ニューエイジ

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ニューエイジ(New Age)とは、字義どおりには「新しい時代」であるが、神智学を淵源として1960年代アメリカ合衆国西海岸を中心地とした(霊性スピリチュアリティ)の進化論を唱えた思想のこと[1]。旧来の物質文明が終焉を迎え、新たな霊的文明が勃興するという「霊的革命論」をその根幹とし、ヒッピーと呼ばれた若者の間で流行した[1]。ニューエイジ思想の運動は、ニューエイジ・ムーブメント New Age movement・ニューエイジ運動、NAMという[2]。日本では精神世界の名で広まり[3]、その後「スピリチュアル」と呼ばれるものにほぼ受けつがれた[4]

歴史[編集]

60年代のカウンターカルチャーをその直接の起源とする。ロックバンドのビートルズや、アップル創業者スティーブ・ジョブズなども、ヒッピー・ムーブメントにコミットし、米国で活躍したインド人マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは「超越瞑想」を創始しニューエイジの牽引者の一人となった[1]。人類学者カルロス・カスタネダドラッグを通じて異次元の世界を体験する著作を刊行したり、ハーバード大学心理学部教授のラム・ダスヨーガを紹介した書物『ビー・ヒア・ナウ』(1971)を発表し、「ヒッピーの聖典」として世界的なベストセラーとなった[1]

ジョン・デンバー

1976年、シンガーソングライタージョン・デンバーコロラド州スノーマス近郊にニューエイジ・コミューン(New Age Commune、ニューエイジ村)を作り、合気道によって宇宙精神と合致することを目指したり、ピラミッドのなかで瞑想を行い、将来自分が大統領になることなどを信じて、生活をした[2]。またウィラード・ガーベイもバックミンスター・フラー型のピラミッドを建設し、これはニューエイジ精神を体現すべく設計されたものであった[2]

本山美彦は、ニューエイジ・ムーブメントは「新時代運動」ではなく、「維新運動」として理解されるべきものであり、「この運動は、西欧中心史観を反省し、非西欧的な思考と行動様式を取り入れようとしたものである。しかも、非西欧的なものを単純に、神秘主義的に、あるいは、オカルト的に模倣するのではなく、そこに現代科学の目を通して、自分のものにして、旧い西欧を新しい社会に適合できる「現象的、精神的、思想的、社会学的重点移動」を実現させる「信仰的社会的運動」として定義している[2]


ニューエイジ思想は、1970年代以降、日本にも流入し、新宗教オカルト・ブーム、また阿含宗桐山靖雄、宗教学者の中沢新一オウム真理教麻原彰晃に影響を与えた[1]

ニューエイジ思想では、霊性を進化させて物質文明から精神文明への転換を起こすことが主唱されて、現在の物質文明は破局を迎えるという終末論にも近づいた[1]

啓示に基づく宗教という側面[編集]

ニューエイジでは、高次の的存在・宇宙人・死者などの超越的・常識を超えた存在、通常の精神(自己)に由来しない源泉との交信が可能であると信じられ、その交信、交信による情報の伝達は「チャネリング」と呼ばれた[5]。チャネリングを行う人はチャネル、チャネラーと呼ばれる。交信対象は、しばしば「エンティティ」と呼ばれ、「存在」とも訳される。宇宙存在、宇宙人とも呼ばれることがあるが、肉体を持っているとは限らないとされる。チャネリングの方法は憑依による口述、自動筆記などがあり、トランス状態で行われる場合や、チャネルが意識のある状態でメッセージを聞き取るような、トランス状態ではないと思われる場合もあり[6]、方法、内実ともに多様である。

根本的なニューエイジ信条の多くは、まずチャネルされたメッセージとして定式化されており、チャネリングはニューエイジ宗教の生成において決定的な重要性を持っていた[6]。オランダの西洋エソテリシズム研究者ヴァウター・ハーネフラーフ英語版は、ほとんどのニューエイジャーは、霊的権威の信頼できる唯一の源泉は「自分自身の内的自己」であるとみなすものの、ニューエイジ運動はかなりの程度において「啓示に基づく宗教」(Offenbarungsreligion)と性格づけることが可能であるとしている[6]

帝京大学の進藤英樹は、ニューエイジ宗教の中心となる啓示の大部分は、チャネルになることを学んだのではない生来のチャネルによって作られており、こうした啓示の場合、チャネリングの過程は、たいてい霊媒の不意を襲うような形で、自然発生的に開始すると指摘している[6]。そして、このようなチャネリングは、多く意図的なチャネリングに発展・移行するが、コントロールできないままのこともある[6]

ニューエイジを牽引した団体として、1960年代にスコットランド北部フィドホーン英語版に設立され、ディーヴァと呼ぶ不可視の存在のアドバイスを得て農業を行っていたというフィドホーン・サークル(現フィドホーン財団英語版)がある。ニューエイジで支持を集めたチャネルとして、ジェーン・ロバーツ英語版(1929年 – 1984年)、ジュディス・ゼブラ・ナイト英語版(1946年 - )、ケビン・ライアーソン、ジャック・パーセルなどがいる。

キリスト教からの批判[編集]

キリスト教の中からニューエイジに対する批判がなされている。

プロテスタントでは、ルーテル教会マリア福音姉妹会の『偽りのメシア運動』、水草修治 著『ニューエイジの罠』、尾形守著『ニューエイジムーブメントの危険』、奥山実著『悪霊を追い出せ!』等による批判があり、ローマ・カトリック教会は教皇庁文化評議会著、教皇庁諸宗教対話評議会による『ニューエイジについてのキリスト教的考察』を出している。

水草修治はニューエイジと聖書的キリスト教の相違は「人間中心」のニューエイジと「神中心」のキリスト教にあるとし、キリスト教は神の栄光をあらわすことを目的としているのに対し、ニューエイジにおいては人間が自己実現することが究極の目的であると指摘する[7]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f 大田俊寛「高橋克也被告裁判・証言草稿──地下鉄サリン事件20年に際して 2」 2015.03.18 SYNODOS
  2. ^ a b c d 本山美彦「ネオコンの源流「ニューエイジャー」とピラミッド」經濟論叢177:3、京都大學經濟學會2006
  3. ^ 島薗 2007a, p. 47.
  4. ^ 有元裕美子 著 『スピリチュアル市場の研究: データで読む急拡大マーケットの真実』 東洋経済新報社 2011年
  5. ^ 羽仁礼 著 『超常現象大事典―永久保存版』 成甲書房、2001年
  6. ^ a b c d e 進藤英樹 「ニューエイジとエソテリシズム(1)ハーネフラーフの『ニューエイジ宗教と西洋文化』」 帝京大学外国語外国文学論集 (15), 65-98, 2009
  7. ^ 水草(1995) p.57

参考文献[編集]

関連文献[編集]

  • C+Fコミュニケーションズ編著 『ニューエイジ・ブック 新しい時代を読みとる42のニュー・パラダイム』 日本実業出版社、1987年5月。ISBN 4-89376-001-7
  • シャーリー・マクレーン 『ダンシング・イン・ザ・ライト 永遠の私を探して』 山川紘矢・亜希子訳、地湧社、1987年3月。ISBN 4-88503-050-5

関連項目[編集]

外部リンク[編集]