ロルフィング

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ロルフィング英語:Rolfing)とは、アメリカ生化学者アイダ・ロルフ英語版によって創始されたボディーワークである。ロルフがこのワークに対して名づけた名称はストラクチュラル・インテグレーションStructural Integration 構造の統合)であったが、創始者の名に因んで、ロルフィングの愛称で呼ばれるようになった。ロルフィングは正確には形容詞であり、正式名称は、ロルフィング®ストラクチュラル・インテグレーション。米国ロルフ・インスティテュートによって公式認定されたプラクティショナー、ロルファー™から提供される。ロルファー™になるための日本国内でのトレーニングは日本ロルフィング協会(JRA)が開催している。

概要[編集]

ハタ・ヨーガ整骨療法アレクサンダー・テクニークなどに基礎をおいているが、ロルフは自らの療法を既存の療法と区別し、独自性を主張した[1]コロンビア大学の博士号を持っており、その学問的背景は確かなものだが、重度の身障者を扱うようになってから、曖昧な領域に踏み込むことになった[1]。ロルフはその仕事が認められるまで苦しい時期を長く過ごし、開業した25年以上の間に何人かの弟子をとり、整骨療法やカイロプラクティックの関係者の興味を引いたが、その知名度は限定的なものだった[1]。ロルフは、心臓病を患い胸の痛みに苦しんでいた70歳のフレデリック・パールズに施術して支持を得た。パールズに施術するためにエサレン協会に定期的に訪問するようになり、ロルフィングはエサレンを西部の発信地として広まった[1]

人間の身体は結合組織のネットワーク(骨、軟骨靭帯、筋膜など)によって基本的な構造の枠組みが作られていると考える。人間が動きを特に意識せずに生活していると、知らぬ間に偏った動きになり、結合組織のネットワークが偏って固まってしまうという。[要出典]ロルフィングではそのような偏りを調整することによって身体のバランスを回復することを目指す。

バランスのとれた身体とは重力と調和した身体であるとしている。頭頂、耳、肩、肋骨、骨盤、脚のパーツが垂直に並び、重力が身体の中心を通る姿勢を参考としているが、各パーツ同士が繋がり、連携のとれた動きが引き出されていることが重要であると考える。[要出典]

ロルフィング技法の特徴のひとつは、筋膜へのアプローチが中心となっていることである。筋肉や骨よりも、それらを包んでいる筋膜をほぐすことが身体の調整に効果的であるとしている。ロルフは筋膜を身体構造の中心という意味で「構造の器官」と呼んだ。

ロルファー™は一般的には筋膜に圧をかけて伸ばすような独特のテクニックを用いるが、ロルファー™によっては、触れているだけのような軽いタッチを用いる者や、ロルフ・ムーブメント™とよばれる動きのエクササイズを中心に行う者もいる。

ベーシック・コースの内容について[編集]

ベーシックのロルフィングシリーズは全10回のセッションより成る。

  • 第1セッション 深い呼吸を楽にできるようにする。後に続く変化への準備となる。
  • 第2セッション 大地にしっかり立つ足を作る。足裏の機能的なアーチを引き出す。
  • 第3セッション 体側ラインの確立。前後の空間的広がりを引き出す。
  • 第4セッション 骨盤内構造の調整。ミッドラインの確立。
  • 第5セッション 腹部・胸部のスペースを拡げる。内臓空間の解放。
  • 第6セッション 背骨・仙骨を自由にする。体軸構造の確立。
  • 第7セッション 頭部・頸部のバランスを取る。
  • 第8セッション 上半身或いは下半身の繋がりと統合。静的バランスの確立。
  • 第9セッション 下半身或いは上半身の繋がりと統合。動的バランスの確立。
  • 第10セッション 全身の水平性の確立と統合。

1〜3セッションは身体の表層部の開放、4〜7セッションは身体の深層部の開放、8〜10セッションは統合として分類される。

名称について(ロルフィング)[編集]

ロルフィングとは創始者の名前に因んで名づけられた愛称であったが、1979年、ロルフ・インスティテュートによって商標登録された。以来、ロルフィング®(Rolfing®)は、同所で訓練され、認定を受けた者ロルファー™(Rolfer™)のみが使用できる登録商標になっている。日本で商標登録されたのは、2007年(平成19年)9月21日 (【登録番号】第5078881号)。

アイダ・ロルフのワークを継承する教育機関は複数存在する。近年、米国ではストラクチュラル・インテグレーションの団体が加盟するIASI(International Association of Structural Integrators)が発足され、団体間の交流が進んでいる。

出典[編集]

  1. ^ a b c d アンダーソン 1998, pp. 126–128.

参考文献[編集]

  • W・T・アンダーソン『エスリンとアメリカの覚醒 人間の可能性への挑戦』伊東博 訳、誠信書房、1998年。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]