ガンダリウム合金

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ガンダリウム合金(ガンダリウムごうきん、Gundarium Alloy, Gundlium Amalgam)は、アニメ作品群『ガンダムシリーズ』のうち、宇宙世紀及び未来世紀アフターウォー の世界観を持つ作品に登場する架空の物質。主にモビルスーツなどの装甲材として用いられる。

宇宙世紀におけるガンダリウム合金[編集]

『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』などの舞台となる宇宙世紀におけるガンダリウム合金の英語表記はGundarium Alloyである。

ルナチタニウム合金[編集]

ルナチタニウム合金(ルナチタニウムごうきん、Luna-Titanium Alloy)は、正式な和文表記を「超硬合金ルナチタニウム[注 1]」といい、宇宙世紀0064年に開発されたチタンアルミニウム希土類金属などから構成される合金である。1981年当時、この「ルナチタニウム」は、「ガンダム」をはじめとするRXモビルスーツから宇宙空母「ホワイトベース」に至るまで、地球連邦軍のV作戦で生み出された新兵器全てに使われているとされており、また、装甲材質ではなく、機体を形作っている「材料」であるとされ、耐弾装甲に限らぬ構造材全般として使われていることになっていた。なお、「ルナチタニウム」という言葉はガンダムシリーズスタート当時からメディア上で存続している事実上の公式設定であるが、2016年現在でもアニメーションの劇中に登場したことは一度も無い。

(ルナ)で精製されるチタン(チタニウム)の合金であるところからその名が付いた。月面上という特殊な重力下で精製することにより従来のチタン系合金に加え、様々な特性を有する。なお、原材料が「希少」でかつ「加工が困難」であるがゆえに「量産にやや不向き」という設定は続編登場以降に追加された設定であり、第1作発表当時はそのように語られてはいなかった。

機動戦士ガンダム』において、地球連邦軍のV作戦で開発されたモビルスーツ、RX-78ガンダム、RX-77ガンキャノン、RX-75ガンタンク、及びホワイトベース級強襲揚陸艦の装甲材に採用された。また、RX-78ガンダムは機体本体だけでなく携帯するシールドも「ガンダムと同じ超硬合金ルナチタニウムでできて」おり、かつその量産機RGM-79ジムのシールドも「同じ」ものである[1]

アステロイド基地ルナ2で採掘されるものが特に高純度である[2]

RX-78ガンダムの装甲材として採用され、至近距離からのザクマシンガンでもびくともしない防御力の高さを見せた(RX-77ガンキャノンは、ジャイアントバズの直撃にさえ耐えている)[注 2]が、コストの問題によりガンダムの量産型であるジムには従来型のチタン系合金が採用されている。ただし陸戦型ジムの装甲はルナチタニウムである。ガンダムのシールドの表面にも使用されている。

一年戦争におけるRX-78ガンダムの戦果が喧伝された結果、『機動戦士Ζガンダム』の舞台であるグリプス戦役時には、この合金はガンダリウム合金と呼ばれるようになった。

備考
ジオン側での使用例もあり、ケンプファーのショットガンの弾体にルナチタニウムが使用されているという設定がある[3]。なお、グフ・カスタム及びグフ・フライトタイプをルナチタニウムであるという記述が1/144プラモデル説明書にあるが[4][5]、これは後にHGUC版で超硬スチール合金に修正されている[6]

ガンダリウムα[編集]

ガンダリウムα(ガンダリウムアルファ、Gundarium α)は、アクシズが開発したガンダリウム系合金3種類のうちの一つの合金である[7]。アクシズがルナチタニウム合金またはガンダリウム合金を再現した物である。前者の場合、ガンダリウムの名はアクシズによってつけられたものとされる。

ルナチタニウムとの区別は曖昧、もしくは全く同一とされていることが多いが、『アナハイム・ジャーナル』では、ルナチタニウムのうち、ガンダムらRXシリーズに採用された特に生産性の悪い種類を、後にガンダリウムαと呼び始めたとの記述がされている。

ガンダリウムβ[編集]

ガンダリウムβ(ガンダリウムベータ、Gundarium β)は、アクシズが開発したガンダリウム系合金3種類のうちの一つの合金である[7]。ガンダリウムαとガンダリウムγの中間にあたるものだが、β自体の特徴に触れている資料は皆無で、詳細は知られていない。

ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』の独自設定では、ティターンズの試作機ハーピュレイの装甲材を「ガンダリウム・ベータ級」だとしている。ただし『MISSION ΖΖ』では、ハーピュレイはチタン・セラミック複合材に改められている。

ムック『ガンダムMSヒストリカ Vol.4』には、ネモやマラサイなどの量産機はコストダウンのために、ガンダリウムγではなくβが使われた旨の記載がある(ただし同ムックのVol.3では理由は同様ながら、ネモはガンダリウムαとしている)。

ガンダリウムγ[編集]

宇宙世紀0087年のグリプス戦役では、ガンダリウムγ(ガンダリウムガンマ、Gundarium γ)が登場する。αに比べ、生産性、加工性に優れるとしている場合[注 3]が多いが、それに反するような資料もある[注 4]

元々は一年戦争終結後に小惑星アクシズに逃げ延びたジオン公国軍残党の研究者達が宇宙世紀0083年に開発した。アナハイム・エレクトロニクス社はアクシズ側との裏取引によりガンダリウムγの製造技術を入手し、リック・ディアスを始めとするエゥーゴの新型モビルスーツで採用した。耐久力に優れたこの新素材は第2期モビルスーツ以降のモビルスーツの基本装備となっていく。更にフレームの構造材に用いることにより、ムーバブルフレームの実用化に貢献し可変モビルスーツの開発が可能になった。

グリプス戦役開戦当時、エゥーゴと対立している地球連邦軍(ティターンズ)側はこの技術を知らなかった。ティターンズはガンダムMk-II強奪事件の後に、アナハイムがエゥーゴに協力している疑いを持った際、アナハイムはこれを晴らすためにマラサイをティターンズに無料供与するという行動を取った。アナハイムが製作したマラサイにはガンダリウムγが使用されており(稀に異説あり。下記参照)、その精製技術も同時にティターンズ側に渡ったとされる。その結果、グリプス戦役に登場する全ての陣営がガンダリウムγを採用したモビルスーツを運用することとなった。

技術の伝播についての異説[編集]

現在、広く知られているのは上記の通り、マラサイの譲渡の際に、ガンダリウム関連の技術もティターンズに渡ったとする設定[8]であるが、この経緯は明記されていない資料もある。さらに前述のようにマラサイはガンダリウムβとする設定や、1/144ネモ(旧キット)の解説書のように全く反する設定(ティターンズに譲渡されたマラサイは譲渡用にガンダリウム・アルファ系合金に変更されている)も存在しており、固定化されているというわけではないようである。

また、ガンダリウムγがαと比べて量産性に優れるかどうかは対立している資料があるため、グリプス戦役以降の単に『ガンダリウム合金』と書いてあるものがαかγかは判断できない状態である。特にガンダリウムαを採用したという設定が広く知られているネモは、通常はγだが初期型のみαであるという説も提示されている[注 5]

例外として『ガンダム・センチネル』ではアナハイム製のガンダムタイプが「ガンダリウムγコンポジット」とされているのに対し、他は量産機やガンダムMk-Vのような高級機まで全て「ガンダリウム・コンポジット」で統一されており、明確な区別が図られている。

なお、マラサイの譲渡より以前か、ほぼ同時期に開発されている連邦側の機体(ギャプラン[注 6]ザク・マリナー[注 7]ゼク・アイン[注 8]など)にも『ガンダリウム合金』が設定されているものがある。これらについての説明は十分とは言えない。

補足として、複数の資料にある『第二世代MS』の条件に「ガンダリウムγの使用」があるため、第二世代MSだと明記されている場合(この条件が遵守されているという前提で)全てγを使用していることになるが、この世代分けの定義じたいに曖昧な部分がある。たとえば上述の『MSヒストリカ Vol.4』では第二世代でも量産機はガンダリウムγではないとしている。

ガンダリウムエプシロン[編集]

エプシィガンダムの装甲材として設定されている、ガンダリウムγの改良型。この時点のガンダリウム合金で最高の特性を持ち、これによりエプシィガンダムの核融合パルス推進器「ブラッサム(ブロッサム)」は脆弱な構造ながら十分な強度を維持しているという[9][注 9]


その他[編集]

機動戦士ガンダムΖΖ』後半に登場するモビルスーツは装甲材が「ガンダリウム・コンポジット」と設定されているものがある。コンポジット複合材料か複合装甲の意と思われるが詳しい設定は作られていない(同時期に登場するリゲルグは「チタニウム・コンポジット」である)。またムック『ガンダム・センチネル』に掲載されたものは陣営や時期を問わず一様に「ガンダリウム・コンポジット」「ガンダリウムγコンポジット」であり、本書では単に表記の統一を図っただけとも取れる。

第一次ネオ・ジオン抗争までのMSは量産機を含めてほとんどがガンダリウムを使用しているが、0090年代の主力機であるジェガンギラ・ドーガ(及びギラ・ズール)は『チタン合金セラミック複合材』を使用している。書籍『総解説ガンダム辞典』では、チタン合金セラミック複合材の装甲も、ガンダリウムγからの派生技術でβ級の強度を得たと解説している[11]

モビルスーツの小型化が進んだ宇宙世紀0123年(『機動戦士ガンダムF91』)以降のモビルスーツの装甲素材は「ガンダリウム合金セラミック複合材」と設定されている。

さらに時代が進むにつれて「ガンダリウム合金ハイセラミック複合材」、「ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材」といった名称へと変遷している。

解説[編集]

アニメ本編ではモビルスーツの装甲素材の固有名「ルナ・チタニウム」は一切登場していない。

アニメ『機動戦士ガンダム』におけるRX-78ガンダムは当時のロボットアニメの主流だったスーパーロボット的な演出の名残により、ザクIIのマシンガン攻撃を一切受け付けない圧倒的防御力が描かれている。ルナ・チタニウム合金の名はガンダムによって生み出された「リアリティ重視のロボットアニメ」の風潮の中、主役ロボットだけが際立って強い根拠として、後付で設定された。ただ、設定の作成時期は番組放映当時であり、関連書籍のライターが創作したわけではない。また、『機動戦士ガンダム』の場合、装甲材の名前こそ登場しないが説明抜きにガンダムが撃たれ強かったわけではなく、ジオン軍パイロット=ジーンがガンダムの装甲の耐弾防御能力が桁外れに高いことをセリフで視聴者に説明している。

ガンダリウム合金の名称は、最初の続編である『機動戦士Ζガンダム』において、リック・ディアスの装甲材として、初めて登場した。この時に、同時に「かつてのRX-78ガンダムの装甲材にガンダリウム合金が使用されていた」という設定も公式に発表されている。アニメックなどのアニメ雑誌による富野由悠季へのインタビューにおいて、「ルナ・チタニウム=ガンダリウム合金と考えて良いか?」という編集の質問に対し肯定がなされたことで、ルナ・チタニウム=ガンダリウム合金という図式が成立した。

小説『機動戦士Ζガンダム』やバンダイ「エンターテイメントバイブル」シリーズ等は、RX-78の装甲材「ガンダリウム合金」をジオン残党アクシズが改良し、それをシャア・アズナブルが地球圏に持ち帰ってきたのがガンダリウムγ(ガンマ)、そしてその初の採用機がリック・ディアス(γガンダム)であるとしており、後に発行される『データコレクション』シリーズ(メディアワークス)等の紙媒体で、初代ガンダリウム合金(ガンダリウムα)はルナチタニウムの別名、新名であると明記される。

『機動戦士Ζガンダム』以降におけるガンダリウム合金は敵味方の全ての陣営のモビルスーツで採用される装甲材となっており、演出上も初期のRX-78のような際立った防御力を見せるものは少なくなった。

未来世紀におけるガンダリウム合金[編集]

機動武闘伝Gガンダム』の舞台となる「未来世紀」におけるガンダリム合金は、宇宙世紀のものと同名だが、正式名称はガンマ・ユニフィケイショナル・ディマリウム合金(Gamma Unificational Dimalium Amalgam)とされている[12]

元々は慣性制御装置の開発の過程で産出されたディマリウム合金をベースとしており、モビルファイター等に用いられる装甲ではレアメタルハイブリッド多層材(積層材とも)という素材の中で複数の性質を持つ層が状況に応じて現れ、状況や環境の変化に応じて性能が変化するものが用いられている。この装甲に用いられるディマリウムは人間の精神に反応して分子の振る舞いを変化させる性質までも持ち、感情に反応する事でその形状や色までも変化し、時には発光現象さえ引き起こす正に生きた金属とも言える素材である[12]

未来世紀のガンダムの意味の一つとして、このガンダリウム合金を用いたモビルスーツ(Gamma UNificational Dimalium Amalgam Mobile-suit)という定義がある[12]。また、この装甲材の万能な特性を研究して生まれたのがDG細胞(U細胞)である。DG細胞ではディマリウムの精神に反応する特性を利用し、機体の形状を変化させられるほか、その分子が生物の組織内に入り込み、形状を変化させる振る舞いさえ可能としている[12]

アフターウォーにおけるルナチタニウム合金[編集]

機動新世紀ガンダムX』の舞台となるアフターウォーに登場するガンダリウム合金は、宇宙世紀に登場する材質と同名だが、設定上の詳細は明らかにされていない。

設定上においては第7次宇宙戦争時代に開発された「ガンダム」タイプのモビルスーツ(ガンダムエックス、ガンダムレオパルド、ガンダムエアマスター)、およびそれらの発展型や改修機で採用が見られた[13]

SDガンダムにおけるギガンダリウム合金[編集]

SDガンダム作品群のうち、SDUC(SD宇宙世紀)を舞台とする『SDコマンド戦記』シリーズには、登場キャラクター(SDガンダム)の装甲は「ギガンダリウム合金」という合金からなるとされている。「ギガンダリウムα」や「ギガンダリウムΖ」、「ギガンダリウムΩ」といった派生型も存在するが、これらの合金に関する詳細な設定はなされていない。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『ポケット百科シリーズ ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』(講談社・1981)他、1979〜1981年発行の媒体で「ガンダム」の材質に言及したテキストは全てこの表記になっている。
  2. ^ ただし、作中においてはRX-78ガンダムがヒートロッドにより爪先部を切断、ヒートホークによって脇腹部を損傷する描写も見られた。同素材のシールドも、至近距離のマゼラトップ砲射撃によって爆砕している。また、対ジオング戦ではビーム砲火の直撃によって機体各部を徐々に損壊していき、最終的には大破に至っている。
  3. ^ 『データコレクション 機動戦士Ζガンダム 上巻』や、『アナハイム・ジャーナル』など。小説版『機動戦士Ζガンダム』にも量産技術を含む改良が行われた旨の記述がある。
  4. ^ プラモデル1/144ネモ(旧キット)の説明書には大量生産用にαを採用したとあり、講談社『ガンダムMSヒストリカ Vol.3』でも同様の記述がある。
  5. ^ 『ガンダムパーフェクトファイル』Vol.13。ただし本書ではネモがαを採用した理由は未提示。
  6. ^ ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』では0087年3月の時点でギャプランの改造型である[フライルー]が存在している。なお『データコレクション』ではギャプランをチタン合金としているが、他の資料ではガンダリウム合金である。また『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』40ページでは、ギャプランはガンダリウムγをフレームに使用することで変形機構を実現したと明記されている。
  7. ^ ザク・マリナーはジャブロー工廠開発のため、ジャブローが失われるグリプス戦役前半の時点で存在していると考えられる。『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』では0087年4月の時点で新型として配備されているが、この時点ではガンダリウムではなかったらしく、7月に一部装甲がガンダリウムに換装されている。よって本機については作中の記述で説明がつく。
  8. ^ ゼク・アインはグリプス戦役開戦前に完成している。ただし本機は『センチネル』のスペック表からガンダリウムγではないと判断できる。
  9. ^ しかしながら、後続の書籍においてはエプシィガンダムの装甲はガンダリウム・ガンマに改められており、エプシロンも「ブロッサム」用に開発中の段階であるとしている[10]

出典[編集]

  1. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ ロボット大全集[1]機動戦士ガンダム』(講談社・1981)。
  2. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション(3)連邦軍編』講談社、1984
  3. ^ 『1/144 ケンプファー』バンダイ、1989年7月、組立説明書。
  4. ^ 『HG 1/144 グフカスタム』バンダイ、1998年6月、組立説明書。
  5. ^ 『HG 1/144 グフ・フライトタイプ』バンダイ、1998年7月、組立説明書。
  6. ^ 『HGUC 1/144 グフカスタム』バンダイ、2010年11月、組立説明書。
  7. ^ a b 『HGUC 1/144 リック・ディアス』バンダイ、2002年6月、組立説明書。
  8. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』など。
  9. ^ 『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』大日本絵画、1986年3月、1988年12月(新装版)、29頁。(ISBN 978-4499205252)
  10. ^ 『ガンダムウォーズII ミッションダブルゼータ/パーフェクトモデリングマニュアル』大日本絵画、1987年2月、18-20頁。(ISBN 978-4499205269)
  11. ^ 皆川有伽『総解説ガンダム辞典Ver1.5』講談社、2009年8月、87頁、ISBN 978-4063757958
  12. ^ a b c d 『機動武闘伝Gガンダム大図鑑』メディアワークス、1995年7月、38-43頁、および62-63頁。ISBN 978-4073031666
  13. ^ 『機動戦士ガンダム MS大全集2015』メディアワークス、2015年6月発売、447-450頁。(ISBN 978-4048650960)

関連項目[編集]