感受性訓練

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感受性訓練
治療法
MeSH D012681

感受性訓練(かんじゅせいくんれん、英語: Sensitivity training、ST)とは、人が自らの先入観をより強く認識し、他者に対してより理解のある人間になることを目標とする一つの訓練の形である。参加者同士で語り合うグループ・セラピーである。

概要[編集]

1910年にジェイコブ・レヴィ・モレノが開発したサイコドラマ(心理劇)や、1930年代にアメリカで生まれたアルコホーリクス・アノニマス(AA)が先駆となっている。社会心理学者の心クルト・レヴィンが人間関係研究のための合宿形式のワークショップを行っていた時に、被験者たちがトレーナーである研究者たちの反省会に参加したいと申し出てなされた偶然の語り合いから、いったん社会的立場を置いて参加者が集団で本音で語り合う「感受性訓練」が生まれ、グループ・セラピーがアカデミックに研究されるようになった。これはトレーニング・グループの意味でTグループとも呼ばれる。[1]10人前後のグループにトレーナーが2人付く形で、課題や話題を決めず語り合い、数日から1週間自然環境の良い場所で開催されていた[2]

アメリカ東海岸では比較的アカデミックに、または産業訓練として広がり、西海岸では「エンカウンターグループ」として大衆的に流行した。西海岸のエンカウンタームーブメントは1960年代にはカウンターカルチャーと結びつき、カリフォルニア州のエスリン研究所を中心に、リゾート体験からフェミニズムの意識高揚(Consciousness raising)グループまで様々な文化に取り入れられ、エスリン研究所は人間性回復運動ニューエイジの重要な拠点となった。[1]

立教大学の研究グループによってキリスト教の伝道のための一手法、聖職者向けの研修として日本に導入された[3][4]大田俊寛は、「大筋として言えば、自己開発セミナーとは、プロテスタントの「迷走」の産物の一つ」であると述べている[4]。企業向け日本流STは、社命によって研修で生きる価値を見つけさせるもので、「『いま、ここ』で企業とつながってる自分を再認識し、会社との一体感を至高体験として感じる」ものだった[3]。STはスパルタ社員研修として流行した[3]。昭和43(1968)年にセミナー中に参加者が自殺しており、暴力による大怪我や受講後に心身疾患を発症する人が次々出たが、犠牲者が現れてからも下火になることなく、企業は研修を求め続け、時代が変わりモーレツ社員が必要なくなるまで続いた[3][5]。企業のニーズが衰えると、個人向けの自己啓発セミナーが入れ替わるように流行した[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b 小池 2007, pp. 85-86.
  2. ^ 塩谷 1997, pp. 151-152.
  3. ^ a b c d e 心を操る男たち 【アルカリ】0255号 99/06/24(木)
  4. ^ a b 宗教学者の大田俊寛 10.08.13 日本の自己開発セミナーの起源
  5. ^ 坂口孝則 デキない人を狙う自己啓発セミナーの正体 東洋経済 2016年04月05日

参考文献[編集]

  • 小池靖 『セラピー文化の社会学 ネットワークビジネス・自己啓発・トラウマ』 勁草書房2007年
  • 塩谷智美 『マインド・レイプ 自己啓発セミナーの危険な素顔 ドキュメント』 三一書房、1997年4月。ISBN 4-380-97231-3

関連項目[編集]

外部リンク[編集]