トランスパーソナル心理学

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トランスパーソナル心理学(トランスパーソナルしんりがく)とは、1960年代に展開しはじめた心理学の新しい潮流で、行動主義心理学精神分析人間性心理学に続く心理学の分野。先に人間性心理学を提唱した心理学者アブラハム・マズローは、晩年にその自己実現の理論の最上位に自己超越を置いていた[1]。1969年にマズローと共に、スタニスラフ・グロフがアメリカ合衆国でトランスパーソナル心理学会を設立[2]

トランスパーソナル心理学の定義[編集]

Lajoieとシャピロは、40の1969年から1991年までに記事になったトランスパーソナル心理学の定義をレビューし、各定義に共通の5つの特徴を抽出した。それは意識の状態、(2)至高または究極的な潜在性、(3)自我または自己の超越、(4)超越性、(5)スピリチュアルだとした[3]

ウォルシュと Vaughan によるレビューは[4]、トランスパーソナル心理学が、心理学のトランスパーソナル体験や関する現象の研究に焦点をあてていることを示し、トランスパーソナル体験やその発達の原因や影響や相関、訓練や実践を含んでいる。また暗黙の過程や前提があるため多くのトランスパーソナル心理学の多くの定義を批判した。

歴史[編集]

ウィリアム・ジェームズジークムント・フロイトオットー・ランクカール・グスタフ・ユングアブラハム・マズローロベルト・アサジョーリは、トランスパーソナル研究へとつながる土台を用意してきた[5][6][7]。 Vichの研究によると[8]、最初の「トランスパーソナル」という言葉は、ウィリアム・ジェームズが1905-1906年にハーバード大学の授業の準備のために用意したノートに見られる。トランスパーソナル学会を設立したグロフは、ユングが言葉を作ったと説明している[9]

この新しい学問領域を確立する有力な動機になったものは、アブラハム・マズローの至高体験に関するすでに出版されていた発表であった。マズローの研究は、1960年代の人間性回復運動から育ってきたものであり、「トランスパーソナル」という言葉が、人間性回復運動の中で、次第に、区別されるものとして認識されるようになっていった。

主な研究機関[編集]

日本国内にも、大学等で研究する研究者は存在する。

大学院レベルでトランスパーソナル心理学を専攻できる大学としては、

  • Sofia University(旧 The Institute of Transpersonal Psychology) (US)
  • John F. Kennedy University (US)
  • California Institute of Integral Studies (US)
  • Saybrook Institute (US)
  • Naropa University (US)
  • Liverpool John Moores University (UK)

等がある。

代表的な心理学者[編集]

代表的な心理学者としては、イタリア人でフロイトの弟子の一人サイコシンセシス(精神統合)のロベルト・アサジョーリ人間性心理学でも知られ、至高体験にも焦点をあてたアブラハム・マズローホロトロピック・ブレスワークを開発した精神科医のスタニスラフ・グロフなどが上げられる。

なお、現在、インテグラル思想の提唱者として活躍するアメリカの思想家・ケン・ウィルバーのトランスパーソナル運動との関りについては、注意が必要となるだろう。ウィルバーは、執筆活動の初期より、トランスパーソナル運動が内包していた諸々の構造的な問題を認識しており、数々の著作をとおして、その克服のための提言をくりかえして行ってきている。しかし、そうしたこころみにもかかわらず、トランスパーソナル運動は、Spiral Dynamics理論において"Green vMeme"と形容される価値観の構造的な限界を克服することができないままに、確実に調査・研究・実践の領域において劣化をつづけている[10]。こうした状況のもと、1990年代の後半、ウィルバーは、当時Association for Transpersonal Psychology(ATP)の総監督(Executive Director)を務めていたMiles Vichの辞任を契機として、自らもATPの運営を離れて、また、トランスパーソナル運動そのものとも訣別を表明している。

トランスパーソナル心理学への批判[編集]

再現可能性、実験再現性、再観測可能性や、臨床試験を中心に据えた研究発表が現時点では非常に少なく、反駁不可能な領域に関しても言及しようとする傾向が強いことが、批判される一因である[要出典]

出典[編集]

  1. ^ アブラハム・マズロー、(編集)ロジャー・N・ウォルシュ、フランシス ヴォーン、(訳編)吉福伸逸 「メタ動機:価値ある生き方の生物学的基盤」『トランスパーソナル宣言-自我を超えて』 上野圭一訳、春秋社、1986年、225-244頁。ISBN 978-439336003。 BEYOND EGO, 1980.
  2. ^ 岡野守也 『トランスパーソナル心理学』 青土社、2000年、増補新版、83頁。ISBN 978-4791758265
  3. ^ Lajoie, D. H. & Shapiro, S. I. "Definitions of transpersonal psychology: The first twenty-three years". Journal of Transpersonal Psychology, Vol. 24, 1992
  4. ^ Walsh, R. & Vaughan, F. "On transpersonal definitions". Journal of Transpersonal Psychology, 25 (2) 125-182, 1993
  5. ^ Cowley, Au-Deane S. & Derezotes, David. "Transpersonal Psychology and Social Work Education". Journal of Social Work Education, 10437797, Winter, Vol. 30, Issue 1, 1994
  6. ^ Miller, John J. "Book review: Textbook of Transpersonal Psychiatry and Psychology." Psychiatric Services April 01, 1998
  7. ^ Davis, John. "An overview of transpersonal psychology." The Humanistic Psychologist, 31:2-3, 6-21, 2003
  8. ^ Vich, M.A. (1988) "Some historical sources of the term "transpersonal". Journal of Transpersonal Psychology, 20 (2) 107-110
  9. ^ ジョン・ホーガン 「第9章神の精神科医」『科学を捨て、神秘へと向かう理性』 竹内薫訳、徳間書店、2004年、229-255頁。ISBN 4-19-861950-6Rational mysticism, 2003.
  10. ^ * Wilber, K. (2000). Waves, streams, states, and self-A Summary of my psychological model (Or, outline of an integral psychology). http://wilber.shambhala.com/html/books/psych_model/psych_model8.cfm/

関連項目[編集]

外部リンク[編集]