マスターガンダム

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マスターガンダムは、テレビアニメ機動武闘伝Gガンダム』に登場する架空の兵器。

第13回ガンダムファイト東方不敗マスター・アジアが搭乗するネオホンコン代表モビルファイター (MF)(大会登録番号:GF13-001NHII 〈注:番号末尾の「II」はローマ数字の2である〉)。

メカニックデザインカトキハジメが担当。

本項では、マスターガンダムが騎乗するモビルホース(馬型MF)「風雲再起」(ふううんさいき)の解説も行う。

デザイン[編集]

本編準備稿段階の仮名称は、「中堅幹部ガンダム」であった[要出典]。黒いボディに2本の特徴的な角と、監督の今川お気に入りの『鉄人28号』に登場したブラックオックスの意匠が組み込まれている[要出典]。なお、デビルガンダムの一部として繰り出されるガンダムヘッドは、マスターガンダムの頭部から2本角を取り去った状態と共通の意匠をもっている[要出典]

デザインはカトキハジメが行ったが『機動警察パトレイバー』に登場するグリフォンに類似したデザインになってしまったため、カトキはグリフォンのデザインを行った出渕裕に確認を取っている[1]

バンダイからプラモデル化される際、設計担当者がシールドの変形ギミック(ウイング状態からマント形態へ)に悩んでいた所、カトキハジメが「こうすれば変形できますよ」と描いた図案を元に設計したら難なく変形できたという逸話がある[要出典]。このことが後にガンプラの「マスターグレード(MG)」シリーズなどのデザインにカトキが起用される一因となっている[要出典]

MG(1/100)
新たな画稿は起こされず、アニメ用の設定画をそのまま使用している[要出典]
アクション重視のため、シールドは小さく造形されウイング状態のみとなり、変形機構はオミットされた。その代わり、旧1/100シリーズのプラモデルのシールドパーツがそのまま流用できるようになっており、これを利用すればシールドの展開状態(マント形態)を再現出来る[要出典]
ダークネスフィンガーの再現パーツが両手分付属するほか、ダークネスフィンガーとゴッドフィンガーの対決シーンを再現するパーツが付属しており、このパーツをMGのマスターガンダムやゴッドガンダムに装備することで必殺技同士の激突シーンを再現できる。
HGFC(1/144)
初キット化となる[要出典]風雲再起とのセット品。
シールドは、アクション用と展開状態の2種類が用意されている。展開状態は左側だけシールドが可動し、劇中の左腕をマントから出した状態を再現することができる。また握り拳以外にもダークネスフィンガーと石破天驚拳を再現するパーツがそれぞれ付属している。
風雲再起は背中のパーツを外すとHG用のアクションベースと同じ穴が用意されているため、マスターガンダムだけでなく対応したモビルスーツも騎乗できるが、股部分の形状によっては不可能な場合がある[要出典]
アクション用のシールドの角度やポーズによっては自立できなくなるため、補助スタンドが付属している。風雲再起にも補助スタンドが付属しているが、4本足でも自立することができる[要出典]

機体解説[編集]

諸元
マスターガンダム
Master Gundam
登録番号 GF13-001NHII
所属 ネオホンコン
開発 不明
全高 16.7m
重量 7.2t
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
レアメタル・ハイブリッド多層材
DG細胞
武装 マスタークロス
ディスタントクラッシャー
ニアクラッシャー
アビリティレベル 力 : 30.22(24.11)ポイント
速さ : 27.86(47.31)ポイント
攻撃力 : 34.65(53.17)ポイント
守備力 : 31.52(25.02)ポイント
索敵能力 : 28.87(28.87)ポイント
適応能力 : 29.99(29.99)ポイント
TOTAL : 183.22(208.53)ポイント

()内はアタックモードの数値[注 1]

必殺技 ダークネスフィンガー
ダークネスショット
酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ
十二王方牌大車併
超級覇王電影弾
帰山笑紅塵
石破天驚拳 他
搭乗者 東方不敗マスター・アジア

ネオホンコン製の最新鋭MFであり、クーロンガンダムの発展改良型。機体はDG細胞で構成されており、クーロンガンダムへの偽装を可能としている[4][注 2]。機体はDG細胞で構成されているが、マスター・アジアの強靭な精神力によって完全に制御されているため、自己増殖と自己進化は行われず、自己再生のみにその能力が使用されている[5]

ガンダムファイトでの手続き上は、ネオホンコン代表ファイターであるマスター・アジアがクーロンガンダムから乗り換えた機体とされている[5]。デビルガンダム軍団に所属するデビルガンダム四天王の機体で、四機のガンダムの中ではリーダーとして扱われる[6]

ファイティングスーツ[編集]

一般的にガンダムファイターはMF搭乗時、ファイティングスーツと呼ばれるナノマシンが織り込まれた素材で作られた専用パイロットスーツを装着するが、マスター・アジアは自身の嗜好により、初期のガンダムファイトで使用されていた通常の服にファイティングスーツの機能が組み込まれたものを着用している。初期の技術とはいえ彼の動きを完璧に機体へトレースされており、各国の査察団による検査でもレギュレーション違反の疑いは皆無だった[5]。なお、コミックボンボンで連載されていた漫画版では、自身の服装を模したファイティングスーツを着用。

各形態[編集]

背部シールドをマントのように覆うことでノーマルモードとなる。これを展開した状態はアタックモードと呼ばれ、シャイニングガンダムのスーパーモードのように機体をパワーアップさせる[6]

武装・装備[編集]

ダークネスショット
左右の掌底部分に5門ずつ、計10門が内蔵されている。
マスタークロス
ビームで生成された伸縮・硬軟自在の布状の武器。ビームサーベルと同等の切断能力を有するほか、捻って棒状にしたり、相手を絡めとることもできる。モビルトレースシステムによって、コクピット内のマスター・アジアの腰布と連動する[7]
ニアクラッシャー
肘から先を伸縮させて瞬間的にリーチを伸ばして叩き込む。マスターガンダム指部の先端は鋭利となっており、これで突き刺すことも可能[6]
ディスタントクラッシャー
肘から先を射出し、ビームワイヤーによる有線制御を行う[6]。射出後は引き戻して回収・再接続できる。
大型スタビライザー[注 3]
背面に2基装備された装備。マント状に展開して全身を覆ったノーマルモードでは敵の攻撃を受け流すシールドとなる[6]。ウイングとして背中に折り畳んだアタックモードの際は機体を飛翔させるウイングとして機能する[5]

必殺技[編集]

流派東方不敗を参照。

劇中での活躍[編集]

第13回ガンダムファイトにおけるサバイバルイレブンの期間中、東京の旧新宿地区で始めて姿を現す。その後はクーロンガンダムに擬態してドモン・カッシュを引き入れるために近づくが、レイン・ミカムラに妨害され本性を現す。以降はドモンを始めとする新生シャッフル同盟の前に強敵として何度も立ちはだかる。ギアナ高地でのシャイニングガンダムとの戦いでは、ドモンが明鏡止水を会得したことで敗北を喫する。

決勝大会ではマスター・アジアが前回優勝のシード選手として最終バトルロイヤル進出を決めていたため、本機がリーグ戦に現れることはなかったが、デビルガンダムの暴走で出現したガンダムヘッドを掃討するため出撃することもあった。バトルロイヤル最終盤にゴッドガンダムとガンダムファイト史上に残る激闘を繰り広げ、石破天驚拳の壮絶な打ち合いの末、石破天驚ゴッドフィンガーを受けて破壊される。

コミカライズ『超級!機動武闘伝Gガンダム』では、アニメ本編とは違い、ギアナ高地に登場した際はネオホンコンにいたマスター・アジアの遠隔操作であったとされている。このシステムはマスターガンダムの頭部とそっくりの意匠のヘルメットを被って操作する仕組みで、実際の格闘よりも疲れる、システムが不完全で、肝心なときにタイムラグが出る可能性をネオホンコン首相のウォン・ユンファが指摘しており、それによって不覚を取ったとされた。

マスターガンダム(レプリカ)[編集]

ゲーム『スーパーロボット大戦R』に登場。

ゲーム中、『Gガンダム』は原作終了後の扱いでデビルガンダム事件は解決し(とある事情でデビルガンダムは復活)、マスター・アジアも死亡したことになっているため、オリジナルのマスターガンダムは存在しない。復活したマスター・アジアの搭乗機としてレインが新たに用意した機体が本機である。

武装や外観はオリジナルの機体とほぼ同じで、気力が高まると機体が金色に光り輝く能力も再現されている。しかしDG細胞で構築された機体ではないため自己修復能力を持たず、性能も劣るとレインは語るが、マスター・アジアは自身の腕で性能低下をカバーするとし、オリジナル機に引けを取らない戦闘能力を発揮する。

クーロンガンダム[編集]

諸元
クーロンガンダム
Kowloon Gundam
登録番号 GF12-035NH(第12回大会)
GF13-001NH(第13回大会)
所属 ネオホンコン
頭頂高 16.7m
重量 7.2t
装甲材質 ガンダリウム合金スーパーセラミック複合材
レアメタルハイブリッド多層材
武装 クーロンクロス
マシンキャノン
必殺技 超級覇王電影弾
搭乗者 東方不敗マスター・アジア

第12回大会でネオホンコン代表として出場し、第9・10・11回大会で三連覇を果たしたブリテンガンダムを破り優勝した機体。マスター・アジアがかつて搭乗したシャッフル・ハートの残骸から組み上げられた機体といわれている。ブリテンガンダムの実績により、ガンダムファイトが火器による戦闘へと傾倒しつつあったために、その流れを変える目的でシャッフル同盟が送り込んだ機体でもある。

マスター・アジアの動きを完全にトレースした格闘技(流派・東方不敗)を基本戦闘スタイルとしており、第12回大会での優勝によってガンダムファイトに正統派格闘技の旋風を巻き起こした名機でもある。マシンキャノンも装備しているが、本編では使われたことはない。

第13回大会でも引き続き使用されており、ネオ新宿ではデスアーミー軍団を相手にマスター・アジアの弟子ドモン・カッシュが駆るシャイニングガンダムと共闘した。その能力は第13回大会の新鋭機と比較しても遜色のないものである。その後、マスター・アジアはマスターガンダムに乗り換えているが、マスターガンダムはクーロンガンダムがDG細胞によって変異した機体といわれている。

英語版では名称がHaow Gundam(ハオウガンダム)に変更されている。

風雲再起[編集]

マスターガンダムの馬型サポートメカで、モビルホースと呼ばれる[8]。主な武器は頭部の角「ユニコーン・ホーン」[8]

マスターガンダムの移動用に開発された[8]とする資料と、第12回ガンダムファイト優勝賞品としてマスター・アジアに与えられたものとする資料が存在する[7]。パイロットはマスター・アジアの愛馬である風雲再起自身[7]で、人間同様にファイティングスーツを着込みモビルトレースシステムにて操縦する。。

台座形態(ペデスタルモード)への変形が可能であり、背中にMF1機を乗せての大気圏飛行・成層圏離脱も可能[7]。手綱はビーム式で、ボルトガンダムのグラビトンハンマーなどに用いられる技術と同様のものを使用している[7]

作中の活躍
ネオホンコンに向かう途中のゴッドガンダムをマスター以外の四天王機と共に襲撃した際に初登場。ガンダムファイトでは姿を見せなかったが、ガンダムヘッドとの戦闘では、マスターをサポートしながら交戦した。
マスター・アジアの死後、風雲再起がドモン・カッシュの愛馬となったことで、機体の方の風雲再起もドモンの搭乗するゴッドガンダムのサポートを行う。ウォルターガンダムを文字通り一蹴した後、ゴッドガンダムと共にネオジャパンコロニーに向かう。デビルコロニー戦では捕獲されてしまい内部に同行できなかったが、戦い終えた後にゴッドガンダムを乗せて凱旋した。
本編以外では、『∀ガンダム』の終盤にて封印から解かれた冬の宮殿の黒歴史のデータベースの中に、本機とネーデルガンダムの設計図が一瞬登場する。また、『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』にてロウ・ギュールが持っていた湯呑みに「風雲再起」の文字が書かれている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 各アビリティの日語訳は、『1/144 マスターガンダム』の組立説明書、数値は商品パッケージを参照[2]、尚、TOTALを除いた数値は『オールガンダム最新プラモ大図鑑 Wガンダム・Gガンダム・BB戦士』にも記載される[3]
  2. ^ 一方で、マスターガンダムの原型をマスター・アジアのかつての乗機「シャッフルハート」とし、マスターがデビルガンダムから受け取った地球再生の意思をもとにクーロンガンダムとシャッフルハートを融合させ、DG細胞の効果によって姿を固定させた機体こそがマスターガンダムであるとした資料も存在する[5]
  3. ^ 同部位をウイングシールドと呼称した資料も存在する[5]

出典[編集]

  1. ^ 市川大賀 (2021年11月2日). “出渕裕ロングインタビュー5 出渕裕とガンダムΖΖと小林誠と”. 2022年4月4日閲覧。
  2. ^ 『1/144 マスターガンダム』バンダイ、1994年8月、商品パッケージ・組立説明書。
  3. ^ 『オールガンダム最新プラモ大図鑑 Wガンダム・Gガンダム・BB戦士』講談社、1995年7月、80-81頁。ISBN 4061032984
  4. ^ 『電撃データコレクション 機動武闘伝Gガンダム』メディアワークス、2000年5月、44-45頁、ISBN 978-4840215763
  5. ^ a b c d e f 『MG 1/100 マスターガンダム』バンダイ、2002年3月、組立説明書。
  6. ^ a b c d e 『HG 1/100 マスターガンダム』バンダイ、1994年8月、組立説明書。
  7. ^ a b c d e 『HGFC 1/144 マスターガンダム&風雲再起』バンダイ、2011年8月、組立説明書。
  8. ^ a b c 『電撃データコレクション 機動武闘伝Gガンダム』メディアワークス、2000年5月、46頁、ISBN 978-4840215763

関連項目[編集]