日本心霊科学協会
団体種類 | 公益財団法人 |
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設立 | 1946年 |
所在地 | 〒161-0034 東京都新宿区上落合1-12-12 |
法人番号 | 6011105005398 |
起源 | 心霊科学研究会、東京心霊科学協会 |
主要人物 | 理事長 瀬尾育弐 |
ウェブサイト | shinrei.or.jp |
公益財団法人日本心霊科学協会(こうえきざいだんほうじんにほんしんれいかがくきょうかい)は、スピリチュアリズムの思想哲学や心霊現象・超常現象など精神世界を科学的に研究する、1946年設立の学術的心霊研究団体。
前身は心霊科学研究会及び東京心霊科学協会であり、浅野和三郎が設立。浅野和三郎の死後も活動を続けていたが、第二次世界大戦で活動を休止、終戦後1946年に関係者により日本心霊科学協会が設立される[1]。1947年2月以来、機関誌『心霊研究』を毎月発行。1949年に財団法人の認可を取得し、東京都教育委員会所管となる。2012年4月1日より内閣府所管の公益財団法人となる。
目的は、心霊現象に関する諸般の科学的研究を行うと共にその成果にもとづき人生の指導原理の普及を図って人類の福祉に貢献することである。
- 創立者
- 事業
- 心霊資料の調査、研究
- 心霊現象の実験的研究
- 心霊研究に関する講演会、講習会、実験会等の開催
- 機関誌の発行及び研究と啓蒙に関する図書冊子の刊行
- 他の心霊研究機関及び関連諸団体との連携協力
- その他前条の目的を達するために必要な事項
- 活動
沿革
[編集]- 1946年(昭和21年)12月、吉田正一(弁護士)ほか14人が発起人となって「日本心霊科学協会」が設立された。
- 1947年(昭和22年)2月、機関誌「心霊研究」発刊。(浅野和三郎が発刊し、中断した雑誌の名を継ぐ)
- 1949年(昭和24年)「財団法人日本心霊科学協会」となる。
- 1958年(昭和33年)2月、米国シアトルのアクエリアン・ファウンデーションの物理霊媒キース・M・ラインハートの実験会を開催。
- 1960年(昭和35年) ISF(国際スピリチュアリスト連盟)に加盟。
- 1964年(昭和39年) 文京区湯島の井上富貴邸内に土地の提供を得て、家屋を建設し、本部を移転する。
- 1978年(昭和53年) 創立30周年を記念して、新宿区上落合に会館を購入し、改装のうえ移転した。(最寄り駅=西武新宿線“下落合”)
- 1990年(平成 2年)10月「心霊現象を科学的に検討するプロジェクト」を開始した。次の3つのグループで研究を推進:
- 1996年(平成 8年)8月、ISF(国際スピリチュアリスト連盟)会長ライオネル・オーエンを招いて、創立50周年記念行事を行う。「輪廻転生、未知の世界、その探究の歴史」と題して創立50周年記念講演とシンポジウムを開催した。
- 1996年(平成 8年)11月、英国ノアズアークソサエティ(「ノアの方舟協会」)の物理霊媒コリン・フライ(通称リンカーン)を招いて実験会を開催した。
- 2000年(平成12年)10月、事務局のコンピュータをインターネットに接続し、ホームページを開設した。
- 2000年(平成12年)12月、財団法人日本心霊科学協会の50年史である『創立五十周年記念特集』を出版する。
- 2002年(平成14年)6月、第1回心霊科学研究発表会を開催する。
- 2008年(平成20年)11月30日、心霊の正しい知識の講演会「目覚めよう霊性の宇宙へ - 気づいていますかあなたの生き方」を開催。
- 2012年(平成24年)「公益財団法人日本心霊科学協会」となる。
日本心霊科学協会は国内外でスピリチュアリズムの思想・哲学を広めるために、活発な活動を行っている。海外との交流も盛んで、ISF(国際スピリチュアリスト連盟)主宰の2年ごとに行われる国際会議には、代表を送り、それを通じて欧米各地のスピリチュアリストと交流を行った。また超心理学等の関連分野の学会で研究成果を発表し、国内外の関連学会・友誼団体の学会誌・機関誌と「心霊研究」誌の交換を行い学術的な交流をしている[2]。
そのほか日本心霊科学協会は、長年にわたり、心霊研究およびスピリチュアリズム関係の資料や図書の収集につとめ、現在では総数1万余冊に達している。中には歴史的な貴重本も含まれ、この種の蔵書では、日本有数を誇る。
このように日本心霊科学協会は、日本における心霊研究、スピリチュアリズム、超心理学など精神世界を探求する学術的研究団体として、広範囲にわたる活動を展開している。
学術的研究活動
[編集]20世紀以降、科学技術は、人間を月に送るほど、また原子一つ一つを識別できるほど、急速な進歩を遂げた。PET(ポジトロン断層法)やMRI(核磁気共鳴画像法)などの技術により人間の大脳の構造や機能に関する知見は豊富になった。しかし人間の意識や思考、心の源泉は、未だ科学には解明できていない。謙虚な立場に立って、諸々の分野から学者、研究者、大学教員、企業人が集まり、学際的研究を継続している。研究成果は、公開月例講演会、心霊科学研究発表会、夏期講座などを通して広く社会に公開している。
- 思想・哲学・心理学・人間科学:
- 文学:
- 医学・医師:
- 精神医学・精神科医:
- 法学・弁護士:
- 生物学・農学・環境学:
- 物理学:
- 機械工学:
- 電気・電子工学・情報工学[20]:
- 安藤弘平 評議員・理事を歴任、大阪大学教授、電気工学
- 後藤以紀 常任理事を歴任、東京工業大学教授、明治大学教授、電気試験所において日本の黎明期の電子計算機を開発、情報処理学会「コンピュータ博物館 日本のコンピュータパイオニア」殿堂入り。念写の研究を行った[21][22]。
- 駒宮安男 理事を歴任、九州大学教授、明治大学教授、情報処理学会「コンピュータ博物館 日本のコンピュータパイオニア」殿堂入り。ファジィ理論の研究を行った。「心霊研究」誌に、ディジタル人間とアナログ人間に関する記事を書いている。これは左脳型、右脳型に対応する。後藤以紀の弟子[23]。
- 川上正光 会員として精神統一研修会に参加、東京工業大学教授、同学長、長岡技術科学大学学長、真空管時代の電子工学の大家、『言志四録』注解[24]の業績は、財団法人日本心霊科学協会との関わりと精神統一研修会への参加などが、一つの基礎となっていると考えられる。
- 瀬尾育弐 理事を歴任、駒澤大学名誉教授、科学技術功労者表彰「文部科学大臣賞」及び紫綬褒章を受賞、医用電子工学
- 橋本 健 評議員・理事を歴任、電気工学、発明家、植物とのコミュニケーションを研究
- 吉田太郎 評議員・監事を歴任、企業役員、電気工学
- 綿貫理明 評議員・理事を歴任、専修大学名誉教授、電子工学・情報工学[25]、終活に関する論考もある[26][27]
- ジャーナリズム:
- 諸分野:
実践的活動
[編集]日本心霊科学協会では、公益財団法人として、個別の宗派に偏らない心霊科学の立場で、すべての宗教の基礎である霊魂や意識について学び、人はどのように生きるべきか、そしてどのようにこの世を去るべきかを考える。人間の死は、現世での修行を卒業し、肉体のない霊的な世界において新たなる修行の段階に入ると考える[28]。
人格・霊性の向上を目的として、毎日精神統一研修会を開催している。静かな清められた部屋に坐り、日頃の煩わしさから離れ心の働きをしずめ、心の深い所を見つめることにより、心の安定と精神的エネルギーの充実をもたらす。これを精神統一と呼んでいる。協会専属の霊的能力者(霊的直観力の保持者)の指導の下で行っている。そして終了後、霊的能力者により各人に生活に関する種々の忠告(霊査)が示される。
吉田綾の思想[29][30]として、顕幽(顕われているものと隠されているもの、見えるものと見えざるもの)は表裏一体(顕幽一如)であり、物質の世界を深く探求すれば、心・霊の世界へ通じ、また逆に心・霊の世界を深く追求すれば、物質の世界へ通ずると説く。
「ある」(現実)と「ありたし」(理想)の差が大きければ、大きいほど人間は苦しむ。この世は因果律に従い、不自然な方法、無理な方法、不正な方法により目的を達成すれば、遅かれ早かれその報いは受ける。
吉田綾は人の背後にある高い霊と心を同調させることにより、人は幸せになれると説く。そのためには精神統一研修会に参加して自分を見つめることが大切であると指摘する。精神統一研修会の後に参加者には霊的な助言を与えた。吉田綾の薫陶を受けた霊的能力者たちが現在にいたるまで、その伝統を受け継いでいる。
吉田綾の霊的な教訓は、参事会の中村きよ子らによって編纂され、1986年吉田綾霊談集[29]として出版された。この霊訓は会員に尊重されてはいるが、公益財団法人として、会員各自の生活の中で、自由な解釈と科学的検証に委ねられている。
吉田綾霊談集の一節は脚注のサイトで閲覧することができる[31]。
日本心霊科学協会では、スピリチュアルな健康を希求して、医師・精神科医の指導のもと、毎月心霊医療研究会を開催している。相談を希望する会員は、心霊医療研究会において霊的能力者の面談を受けることができる。医療実績と効果に関し、長年のデータは蓄積されているが、整理された報告と評価は現在のところ完成していない。
地域研究会(支部)
[編集]- 盛岡 1991年設立
- 仙台 1979年設立 精神統一研修会とブログで活発な活動を展開[32]
- 東京第一
- 信越 1970年設立
- 北陸 1969年設立
- 福井 1974年設立 精神統一研修会とブログで活発な活動を展開[33]
- 東海 1973年設立
- 浜松 1982年設立
- 関西 1966年設立
- 中国 1971年設立(岡山)
- 高知 1974年設立
- 九州和乃会 1967年設立(福岡)
- ロサンゼルス 1998年設立
脚注
[編集]- ^ 「心靈研究」第1巻第1号、1947年2月15日発行には、「なぜ日本心靈科學協會(日本心霊科学協会)は發足(発足)したか-本會設立の趣意-」と題して1から6ページまで、設立の経緯と目的が述べられている。その中で、迷信と偏見の世界において客観的な科学的研究の重要性を述べ、欧米では心霊研究の分野の研究機関が設立され大学においても研究が行われているなど世界の趨勢が語られ、それに比較して我が国の現状を見るとこの分野の学術的研究が困難であったことが説明されている。そのような状況において、(イ)真理の探究、(ロ)人生観・世界観の革新、(ハ)迷信の打破、の観点から科学的心霊研究の必要性は明らかであり、日本心霊科学協会の設置は急務であった。
- ^ 国外ではASPR(American Society for Psychical Research:アメリカ心霊現象研究協会(米国))、SPR(心霊現象研究協会(英国))、国内では日本超心理学会などと機関誌の交換を行っている。
- ^ 田中千代松『新霊交思想の研究』共栄書房、1971
- ^ 田中千代松編纂『新・心霊科学事典』潮文社、1984
- ^ 恩田彰『創造性開発の研究』恒星社厚生閣 、1980年
- ^ 恩田彰『東洋の知恵と心理学 (シリーズ 人間性の心理学) 』大日本図書、1995
- ^ 共著『臨床心理学辞典』八千代出版、1999年
- ^ 『共著『禅セラピー―仏教から心理療法への道』コスモス・ライブラリー、2004
- ^ 三浦清宏『長男の出家』(芥川賞受賞作品)、海燕、1987年9月号
- ^ 三浦清宏『イギリスの霧の中へ 心霊体験紀行』南雲堂、1983
- ^ 三浦清宏『幽霊にさわられて 禅・心霊・文学』南雲堂、1997
- ^ 三浦清宏『近代スピリチュアリズムの歴史 心霊研究から超心理学へ』講談社、2008など
- ^ 第10回心霊科学研究発表会(2011年5月29日)に「温泉と怪異」と題して発表、心霊研究の分野での著作多数
- ^ 佐々木雄司『宗教から精神衛生へ』金剛出版、1986
- ^ 佐々木雄司『沖縄の文化と精神衛生』編 弘文堂、1984
- ^ 吉田正一『吉田正一論文集』財団法人日本心霊科学協会
- ^ 浅間一男『生物はなぜ進化したか-現代進化論の盲点をつく』ブルーバックス374
- ^ 井口博貴『美への気づき 醜への気づき ニューエコロジー』東京法経学院出版、2005
- ^ a b 板谷松樹、宮沢虎雄『霊魂の世界-心霊科学入門』徳間書店、1967
- ^ 電気・電子工学・情報工学の分野で心霊研究の研究者が多いのは、遠隔地の情報の取得及び遠隔操作などで、両分野に共通する性質が多い為と考えられる
- ^ 後藤以紀『月の裏側の念写の数理的検討』財団法人日本心霊科学協会、1985
- ^ 後藤以紀著『心霊科学と自然科学』出版科学総合研究所
- ^ 駒宮安男「後藤以紀先生を追悼する」情報処理、Vol.33、No.4、1992年4月
- ^ 佐藤一斎 『言志四録(一)言志録』 川上正光全訳注、講談社〈講談社学術文庫274〉、1979
- ^ 日本心霊科学協会“心霊現象を科学的に検討するプロジェクト”の成果を日本超心理学会などで発表:綿貫理明、吉田太郎、三宮静悦、福田篤志、須江克則、松尾育広、大谷宗司、「PK測定装置の試作」、日本超心理学会第26回大会発表論文集、pp.16-17、1993年12月;綿貫理明、大谷宗司、「REGを使用したPK実験に及ぼす自律訓練法の影響について」、日本超心理学会第27回大会発表論文集、pp.9-11、1995年2月;綿貫理明、「心は電子を動かすことができるか」、心霊研究、No.565、pp.29-39、1994年3月;綿貫理明、「REGを使用したPK実験における偶発的高得点現象の質的考察」、超心理学研究(特集 第34回日本超心理学会大会)、第6巻、第1号、pp.13-14、2001年11月
- ^ 綿貫理明、小室匡史、「終活時代に向けての萌芽的ICTビジネスの検討」、専修大学情報科学研究所所報、No.83号,pp.1-6,2014年7月
- ^ 綿貫理明、「終活のすすめ -大挙して霊界へ向かう世代に協会は何ができるか-」、心霊研究、pp.1-20、2015年4月号
- ^
「心霊研究」誌第1巻第1号によれば、この世における短い人生を価値あらしめるには、確固たる人生観・世界観が必要であると言う。現世のみならず霊界に関する知識をも併せて考慮するときに、より正しい人生観・世界観に到達しうる。心霊研究により発見された下記5項目が人生観・世界観の確立に重要な役割を果たす。
- 一切の万有は宇宙大精神の顕現である。
- 各自の個性は死後に存続する。
- 顕幽は緊密に連携し、相互間には交流が可能である。
- 各自は因果律の支配を受け、その意思行動に対して絶対的な責任を負う。
- 各自は顕幽両界にわたり永遠に向上進歩の途を辿る。
- ^ a b 吉田綾『吉田綾霊談集【上,下】』財団法人日本心霊科学協会
- ^ 吉田正一、吉田綾『顕幽歌集』財団法人日本心霊科学協会
- ^ 吉田綾霊談の一節「真理の言葉」
- ^ 季節の美しい写真とともに“心霊の心”を社会に発信 仙台研究会
- ^ 地域の写真とともに心に響く言葉を発信 福井研究会
参考文献
[編集]- 『吉田綾霊談集・上』財団法人日本心霊科学協会 参事会、1986年9月16日。OCLC 23038273。
- 『吉田綾霊談集・下』財団法人日本心霊科学協会 参事会、1986年11月15日。OCLC 23038273。
- 吉田正一・吉田綾子『顕幽歌集』財団法人日本心霊科学協会、1972年1月30日。
- 『創立五十周年記念特集 : 財団法人日本心霊科学協会(1946〜1996)』日本心霊科学協会、2000年12月15日。OCLC 676502072。全国書誌番号:21140800。
- 対馬路人 著「宗教と科学のはざまで―現代日本の『心霊研究』運動」、宗教社会学の会 編『神々宿りし都市 : 世俗都市の宗教社会学』創元社、1999年。ISBN 4-422-23016-6。
外部リンク
[編集]- “公益財団法人日本心霊科学協会”. 2012年3月13日閲覧。