦の中で撃破され、ガズアルもゲーマルクとともに撃破される。

デザイン
『機動戦士ガンダムΖΖ』のメカデザイナーによる完全新設定の機体とする案もあったが、永野護デザインのキュベレイとの調和を考え、またガルバルディβの金型を流用してのキット化が容易であるため、同機のマイナーチェンジに落ち着いている。準備稿でのイメージカラーはワインレッドと金のエングレービングだったが、対であることを区別するため変更された。

ガズアル・グラウ / ガズエル・グラウ[編集]

諸元
ガズアル・グラウ / ガズエル・グラウ
GAZ-R GRAU / GAZ-L GRAU
型式番号 AMX-117RG(ガズアル)
AMX-117LG(ガズエル)
全高 19.0m
全備重量 80.8t
出力 2,130kW
武装 ビーム・サーベル×4
ヒート・ランス×1
ビーム・ライフル×1
シールド×1
六連装特殊ミサイルポッド×1
搭乗者 アンスガル・ゴロン(ガズアル)
クラース・バッケル(ガズエル)

宇宙世紀0092年を舞台とする漫画『機動戦士MOONガンダム』に登場[13]。メカニックデザインは形部一平[13]

第一次ネオ・ジオン抗争で本来のパイロットたちを失ったガズアル、ガズエルの改修機[13]。親衛隊機の特徴である装飾は撤去され、機体色もグレーに変更されている[13]。この変更にともない、ドイツ語で灰色を意味する「グラウ」の愛称が付けられる[13]。ネオ・ジオン初代総帥の警護任務のためアタラント3に配備されるが、パイロットは親衛隊所属ではないアンスガル・ゴロンとクラース・バッケルが務める[13]。配備後も実戦を交えた現地改修が行われ、本来とは異なる運用法が模索されていく[13]

独自の武装として、肩のスパイク部分を換装した六連装特殊ミサイルポッドを装備[13]。ポッド側面には索敵用のモノアイが追加され、装填されるミサイルはIC制御で時間差稼動する弾頭を採用している[13]。大型ビーム・サーベルは射撃機能を廃した代わりに、2基を連結することで双刀のビーム・ナギナタとして使用できる[13]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 型式番号の「11」は「ルナツー基地において開発されたことを意味する[4]
  2. ^ 『MS大全集』シリーズでもしばらく126,400kgと記載されていたが、2003年版で63,200kgに改訂された。
  3. ^ 『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』でのアストナージ・メドッソの発言より。

出典[編集]

  1. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2015』メディアワークス、2015年6月、303頁。(ISBN 978-4048650960)
  2. ^ a b c d e 『1/100 RMS-117 ガルバルディβ』バンダイ、1985年6月、組立説明書。
  3. ^ 『MJマテリアル 機動戦士Ζガンダムメカニック設定集&作例集』バンダイ、1985年6月、29頁。
  4. ^ 『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』大日本絵画、1986年3月、1988年12月(新装版)、151頁。(ISBN 978-4499205252)
  5. ^ a b c d e f g h 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、96頁。
  6. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、50-51頁。
  7. ^ 『データコレクション4 機動戦士Ζガンダム』メディアワークス、1997年6月、10頁。(ISBN 978-4073063025)
  8. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、36頁。(ISBN 978-4891890186)
  9. ^ a b c d 『プロジェクトファイル Ζガンダム』ソフトバンククリエイティブ、2016年9月、6-7頁。(ISBN 978-4797386998)
  10. ^ a b c 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、102頁。(ISBN 978-4891890186)
  11. ^ テレビ版第15話、第34話より。
  12. ^ 永野護『ファイブスター物語アウトライン』角川書店、2001年12月、104頁。(ISBN 978-4048534635)
  13. ^ a b c d e f g h i j 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA2018年1月、 68-69頁、 JAN 4910124011270。

関連項目[編集]