TOSS

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TOSS(トス:Teacher's Organization of Skill Sharing(教育技術法則化運動)の略)とは、向山洋一を代表とする、教師の教育技術についての方法(=指導法)を提唱する集団、及びその活動である。以前は、「教育技術の法則化運動」「法則化」であったが、立ち上げの際に1999年をもって、「教育技術の法則化運動」の解散を決めていた。

そのため、2000年からは、今までの『教育技術体系』(本)を制作するねらいから、インターネットランドを制作するねらいに変更し、新たにTOSSという組織として誕生した。

教育技術法則化運動[編集]

向山洋一は「よい教育技術があっても、個人の秘密にされたり、師範大学などがなく直接教師が教えられる場面がないため、教師の間にその技術が広まらない」という問題意識を持っていた[要出典]

このため、まず、著書『跳び箱は誰でも跳ばせられる』において、「教え方さえ的確ならばどの児童にも跳び箱を3分で跳ばせることができる」とする方法を著した。そのことにより、「なぜこんな簡単な技術が教師の世界の常識にならなかったのか?」という問題を提起した。

多くの教師によりその方法が実際に試され、運動が苦手で跳び箱が全く跳べなかった児童でも、この方法論によって短期間に跳び箱が跳べるようになった事例が多くあったことから、急速に広まった[1]。但し、小学校の体育授業における負傷事例はバスケットボールと跳び箱が大半を占める。

その後、向山は、さまざまな教科のさまざまなすぐれた教育技術・方法を全国から集め、検討し、修正し、みんなの財産にしていく運動に取り組んだ[2]

この運動を「教育技術法則化運動」と言う。これに賛同した多くの教師によって都道府県ごとに研究会が組織され、全国に広がった。

なお「法則化」という言葉は多くの批判(非難)を生んだ。「子どもは千差万別なのに、教育技術・方法を法則化しようとはなんたることか」的な批判(非難)が多かった[3]

もちろん向山はそんな「法則化」は考えていなかった[4]。1984年に向山が掲げた「教育技術の法則化運動」の4つの理念にあるとおりである。TOSSとなった現在もこの理念で、研究が進められている[5]

  1. 教育技術はさまざまである。出来るだけ多くの方法を取り上げる。(多様性の原則)
  2. 完成された教育技術は存在しない。常に検討・修正の対象とされる。(連続性の原則)
  3. 主張は教材・発問・指示・留意点・結果を明示した記録を根拠とする。(実証性の原則)
  4. 多くの技術から,自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である。(主体性の原則)

[6]

向山は「法則化」と名づけることで多くの人が注目すると考えたのである[7]

注目されれば運動が広まり、全国の多くのすぐれた教育技術・方法が集まり、結果として多くの子ども達に価値ある教育がされるようになると考えたのである[8][出典無効]

もし「教育技術共有財産化運動」などと命名したらこの運動は失敗していただろうと向山は言う[9][出典無効]

「法則化」と名付けるからこそ、人が注目し話題になる。「何をバカな!」と思う人もいるだろうし、「何それ?」と興味をもつ人もいるだろうとそれこそが「運動を広める」ための向山の戦略だった[10][出典無効]

様々な本、雑誌が「法則化」を特集し、話題にし、「法則化」という名前が広まり、市民権を得ていったのである[要出典]

「教育技術の法則化運動」は2000年に解散し、TOSSとして生まれ変わることとして、インターネットランド(TOSSランド)(後述)の運営を追加した。また、都道府県の研究会は「サークル」として、全ての都道府県に置かれている。

TOSSの主な指導法[編集]

「子どもの事実と教師の実感」を評価基準にしていて、効果があるとされる指導法を集め、よりよくするための研究を行っている。

主に小学生を対象にした指導法が多く、具体的な授業の運営手法は、マニュアルとケーススタディによって提示され、正しい手順を踏めば誰でも同じ結果が得られるとされている。

向山型算数[編集]

向山洋一が提唱している算数の教育方法。次のような特徴がある。

  • 教科書通りの授業を行う。
  • 児童のノートは、丁寧に書かせる。筆算や式の間隔を空け、見やすいノートにする。
  • 筆算には、ミニ定規を使わせる。
  • 筆算には、面倒でも補助計算などを書かせ、ミスを少なくする工夫がされている。
  • 教科書の問題がすべて書かれており、後からでも見直しやすい。
  • できない子への手だてとして、赤鉛筆でうすく書きなぞらせる、赤鉛筆指導法がある。
  • 「写すのも勉強のうち」として、できない子に写させる。
  • 早く問題が解けた子は黒板に書く、といった時間調整の工夫がされている。
  • 授業時間内に終わり、教科書の問題を宿題に回すことはほとんどしない。

これらの指導法については、「向山型算数教え方教室」誌(明治図書)に詳しい。

向山洋一による他の算数の教育方法に対する批判[編集]

百ます計算への批判
向山洋一は百ます計算には否定的で、百ます計算では、できない子ができるようにならない、かけ算の学習には有効であるが、それ以外の学習に不向きである、としている。[要出典]
また、教室に7%程度いると推定されている軽度知的障害児は混乱してしまう練習方法である、としている。[要出典]
算数の問題解決型学習への批判
向山洋一は産経新聞の連載(2005/11)において、算数の「問題解決型学習」を批判している。その主たる論点は、下記のとおりである。
  1. 問題解決型学習では、授業時間中に教科書の問題をすべて解く時間が確保できない[11]
  2. 問題解決型学習では、教科書を使わないので、全員に基礎学力を保証することができない[12]
  3. 発達障害のある子供が問題解決型学習ではスポイルされてしまう[13]

向山型国語[編集]

向山洋一が提唱している、国語の教育方法。漢字指導に特徴がある。

漢字指導では、あかねこ漢字スキルを推薦している。向山洋一の漢字指導実践の中から生まれた教材である。

子どもへの指導は、教材も重要である。

かつては、漢字ドリルと呼ばれる教材しかなかった。

漢字ドリルと漢字スキルでは、設計思想が異なっている。

漢字スキルは、1日目から5日目までが1サイクルの指導法となっている。

  • 1日目 新出漢字半分 指書き→なぞり書き→写し書き
  • 2日目 残り半分
  • 3日目 10問テスト練習 読み→問題文なぞり書き→写し書き→テスト練習
  • 4日目 10問テスト テスト→子ども同志交換して答え合わせ→教師チェック→点数報告
  • 5日目 再テスト 間違えた問題だけ

このような、ユースウェアが確立している[要出典]

向山・小森型理科[編集]

従来「向山型理科」と呼んでいたもの。中学でのすぐれた実践が多い小森栄治も「向山型」の授業を追求してきたものであることから、向山洋一の理科実践と小森栄治の理科実践を合わせて「向山・小森型理科」と呼んでいる。

「理科は感動だ!」をテーマとして、感動のある理科授業を通じて、科学・理科を好きになり、ひいては科学技術立国を目指すわが国の発展に寄与するような人材の育成を理念とする。

研究成果のひとつとして、2006年末に発行された「わくわく図鑑・こんちゅうはかせ」と「わくわく図鑑・しょくぶつはかせ」という図鑑があげられる。

このポケット図鑑は、次のような特徴をもっている。

  1. 既成の概念を破り、掲載種を極力絞ることで、図を大きくして見やすくしている
  2. 良く見かける種を厳選して掲載することで、「ぼくにも引けた」という達成感を持たせることができる。
  3. 写真ではなくイラストを使うことで、余計な情報が入り込むことを極力避けている。

酒井式描画指導法[編集]

元小学校教師の酒井臣吾が生み出した、絵画の描画指導法である。

酒井式描画指導法の目的は「その子なりの最高傑作を描かせること」である。

酒井式の指導案は「シナリオ」という。シナリオは、1名も残さずクラス全員が「傑作」を描くための筋道を示すためにある。

酒井式の指導法を整理すると次のような特長がある。

触覚描法
見て描くよりも、触って描くことを重視する。
同心円描法
外から内へ描くよりも、内から外へ描き進める。
部分配置・つなぎ描法
部分を配置しておいて、その部分をつないでいく。
斜め描法
水平垂直にならぬよう、斜めに描き進める。
逆さ描法
人の足から描いたり、逆さの顔を描いたりする。
質感彩色法
そのものの質感を表現するための彩色をする。
主調色彩色法
主調になる色を決めて、効率よく彩色する。

TOSS型英会話[編集]

書かない、読まない、訳さない英会話指導法である。説明にも日本語をほとんど使わない。短いパーツの組み立てで、単語やダイアローグを覚える。授業の中で学ぶダイアローグは、実生活のどのような状況で使用するかなどの状況設定を明確にしている。

新出単語の練習、ダイアローグのモデル(状況設定)、アクティビティ(場面練習)やゲームで定着を図る、と3つの構成で行うのがTOSS型英会話の特徴である。これを三構成法という[要出典]

TOSSが開発・発掘した教材および指導法[編集]

TOSSが開発・発掘した教材・指導法[要出典]で、教育界に広まったものには上記で説明したもののほか、下記のようなものがある。

TOSS授業技量検定[編集]

TOSS授業技量検定とは、TOSSによる教師の授業力の検定である。

なお、受検資格はTOSSに加入している者にのみ認められる。

下は39級から上は八段まで47段階の段級位があり、大きく4つの段階に分かれる。(このほかに初級者、初心者の級位もあるが、認定基準はあるものの検定制度がない。また、初級者の級位は中級者Bの級位と一部重複している)

いずれも、認定セミナーと呼ばれる検定において模擬授業を開催し、段階毎にTOSSの段級位保持者又は向山洋一が採点、認定を行うこととされている。

なお、中級者A以上の検定はTOSSの中央事務局(中央、関西、九州)においてそれぞれ年1回と定められているが、このほかに向山洋一が特例として認める場合がある。また、向山洋一が直接に認定を行う場合は、下記の受験資格は適用されない。

中級者B(30級 - 21級)
TOSS授業技量検定の第一段階。得意分野におけるTOSS型、向山型指導法の習得について判定するものとされている。各都道府県単位のTOSSサークルが検定を実施可能。
審査は、TOSS授業技量検定の段級位保持者1名以上により行われる。
中級者A(20級 - 11級)
全てのTOSS型及び向山型指導法の習得について判定するものとされている。
受検資格は、TOSSに1年以上加入し、かつ22級以上の級位を取得していることが条件。
審査は、TOSS授業技量検定初段以上の2名以上により行われ、採点の平均点により級位が決定する。
上級者(10級 - 1級)
新しい問題提起のある授業、新しい分野、切り口を示した授業の実施能力について判定するものとされている。
受検資格は、TOSSに3年以上加入し、かつ12級以上の級位を取得するとともに、雑誌論文10本以上、または単著を著していることが条件。
なお、ここにおける雑誌論文とは、いわゆる研究論文雑誌ではなく、下記に示されているTOSSが発行する雑誌を指しているものと考えられる。
審査は、TOSS授業技量検定三段以上の3名以上により行われ、採点の平均点により級位が決定する。
有段者
画期的な問題提起のある授業、歴史に残る授業分野を10分間で示せる能力について判定するものとされている。
受検資格は、2級以上の級位を取得していることが条件。
審査は、TOSS授業技量検定五段以上の3名以上、又は向山洋一により行われ、採点の平均点により段位が決定する。

インターネットランド(TOSSランド)[編集]

TOSSにより運営されるサイト「インターネットランド(TOSSランド)」は、教師が実践している各教科の様々な指導法を掲載し、情報の共有による授業技術の向上と、追試による指導法の発展を目指すとされている。

TOSSランドに各自のサイトが登録されるためには、登録規約を遵守のうえ、TOSS中央事務局による審査を経る必要がある。

なお、審査の基準として示されているのは、

  • 法則化またはTOSSが提唱する授業論であるか
  • そのサイトが多くの教師の授業にすぐ役立つ内容かどうか

の二点である。

2011年4月1日現在、約12000のコンテンツが登録されており、2011年10月5日にはアクセス件数が1億回を突破した。

TOSSに対する評価と批判[編集]

現在、TOSSの指導法に対しては、評価する意見と批判の両方が存在している。

TOSSを肯定的に評価する意見[編集]

誰もが発信者になれる自由なシステムをつくった[編集]

「教育技術の法則化運動」以前の教育実践や教育理論は、大学教授や一部の名人とされる偉い実践家のみが創り出すものとされ[要出典]、通常の教師はそれに盲目的に追従する立場であった[要出典]。しかし、「教育技術の法則化運動」以降、無名の若い教師であっても、雑誌に原稿を投稿したり、単著を出したりすることができるようになった[要出典]。また、それまで、大学教授などの理論家の下に、実践家(教師)の立場があった教育研究会の雰囲気を破壊し、実践家であっても、理論家の述べる理論を実践の根拠を元に批判をすることができるようにもなった[要出典]

その方針は、「TOSS」でも受け継がれ、TOSSランドには、登録さえすれば、誰でも実践を申請することができるようになっている(実際に登録されるまでには、審査がある)。この中に、仮に、誤りの実践があっても、いずれ、批判検討されて、淘汰されていくうちに、効果のあるよい実践が残っていくという自由な研究システムを確立したとされる。

教師修業の目安を明確にした[編集]

従来、教師はどのようにして力量を高めたらよいか、指針が不明確であった。だから、各地に「自称名人」が存在し、保護者や子供からそっぽを向かれているにも関わらず、権力を振りかざす教師が存在した[要出典]

向山はこの問題点を「黒帯六箇条」の中で教師修業の指針を示した。例えば、「研究授業100回」などの指針である。向山は、この程度もやっていないで逃げている教師は、どんなに口先が上手くても、アマであると断言している。[要出典]これらを更に検討し、構築したのが「TOSS授業技量検定」である。向山は、「TOSS授業技量検定」設立に対して、次のように主張している。

「多くのプロの仕事では、その段級位を認定するシステムがある。しかし、教師の技量を測るシステムがない。だから「自称名人」がいっぱいいる。これは困ったことだ。そこで、TOSS授業力量ライセンスシステムを作り、3年かけて試行してきた。黒帯六条件より、はるかにすぐれたシステムであった。授業の技量を上げるのは、毎日毎日の一つ一つの授業の蓄積なのである。誰でも技量は上がる。しかし、それには目標を持ち正しい地道な努力が必要だ。」[35]

教育全体の水準を一定に保っている[編集]

  • TOSSが言うところの法則化とは、それまで名人と言われる教師によって独占されてきた「実践によって裏付けられた優れた教育技術をすべての教師の共有財産とする」ことを目的としている、とされている。
  • 向山型跳び箱指導に見られるように、具体的な指導法を示し、それを追試した教師が何らかの成果を見た事で、方法論として一定の評価を受けている。
  • 新任早々授業を担当しなければならない新人教師や、学級崩壊等の問題を抱えて悩む教師には即効性のあるマニュアルになっているという評価がある[誰によって?]

解放された新しい教師像をつくった[編集]

  • TOSSは、「研究団体」であり、主宰者である向山洋一の実践でも、きちんとした根拠があれば、批判し否定する教師も一般の会員として加入することができる。TOSSの会員は、相互での実践の批判、検討は日常的にサークルなどで行っている。もちろん、批判だけではなく、よい実践だと各自で判断した実践は、日常の授業実践などで取り入れて、子供たちに分かりやすい授業が展開できるように研鑽を積んでいる。
  • TOSSには、一般のTOSS会員とは別に、向山一門という組織が存在する。こちらは、向山型の実践を推進する立場であり、向山洋一を師匠として仰ぎ、より厳しい教師修業を求める組織である。教育の世界に、初めて茶道や華道のような芸事の修業の世界を、批判を覚悟して導入した組織である。
  • これらの教師像を、従来、学校の先生は、子供や親を評価したがる割に自分自身が評価されることを嫌い、閉鎖的であるとされてきたが、自ら進んで批判される立場に身を置き、研鑽を積んでいる新しいタイプの教師像として、肯定的に評価する意見がある。

加入や離脱の原則があっさりしている[編集]

  • TOSSへの所属に関しては、代表の向山洋一による「来る者拒まず、去る者追わず」という原則論がある。したがって、TOSSへの加入や離脱に関して、他の研究団体や教職員組合の組織のように、教師個人の意思を伝えれば、いつまでもしつこく声をかけられることがない点を評価する意見がある[誰によって?]

師範学校時代に伝授されていた教育技術への再評価[編集]

  • マニュアルと並んでよく言われるのが、「教育は技術ではない」ということである。TOSSでも「教育技術がすべてである」などとは、述べたことなどはない。向山洋一は、「教育にとって技術は大切だが、7 - 8パーセント程度だ」と述べている。同時に向山は、「しかし、技術は小さなものだがなしではいけない」ということも述べている[要出典]
  • 教師が尊敬されていた戦前の師範学校制度下では、これらの教育技術は専門教育の過程で教えられていたが、戦後、GHQによって、師範学校制度が廃止され、一般教養を重視した教育学部に変えられたため、現在の新卒教師は、子供を指導する術をもたないまま教壇に立っている現状がある。TOSSは、戦前の師範学校に変わる役割を果たしているという評価がある[誰によって?]
  • 向山洋一は、教育技術を医療技術にたとえ「盲腸を手術する技術は外科医には小さな技術であろうが、盲腸を手術できない外科医を誰も外科医としては認めない」と述べている[36]

酒井式描画指導法[編集]

  • 酒井式描画指導法は、子どもに明確な目的を持って学習させることで関心・意欲を高めていると同時に、教師側にも学習方法と学習内容を明確にしたことで、それまでの自由画教育では論じられることがなかった具体的な授業研究ができるという評価がある。
  • また、酒井式描画指導法で描いた中学生の作品が、ドイツ・ハプスブルグ家に認められ、宮廷画家として迎えられるなどの評価を受けたことがある[37]

TOSSに対する外部からの評価[編集]

社会的課題に対応する教師がいる[編集]

TOSSの内部から、谷和樹(現、玉川大学教授)、伴一孝甲本卓司河田孝文長谷川博之小嶋悠紀などをはじめとする学級崩壊を次々と立て直したり、児童生徒保護者、教育関係者や医療機関などから高い評価を受けたりする教師を輩出している[38][39][出典無効]

官庁や業界からの評価[編集]

総務省観光庁文部科学省林野庁日本郵便電通などと提携し、TOSSの指導法のノウハウを生かしたテキストを作成する事業も行っている[40][41]

2014年10月1日観光庁にて、TOSSは、観光庁長官から、「『観光・まちづくり教育全国大会』開催や全国各地の小中学校における授業での実践活動等を通じて次世代を担う子ども達の『郷土を愛する心を育てる』ことを主眼とした観光立国教育を広く全国で展開されました」[42][出典無効]とする「観光庁長官賞」を受賞した。

発達障がいの専門医からの評価[編集]

特別支援教育の分野の研究では、発達障がい専門の医師である、宮尾益知国立成育医療センター)、安原昭博(安原こどもクリニック院長)、平岩幹男東京大学医学部小児科非常勤講師)、和久田学(子どもの発達科学研究所主席研究員・大阪大学大学院特任講師・小児発達学博士)、平山諭(臨床発達心理士)らから、高い評価を受けている[43]

応援メッセージや提携[編集]

これらの官庁や業界、医療との提携の実績から、内外から高い注目を浴びるようになっている。

年1回、TOSS会員が一堂に会して集う「TOSS熱海合宿」や新卒教師向けの「TOSS教え方セミナー」に対し、内閣総理大臣名義で安倍晋三から応援メッセージが電報が届いており、他にも、文部科学大臣名義で、下村博文からも同様に電報が届いている。また、観光庁総務課長・Yahoo!キッズGoogle関係者も教育関係者ではないが、参加している。

TOSSに対する批判的意見[編集]

TOSS授業技量検定に対する批判[編集]

TOSS授業技量検定について、有段者などの実態はTOSSの運動論への貢献度であり、授業技量のみの評価とは関係がないという批判も一部には存在する。

児童から授業が理解できないという批判[編集]

ある教師(TOSS参加者)が、TOSSが推奨する授業方法で授業を行った時と自分で考案した授業を行ったとき、児童から後者のほうがわかりやすいという意見が続出したと話がある[要出典]。そのため実際に本当に児童が理解しやすい教材や授業内容を考案しているのかという批判もTOSS内部からも存在する[要出典]

但し、このような現象は、TOSSの運動四原則の1つである「4 多くの技術から,自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である。」という「主体性の原則」[44]に照らせば、よりよい指導法を生み出す過程においてごく自然に起こる現象である。このような批判・検討を経て、よりよい指導法を生み出そうとするのが、TOSSの理念である[45]

したがって、この批判は、TOSSを否定する批判にはならないという意見も存在する。

酒井式描画指導法に対する批判[編集]

一部の教師や保護者からの批判には、マニュアル教育そのものに対する批判があるが、代表的なものとして、酒井式描画指導法に対する批判がある。

酒井式描画指導法は、絵描き歌のように、「同じ手順で」「同じ対象物を」「紙面の同じ場所に」「同じ時間で」「教師の指示通りに」書くことを基本としていると批判者は述べており、結果として得られる作品は画一的であるとされる。

この酒井式描画指導法には、次のような批判がある[要出典]

  • 観察・考察・想像といった制作の前段階が無視されている
  • 子どもの心の自由への侵害である
  • 個性がなくなる
  • 技術の向上に役立つものではない
  • 教師の自己満足に過ぎない
  • 学習指導要領を満たしていない

これが問題視されたのは、酒井式描画指導法によって描かれた作品が、全国的なコンクールなどに大量に出品されたことで、主催者等からの批判が相次いだことをきっかけとしている。コンクールにおける上記の批判から、「一学校につき同一テーマでは3作品まで」といった出品制限を指導することにより、コンクールにおける酒井式描画指導法への注目を弱めることを狙ったが、こういった行為はコンクール出品への根本的な問題解決にはなっていない。

近年[いつ?]はさらに、2 - 3歳の幼児にもこの指導法が広められており、一部で危惧されている。

また、批判者への反論を、Webサイト上や雑誌「教室ツーウェイ 2006年8月号」に掲載している。

批判者の意見としては、この背景には、特に個人の能力や感性に差が大きい芸術分野の科目において、技術の習得と芸術性をどう評価するのかという方法論が、教育界全体において未だ確立していない一方で、限られた授業時間で何らかの成果物を作らなければならないとする教師の観念や社会の要請があるためであるとしている[要出典]

疑似科学の拡大助長に対する批判[編集]

TOSSと疑似科学の親和性は以前から批判があった[46]。これは、TOSSがEM(有用微生物群)についてその当初から環境教育として積極的に採り入れてきたことによる。そもそも、TOSS設立以前から向山はEMを積極的に環境教育に採り入れてその普及を図ってきた[47]が、そのEMの微生物群としての有機物分解能力の(他の土壌改良資材と比較して優れているわけでもない)有用性についてのみならばともかく、EMの開発者である比嘉照夫EM技術についての波動測定装置による有効性検証とするものや、「八〇〇度でも死なない」といった言葉までも無批判に信じて教育に採り入れた実践をしたTOSS会員がいた点が、疑似科学を教育現場に持ち込むものとして批判されたものである。

その後、「水からの伝言」への疑似科学批判のなかで、「水からの伝言」についての授業実践例がTOSSランドに登録され、TOSS関連書籍の中でも紹介されるなど[48]、TOSSの活動のなかで用いられ、そこからTOSS以外への教師へ広まっていったことが確認された[49]ことによって注目された。

これについて、

  • 疑似科学を授業に用いるべきではない
  • 二分法で『いい言葉』『悪い言葉』を分類するのは無理
  • 水の結晶に良い悪いを判断させるというのは、物事を形だけで判断するのは良くないという道徳と矛盾

と言った観点からの批判が相次ぎ、現在はTOSSランドから削除されている。しかし、そもそもTOSSはなぜ水からの伝言を用いた授業を登録したのか、なぜ削除に至ったのかといった経緯を明らかにしていないため、水からの伝言に係る誤解は放置されたままであり、依然として学校の授業において実践される事例が後を絶たない。

また、科学者の間では疑似科学であるとの評価が定着したゲーム脳もまたTOSSでは広く取り上げられ、関連書籍や雑誌で紹介されてきた[50][51][52][53]

そして、ゲーム脳を扱ったコンテンツは2007年3月まで数件登録されたままであった[54]

また、文明史家の原田実によって歴史的、道徳的観点から疑問点が指摘された江戸しぐさについてのコンテンツも存在する[55]

加えて、前記のEMについて、TOSSランドに環境教育のサブカテゴリとしてEMを明示して多数のコンテンツを登録している[56]。こうしたことから、TOSSは疑似科学を排除したわけではなく現在でも拡大助長していると批判する人々は判断している。そのほか、疑似科学と一般に判断されているものでTOSSで扱われているものに脳内革命が挙げられる[57][58][59][60][61][62]

これらの疑似科学は、主に道徳総合的学習において取りあげられる割合が高い。背景には、教師が、児童に教える過程では、単純で分かりやすく教えることを求める傾向があり、科学的な検証を経ることなく、無批判、盲目的にTOSSの指導法を信じているものと考えられ[63]、TOSSが本来目指しているとされている「追試による指導法の発展」が、機能していないと批判者は判断している。

なお、より厳しい批判としては、向山とTOSSが確信的なオカルティズムに基づいているとし、これを愚民教育であるとする意見もある[64]

ただ、一方で、「疑似科学」の主張の根幹である「科学」の定義に関して、未だ専門家たちによる議論が分かれている歴史研究や科学的定義に関しても、自らの主張に合わない主張を「歴史修正主義」「疑似科学」と一方的に断じているという批判も存在しており[65]、実は科学を装いながら、日教組や左翼的なイデオロギーに基づく批判を行っているにすぎないという主張もある[66]

また、疑似科学側には、批判に対する課題解決の代案が存在しないことから、経営者の観点から、「登りもしないくせに、登る気もないくせに、まだ裾野付近をウロチョロしているだけのくせに、真剣に山を登っている登山者をバカにしちゃぁ、こっ恥ずかしいだけだって思いますよ。」と疑似科学批判を批判する主張をする意見もある[67]

脚注[編集]

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  1. ^ 向山洋一. 跳び箱は誰にでも跳ばせられる. 明治図書出版. 
  2. ^ 向山洋一 (1985年). 授業の腕をあげる法則. 明治図書出版. 
  3. ^ 向山洋一 (1987年). 向山洋一・大学での私の講義-授業について-. 明治図書出版. 
  4. ^ 『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所
  5. ^ 『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所
  6. ^ 『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所
  7. ^ 2000年 千葉大学「教育方法学Ⅰ」での講義
  8. ^ 2000年 千葉大学「教育方法学Ⅰ」での講義
  9. ^ 2000年 千葉大学「教育方法学Ⅰ」での講義
  10. ^ 2000年 千葉大学「教育方法学Ⅰ」での講義
  11. ^ 向山洋一著「産経新聞連載」2005年11月
  12. ^ 向山洋一著「産経新聞連載」2005年11月
  13. ^ 向山洋一著「産経新聞連載」2005年11月
  14. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  15. ^ 光村教育出版社ホームページ
  16. ^ 光村教育出版社ホームページ
  17. ^ 光村教育出版社ホームページ
  18. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  19. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  20. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  21. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  22. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  23. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  24. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  25. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  26. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  27. ^ 親守詩大会実行委員会ホームページ
  28. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  29. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  30. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  31. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  32. ^ ふしづくりの音楽教育 3 歴史 より
  33. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  34. ^ 東京教育技術研究所ホームページ
  35. ^ 向山洋一『教室ツーウェイ』2003年11月号
  36. ^ 向山洋一 (1991年). 教育技術入門(教育技術文庫). 明治図書出版. 
  37. ^ 向山洋一 (2006年-08). “中学生宮廷画家(ハプスブルク家)を誕生させた酒井式描画指導法”. 教室ツーウェイ (明治図書) (No.327). 
  38. ^ 『TOSS特別支援教育』誌(東京教育技術研究所発行)
  39. ^ TOSS熱海合宿への下村博文文部科学省大臣名義の祝電文
  40. ^ 「林業テキスト」(林野庁発行)
  41. ^ 「葉書テキスト」(日本郵便発行)
  42. ^ TOSS観光庁長官賞表彰状の文言
  43. ^ 『TOSS特別支援教育』誌(東京教育技術研究所 発行)
  44. ^ 『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所
  45. ^ 『教育トークライン臨時増刊号』(2013.4) 東京教育技術研究所
  46. ^ 斎藤貴男『カルト資本主義――オカルトが支配する日本の企業社会』(文藝春秋、1997年/文春文庫、2000年)第5章
  47. ^ 向山洋一 (1996年). EMを学び、教える ーー環境教育はこれで一変する. サンマーク出版. 
  48. ^ 師尾喜代子編『TOSS女教師の読み聞かせシリーズ2 教室がシーンとなる“とっておきの話”100選 中学年編』(明治図書、2002年)において、『水も感じる「ありがとう」の言葉』という話が掲載されている。師尾はTOSS中央事務局に所属している。
  49. ^ 菊池誠『「ニセ科学」入門』(第六十一回物理学会年次大会シンポジウム「『ニセ科学』とどう向き合っていくか?」、2006年3月)で言及されている。また、毎日新聞『理系白書理系白書’07:第1部 科学と非科学/2 教室にニセ科学 - 毎日jp(毎日新聞)[リンク切れ]』(2007年2月7日)にも同様の記述がある。
  50. ^ 森本雄一郎 (2004-12). “ゲーム脳の恐怖から子供を守ろう!”. 楽しい体育の授業 (明治図書) (NO. 181). 
  51. ^ 河田孝文(編著) (2005年6月15日). <インターネット活用授業集成>8 道徳授業はインターネットで進化する. 明治図書. の中で「ゲームのし過ぎで脳が壊れる!〜ゲーム脳の恐怖〜(TOSSランドNo2210270)」が紹介されている。
  52. ^ 板倉弘幸 (2005年8月26日). “IV 学力保障と教科指導の原則を類書から学ぶ”. 向山流読書法で学級・授業づくりの基礎を磨く 上巻. 明治図書. において、『ゲーム脳の恐怖』が取り上げられている。
  53. ^ 瀧尾恵美子 (2006年3月31日). “ゲーム脳になってもいいのですか?”. In 浅川清. 女教師のワザ100シリーズ2 -- 学級PTAでする“心に残る話材”100 (3版 ed.). 明治図書. 
  54. ^ 例えば、森泉真理 (2003年2月14日). “ゲームについて考えよう(TOSSランドNo2220075)”. 2007年3月3日閲覧。 など。一方、松村雪子 (2003年1月12日). “ゲームのし過ぎで脳が壊れる!〜ゲーム脳の恐怖〜(TOSSランドNo2210270)”. 2007年3月3日閲覧。は2007年3月以前にTOSSランドからは削除されていた。なお、2007年3月中旬になって、TOSSランドの検索結果でゲーム脳関係のものが表示されなくなった。
  55. ^
  56. ^ タブなし → 環境の授業 → EMで2007年2月末で17件登録。
  57. ^ 岡田健治 (1998年6月1日). “ライフスキル」で「しなやかさ」を育てる”. In TOSS道徳教育研究会(編). TOSS道徳「心の教育」1 -- 生き方の原理原則を教える教育. 向山洋一(監修) (9版 ed.). 明治図書. 
  58. ^ 久保宏行 (2006年2月2日). “IV 1日1時間! 子どもが「熱中」する授業の演出ライフスキル”. In 伴 一孝(編). これ一冊で大丈夫! 若手教師のための指導力アップ講座11 -- 修了式の日に涙を流すための本. 明治図書. 
  59. ^ 岡田健治 (2006年3月22日). “第3章 困難に打ち克つ力をつける授業をしよう!”. 向山実践の原理原則を究める 5 -- 教師力を最大限に高める秘訣. 明治図書. 。該当箇所が明治図書のウェブサイト[リンク切れ]で確認できる。
  60. ^ 久郷佳恵 (2005年8月23日). “TOSSランド活用術—使わないと絶対に損をする”. In 法則化中学信州・JHS−長野・JHS−上田. 役に立つ教育技術 いくつ持ってますか18 中学学級経営 生徒と絆をつくる基本キー. 明治図書. 。該当箇所が明治図書のウェブサイト[リンク切れ]で確認できる。
  61. ^ 河田孝文(編著) (2005年6月15日). <インターネット活用授業集成>8 道徳授業はインターネットで進化する. 明治図書. の中で複数の「脳内革命」を使用したTOSSランドのサイトが紹介されている。
  62. ^ 平松孝治郎 (2006年-06). “脳内革命の話を、一年に一度はしたい”. 教室ツーウェイ (明治図書) (No.325). 
  63. ^ 左巻健男「お手軽化が蔓延する教育現場の怪」(『論座』2007年2月号)
  64. ^ 左巻健男「お手軽化が蔓延する教育現場の怪」(『論座』2007年2月号)及び斎藤貴男『カルト資本主義』。
  65. ^ 渡部昇一著『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』(PHP新書)
  66. ^ 渡部昇一著『自由をいかに守るか ハイエクを読み直す』(PHP新書)
  67. ^ 三木克敏 著「情熱空間」

関連雑誌[編集]

  • 月刊『教室ツーウエイ』誌(明治図書)
  • 月刊『家庭教育ツーウェイ』誌(明治図書)
  • 月刊『向山型算数教え方教室』誌(明治図書)
  • 月刊『教育トークライン』誌(東京教育技術研究所)
  • 季刊『TOSSインターネットランド』誌(東京教育技術研究所)
  • 隔月刊『向山型国語教え方教室』誌(明治図書)
  • 隔月刊『教育コミュニティ』誌(東京教育技術研究所)
  • 季刊『TOSS特別支援教育』誌(東京教育技術研究所)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]