レイキ

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レイキの施術の様子

レイキ霊気[1][2] 英:ReikiRay-Ki)、レイキヒーリングは民間療法であり、手当て療法エネルギー療法の一種である[3]。患者の治癒反応を促進することを目的とし、施術者が患者に軽く手を当てる、もしくは患者の真上に手をかざして、手のひらから「レイキ」というエネルギーを流す[3]。健康維持や自己啓発に有効であるといわれる[4]。補完療法として行われることもあり、2007年時点で世界で500万人が実践しているともいわれる[5]。宗教で行われる手当て・手かざしといった療法とよく似ているが、レイキ関係者はレイキは宗教ではないとしている。

現在レイキと呼ばれる民間療法は、臼井甕男(1865年 - 1926年)が始めた民間療法臼井霊気療法(臼井靈氣療法)[6]に始まるといわれる。明治から昭和にかけて海外から導入された思想・技術と日本の文化が融合して多種多様な民間療法が生まれたが、臼井の霊気はこの民間療法における霊術精神療法の潮流のひとつであるといわれる[7][4]。当時「霊気」は、手のひらから発する癒しのエネルギーを指す言葉として、霊術で一般的に用いられていた[7]。現在レイキとして知られる療法は、臼井霊気療法が海外で独自に発展・簡略化したものである[8]。臼井から弟子の林忠次郎(1879年 - 1940年)に受け継がれ、さらにハワイ在住の日系アメリカ人ハワヨ・タカタ(高田ハワヨ、1900年 - 1980年)に伝えられた。海外に後継者を得たことで、世界中に広く普及した。(一方日本の霊術は、戦後GHQに禁止されたことでおおよそ終焉している)

現在(2015年)までレイキの存在を示す科学的根拠はなく、疑似科学のひとつと考えられている[9]。科学的研究はレイキの実在の真偽ではなく、症状のマネジメントや健康状態の改善に着目して行われている[3]が、その数は少なく、現時点(2015年)ではエビデンスに基づく医療ではない[9]

「Reiki」は日本発祥の言葉として、欧米を中心とする海外で認知度が高い。2001年に発行されたイギリスの辞書Collins English Dictionaryの新版では、新たに収録する日本語由来の英語の一つとして、「Ramen」「Bento」「Gaijin」などと共に「Reiki」が選ばれている[10]

概要[編集]

一般に心身を治療する技法(ヒーリング)と認識されている。創始者臼井甕男(1865年-1926年)が設立した「臼井靈氣療法学会」という名前からも、臼井が療法と認識していたことが分かるが、単に「療法」と見なすか、「療法以上のもの」「単なる療法ではない」とするかは意見が分かれる[5]。毎日臼井による「五戒」(招福の秘法・万病の霊薬であるとされる)を唱え、自分の心身を磨いて、自分も周りの人も幸福を増進することを目的とするという。現在では様々な流派が誕生し、新しい技術や色々な考え方が加えられ多様化してきている。多くのレイキ関係者は、アチューンメント[11]という儀式で誰でもできるようになり、儀式を受ける側の知識やトレーニングは不要としており、これがレイキの特異な点となっている[5]。アチューンメントはセミナーの形式で行われることが多く、有料であり、レベルが上がるほど高額になる。レイキ関係者は、レイキはあらゆる療法と併用可能であり、マイナス面はないとしている[5]

レイキを受けながら入眠すると、リラックス効果は高く熟睡しやすという見解もある[要出典]レイキが流れると、深いところからリラックスして、自然治癒力が高まると言う意見もある[要出典]。その効果としては、生命力の活性化をはかり、生体内のエネルギー・バランスを調整し、自然治癒力を高めるとされている。

レイキ(霊気)は臼井甕男(1865年-1926年)によって約100年前に日本で誕生し、臼井の弟子・林忠次郎(1879年 - 1940年)から日系アメリカ人ハワヨ・タカタ(1900年 - 1980年)に伝えられ、タカタよってアメリカへ、彼女とその弟子によって世界中に急速に広まった。ただし起源に関しては、バーバラ・レイのように、レイキは古代から存在するという意見もあり、古代チベットあるいは古代インドを起源とする意見も少なくない(バーバラ・レイは文化人類学者であったとされるが、この論の根拠は不明である)[5]。この場合、臼井は再発見者または中興の祖とされる[5]。海外では、レイキは宇宙のエネルギーであり、臼井より以前、古代から存在する(古代の方が現在より優れており、徐々に廃れていった)とする説が主流である[5]。(キリスト教圏には、神が直接作った最古の人間アダムが最も優れており、人類は時間経過と共に徐々に弱体化している、つまり、古いものほど純粋であり優れているという考え方がある。)古代より普遍的に存在するとする立場では、レイキは釈迦イエスが行った癒しと関連付けられる[5]

方法[編集]

レイキにおける基本的な施術のやり方は、受け手が横になり施術者が全身の12ヶ所に順に手をあてていく「12ポジション」とよばれるものである[要出典]。終了まで約30分から60分かかるが、レイキは型にはまったものではなく、短縮することもできるとされ、柔軟に変化しながら伝えられている。この基本の12ポジションはハワヨ・タカタによって工夫されたものであり[12]、ある程度は自由なやり方で構わないとされる。また西洋レイキでは、12ポジションに21日間の自己治癒を行うことでレイキを実感出来ると伝えられているが、これもレイキのエネルギーを実感する為のものではなく、手当ての効果を実感する為に海外で創られたプログラムのようだ[要出典]

レイキの施術はセッション、トリートメント、ヒーリングと呼ばれ、そのハンドポジション(手の位置)はインド伝統医学アーユルヴェーダインド哲学におけるチャクラとの関係で語られることが多い[5]。チャクラは粗大身(実体)と微細身(非実体、霊体)の接点であり、エネルギーのセンターともいえるもので、通常はあまり機能していないとされる。レイキの施術はアチューンメントで誰でもできるようになり、行う側には何の工夫も努力もいらないとされている[5]

また、臼井による「五戒」と呼ばれる句を日々唱えることが推奨されている。

レイキとは何か[編集]

7つの大きなチャクラ。西洋レイキでよく利用されるインドの概念。

「霊気」は、明治末~昭和期に流行した霊術で、広く使われた用語である[7]。手のひらから放射される癒しのエネルギーを意味し、当時はこの術は「お手あて」「お手かざし」「触手療法」などと呼ばれ、野口晴哉などによる療術でも手技療法などと共に治療に用いられた[7]

霊術の元になったメスメリズムは、18世紀ドイツの医師フランツ・アントン・メスマーが考案した治療法で、人間や動物の体を動かす流体・動物磁気の存在を想定し、その調和を回復させることで病気の治癒を目指すものである[13]。科学として考案されたが、ヨーロッパの伝統的世界観、自然魔術の系譜に連なるものでもある。霊術については日本でも忘却されて久しく、レイキは一般的に、人間に備わっている自然治癒力に対する、東洋の世界観・宗教観に基づいていると認識されている[3]。レイキの施術者は、手から普遍的なエネルギーであるレイキ(生命エネルギー、宇宙エネルギー)を発して患者に送り、患者の回復をうながしていると考えている。海外の文献では、レイキはキリスト教における光または聖霊、中国における、インドにおけるプラーナ、ハワイの呪術におけるマナ、疑似科学におけるバイオプラズマなど、様々な文化・用語におきかえて説明している[14][5]

現在レイキは、療法と共にそれに用いるエネルギーを指す。エネルギーとしてのレイキは、ほとんどの場合「宇宙エネルギー」、「生命エネルギー」 、「宇宙生命エネルギー」といった言葉で説明され、人間の身体を流れ、人間を生かすものだとされる[5]。海外の本では、さらに気などなじみのある伝統的概念におきかえられるが、日本ではこのような喩えほとんどみらず、簡潔な説明でおわっている[5]

アチューンメント・シンボル・マントラ[編集]

レイキは普遍的なエネルギーであり、レイキ・マスターあるいはレイキ・ティーチャーによりアチューンメント(Attunement または伝授、イニシエーション。国内の伝統では、靈授(霊授)と呼ばれる[15][16])という儀式を受けることで、直後より自他ともにヒーリングができるようになるとされる。アチューンメントとは 、「エネルギーの回路を開く」、「エネルギーの流れを大きくする」、「エネルギーへのアクセスを可能にする」ものだとされ、この儀式はセミナー(講習)という形で行われることが多い[5]。高いレベルの霊気ヒーリングを受けたことがあれば、アチューンメントを受けていなくてもレイキが使えるという意見もある[5]。セミナーでは様々なことが教えられるが、知識でレイキが使えるようになるわけではないと考えられるため、重視されるのはアチューンメントとシンボル、マントラである[5]。レイキの能力の段階は3段階または4段階とされる。アチューンメントで伝えられるシンボルマントラによって能力が向上し、遠隔ヒーリングも可能になるとされている。(直傳靈氣では、シンボルは「印」、マントラは「呪文」と呼ばれる。[15])シンボルは特定の印、マントラは特定の言葉であり、シンボルは梵字との関連性が指摘されている[12]。シンボルとマントラがひとつずつ組になっており、一般的には4組とされる。うち3組がセカンド・ディグリーで、1組がサード・ディグリーで伝授される[5]。シンボル・マントラは秘伝・非公開とされ、多用を慎むといった慎重な扱いもされ、多くの本では掲載されない[5]。しかし、掲載している本も複数あり、ネットでの掲載も見られる[5]。この風潮に対し、「現代レイキ」を主宰する土居裕は、秘伝を売りものにセミナーで荒稼ぎをする風潮に歯止めがかかるかもしれないが、多くの人が秘伝として大切にしてきたものを、 何の関係もない人たちの目に触れさせたという心ない行為であると苦言を呈している[5]

海外では様々なルートで伝わり、多くの流派があるため、シンボルの種類、アチューメントの方法、ヒーリングの方法、アチューメントの金額も様々であるという[5]。レイキを習得するには、アチューンメントを受けさえすればよいという考えもあるが[5]四日市大学の寺石悦章は、「レイキの10大特徴の1、2 の内容(後述)などからすれば、「アチューンメントを受けさえすればよい 」という考えが生じるのは当然ともいえよう」と指摘している。)技術だけでは不十分と考え、臼井が伝えた心をより重視する意見もある[5]。またウェブ上では、遠隔でアチューンメントを行えるとするものがあるが、寺石(2008)の調査によれば書籍においてはそのような説はない[5]

レイキ関係者が述べるレイキの特徴[編集]

レイキ実践者は、レイキの特徴を簡単かつ効果があることであると主張している[5]。寺石悦章は、レイキ関係者が述べるレイキの特徴の一例として、望月俊孝による「レイキの10大特徴」をあげている[5]

  1. トレーニングや修行・訓練が不要。
  2. 修行・訓練を怠っても永久にそのパワーが失われない。
  3. ヒーリング中に強力な注意集中が不要。
  4. 気を入れたり、抜いたりする必要がない。
  5. 相手の邪気を受けにくい。
  6. 時間・空間を超えた遠隔ヒーリングが身につく。
  7. 他のテクニックと無理なく併用できる。
  8. レイキは信じようが信じまいが、必要に応じてエネルギーが流れる。
  9. レイキはあなたの素晴らしい本質を向上させる。
  10. 効果例、実践例が具体的かつ豊富。

寺石悦章は、勧誘のために都合のよい文句を並べたようにも見えるが、これに類する内容が大部分のレイキの本に見られるため、多くのレイキ関係者の共通認識であると考えて差し支えないと述べている[5]。訓練や集中を必要としないとされる点は、気功やほかの手当て療法と大きく異なる。同じくニューエイジで支持を集めた超越瞑想では、集中しない、努力が必要ない、効果が証明されているなど、同様の主張が見られる。

五戒[編集]

五戒(ごかい)は臼井の教えとされる「招福の秘法・万病の霊薬亅の通称である[5]。臼井甕男は、五戒を朝夕合掌して心に念じ、口に出して唱えることが、招福の秘法・万病の霊薬であるとした[17]。元々五戒とは、仏教において在家の信者が守るべきとされる基本的な五つの戒のことであるが、それとは異なる。臼井の五戒は明らかに精神修養のためのものであり、レイキにおいても日々唱えることを推奨する場合が多い。努力を必要としないとするレイキにおいても、日常的な努力が推奨されていることが分かる[5]

五戒

招福の秘法
萬病の霊薬

今日丈けは

怒るな
心配すな
感謝して
業をはけめ
人に親切に

朝夕合掌して心に念じ
口に唱へよ

心身改善
臼井霊氣療法

肇祖
臼井甕男

五戒

Five Reiki Precents[18]

The secret art of inviting happiness,
The miraculous medicine for all diseases.

At least for today:

Do not be angry,
Do not worry,
Be grateful,
Work with diligence,
Be kind to people.

Every morning and evening, join your hands in meditation and pray with your heart.
State in your mind and chant with your mouth.

For improvement of mind and body.
Usui Reiki Ryōhō.

The founder,
Mikao Usui.

これに非常によく似た句が、鈴木美山が唱導していた典型的な精神療法のひとつ「健全哲学」の書、鈴木美山『健全の原理』(1914年)に収録されている[4]。『健全の原理』では、鈴木が示す壮大な「哲学」体系により精神を正しくに保つことで、身体を「人間本来の健全な状態」に保つという理論が展開されているが、これはアメリカの新宗教ニューソートに数えられるメリー・ベーカー・エディクリスチャン・サイエンスの影響を受けている[4]。また、高木秀輔が1925年に発表した『人体アウラ霊気術』は、宇宙に満ちるアウラ(オーラ)、プラーナと呼ばれる精気を補うことで健康を取り戻そうとする療法であるが、高木は同書で臼井の五戒によく似た句を使用している[4]。平野直子は、高木と臼井の療法に何らかの関係があるか、同じ情報源を参照していた可能性を指摘し、霊気は臼井の独創というより、同時代の「精神療法」のコンテクストに深く根ざした存在であったと述べている[4]

歴史[編集]

概史[編集]

臼井甕男 (1865–1926)
林忠次郎 (1880 - 1940)

明治時代に海外から催眠術、催眠術の元になったヨーロッパの非正当医学メスメリズム(動物磁気説)が日本に導入され、これと修験道などの呪術文化が融合して「霊術」という民間療法の潮流が生まれた[7]。「霊気」は、この霊術において一般的に使われた用語である[7]。手のひらから放射される癒しのエネルギーを意味し、当時はこの術は「お手あて」「お手かざし」「触手療法」などと呼ばれていた。現在レイキと呼ばれる民間療法は、臼井甕男(1865年 - 1926年)が始めた民間療法臼井霊気療法(臼井靈氣療法)[19]に始まるといわれる。霊術を研究する井村宏次は、臼井霊気療法は、多種多様な霊術の流行の中で生まれた霊術の一つであると指摘しており[7]、心理学者の小熊虎之助は、霊術と同時期に流行し、同じくメスメリズム・催眠術の影響が大きい精神療法の一種とみなしている[4]

伝承によれば、臼井甕男(1865年-1926年)が「安心立命」の境地を求めて1922年(大正11年)3月に鞍馬山にこもり21日間の絶食を行い、21日目の深夜に脳天を貫く雷のような衝撃を受けて失神し、目覚めた時には治癒能力を得ていたという。海外では、この体験がブッダイエスの癒しの業の秘密を解く鍵であり、臼井式レイキの出発となったとされている。臼井はこの治癒力を霊気(靈氣、霊氣)と名付け、同年4月東京に「臼井霊気療法学会」を設立。翌年1923年には関東大震災が起きたが、その際には負傷者の手当てに活躍したとされる。1926年に死去した。臼井の霊術家としての活動は4年と短く、霊術・精神療法の歴史の中で特に目立った人物ではないが、彼が考案した霊術は海外に後継者を得たことで、現在広く普及している[7]。(日本での霊術は、戦後GHQに禁止されたことで、おおよそ終焉している[7]。)

鞍馬山以前の臼井の行動や信仰は、本によって大きく異なり、海外のものは非常にドラマチックである。西洋レイキでは、臼井甕男はキリスト教の聖職者・神学校の校長であり、キリストの癒しの奇跡について質問された際、適切に答えることができなかったことが、探求のきっかけであったとされてきた[5]。ここから求道あるいは研究が始まり、古代の言語や思想、宗教を研究し、長い時を経てサンスクリット語の文献の中にブッダの癒しの奇蹟の手がかりを発見したとされる[5]。または大学の教員・学長であった、長い探求の最後に鞍馬山に至ったとされる。臼井の生涯を調査した土居は、臼井を同志社大学の学長(学部長、神学部教授)、神学校の校長、博士 、キリスト教の聖職者(牧師 ・ 神父)などとする説を否定している。また上野圭一は、臼井の霊気は日本の伝統的な思想と関連が深いと指摘している[5]。レイキの書籍等で臼井の生涯に触れる場合、キリスト教に限らず、ほぼ例外なく、臼井が宗教と無縁ではなかったことが強調されている[5]

レイキは、この臼井霊気療法が海外で独自に発展・簡略化したものである[8]。臼井から弟子の林忠次郎(1879年 - 1940年)に受け継がれた。臼井に始まる霊気は、戦前日本国内でかなり普及していたという意見もある。直伝霊気の山口忠夫は、臼井の門下は2000人に及んでいたと述べており、手当て療法の実践家足助次朗は、臼井の門下及び手のひら療治の「たなすえの道」など諸派の信奉者は、終戦前は100万人といわれるほどであったとしている[5]

臼井は霊気の伝授レベルを初伝、奥伝(前期・後期)、神秘伝に分けているが、これは霊術において一般的な弟子養成プログラムと同様である[7]。英語ではそれぞれファーストディグリー(レベル1)、セカンドディグリー(レベル2)、サードディグリー(レベル3)またはマスターズディグリー等と訳された。臼井が神秘伝まで伝授した師範は21または20人とされるが、その中の1人海軍大佐、林忠次郎(1879年-1940年)は退役後1925年(昭和6年)に治療所を開設「林霊気研究会」を設立した。1935年にハワイ生まれのアメリカ人で日系2世のハワヨ・タカタ高田ハワヨ、1900年-1980年)が来日した際、重度の難病を林忠次郎のレイキにより完治したことから弟子入りし、1938年にハワイを訪れた林忠次郎から神秘伝の伝授を受けたとされる。ハワヨ・タカタは林から神秘伝を受けた13人のうちの最後の1人であるとされる。アメリカでは、タカタは林から後継者として認定されたと言われている[5]

ハワヨ・タカタは1970年まではセカンドディグリーまでしか伝授していなかったが、1970年以降サードディグリーの伝授を始め22人がマスターの伝授を受けた。レイキはタカタとその弟子によって広く普及し、通称「西洋レイキ」(英:Western Reiki)、「海外レイキ」と呼ばれている。宗教や文化の違う海外でなぜレイキがこれだけ流行ったかというと、そこにはハワヨ・タカタの戦略があったようだ。宗教や医療に関する法律が違う海外で受け入れやすくする為に伝承やプログラムに手を加え、簡素化したことが功を奏したようだ。そのため、レイキ普及の功労者として称賛される一方、フランチャイズ的な普及の手法には批判もある[要出典]

ハワヨ・タカタは後継者を指名しておらず、彼女の死後組織は揉めて分裂し、ハワヨ・タカタの孫、フィリス・レイ・フルモトを含めた21人の所属した「レイキ・アライアンス」を、22人のうちの1人であった文化人類学者バーバラ・ウェーバー・レイは1982年に、アメリカン・インターナショナル・レイキアソシエーション(現ラディアンス・テクニーク)を設立し、レイキの普及を目指した。アメリカをはじめ、イギリス、カナダ、スペイン、ドイツ、オランダ、オーストラリア、インド、シンガポール、中南米、台湾、香港など世界各地に広まっている。海外では臼井の霊気とは異なり、技法の習得や治療そのものが目的となっているが、その背景には、当時アメリカで、ベトナム帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)が社会問題となっていたことが考えられる[要出典]薬やカウンセリングで症状が変わらない患者に対して、レイキなどのハンドヒーリングが試みられ[要出典]、帰還兵の回復に寄与したと言われ、レイキの有用性が注目された。医療費が高いアメリカでは、自分の健康と家族の健康は自分で守るという意識が高く、家庭療法や補完医療としてレイキは簡単で取り入れやすく、手軽な治療としてレイキは世界中に受け入れられたようだ[要出典]

海外・日本共に西洋レイキが現在主流となっており[8]、日本では西洋レイキに国内に伝わる霊気を取り入れたものも多い。敗戦後日本を統治したGHQが禁止したことで、霊気を含む霊術はほとんど壊滅し、代替医療として海外でレイキが流行り出した時には、日本国内では実践者は少なくなっていた。1984年にニューエイジブームと共に「REIKI」(西洋レイキ)として逆輸入の形で三井三重子によって導入され、日本でもレイキを知る人が増え始めた。その当時は国内ではセカンドレベルまでの伝授にとどまっていたが、1993年ドイツ人フランク・アジャバ・ペッターによりマスターレベル(教師育成)の伝授が行われるようになり本格的に普及が始まった[20]。海外では日本国内の霊気はいったん断絶したと考えられていたが、伝統的な臼井靈氣療法学会も続いており、またその他にも直傳靈氣研究会のように伝統的な霊気を伝える団体がある[5]。日本国内では西洋レイキが主流であるが、国内の霊気の情報も徐々に知られるようになったため、ほとんどの日本国内のレイキ関係者は、西洋レイキのみか、西洋レイキに国内に伝わる霊気を取り入れる立場に分かれる[5]

レイキ・霊気の系統[編集]

臼井以後の系統は、大別すると以下のとおりである[5]

  • 西洋レイキ、海外レイキ:林忠次郎-ハワヨ・タカタの系統。欧米で広く普及し、1980年代より日本にも逆輸入の形で普及している。海外レイキはさらに以下の2つの系統に大別される。
  • ラディアンス・テクニーク[2]:ハワヨ・タカタの弟子バーバラ・レイの系統(1984年三井三重子を経て日本に再輸入された[20]
  • 臼井靈氣療法学会:臼井自身が設立し、牛田従三郎-武富咸一へと伝わる。戦後は一般非公開となり長く存在が確認されなかった。
  • たなすえ(手末)の道江口俊博-宮崎五郎の系統。その治療は「手のひら療治」と呼ばれ、霊気を名乗っていない。社会的な影響が大きかった。

海外レイキでは、林の後継者はタカタのみであり、霊気は激しい迫害にさらされ日本国内における伝承は途絶えたという話が長い間信じられていたため、「臼井-林-タカタ」の系統を「本流」「正統」と見なし、「唯一の」系統と考える傾向もある[5]。ただし、バーバラ・レイはこの立場をとらず、林の後継者は複数であったとしていおり、タカタについても一部否定的な見解を述べている[5]。タカタの系統はアメリカ国内外での普及のために、施術や伝授の方法は簡略化され独自に発展した為、臼井霊気療法学会などと大きく異なる部分もある。

また、臼井が1922年に開いた臼井靈氣療法学会(臼井-牛田従三郎-武富咸一の系統)は、アメリカでは途絶えたと考えられていたが、現代レイキの土居裕などの研究により、今も存続していることが分かった[16][5]。西洋レイキで伝えられてきた伝承に誤りがあることや、方法や目的、理念の違いなどがわかり、これらは土居の『癒しの現代レイキ法』という本に詳しくまとめられた。ただし、臼井靈氣療法学会は、伝統的な型を維持する為に外部との交流は少ない。

一方で、フランク・アジャバ・ペッター[21]や山口忠夫[15]によれば、林霊気研究会は林の死後、林の妻が引き継いだのを最後に、戦後GHQにより民間療法が違法とされたことも影響して途絶えたとされている。

長らく国内には林忠次郎の系統は残っていないと考えられてきたが、林霊気研究会で1938年に林忠次郎より霊授を受けた山口千代子が、家庭内で長く受け継いできた霊気を直傳靈氣研究会として、2000年より公開伝授を行うようになった。軍人で治療家だった林忠次郎の意志を受け継いだ団体で、直伝霊気の山口忠夫は書籍において、臼井や林が医療分野での活用を中心としていたことを述べており、癒し(ヒーリング)ではなく身体的な「治療」としての霊気を強調している[5][15]

臼井の霊気の手法、思想、教育システムは、霊術において一般的に見られるものであり[7]、霊気に類似する治療法と霊気の影響関係は判断しがたい。レイキ・ヒーリングシステムの望月俊孝は、他に、臼井霊気療法学会から分派独立して影響力を持った人物として「手のひら療治」の江口俊博、三井甲之[22]一燈園の鈴木五郎、林忠次郎門下の松居松翁[23][24]富田流手あて療法富田魁二[25]の名を挙げ、また、石井常造陸軍少将の生気術、生長の家西式健康法の西勝造に影響を与えた可能性もあると述べている[26]。以上のように、レイキ(霊気)の系統は「臼井-林-タカタ」に限られず、複数の系統があり、一部は日本国内で現在まで続いている。

近年では、土居裕は臼井靈氣療法学会と西洋レイキの両方で学び、西洋レイキに国内の伝統レイキを取り入れて現代レイキを開いた。他にも西洋レイキと国内の伝統レイキの要素を融合させようとする系統が複数ある[5]

また上野圭一は、 レイキ・アライアンスの系統はインドの神秘家バグワン・シュリ・ラジニーシ(オショウ)の弟子に伝わった流れがあり、オショー・レイキとよばれ、インドのデカン高原アシュラムや各国の瞑想センターで教育が行われていると述べている[5]。上野によると、アメリカのエサレン研究所出身のセラピストやアシュラムで教育を受けた各国のセラピストが働いていたが、日本人も少なくなかったという。レイキにはインドの伝統思想を導入し、チャクラなどインドの概念が見られるものがある[5]

これらの系統以外に、レイキの人気のあやかるために「レイキ」と名乗る「発展型レイキ」と呼ばれるものがあるが、臼井に始まるレイキとは関係がないとされる。そのため、臼井霊気療法が元になっていることを明示するため「臼井」または「ウスイ」を前に付加して表記することもある[要出典]

臨床研究[編集]

レイキに関するヒトを対象とした臨床研究は少数であるが、線維筋痛症疼痛がんうつなどの疾患や、健康全般に対するレイキの利用について調べた研究がある[3]。これらの研究における対象はごく少人数であり、レイキを行わない場合との比較や、無作為化比較試験は行われていない[27]。健康関連の目的でレイキの有効性を明確に評価した信頼性の高い研究は存在せず、いくつかの専門家グループは、レイキの有効性は証明されていないと結論付けた[27]アメリカ国立衛生研究所は、臨床試験の結果、繊維筋痛症に対する効果は否定されたと説明している[27][28][29]

危険性[編集]

レイキやセラピューティック・タッチのような手当て療法・エネルギー療法は、全く効果がなかったとしても、患者の身体への物理的な働きかけはほぼないため、副作用は考えにくい。ただし、必要な医療の提供がそれによって遅れたり、遠ざけられたりする危険性がある[30]

アメリカがん協会,[31]、イギリスのCancer Research UK[32]アメリカ国立補完統合ヘルスセンター[33]は、レイキは癌のような病気の治療において、通常医療の代わりとして用いてはならず、あくまで通常医療の補助としてのみ利用すべきであると述べている。

脚注[編集]

  1. ^ 靈氣霊氣などとも表される。
  2. ^ 本記事では便宜的に、国内に伝わるものは霊気と表記する。
  3. ^ a b c d e レイキ 海外のサイト統合医療」情報発信サイト 厚生労働省 「統合医療」に係る情報発信等推進事業
  4. ^ a b c d e f g 平野直子 「1920-40年代「精神療法」のなかの臼井式霊気療法」宗教研究 86(4), 1093-1094, 2013-03-30 日本宗教学会
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as 現代日本におけるレイキ : レイキはどのように紹介されているか 寺石悦章 四日市大学総合政策学部論集 7(1/2), 1-21, 2008-03
  6. ^ 1922年に臼井霊気療法学会が設立された。
  7. ^ a b c d e f g h i j k 井村宏次 著 『新・霊術家の饗宴』 心交社、1996年
  8. ^ a b c レイキ 占い用語集 コトバンク
  9. ^ a b Semple D, Smyth R (2013). Chaper 1: Psychomythology (3rd ed.). Oxford University Press. p. 20. ISBN 978-0-19-969388-7. http://books.google.com/books?id=LiJKseis6OYC&pg=PA20. 
  10. ^ 「『ラーメン』『弁当』英語です。」 『日本経済新聞』2001年12月4日付夕刊
  11. ^ 直伝霊気(直傳霊気)では類似の儀式は霊授とよばれる。直伝とは「林忠次郎直伝 」の意味で、「臼井甕男直伝」ではない。
  12. ^ a b フランク・アジャバ・ペッター、高丸悦子(訳)、2014、『This is 靈氣 その謎と真実を解き明かす、聖なるレイキの旅』、BABジャパン ISBN 978-4862208545
  13. ^ P.B.シェリーの作品に見られるメスメリズムについて 望月健一 富山短期大学紀要 47, 69-91, 2012-03-08
  14. ^ このようなレイキの説明は日本の文献には見られない。
  15. ^ a b c d 山口忠夫、2013、『直傳靈氣 レイキの真実と歩み』、BABジャパン(初版2003年) ISBN 978-4862207746
  16. ^ a b c 上野正春、1997、『神伝レイキの秘密―日本が世界に誇るハンドヒーリングの最高峰』、たま出版 ISBN 978-4884819873
  17. ^ 靈氣とレイキ 極東ブログ
  18. ^ Sara McGrath Reiki Handbook for Kids and All Ages Lulu.com 2013
  19. ^ 1922年に臼井霊気療法学会が設立された。
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  21. ^ Frank Arjava Petter, Tadao Yamaguchi, Chujiro Hayashi (2003). The Hayashi Reiki Manual: Traditional Japanese Healing Techniques from the Founder of the Western Reiki System. Lotus. ISBN 978-0914955757. 
  22. ^ 三井甲之、1930、『手のひら療治』、ヴォルテックス(復刻版 2003年) ISBN 978-4902271003
  23. ^ 松居松翁、1928、「隻手萬病を治する療法」、『サンデー毎日』(三月四日号)、毎日新聞出版
  24. ^ 青木文紀、1999、『ヒーリング・ザ・レイキ―実践できる癒しのテクニック』、元就出版社 ISBN 978-4906631414
  25. ^ 富田魁二、1933、『霊気と仁術―富田流手あて療法』、BABジャパン出版局(復刻版 1999年) ISBN 978-4894223363
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参考文献[編集]

  • 青木克行 『レイキの教科書』 アルマット2011年 ISBN 9784877315665
  • エレノア・マッケンジー 『レイキバイブル』 石井礼子訳、産調出版〈ガイアブックス〉、2010年、ISBN 978-4882827245
  • 長谷マリ 『レイキ解体新書 レイキの真実』 セレブラル2009年 ISBN 978-4-902577-23-5
  • 土居裕 『実践レイキヒーリング入門 愛としの技法』 講談社〈講談社+α新書〉2009年 ISBN 978-4062725620
  • 土居裕 『レイキ 宇宙に満ちるエネルギー』 元就出版社、2005年、ISBN 978-4861060335
  • 土居裕 『癒しの現代霊気法』 元就出版社1998年 ISBN 978-4906631346
  • 望月俊孝 『超カンタン癒しの手 - 2日で“気”が出る「レイキ」活用法』 たま出版、2001年、ISBN 978-4812701430
  • 望月俊孝癒しの手 - 宇宙エネルギー「レイキ」活用法』 たま出版、1995年、ISBN 978-4884814205
  • 青木文紀 『ヒーリング・ザ・レイキ 実践出来る癒しのテクニック』 元就出版社、1999年 ISBN 978-4906631414
  • 井村宏次 『新・霊術家の饗宴』 心交社、1996年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]