世界救世教

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世界救世教
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世界救世教の本部がある救世会館
設立年 1935年
設立者 岡田茂吉
種類 宗教法人

世界救世教(せかいきゅうせいきょう)とは、大本の幹部だった岡田茂吉1935年(昭和10年)に立教した新宗教系の教団。現在の教主は四代目の岡田陽一

概要[編集]

1935年に岡田茂吉が立教し、「大日本観音会」と名乗っていた。1950年に世界救世(メシヤ)教を設立。当時はメシヤ教と呼ばれており、岡田は自身を救世主と考えていた[1]1950年5月29日熱海の本部は脱税贈賄などの容疑で捜索を受け、岡田茂吉が検挙された。(潔白であることがわかり無罪判決)[2]

岡田は、神の目的は地上天国の実現で、「それは究極の真善美の世界の実現でもある」と説き、地上天国のモデルとして神奈川県箱根町強羅に箱根神仙郷[3]静岡県熱海市熱海瑞雲郷[4]京都府嵯峨野広沢池隣接地)に京都平安郷[5]と、国内3ヶ所に教団の聖地と定めた神殿および庭園を設立した[6][1]。箱根の聖地・箱根神仙郷には箱根美術館、熱海の聖地・熱海瑞雲郷にはMOA美術館があり、教団所蔵の美術品を展示している。世界救世教いづのめ教団は、熱海北部の開発と深く関わっている[7]

世界救世教の特徴的な宗教活動は、浄霊という手かざしの儀式的行為を各信者が行うこと、自然農法という農法を推進すること、芸術活動を行う三大事業である。

戦前は当局の取り締まりを受けていたため、主な弟子たちがそれぞれ会を作って活動した。戦後は表面的には一つの教団にまとまったが、会の寄せ集めのような状態が長く続いた[8]。様々な問題から組織の一元化の機運が高まり、教団執行部のリーダーシップでひとつにまとまったが、その過程で教会の離脱も多かった[8]。一元化の後もトップの座を争っての権力闘争や急激な改革への不満などから教団は分裂。また世俗組織と宗教活動の実態のずれが分裂を促すこととなった[8]。現在の世界救世教は、世界救世教本体に世界救世教いづのめ教団(旧新生派)・東方之光(旧再建派)、主之光教団[9](旧護持派)の3教派が包括される形で運営されている。

世界救世教の公称信者数は、2009年(平成21年)9月時点で、国内に103万1506人の信者がいる(職員数4346人、施設数706個所)。海外では99ヶ国で200万人の信者がいる。うち、タイには約70万人[10]ブラジルには約44万人[11]の信者がいるとしている。タイ、ブラジルには、国内と同様、聖地と定めた神殿および庭園が建設されている。

歴代教主[編集]

  • 初代 岡田茂吉
  • 2代 岡田よし(1897?-1962年1月24日)
  • 3代 岡田斎(いつき)(1927?‐2013年9月4日)
  • 4代 岡田陽一 

浄霊[編集]

浄霊とは、同教団で行われる儀式的行為のこと。病人の患部、あるいは各病気ごとに有効とする「急所」と呼ばれる個所に手をかざす事によって、霊的な力でその病状を癒すとする、いわゆる手かざしの一種である。岡田茂吉は、病気の原因はによる二次被害であるとする思想(薬毒)を説き、西洋医療の投薬や手術東洋医学漢方にかわる治療として浄霊を推進していた。「薬毒や個々人の日ごろの行い、先祖の罪けがれなどによる『霊の曇り』(=病因)を『浄霊』による浄化促進作用によって解消していく(=救済)」という考えである[12]。近年では先祖との関係性はあまり重視されず、病因と救済が今ここの個人に集約され、「自分が浄霊などで浄まれば、自分が良くなる」というように変わっている[12]

岡田は元々岡田式神霊指圧療法という治療を行っていたが、医師法違反で検挙されたことから、浄霊を行うようになった。岡田が昭和前半に25年かけて開発したとされる[13]大本教の教祖出口王仁三郎の杓子を使った治療法を源とすると言われ、岡田は杓子の代わりに扇子をかざす方法を考案し、これが手をかざす方法になった[1]。宗教学者の立川武蔵は、岡田の浄霊(手かざしは)は、明治時代に日本に輸入された西洋のメスメリズムと日本の伝統的な技法との混合で生み出されたものであると指摘している[13]。この技法によって日本国内での地位を確立し、海外への布教でも成果を上げた[13]。世界救世教系の教団は手かざしを行うことが特徴である[1]

「浄霊」と呼ばれるが、岡田の最晩年まで単に「治療」「お浄め」と呼ばれていた[13]。岡田茂吉による1951年9月26日発表の論説文「浄霊の発明的価値」内冒頭に、「浄霊という言葉は、歴史上今日までなかった事は言うまでもない」と記載されている。また、世界救世教発行の書籍「景仰」内には、「おまえたちは常平生“浄霊”“浄霊”と言って、なんの不審なく使っているが、この浄霊なんて熟語は、どんな辞書を見たって載ってないよ」と岡田茂吉が発言した旨が掲載されている。浄霊の「霊」の文字は、幽霊の「霊」ではなく、を意味する。霊能者用語の浄霊の影響で、憑依霊を退散させる儀式であると誤解を受けることがあるが、浄霊によって浄める対象は、憑依霊ではなく、対面している人間の魂である。この儀式は、1対1、もしくは、1対多で向かい合い、施術者が対面する相手に手のひらをかざすことで、神の光を相手の魂や身体に放射して浄め、病気やさまざまな苦悩を解決するというものである。世界救世教では、「おひかり」と呼ばれるペンダント状のものを首にかけることにより、信者なら誰でも行うことが可能な術としている。

岡田は、浄霊の研究を望み医師を呼んでの懇談会や出版物を出すなど意欲的だったが、医学界には認められなかった。このため信者には医学との対立的な姿勢を見せる者もあり、その結果発生したトラブルが新聞に掲載される[14]こともあった。岡田の死去後、世界救世教は、その方針を教祖存命時よりも医学との共存的な姿勢を取る方向に向け、二代教主(茂吉の妻岡田よし)らにより世界救世教の浄霊は宗教的儀式(祈り)の面が強調され、浄霊の実施者は病気の急所などの知識は必ずしも必要ではないとされた。会派によっては、医療施設も設けた。

救世教内部でも、病気治療的面を強調する会派(東方之光)と、病気治療的面を強調せず宗教儀式的なものとして行う会派(世界救世教いづのめ教団、世界救世教主之光[9]教団)が並立している。いづのめ教団はブラジルタイを始めとし、国外約90カ国以上に教線を広げており、合計100万人以上の外国人信徒が浄霊を行っている。外国でも、浄霊は「ジョウレイ」と日本語で呼ばれており、世界救世教いづのめ教団ではJohrei という表記でこの言葉の国際化を目指している。また団体の所属とは別に、信者ひとりひとりの浄霊に対する個人的指向として、病気治療的指向と宗教儀式的指向を持つ者が並立する状態である。

なお、[ヒーリングに寛容なイギリスでは、浄霊は[健康保険]が適用できる[代替医療]として認められている]という記述が見られる場合があるが、そのような事実はない。世界救世教は日本においても浄霊が可能な複数の医療機関を開設しているが、浄霊自体に健康保険の適用を受ける事は出来ない。

自然農法[編集]

岡田茂吉は、日本で無農薬有機農法が注目されるはるか以前である昭和20年代より、自然農法という名称で、独自の無農薬有機農法を研究、実践、推進してきた。

EM菌[編集]

岡田茂吉の死去後の現在、会派によっては、いわゆるEM菌を自然農法を支援する技術として採用している。採用していない会派は東方之光、採用している会派は世界救世教いづのめ教団・世界救世教主之光教団である。

海外布教[編集]

ブラジル

ブラジルでは日本の新宗教の布教が最も成功しており、2008年時点で30万人以上の世界救世教の信者がいるとされる。ブラジルの宗教カルデシズモと世界救世教の教義には、手による霊的エネルギーの伝達、転生論、霊的ヒエラルキー上昇の重視、そのための善行の奨励などの類似がある。宗教学者の松岡秀明は、これは共に心霊主義の影響を受けているためであると述べている。岡田は若いころ大本教に入信していたが、大本教は心霊主義の影響を受けており、また岡田は心霊主義者の浅野和三郎とも親交があった。そのためブラジルの人々にとって世界救世教の教えは親しみやすいものであったが、カルデシズモで最も重視される降霊は禁じられている。[15]

関連団体[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d ムー編集部 編 『完全版 日本と世界の宗教』学研プラス、2009年
  2. ^ 山折哲雄/監修『日本宗教史年表』河出書房新社(2004.2.18)P597
  3. ^ 箱根神仙郷”. 世界救世教いづのめ教団. 2008年8月7日閲覧。
  4. ^ 熱海瑞雲郷”. 世界救世教いづのめ教団. 2008年8月7日閲覧。
  5. ^ 京都平安郷”. 世界救世教いづのめ教団. 2008年8月7日閲覧。
  6. ^ 聖地”. 世界救世教いづのめ教団. 2008年8月7日閲覧。
  7. ^ 現地研究「伊豆半島」実習報告―伊豆半島の温泉観光地とジオパーク― 実施:2013年7月7日~9日 法政大学文学部地理学教室
  8. ^ a b c 隈元正樹 現代日本の新宗教組織における「一元化」 : 世界救世教の場合(第九部会,<特集>第六十六回学術大会紀要) 宗教研究 81(4), 1202-1203, 2008-03-30 日本宗教学会
  9. ^ a b 主之光教団の「主之光」は「すのひかり」と読み、「主」の字は正確には「○」(円)の中心に「`」(点)を打った物である。
  10. ^ タイ王国は人口が約6400万人であるため、国民の約100人に1人が信者である計算になる。
  11. ^ ブラジルは人口が約2億人であるため、国民の約450人に1人が信者である計算になる。
  12. ^ a b 武井順介 新宗教における病の意味変容 : 世界救世教を事例として(第十二部会,<特集>第六十七回学術大会紀要) 宗教研究 82(4), 1308-1309, 2009-03-30 日本宗教学会
  13. ^ a b c d 『癒しと救い: アジアの宗教的伝統に学ぶ』立川武蔵、玉川大学出版部, 2001
  14. ^ 例えば、1952年11月26日読売新聞夕刊『狂信、坊や見殺し』など
  15. ^ 松岡秀明 ブラジルにおける世界救世教 : 背景としてのエスピリティズモ(新宗教の海外での受容-スピリティズムとの連続性という視点-,パネル,<特集>第六十六回学術大会紀要) 宗教研究 81(4), 926-928, 2008-03-30 日本宗教学会

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]