12ステップのプログラム

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12ステップ・プログラム(Twelve-step program)とは、嗜癖(アディクション)、強迫性障害、その他行動問題からの回復のための、ガイドライン方針のリストである。これはアルコホーリクス・アノニマス(AA)による1939年の著書、Alcoholics Anonymous: The Story of How More Than One Hundred Men Have Recovered from Alcoholism(通称ビックブック)[1]において、アルコール依存症からの回復手法として示された[2]。現在では様々な組織がAAのこの手法を取り入れている。

アメリカ心理学会は、このプロセスを以下に要約している[2]

  • 自身のアルコール依存、嗜癖、強迫性障害をコントールできないことを認めた。
  • 自身には、ハイヤーパワーが与えられていることを認めた。
  • スポンサー(経験豊富なメンバー)の助けを借りて、過去の過ちを見直した。
  • それらの過ちを修正しようとした
  • 新しい行動規範を持ち、新しい人生を学んだ
  • 同じようなアルコール依存、嗜癖、強迫性障害を持つ人々を助けようとした

プロセス[編集]

嗜癖やアルコール依存症においては、当人はアレルギーのような身体反応が形成されているため、それにっよってさらに物質を強迫的に使用することとなる。

これは物質乱用に限らず、強迫的ホーディング、注意散漫、摂食障害、機能不全イネーブリング、多動性、軽躁、不眠症、神経過敏、モチベーション不足、怠惰、躁病パニック発作心身症衝動制御障害先延ばし自傷行為自殺試行などにおいても確認される[3][4]

プログラムの第1ステップにおいて、人々は薬物乱用に関連する問題行動に対して「無力(powerless)」であることを表明する。これは否認の放棄であり、その強迫性・衝動に対してセルフコントロールを失っていることを受け入れるものである(アクセプタンス)。アディクトはその嗜癖を根治することは決して無いが、プログラムを通してそれをコントロールし管理することを学ぶとする[5]

感情的な強迫観念は、結果が異なることを妄想の下で止めることができないか、または結果が異なるということを知っているかのいずれかの、禁欲のある期間後に、その個人に強迫的な行動を繰り返させる認知過程である。アルコール中毒者の生活の第一歩である「管理不能」の記述は、中毒者やアルコール中毒者の心が飲用するか、再び使用するかについての選択の欠如を指しています。[24]

強迫的感情とは、認知された強迫的行動であり、それは一定期間我慢した後に繰り返されるもので、その結果は止められずに終わると知っていたり、その妄想が現実には異なる結果に終わるものである。第1ステップでは、アルコール依存者やアディクトは、自身が管理不能(unmanageable)な状態であり、当人の心は、再飲酒・再使用するかどうかを選択する能力を失っていると述べている[6]

プログラムではまた、以下の「スピリチュアルな病気(spiritual malady)」が挙げられている[7]

  1. 落ち着きがない、過敏である、不満を感じている (page xxvi),
  2. 対人関係に問題を抱えている
  3. 感情的な性格を、うまくコントロールできない
  4. 不幸や抑うつの犠牲であったり、苦しんでいる
  5. 生活を立てることができない(幸せで不幸な生き方ではない)
  6. 価値がないと感じている
  7. 恐怖に満ちている
  8. 不幸である
  9. 他者に対して現実的な助けができない (page 52),
  10. 劇場全体を駆け回わりたい役者のようである (pages 60–61),
  11. 百数ものの恐れ、自己妄想、自己探求、自己同情に駆り立てられている(page 62),
  12. 自己暴動を起こす (page 62),
  13. 二重生活を送っている (page 73),
  14. 他人の人生の上を通過する、竜巻のような生き方をしている (page 82)
  15. 利己的で控えめな習慣を持つ

挙げられたこれらの病気は、自己中心性というアディクションに共通の中核問題とされている[7]。いくつかの12ステップグループはこれらの考えが有用だしている[3][4]。プログラムへの参加は、道徳的意識、自己犠牲、無私の建設的行動の意欲を高めることで、このような自己中心性を置き換えることを意図している[4]。ステップグループにおいては、これは「スピリチュアルな目覚め」「宗教的経験」と表現している[8]

効果[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Bill W. (June 2001). Alcoholics Anonymous (4th ed.). Alcoholics Anonymous World Services. ISBN 1-893007-16-2. OCLC 32014950. http://www.aa.org/pages/en_US/alcoholics-anonymous. 
  2. ^ a b VandenBos, Gary R. (2007). APA dictionary of psychology (1st ed.). Washington, DC: American Psychological Association. ISBN 1-59147-380-2. OCLC 65407150. 
  3. ^ a b “Comparison of self-help groups for mental health”. Health & Social Work 12 (4): 275–83. (1987). PMID 3679015. 
  4. ^ a b c Ronel, Natti (2000). “From Self-Help to Professional Care: An Enhanced Application of the 12-Step Program”. The Journal of Applied Behavioral Science 36 (1): 108–122. doi:10.1177/0021886300361006. ISSN 1552-6879. OCLC 1783135. 
  5. ^ A GUIDE to the TWELVE STEPS of ALCOHOLICS ANONYMOUS”. 2016年9月26日閲覧。
  6. ^ Alcoholics Anonymous (June 2001). “Chapter 2: There Is a Solution” (PDF). Alcoholics Anonymous (4th ed.). Alcoholics Anonymous World Services. p. 21. ISBN 1-893007-16-2. OCLC 32014950. http://www.aa.org/pages/en_US/alcoholics-anonymous. "These observations would be academic and pointless if [he] never took the first drink, thereby setting the terrible cycle in motion. Therefore, the main problem.... centers in his mind.... The fact is that most alcoholics ... have lost the power of choice in drink ... unable, at certain times, to bring into [his] consciousness with sufficient force the memory of the suffering and humiliation of a month or even a week ago. [He] is without defense against the first drink." 
  7. ^ a b AA History -- The Original 1938 Multilith AA Manuscript”. 2016年9月26日閲覧。
  8. ^ Roehe, Marcelo V. (September–December 2004). “Religious Experience in Self-Help Groups: the neurotics anonymous example” (Portuguese). Psicologia em Estudo 9 (3): 399–407. doi:10.1590/S1413-73722004000300008. ISSN 1413-7372. http://www.scielo.br/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S1413-73722004000300008&lng=en&nrm=iso&tlng=pt. 

関連項目[編集]