世界真光文明教団

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世界真光文明教団
Sekai Mahikari Bunmei Kyodan 20111016.jpg
主座世界総本山ご本殿
略称 真光
前身 L・H陽光子友乃会
設立年 1959年2月27日
設立者 岡田光玉(初代教え主)
種類 宗教法人
法人番号 9080105001596
本部 静岡県伊豆市冷川 1524-4
現教え主 関口勝利(三代目教え主)
ウェブサイト http://www.mahikari.or.jp/

世界真光文明教団(せかいまひかりぶんめいきょうだん)は、岡田良一(光玉)が設立した新宗教。本部は静岡県伊豆市にある。手をかざして災厄を祓うとする「真光の業」と、「神理正法」という教えを軸に活動している。日本を中心に、台湾、アメリカ、メキシコ、アフリカに支部、中国を含め世界各地に道場がある。

略歴[編集]

主晃一大神宮のインテリア

陸軍の元軍人で実業家であった岡田光玉が、1959年58歳の時に5日観光熱にうなされ、2月27日に神の啓示を受けたという[1]。「主の神」から「魁のメシア」という役目を与えられた岡田は、実業家の仕事を続けながら「L・H陽光子乃友」を立教し、宗教活動も行った[2][3]。1963年に教団名を「世界真光文明教団」に改めた。初代教祖(教え主)の岡田は一時手かざし(浄霊)を行う世界救世教の有力信徒であり、手かざしを含め、二つの教団の教理、儀礼には共通点が多いと指摘されている[2]。ただし、教会ごと脱退したわけではないので分派とはされていない。真光は次第に信者を増やしたが、宗教学者の島田裕巳は「その教えがシンプルで、教義や戒律をほとんど問題にしないことが広く受け入れられた原因だった」と評している[4]

1974年6月23日に岡田光玉は死去し、後継者をめぐって養女の岡田恵珠派と幹部信者の一人だった関口榮派に分裂、裁判になり、1978年最高裁判所は生前の指名によるという関口の主張を認め、関口が二代目教主に就任[5][6]、恵珠は同年に崇教真光を創設した[2]。世界真光文明教団と崇教真光の教義・儀礼の大きな差はない[2]。世界真光文明教団は、現在は関口榮の息子の関口勝利が三代目を継承している。

1987年8月23日には、静岡県伊豆市に本山である主晃一大神宮(スノヒカリヒイオオカムノミヤ)を建立。1989年には幹部を養成する崇教実践陽光大学(現 陽光大学)を開校している。2009年8月2日には立教50周年大祭が行われた。

教義[編集]

伊那旭魂霊修験道場(2009年)

教義は習合的で、神道の要素が多く、千年王国主義的な面を持つ[5]

世界は多くの層からなる地獄、肉体界、アストラル界霊界からなり、頂点に主神があり、いく柱かの主な神々が補佐するとされる[5]

人間は、霊体・幽体アストラル体[5])・肉体の三位一体の存在で、霊が主で、幽体(心)が従 、肉体が属の関係であるという教義であり、これの上に手かざしが成り立っている[2]。ほとんどの病気、災い、経済上や人間関係の問題は、汚染、食品添加物、医薬品、悪行、またしばしば悪霊によるアストラル体への憑依であると信じられている[5]。少なくとも8割、ほぼすべての人間が霊に憑依されており、霊に憑依されている人は霊障にあっており、不幸であると考える[2]。憑依する霊は、害を受けたものが恨んで憑く恨みの霊、正しい先祖供養が行われていないため幽界で苦しみ迷い出た先祖の霊、先祖供養がおろそかであることによる守護力の低下・本人の霊が弱っていることによる無関係の霊の憑依があるとされる[2]。先祖供養が重視され、位牌をぞんざいに扱うと、先祖がアストラル界で苦しみ、子孫に病気や不幸をもたらすとされる[5]。講習を受け入信することで「お浄め」または「真光の業」と呼ばれる手かざしができるようになり、これによって人間、動物、植物、物体、空間などへのお浄めを行うことができるとされる[5]。手から発する神の光が受け手の体を通り抜け、受け手の霊的な汚れを消し、病気のような汚れの肉体的現れも取り除くことができると信じられている[5]。病気治しではなく、患者の霊的な体を清める行為であると強調されている[5]

本来人間は、神が人に顕現・変化したものであり、世界ができた当初人は神、仏そのものであったとする。宗教の役割とは、人間に元々ある神性を開発 ・復活させることであるが、多くの宗教は哲学化し本来の役割を果たしていないと考える。1、2年の修行で奇跡の力を手に入れることができるのは、人が本来神であるからであるとされる。関口栄は、人が宗教を求めるのは「奇跡と救い」を得るためであり、生きた活動をする本物の宗教では奇跡は日常的に起こるべきであるという。[2]

教え主は、主神と人々の接点であり、その霊体は「無線電信の中継局」の役割を果たしているとされる。教え主は神が決めるとされる。教え主は他の信者とは段違いの力を持ち、2キロ四方のお浄めができ、天候を左右し、雨を止めたり霧を晴らしたり「台風割」ができ、触れた人の病気が治ることもあるとされる。[2]

真光の業(手かざし)と正法の教えの実践に励み、病・貧・争・災より解放され、健(無病化)・和(無対立)・富(脱貧)を実現する事によって地上天国文明を建設するとしている。

「聖地の建設」という点で世界救世教同様に大本の影響を受けていると言われ、伊豆の修善寺近くの山中に高さ60メートルもの主座世界総本山を作った[7]

宗教学者の島田裕巳は、手かざしには組織的な活動が必要ないため共同体が形成される契機がなく、信者に組織活動への参加をあまり求めないこともあり、気軽に参加でき若者も多かったが、同時に抜けるのも簡単であるため、組織の勢力を保ち続けるのが難しいと述べている[8]。島田は、真光系諸教団はスピリチュアル・ブームの先駆けとなったと評価することもできる、と述べている[9]

火の洗礼[編集]

神が汚れた人類を大みそぎする「火の洗礼」、大地震・大爆発・大洪水などの自然災害、核戦争・最終戦争があると信じられている[2]。地球温暖化、自然破壊は、「火の洗礼」の時代が始まったことを示しており、利己主義と物質主義から目覚め、世界の刷新に備えなければならないと考えられている[5]。主神は全ての人類を滅ぼすのではなく、岡田光玉によって「火の洗礼」を乗り越えた先の新しい文明のための「タネビト」を残そうとしており、このタネビトをなるべく多く用意し、「火の洗礼」の後に新しい文明を築き、主神の教えを実現することを目指す[2]。手かざしは人間に世界への刷新の準備をさせるものと考えられている[5]

「火の洗礼」の予言は、オイルショック以降の世界の終末を恐れる若者たちを教団に惹きつけた。真光系諸教団はめずらしく若者の参加の多い新宗教として一時期注目されていた[10]ノストラダムスの大予言で世界の終わりとされた20世紀末が過ぎた後は、予言の求心力は低下した。

信仰の対象[編集]

  • 御親元主真光大御神(みおやもとすまひかりおほみかみ):「主(ス)の神」とも呼ぶ。創造神であるとしている。
  • 伊都能売大国魂大国主之大神(いずのめおおくにたまおおくにぬしのおほかみ):主の神と表裏一体といており、地上世界に強く働きかける神であるという。

主な祭神はこの二神であるが、教団の教義によれば神は「一神で多神で汎神」とし、多くの神の存在を認めている。なお世界真光文明教団では、「信仰」ではなく、神様へ向くことの意味で「神向」と記している。また信者を神と手を組むという意味で、「神組み手(かみくみて)」と呼ぶ。

歴史観[編集]

真光の述べる歴史は次のようなものである。スの大神が世界を創造し、神々を作り、ムー大陸に黄人、赤人、白人、青人、黒人の「五色人」という世界人類を作り、神自ら天祖、皇祖、人祖をまつった。ムー大陸は陥没し、五色人は世界中に散った。日本はムー大陸の残った山頂で、日本人は五色人の直系の子孫である。万世一系の天皇は世界創造以来の全人類の王統が続いたものである。五色人のうち、南米に上陸しインカ帝国などを作ったのがアメリカ・インディアン、西に向かったのが朝鮮半島、アジア大陸中央、インド、西アジア(ユダヤ)の人々であり、釈迦の教えもイエスの教えも「五色人の血肉の兄弟の教え」である。「全人類が日の本の国に集って、霊的新文明を築く仕組みになっている」という。[11]

真光は大本の神話を継承・発展させている。真光では、人類誕生から天皇制まで、すべて日本が世界の中心に位置づけられている。金沢大学中村伸浩は、このイメージは、高度経済成長期の日本経済を反映した日本人のアイデンティティの世界的拡大に関係していると想像できると述べている。真光の天皇制は、ムー大陸の実在を主張したジェームズ・チャーチワードや超古代史を記した「竹内文書」の影響を受けており、神武天皇の前に数十代の天皇がいたとされ、現実の天皇制とも記紀神話の天皇制とも異なっている。極端な日本中心主義と、日本のもとで世界民族が共存するというコスモポリタニズムがあるが、世界の把握は象徴的で具体性に欠ける面がある。世界性は儀礼にも反映されており、「立春大祭」は、人種・国境・宗教を超えた「人類の祭り」として、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、アジアの信者も参加する。[12]

中村伸浩は、岡田光玉の国粋主義的言説には、「特有の諧謔とディタッチメント」があり、超古代論オーディオ・ビジュアル文化的な現代的発展(古代ピラミッド、UFOノストラダムス等)の始祖的な存在となっていると述べている[13]

手かざし[編集]

不幸の原因を霊の憑依であるとして、浄霊で霊の障りを取り除けると考え、その方法である手かざしを「真光の業(わざ)」と呼んだ。信者が対象者の前に座り右手を額の前にかざすと悪霊が動き出す「霊動」が起こって浄化され、不幸が解決するとする。釈迦やキリストが行った奇跡の業と同様の行為であるが、3日間の初級の研修でだれでも可能であるとされている。これが真光の救済のシステムで、非常にシンプルなものである。

研修の最終日に、入信と同時に「おみたま」というペンダントを授けられ、これに生命力の根源とされる清めの光「真光」が受信され、その力が所有者に与えられるとされる。神から注がれる真光は通常でも受信しているが、「おみたま」も持つことで受信する力が格段に上がるとされている。「手かざし」は「おみたま」なしでもできるが、効果が大幅に増大するとされている。すべての信者の力は同等ではなく、初級・中級・上級の講習会で与えるおみたまの大きさは異なり、与えられる力も異なる。役職に就くことで力が多きくなることもよくあるとされる。[2]

真光の「手かざし」は、大本の「み手代」世界救世教の「浄霊」につながるものであると考えられている[2]。宗教学者の島田裕巳は、真光の業と霊動の関係は、野口晴哉野口整体における「愉気」と「活元」を宗教的・霊的に解釈したものであると述べている。

主な行事[編集]

  • 立春祭…毎年立春の日に行われる、教団において最も重要なみ祭り(神祭り)の一つ。
  • 周年大祭…毎年8月に開催される、教団の立教を祝う祭典。
  • 昇天祭…過去の教え主の昇天月近辺に行われる。慰霊祭に近い式典。このみ祭りのみ各支部単位で行っている。
  • 大炎開陽霊祭(おおはらひさい)…12月に行われる。教え主から参加者全員が真光の業を賜り、一年の穢れを払うと言われている。
  • 月始祭…毎月定期的に開催されるみ祭り。立春祭、周年大祭、大炎開陽霊祭のある月は同時に行う。

歴代教え主[編集]

関口勝利
岡田光玉(本名岡田良一)
教団では、初代教え主聖凰真光大導主と呼ばれている。1959年2月27日に立教。主神より、立教の啓示を受けたとして、前身となるL・H陽光子友乃会を設立。「手かざし」により世の救済をせよと神より指示されたとされる。ちなみに最初に手かざしをしたのは光玉の前に通りがかった犬であったと本人は後述している。昭和38年に世界真光文明教団として宗教法人登記。1974年6月23日、死去。
関口榮
教団では、二代教え主聖峰真光大導主と呼ばれている。主座世界総本山を建立した。立教当時から初代教え主に仕えた。主の神を祀る主神神殿を静岡県田方郡中伊豆町(現:伊豆市)に建立。「利他愛実践、神の子復活」の重要性を示した。三代教え主を関口勝利に指名して、1994年1月3日、死去。
関口勝利
教団では、三代教え主聖翔真光大導主と呼ばれている。現教え主である。1999年に人類祭、立教40周年大祭を執り行った。2009年には、教団半世紀のみ祭りである立教50周年大祭を催した。2013年11月には、アメリカ主座が竣工。平成25年大炎開陽霊祭で、就任してから240回目の斎主を行った。2015年からは中国本土での布教活動を開始している。

脚注[編集]

  1. ^ 島田(2007),pp.155-156.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 沼田健哉「現代日本における新宗教の諸相 : カリスマを中心として」桃山学院大学社会学論集 19(1), 1-30, 1985-10-30, 桃山学院大学
  3. ^ 島田(2007),pp.155-156.
  4. ^ 島田(2007),pp.155-156.
  5. ^ a b c d e f g h i j k Birgit Staemmler 「真光」クリストファー・パートリッジ『現在世界宗教事典』 井上順孝 監訳、 井上順孝・井上まどか・冨澤かな・宮坂清 訳、悠書館、2009年
  6. ^ 『真光』誌昭和49年9月号
  7. ^ 島田(2007),p.157.
  8. ^ 島田(2007),pp.157-158.
  9. ^ 島田(2007),pp.157-158.
  10. ^ 島田(2007),p.158.
  11. ^ 中村(1999),pp.183-185.
  12. ^ 中村(1999),pp.183-185.
  13. ^ 中村(1999),p.194.

参考文献[編集]

  • 沼田健哉「現代日本における新宗教の諸相 : カリスマを中心として」桃山学院大学社会学論集 19(1), 1-30, 1985-10-30, 桃山学院大学
  • Birgit Staemmler 「真光」クリストファー・パートリッジ『現在世界宗教事典』 井上順孝 監訳、 井上順孝・井上まどか・冨澤かな・宮坂清 訳、悠書館、2009年
  • 早川和廣 「分裂好きな関口栄・世界真光文明教団と岡田聖珠崇教真光」 『新興宗教教祖のウラの裏がわかる本』 ISBN 4893740210
  • 中村伸浩青木保(編)、1999、「新宗教と日本イメージ」、梶原景昭(編)『情報社会の文化1 情報化とアジア・イメージ』、東京大学出版社〈情報社会の文化〉 pp. 73-196
  • 島田裕巳 『日本の10大新宗教』 幻冬舎2007年

関連文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]