パワースポット

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パワースポットpower spot)とは、地球に点在する特別な“”のこと[1]エネルギースポット気場とも言う。

概説[編集]

『世界のパワースポット: 癒しと自分回復の旅ガイド』という本では、パワースポットには人を癒すとされる水があったり、人に語りかけるとされる岩があったり、あるいは磁力を発する断層があったりすると解説されている[2]

欧米ではボルテックス、vortex、ヴォルテックス(渦巻き)の噴出する地、という概念が有る。セドナなどが有名である。

荒俣宏は、「パワースポットは大地の力()がみなぎる場所と考えればよい」と述べ[3]、そもそもパワースポットという言葉こそは新しいが、昔から大地の力を得ようとする試みはあった、と指摘する[3]。荒俣は日本で言えば「熊野三山詣で」がとても古い事例であると説明する[3]。荒俣は、本来なら厳しい修験を行ってはじめて得られる力を、その場所に詣でるだけで得られる、身分性別を問わず得られる、という画期的なものであった[3]とし、ただし何の宣伝もなしに人を集められるわけではなかったので言い伝えが用いられた[3]。同様に伊勢神宮にお参りする「お伊勢参り」でも「修験者しか得られないパワーを性別身分を問わず得られる」と宣伝した、と説明する[3]

All Aboutでは、パワースポットやスピリチュアルスポットなどと呼ばれるようにもなった場所も、本来は信仰の場であって自然崇拝が行われていた場であったところが多い、とされている[4]。 そういう場所は伝統的に霊場とか聖地sacred placeなどの呼称で呼ばれていた。

宗教学的な見地からは、ミルチア・エリアーデは、自然に対する信仰のうち、山、岩などは天上・地上・地下を結ぶ宇宙軸を、大地や水などは再生を象徴するもので世俗生活の根底にあり、それを支える世界観の重要な部分をなしていると分析した[5]。(→#歴史)

荒俣は「パワースポットでは自分なりに大地のを感じることが大切だ」とする[3]。 ただし、パワースポットを巡って何かと批判も多い(後述)。 →#批判

歴史[編集]

荒俣宏は、昔から大地の力を得ようとする試みはあった、と指摘している[3]。All aboutでもパワースポットやスピリチュアルスポットなどと呼ばれるようにもなった場所も、本来は信仰の場であって自然崇拝が行われていた場であった、と説明されている[6]

自然崇拝においては風・雷・雲などのほかに、大地なども崇拝の対象とされている[7]。地上の場に関しては特に農耕民族ではそうである[8]。山は神聖な場所と見なされ、神霊のすみかと見なされたり同時に死者の国と見なされることが少なくない[9]。日本では富士山英彦山白山などの形状が秀麗な山や、雨を降らせると見なされている山(雨降山)、特異な形状や温泉・池などが認められる山などが、古くからそして現在でも崇拝されている[10]山岳信仰)。の神聖視は特に北米のインディアンの諸族に見られ、水の精や水神が住むところだとされ伝説神話が数多くある[11]

日本では、1975年以降に、超能力者を称する清田益章が「大地のエネルギーを取り入れる場所」として「パワースポット」という語を使用し、1990年代前半から、その言葉がひろまった。[12]

2000年代に入ると、大衆向け風水やスピリチュアリズムに対する人々興味が高まった。また神社仏閣などを巡る聖地巡礼ブームが起きた。江原啓之は神社仏閣を「スピリチュアル・サンクチュアリ」呼んでいる。[13]

2010年8月にはYOMIURI ONLINEで、「特別な力が得られる場所として、日本の全国各地で「パワースポット」と呼ばれる神社や山岳に人気が集まっている。」とされた。2010年9月23日にはNHKハイビジョンで『くまもとの風、大地と天空のミステリー くまもとパワースポット大紀行』番組が放送された[14]

パワースポットへ出かける目的[編集]

荒俣は、パワースポットで何を感じるかは人により様々だとする[3]。そこにある自然を通して癒しを求めるのも、やる気を得るのでも、感じ方は人それぞれであると述べている[3]

様々な説明[編集]

パワースポットについての説明は様々である。

風水[編集]

小林祥晃は、「大地のスーパー・パワー」を題材にしたテレビ番組において、初めて風水にパワースポットという語を使用した、と述べた[15]李家幽竹は、パワースポットは20年ごとにの流れが変わり場所も変動するが神社仏閣は気を長期間留める特殊な建築法をしているのだ、とした[16]。また、パワースポットとみなされるのは神社が圧倒的に多く仏閣は少ないが、これについて若月佑輝郎は、仏閣は人々の悩みや悲しみが集まるためパワーが劣るのだと語った[17]小林祥晃は、繁華街もパワースポットであり、パワーに惹かれて人が集まった結果であるとした[18]御堂龍児は、「(風水における龍穴は)"超能力者や気功をやっている人"が言うパワースポットは別物である」と述べた[19]

科学風の用語を用いた説明[編集]

地磁気が強い場所ほどパワーが強いとして、携帯型ガウスメーターでパワースポットの地磁気を計測することはしばしば行なわれる[20]

佐々木茂美は、地磁気が打ち消しあう場所で「ゼロ磁場」なる状態が発生し、そこに「五次元宇宙」からのエネルギーがもたらされると主張した[21]伊那市の公式ホームページでは「中国湖北省蓮花山のゼロ磁場を発見した有名な気功師 張志祥により、分杭峠のゼロ磁場が発見されました」としている[22]若月祐輝郎は、「断層がぶつかり合うと大気中に電磁波が放出され、それを浴びることにより「暗在系」なる世界からのエネルギーがもたらされる」とした[23]


また、楢崎皐月[24][25]が『静電三法』[26]で土壌中の電位差によって土地自体が持つパワーがあるとし、プラスのエネルギーを持つ「イヤシロチ(弥盛地)」とマイナスのエネルギーを持つ「ケガレチ(気枯地)」が存在するとし、ケガレチであっても土壌中に木炭を埋設すればイヤシロチに変えられると記述した[27]。これは後に船井幸雄らが継承し主張した[28]。船井幸雄は「イヤシロチ」にいると筋肉が柔らかくなるので、前屈をしてみればイヤシロチかどうかが分かると主張している[29]。この説はそのまま『水琴の音で、パワースポットをあなたの部屋に』という本のパワースポットの説明に取り入れられている[30]

世界のパワースポット[編集]

セドナはページ・ブライアントなる霊能者がパワーがのように吹き出ている「ボルテックス」なる場所があると言っており[31]、スピリチュアリストの聖地の観を呈し、多くの観光客が訪れている。

荒俣宏は世界のパワースポットと言われている場所は国定公園世界遺産になっている場所が多いと説明する[3]。荒俣はお奨めの世界的パワースポットとして、ギアナ高地、フィリピンのボホール島チョコレート・ヒルズ、日本のフォッサマグナ中央構造線)を挙げる[3]

日本のパワースポット[編集]

読売新聞の記者は「富士山伊勢神宮、京都府の鞍馬山などの人気が高い」とした。

小野は(築地本願寺などを設計した)伊東忠太によって設計された建物群は新しいパワースポットとして注目を集めていると説明した[3]

批判[編集]

信仰の伴わない訪問に対する批判[編集]

江原啓之はブームの加熱ぶりを視野に入れつつ、ブームに乗ってへの畏敬の念を持たずに「スタンプラリーのように」パワースポット巡りをする行いについては批判した[33]

2010年8月20日の読売新聞 YOMIURI ONLINEの記者は、出雲市佐田町にある須佐神社神職が「数年前まで年間1、2万人だった参拝客が、今では10万人はいるのでは」と話しながらも「携帯のカメラで大杉を撮影するのに夢中で、鳥居本殿は素通り。神社お参りするところなのに」と困惑した、と伝えた。

毎日新聞の記者は、既存の宗教界からは、参拝者が増加していることに肯定的な評価と、オカルト信仰などにつながりかねないと危惧する声もある、とした[34]。同記者は鞍馬山博物館の学芸員が「最初は戸惑いもあったが、いろいろな信仰の形があっていい。本堂の前だし比叡山も眺望でき、心が落ち着く根拠はある。信仰の世界に目を向ける人が増えるのはいいこと」としつつ「パワーをもらうだけでは終わらず、人に親切にするなど、仏の心に気付いてほしい」と述べたという[34]

神道側からの批判[編集]

神社新報は論説において、昨今の「パワースポット・ブーム」などを根柢から否定するつもりはないとしつつも、神社の教化活動の主な目標は、単なる俗的な御利益信仰および特定神社の宣布ではなく、「より広い御神威の発揚と御神徳の昂揚」であるとし[35]、宗教施設の関係者が高名な有識者に対し、自分の施設をパワースポットであると紹介するよう依頼する事例があるとの風聞に対しては「宗教者自身の資質にも関わる」としてこれを批判。「いたづらに流行に飛びつかうといふ姿勢は慎むべきである」「話題作りのために、安易に伝統を破壊するやうな行為だけは、厳に慎んでもらひたい。」とした[36]

また神社新報は論説において、「パワー」を求めて神社にやってくる人々に対しては、神前での拝礼の重要性、神社の由来、神徳を説くことが必要であり、「パワースポット」とされることが当該神社に相応しいかを考えるための情報提供をすること、神社の伝統的な信仰を蔑ろにするような「パワースポット」化をどのように駆逐するかを考えることを神社人の責務であると述べている[36]

平成23年11月21日付の神社新報の論説においても、パワースポット・ブームは「神社が影響され本姿からの逸脱を招きかねないやうな事例」とされ、神社本来の信仰と関連づけられないまま、流れに動かされるような新たな形態のみで信仰が完結してしまう事態への懸念が表明された[37]

その他の批判[編集]

大槻義彦は2010年4月自分のブログで、自然の中でまれには特殊な場所、特殊な時間というものもあることはある、例えば、超低周波(音波)が発生する場所や集中する場所、また電磁波も集中しやすい場所がある、という点についてテレビ番組でコメントしたと書いた[38]。また大槻は同ブログでパワースポットなるものは何の根拠もなくはなからデタラメであるとし、その目的は観光や人集めそれに絡んだお金儲けでしょう、とした[38]。 また大槻は2010年10月同ブログで、日本放送協会がパワースポットを番組で取り上げることを批判した[39]

脚注[編集]

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  1. ^ ヴォイス『世界のパワースポット: 癒しと自分回復の旅ガイド』
  2. ^ ヴォイス『世界のパワースポット: 癒しと自分回復の旅ガイド』2001、ISBN-10 4899760167
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 小野十傳 『パワースポットめぐり: ココロもカラダも元気になる癒しの聖地へ』 学研パブリッシング、2010年、pp.92-95。
  4. ^ All About「パワースポット」2010年11月4日閲覧
  5. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  6. ^ All About「パワースポット」2010年11月4日閲覧
  7. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  8. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  9. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  10. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  11. ^ 『宗教学辞典』東京大学出版会 1973、p.234-237「自然崇拝」
  12. ^ 『発見!パワースポット』、清田益章太田出版、1991年
  13. ^ 「江原啓之神紀行」シリーズ、マガジンハウス、2005年-2007年
  14. ^ 2010年10月18日(NHKワールドプレミアム)再放送。
  15. ^ 『Dr.コパのまるごと風水事典』、小林祥晃廣済堂出版、1999年
  16. ^ 『絶対、運が良くなる旅行風水』(ダイヤモンド社 2003年)
  17. ^ 『日本全国このパワースポットがすごい!』(PHP研究所 2010)
  18. ^ 小林前掲書
  19. ^ 『定本地理風水大全』、御堂龍児国書刊行会、1997年
  20. ^ 小林前掲書・御堂龍児『心を癒す風水パワースポット45』(講談社 2006)がこの手法を用いている。
  21. ^ 『「見えないもの」を科学する』サンマーク出版 1997
  22. ^ 伊那市公式ホームページ
  23. ^ 『世界のパワースポット』(ヴォイス 2001)
  24. ^ カタカムナ文明の紹介者)楢崎研究所
  25. ^ 楢崎皐月について
  26. ^ 初版1958年(昭和33年) 2006年 シーエムシー技術開発㈱ ISBN 4990231015
  27. ^ 楢崎皐月について
  28. ^ 『イヤシロチ』(評言社 2004)
  29. ^ 船井前掲書
  30. ^ 『水琴の音で、パワースポットをあなたの部屋に』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2009) で同様の主張がある。
  31. ^ The History of New Age Sedona
  32. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 小野十傳 『パワースポットめぐり: ココロもカラダも元気になる癒しの聖地へ』 学研パブリッシング、2010年
  33. ^ 「江原啓之神紀行」シリーズ、マガジンハウス、2005年-2007年
  34. ^ a b パワースポット:京都でも次々誕生 オカルト信仰危惧も毎日新聞、執筆記者:熊谷豪、2010年12月21日 2時49分掲載
  35. ^ 論説 教化会議 斯界興隆の底力示したい 神社新報 平成22年11月22日付 2面
  36. ^ a b 論説 パワースポット 安易な伝統破壊は慎むべき 神社新報 平成22年11月08日付 2面
  37. ^ 論説 新嘗祭を前に 神社の本質を見直したい 神社新報 平成23年11月21日付 2面
  38. ^ a b 【パワースポット】: 大槻義彦のページ
  39. ^ 大槻義彦ブログ【NHKオカルト】など。

参考文献[編集]

(本記事の出典として用いている文献)

  • ヴォイス『世界のパワースポット: 癒しと自分回復の旅ガイド』ヴォイス、2001年、ISBN 4899760167
  • 小野十傳 『パワースポットめぐり: ココロもカラダも元気になる癒しの聖地へ』 学研パブリッシング、2010年、ISBN 4056059101
  • 『宗教学辞典』東京大学出版会、1973年

関連文献 Further reading[編集]

(上の記事では今のところ出典としては用いてはいないが、パワースポットを主題とした文献)

  • マーティン・グレイMartin Gray、voice style 編集部『voice style vol.4 世界を潤す地球のツボ パワースポット200』2009、ISBN 4899762399
  • 歴史の謎研究会『世界で一番ふしぎな「パワースポット」の地図帳』青春出版社、2010、ISBN 4413109872
  • 松村 潔『パワースポットがわかる本』説話社、2010、ISBN 491621787X
  • 『日本と世界のパワースポットガイド』エイ出版社、2010、ISBN-10 4777916685
  • 『はるが教える 東京パワースポット厳選50』祥伝社、2010、ISBN 4396620683
  • 『別冊ランドネ 全国パワースポット完全ガイド』エイ出版社、2010、ISBN 4777915751
  • 『全国パワースポット大全2012』ぶんか社、2011年8月、ISBN 4821164396
  • 知名藤枝『幸せと変化を引き寄せる 神秘と癒しの島 沖縄 パワースポットの歩き方』中経出版、2011年8月 ISBN 4806141453