有用微生物群

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有用微生物群(ゆうようびせいぶつぐん、Effective MicroorganismsEM)とは、1994年琉球大学農学部教授比嘉照夫が命名した微生物資材およびその関連商品の商標である[1][2]Effective Microorganismsとは比嘉による造語である。通称EM菌

概要[編集]

1986年頃、サン興産業が同社の農業用微生物資材である『サイオン』の効果確認・使用方法の確立を琉球大学の比嘉照夫に依頼。1994年、比嘉はEM(有用微生物群)なる概念を発表した[1]。EMは、光合成細菌乳酸菌酵母を中心とした様々な抗酸化物質を産生する微生物の複合体である。EMは誰でも簡単に増やすことができる。支持者は、増やした液を農業や環境浄化のみならず、生活のあらゆる場面(掃除、洗濯、トイレ、お風呂等)で使用することにより居住環境や衣服も抗酸化的になり、病気にならない場を作ることができ、EMを水や空気のように使う生活を徹底すれば、健康や環境問題の多くは自然に解決されていくと説明している[3]。農業用資材であるが、EM菌から抽出したエキスを使ったという飲料などもあり[4]、EM菌を食品の加工に使ったり飲食する人もいる。EM菌の飲食の安全性は確認されていないが、小学校で子供たちに飲ませた例もある[5][6]

現在、比嘉教授の指導をうけてEMの製造を行っているのは、EM研究機構とEM研究所である[7]

EM研究機構の発表によると、2014年時点でEMは朝鮮民主主義人民共和国タイベトナムラオスミャンマーブータンエジプトシリアの7カ国の政府機関と提携し、事業を推進している他、2017年時点で100カ国以上[8]利用されているとしている。北海道大学吉野航一は、EM菌の国内普及・海外進出に日本の新宗教世界救世教の後ろ盾があったことを指摘している[9](後述)。政治や行政に影響があり、国会議員にも支持者がいる[10]。地方自治体の環境関連事業にも影響を及ぼしている。

原理[編集]

「常識的な概念では説明が困難であり、理解することは不可能な、エントロピー法則に従わない波動」である「重力波と想定される縦波」が「低レベルのエネルギーを集約」し「エネルギーの物質化を促進」する、この「魔法オカルトの法則に類似する、物質に対する反物質的な存在」である「蘇生の法則」ことシントロピー[11]現象がEMの本質的な効果であると比嘉は推定している[12]

また、EMに結界(聖なるものを守るためのバリア)を作る性質があることは「EM関係者の間では広く知れ渡っている」と比嘉は語る[13]

比嘉照夫やEM販売企業が主張する用途[編集]

  • 農業…土壌改良、有機農業、減・無農薬栽培[14][15]
  • 家庭…清掃、家庭排水の浄化、生ゴミの堆肥化、ペット等の臭い除去[16]
  • 畜産…糞尿の堆肥化、悪臭除去、動物の食料(エサに混ぜる)[17]
  • 水産…水質の改善やヘドロの減少、臭気の抑制、養殖水槽内の衛生環境の保全[18]
  • 環境衛生…水質浄化、ゴミ処理、排水処理(これらの宣伝にもかかわらず、EMは水質汚染源である[19]
  • セラミックス…EMを混入させ800℃以上で焼成する[20]。製造過程の高温で滅菌され微生物は死滅するが、「EMの情報は残留している[21]EMは蘇生する[22]
  • 結界…聖なるものを守るためのバリアをつくり、カラスヒヨドリ口蹄疫鳥インフルエンザを退ける[13]
  • 放射能対策…滅亡の法則エントロピーの極限である放射性物質を、その対極にある蘇生の法則シントロピーの力を備えたEMによって消滅させる[23]
  • 交通安全[24]
  • 地震被害をなくす[24]
  • 電磁波障害の低減[24]
  • 電気代削減[24]
  • 電気製品の機能向上、寿命延長[24]
  • 雷除け[24]
  • 天災がおこらなくなる[24]
  • 健康になる[24]
  • 人間関係が改善する[24]
  • イジメがなくなる[24]
  • 動物が仲良くなる[24]
  • 生命力が高まる。
  • 生命の息吹が感じられるようになる[24]
  • 病人がいなくなる[24]
  • 体調が良くなり、頭も良くなる[24]
  • 人類の抱えるほとんどの難問をすべて解決する[24]

また、ブタの飲み水にEM菌を混ぜるとブタが元気になり小屋の悪臭も消えた、その尿を飲んだガン患者が快方に向かったという伝聞もある[25]。病気治癒を目指しEM菌を食事に混ぜる人もいる[25]

使用事例[編集]

  • 松本市は、松本城のお堀の浄化について、定期清掃の実施、地下水の注水、EM菌の定期散布等を行ったと発表した[26]
  • 2011年に発生したタイの大洪水では汚水浄化対策に、国策としてEMが使用された。国防省と天然資源・環境省や陸軍が連携してEMを散布するなどした[27][28]
  • 逗子市は、逗子海岸「美しい浜再生事業」としてEM活性液を培養し、散布イベントの開催してきたが[29] 、「効果が確認できない」として平成27年度(2015年)から完全廃止した[30]
  • 「EMボカシネットワーク大阪」は、東大阪市内の河川をはじめ、2004年からは大阪市漁協と協力して道頓堀にEM菌にサトウキビから作った糖蜜とぬかを混ぜたもの(通称“元気玉”)を2年間で20万個投入した。2006年以降、淀川でもEM菌とその活性液などを散布し続けている[25]
  • モスバーガーの公式サイトの「産地だより」で、EM菌を使用しているモスの生野菜の生産農家が紹介されていた[31]

検証された効果・研究・論文[編集]

  • EM及びEM資材の有効性を評価するためのタイ国内共同研究、その実用性試験と施用の農業及び環境に与える影響[32]
    ナパバーン・ノパラットナラポーン、イエンチャイ・ヴァスバート
    カセットサート大学研究開発研究所、カセットサート大学農業部、タイ国農務省バンコク・タイ)
    39のプロジェクト、100人近い研究者や職員を総動員して行われた試験。どのEM試料にも光合成細菌やactinomycetes(いわゆる放線菌)が含まれていなかった。「スーパーEM」にて抗微生物活性が認められないことを確認した。さらに植物への病原性のある細菌やカビに対しての効果はなく、ハダニなどの害虫に対しても効果が認められなかった。イネトウモロコシソルガムトマトヤードロングビーンに対する試験では成長促進効果は認められなかった。酵素活性については、EMではなくとも、化学肥料で十分な微生物活性が与えられると結論付けられた。藍藻に対する試験では、適切なEM濃度を維持すれば窒素固定率が増加するが、それより高濃度では逆に減少した。また、EM処理によって、植物の生長に寄与するVA菌根の量が減少する事が確認された。
    ナマズの飼料として与える実験では何の効果も見られなかった。豚の汚水をEM処理して植物への肥料とする実験では、マリーゴールドを除き、化学肥料と比較して著しく収穫量が減少した。
    EMと化学物質で処理された水の比較では、平均して農業目的や環境への影響の調査ではそれほどの違いがないことが判明した。EMにはメチルパラチオンやカーボフランといった土壌中に残存する毒性物質を分解する能力は認められなかった。
  • 微生物資材に関する試験の現状と評価[33]
    丸本卓哉(山口大学農学部)1995. 7-12
    救世EM-1を使用した実験では、ホウレンソウの生育や収穫量に変化は見られなかった。
  • 有用微生物群(EM)の農工水畜産業への利用と環境保全に関する総合的調査
    鹿児島大学宮崎大学九州大学、琉球大学(開発者比嘉が参加)の多くの分野の研究者が参加したこの研究では、EMが土壌改良剤として効果が顕著で、さらに稲作では品質・収量が慣行法より増加する。また、畜産への応用では、悪臭防除と病気予防の効果が確認されるなどの様々な有用性が確認されたと報告している[34]
  • Use of Effective Microorganisms for Treatment of Domestic Sewage by the Activated Sludge Process
    世界救世教が研究に参加している。家庭排水の浄化槽にEMを活用。結果、臭気、汚泥量が減少し、COD等に見られる水質の改善が確認された[35]
  • Long-term effective microorganisms application promote growth and increase yields and nutrition of wheat in China Cheng Hua, Yingchun Qi
    中国で行われた長期間のフィールド実験では、従来の堆肥と比較して穀物の収量、栄養が増加した。この研究でEMの利用によって有機栄養源の著しい効率的な増加が示されたと報告している[36]
  • IMPACT OF EFFECTIVE MICROORGANISMS COMPOST ON SOIL FERTILITY AND RICE PRODUCTIVITY AND QUALITY
    EM堆肥の効果が米の品質にどう影響するかを調べたこの研究では、EM堆肥の使用により土壌が肥沃化し、米の品質、収量が増加した。また、化学肥料に比べ環境に安全で最適である可能性があると報告している[37]
  • Laboratory Scale Bioremediation of the Yamuna Water with Effective Microbes (EM) Technology and Nanotechnology
    水質汚染が深刻なインドヤムナー川の水を、EMで処理した実験では、COD、BODの急激な減少を確認。ナノテクノロジーでの処理よりも、EMが化学物質汚染に有効であると発表した[38]

批判的意見[編集]

非営利団体EMあいち(事務所は比嘉が代表取締役を務める株式会社EM生活と同じ)[39][40]が主体となり河川にEM菌(米のとぎ汁等を含む)を投入している[41]

善意で普及活動をしている人も多いが、実際には効果がないということに留まらず、水生の昆虫が大幅に減少したり、メダカが死ぬなどの悪影響も指摘されている[42]福島県では2008年3月、EM菌(有用微生物群)などの微生物資材について「高濃度の有機物が含まれる微生物資材を河川や湖沼に投入すれば汚濁源となる」との見解をまとめ発表している[43]

日本土壌肥料学会の1996年の「微生物を利用した農業資材の現状と将来」と題した公開シンポジウムにおいてEMが他の資材に比べて効果が低いと報告されるなど効果を疑問視する人も多く[44]、タイの試験研究機関の分析結果として、EM資材中に光合成細菌および放線菌 (Actinomycetes) の存在が確認されなかったとされている。

「科学とニセ科学」レジュメ[45]において、万能を謳うことや他の研究者の批判に対する対応に、疑似科学性が見られると批判されている。

「市民のための環境学ガイド」では「似非科学」の一つとして、EM菌が挙げられている[46]

実験的研究によれば、EM菌にはシアノバクテリアの発生を抑制する効果はない[47]

EMセラミックスについては、800℃以上で高温焼成するためEM菌が殺菌されるはずだが、EM研究機構は「焼成後にEM菌が蘇生する」と主張している[22]。しかし800℃の環境中では耐熱性の高い細菌芽胞すら完全に死滅してしまう。

物理学者の大槻義彦はこれらを『新興宗教をベースとしたEM菌詐欺まがいの集団』と呼び『インチキ』『アホ』と評した[48]

批判に対するEM関係者の姿勢[編集]

効果のないニセ科学であるとの批判に対し比嘉は、EMは(批判的な)科学的検証の対象ではないのでEM研究機構の同意なしに検証してはならないと言明している[49]。「EMは効くまで使え、空気や水の如く使え、必ず効果は表れる」が比嘉の言であり[50]「何かいいことや、危険から身が守られたり、最悪な状況が、逆に力となって最善の結果が現れた場合、それらはすべてEMのおかげであると考えることがスタートです。すなわちEMは神様だと考えることです。」「いいことはすべてEMのおかげ、悪いことが起きたのはEMの極め方が足りないから」と考えることを使用者に要求している[24]。比嘉はEMの効果は「EMは、再現性と普遍性を具備しており、特定な人にしかできないオカルトやマジカルではありません」[51]と主張し、これを非科学的だと批判する「エントロピーの法則に従った科学教の狂信者」に対する「独自の活動の展開」を宣言している[52]。「エントロピーの法則に従った科学教の狂信者」に対する「独自の活動の展開」を宣言している比嘉は、「比嘉の言うことをすべて信じる」EMの万能性の賛同者の増加をもってEM技術の証明としている[53]反知性主義を参照)。EM研究所のマニュアルによれば微生物土壌改良資材としての「EM・1」は有機JAS適合資材である[54]。有機JASは有機農畜産物、いわゆる「天然由来」を規格化したものであり、効果を保証したものではない。こうした非科学的な資材は、農林水産省が効果を確認する「登録農薬」の申請にまず通らないため、区分は「肥料」が限度である。比嘉はまた、EMの効果を疑問視した記事を掲載した朝日新聞を相手に慰謝料と謝罪広告を求める公訴を提起した[55]が、敗訴し、知的財産東京高等裁判所も比嘉の控訴を棄却した。またEM研究開発機構顧問であった出口俊一はEMについての取材方法を批判した暗黒通信団の記事を引用した左巻健男を相手に慰謝料と謝罪広告を求める公訴を提起したが、東京地方裁判所と東京高等裁判所で敗訴した。 農業用資材としてのEMの開発に関わった、EM製造メーカーの一つであるサン興産業は、EMに効果が無いと周知されるに至った原因は、同社以外(比嘉のEM研究機構、世界救世教のEM研究所)が販売する劣悪な製品[56]の流通にあるとしている[7]。同社はまた、証明のない効能を吹聴する比嘉の姿勢を、無責任で品位を疑うと、遠回しに批難している[57]

EM研究機構では、1996年頃以降の北朝鮮を、EM技術の国家的普及モデルとしている[58]。しかし、金正日総書記の命令で食料用トウモロコシまで投入した大々的な複合微生物の工場生産を行った北朝鮮は、実際の効果がないとして1999年までに生産を中止している[59]

教育でのEM菌[編集]

環境教育として、EM菌が河川やプールの水質を改善するという教育も行われている[42]

EMの関連組織であるNPO・環境学習ネットワーク(EL―net)は約500の小中学校に対し、25年10月までに「明日からできるEM環境学習」などを「環境学習資料」として約25,000冊を提供した。EM菌を使用したプール清掃を推進し、平成25年夏時点での調査結果では全国で1618校が実施していると主張している[60]。EM菌に基づく環境ボランティアとして社会参加する主婦は少なくない。

「EMボカシネットワーク大阪」は、EM菌にサトウキビから作った糖蜜とぬかを混ぜた通称“元気玉”を河川に投入し、EM菌の水質浄化効果を「啓発」する活動などを主婦目線で行い、小中学校での環境教育にも関わっている[25]。EMボカシネットワーク大阪は学校で「地球上で最初に生まれた生物が光合成細菌。2000度でも死にません」と教えているが、山形大学理学部物質生命化学科准教授の天羽優子は、「環境教育に一役かいたいという気持ちはわかるけど、インチキを広めてはいけない。2000℃で死なない菌など存在しない」と指摘している[61]。また天羽は、本来EM菌が環境教育に適切かどうかは科学の問題で、学会等の場で結論を出すべきことであるが、EM推進派は十分な実験的根拠を欠いたまま、政治活動によりトップダウンで行政を動かしていると述べている[61]

青森県では、2011年に7つの小中学校が環境教育の一環としてEM菌を使用した。ほかの複数の学校でも使用例がある。その多くでは、EM菌を川にまくことで川が「きれいになる」と教えている。青森県東青地域県民局は2004年から、2012年時点で管内の希望校にEM菌を無償で提供している。県は提供開始にあたり、EM菌による浄化活動が行われている川で1年間水質を調査したが、目立った改善は確認できなかった。また担当部署はEM菌の効果を科学的に検証した文献の調査など行っていない。水質改善は確認できず、科学的な根拠もないが、県は「学校が水質浄化に関心を持ち、活動してくれること自体が有り難いことだから」として、EM菌の提供を続けている。10年以上活動している青森の中学の教師は、朝日新聞の取材に「県の支給なので、まさか効果に疑問があるものとは思わなかった」「生徒にはきちんと説明したい」と語った。授業では、効果を否定する情報を見付けた生徒もいたが、「様々な意見はあるけど信じよう」と指導していたという。県側は、配るのは学校の要請として県の責任を否定した。長島雅裕・長崎大教育学部准教授は「疑わしい事柄を真実と教えれば将来、生徒が疑うべきものを疑えなくなる恐れがある。本来は多様な対策が必要な環境問題を、EM菌だけで対処可能と思わせることも、思考停止につながりかねない」と述べている。[62][42]

また、東日本大震災の後には、効果が確かめられていないにもかかわらず、放射能を除去するとしてEM菌を校庭に持ち込む例もあった。教育の現場でありながら、「いい話」に流され、事実にこだわる姿勢が欠如していると指摘されている[42]

新潟市立亀田東小学校では、EM菌をまけばプールに汚れがこびりつかないとしてプール清掃にEM菌を使っている[63]。生徒に「EM菌は善玉菌、体の調子だって整えてくれるし、生ごみも分解します。もちろんプール清掃に洗剤なんか使いません」と指導し、EM菌を飲ませていた[5]。新潟市議会の平成27年2月定例会本会議でこの件が取り上げられ、議員の深谷成信の「EM菌を児童が飲食することについて、その安全性をどのように確認されていたのか」という質問に、教育長の阿部愛子は、「学校では、平成24年度の総合的な学習の時間の指導計画を作成する際に、EM菌の効果や活用方法について事前に情報を収集しており、EM菌を利用した食品が複数あることやEM菌が食品の加工に利用されている場合があることなどについて確認しました。そこで、EM菌を授業の導入で提示したと聞いています」、今後は公的機関で安全性が検証されるまで飲食は控えると答弁した[6]。深谷はプール掃除への利用について、実際に効果があるか検証されていない、「少し考えられたほうがいい」と苦言を述べた。[6]

2016年8月には、武雄市が管理する幼稚園が、プール開きの際にきれいな水を入れたプールに「EM液」を投入したとブログに書き、批判が起きた。幼稚園側はBuzzFeed Japanの取材に対し、婦人会が毎年持ってきてくれるので使わないのも申し訳ないと思って投入した、「今のところ、子どもたちへの害は確認されていない」と述べている。物理学者の菊池誠は、EM菌で水がきれいになるというのは迷信であり、雑菌をまいているだけなので衛生面で悪いと指摘した。[64]

環境学習アドバイザー資格[編集]

NPO法人環境学習ネットワーク(EL―net)は「EMを使用した環境教育に取り組んでいる方々などに活動しやすい体制を整える登録制度」として「環境学習アドバイザー」の資格を導入した。平成26年度から特定非営利活動法人地球環境共生ネットワーク(U-net)新規事業としてEM環境学習アドバイザー研修会が開始された。[65]

EM関係者を環境アドバイザーとして環境教育や勉強会に派遣する自治体もあり、福島県いわき市、和歌山県が派遣する環境学習アドバイザーには「EMぼかしを使った肥料作り」の指導を行う者がいる[66][67]。千葉の生ごみ資源化アドバイザーにも「EMぼかし作り」を専門とするアドバイザーがおり、千葉市では公開講座として「生ごみ処理~EMぼかしづくり~」を実施している[68]

「小中学校におけるEMの利用を止めてほしい」という署名活動[編集]

山形大学理学部物質生命化学科准教授の天羽優子は、「環境教育の教材としてのEMはニセ科学であり、教育で使うには不適切であることは明らかである」「大人がEMを使うことを自らの判断で行うのであればそれは自由だが、教材を自分で選ぶことができない児童や生徒に使用させるのは大変良くないこと」として、2015年の夏頃から、Change.orgという署名募集サイトで「小中学校におけるEMの利用を止めてほしい」という署名活動を行った。天羽は、この署名活動によって、「EMによる環境浄化は、面倒な文献調査をしなくても、文部科学省の通知で注意喚起されている教材にあてはまるという判断がしやすくなったと考える」と述べている[61]

世界救世教とEM菌[編集]

1982年に比嘉の研究室の卒業生が、世界救世教開祖の岡田茂吉が提唱した化学肥料・農薬を否定する「救世自然農法」のイベントに比嘉を招待し、両者の関係が始まったとされる[69][9]。岡田は救世自然農法は豊かな実りをもたらすもので、その成果は科学的に達成されるものだと考えていた[9]。EM菌関連で使われる科学的な語彙によって、救世自然農法が科学であるという世界救世教の主張は強化され、比嘉は世界救世教の関連団体の財団法人自然農法国際研究開発センターに積極的に協力するようになり、理事になった[9][69]。比嘉は「私は岡田茂吉の自然農法にEMを活用すればうまくいくのではという考えになり、(財)自然農法国際研究開発センターに積極的に協力することを約束し、今日に至っています」「実際にEMの潜在力を活用し、岡田茂吉の提唱する自然農法を検証すると、一見すると不思議と思われることも楽々と達成することが可能となってきます。したがって、岡田茂吉の自然観は創造的分野に力点がおかれており、まさにシントロピーの世界で、日本が世界に誇れる偉大なる思想といっても過言ではありません」と述べている[69]

世界救世教は一枚岩ではなく、新生派(いつのめ教団)はEMを推進し、再建派(東方之光、MOA)はEMを否定した[9]。1994年のマスコミによるEM菌批判には、この教団内の対立が背景にあると言われる[9]北海道大学吉野航一は、その一方でEM菌は世界救世教を後ろ盾に、日本(特に沖縄)だけでなく、タイをはじめとする海外に紹介され、比嘉の説くEM菌の「科学(的真実)」が維持されることになったと述べている[9]

政治家とEM菌[編集]

2005年第162回国会環境委員会で、世界救世教信徒のツルネン・マルテイら29名の国会議員が「有用微生物群を活用した環境改善の取組に対する国の支援に関する請願」を提出した[10]。紹介議員は自民党の狩野安鈴木政二山本順三田浦直谷川秀善中曽根弘文、民主党の福山哲郎前田武志岡崎トミ子柳田稔木俣佳丈島田智哉子高橋千秋広田一芝博一林久美子松岡徹広中和歌子藤原正司高嶋良充、ツルネン・マルテイ、松井孝治尾立源幸山本孝史前川清成峰崎直樹、公明党の福本潤一、無所属の黒岩宇洋糸数慶子である[10]

2013年12月に「有用微生物利活用推進議連」(EM議連)が設立された。会長は野田毅(自民党税制調査会会長・熊本)、幹事長は平井卓也(香川)、事務局責任担当はNPO法人地球環境共生ネットワーク(U-net)の理事でもある高橋比奈子(岩手、安倍内閣環境大臣政務官)である。設立時の会員数は50名余り。[60][10]「EMによる国づくりを国政レベルで推進できる議員連盟になること」を目指している[60]

山形大学理学部物質生命化学科准教授の天羽優子は、EM推進派は「十分な実験的根拠を欠いたまま、政策としてEM利用の推進を求める署名を集めたり、有用微生物利活用推進議連を国会に作り、トップダウンで行政を動かしてEMの利用を勧めようとしている。つまり、科学の成果を社会に伝えて利用する手順を先に破っているのである」と指摘している[61]

東日本大震災とEM菌[編集]

比嘉はEM菌が放射性物質を除去できる、「EMを徹底して活用することにより、居住地域における放射能汚染対策は万全となる事も再確認されました」「多くの事例やベラルーシ国立放射線生物研究所の協力も得て、EMによる根本的な放射能対策が可能であることも実証されています」「内部被曝の問題も根本的に解決できる可能性が十分あることも明らかとなりました」と主張している[70][60]。東日本大震災では、EM推進団体が東北の農場での実験や避難所にEM菌を配布している。環境大臣政務官の高橋比奈子衆議院議員(自由民主党)はEM菌で「放射性物質が除去できる」と主張している。ライターの六本木博之によると、高橋議員が理事を務めていたEM推進団体・NPO法人地球環境共生ネットワーク(U-net)[71][72]という組織では、各地のボランティア団体の協力でEM菌を大量に培養・配布しているという。またEM菌による除染を行うボランティア団体に公益信託の基金から助成金が支出されたケースもあり、EM推進派の議員は与野党どちらにもいると指摘している。[73]

うつくしまEMパラダイス[編集]

EM菌による放射能対策を目的に、2012年の11月から環境フォーラムとして「うつくしまEMパラダイス」が実施されている。主催・NPO法人地球環境共生ネットワーク(U-net)、後援・エフエム福島、協賛・復興推進EM活用モデル事業参加38団体、NPOチェルノブイリへのかけはし[60]

2012年7月から福島FM放送でEM菌の情報を伝える「うつくしまEMパラダイス」が放送された。提供はNPO法人地球環境共生ネットワーク(U-net)[74]

海の日のEM団子投入イベントと反対運動[編集]

EM菌の水質改善効果を信じる人々が、毎年「海の日」に全国でEM団子を海に投入するイベントを開催している。イーエムジャパンによると、2014年には47都道府県で484団体がEM団子を海や河川に投入した。10年以上にわたって海水浴場などにEM菌を投入する事業を行い、最大で年間200万円もの予算をEM菌に費やしてきた逗子市は、2015年に同事業を全面廃止した。しかし地元のNPO法人「海岸クラブ」が逗子海岸で独自にEM団子投入イベントを開催している。[75]

やや日刊カルト新聞の藤倉善郎は、EM菌をめぐる各方面の動きを受け、2015年の海の日に「砂浜から海に投げ込まれるEM団子を海の中で待ち構え、誰が一番多くキャッチするかを競うマリンスポーツ」の大会「全国EMキャッチャー選手権2015(仮)」の開催を発表した。[75]

脚注[編集]

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  4. ^ 製造工程・品質管理│ EM・X GOLDの研究開発
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  6. ^ a b c 平成27年 2月定例会本会議-03月05日-07号 新潟市議会 会議録検索システム
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参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

EM支持団体[編集]

外部の評価[編集]