アーロン・ベック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
Aaron T. Beck
生誕 Aaron Temkin Beck
1921年7月18日(95歳)
米国ロードアイランド州プロビデンス
居住 米国ペンシルベニア州フィラデルフィア
国籍 アメリカ人
研究分野 精神科医
研究機関 ペンシルベニア大学, 自殺治療・予防センター
出身校 ブラウン大学イェール大学メディカルスクール
主な業績 心理療法精神病理、自殺、心理統計学に関する研究
影響を
与えた人物
マーティン・セリグマン, ユディト・S・ベック
主な受賞歴 グロマイヤー賞心理学部門(2004)
アルバート・ラスカー医学研究賞 (2006)
配偶者 Phyllis W. Beck (m. 1950)
プロジェクト:人物伝

アーロン・ベック(Aaron Temkin Beck、1921年7月18日 - )は、アメリカ医学者精神科医で、うつ病認知療法(Cognitive Therapy)の創始者として知られる[1][2]。1954年にペンシルベニア大学に加わり、現在ベンシルバニア大学の教授である。現在国際認知療法学会(The International Association for Cognitive Psychotherapy)の名誉会長であり、フィラデルフィアにてベック研究所(Beck Institute for Cognitive Therapy and Research)を主宰している。認知行動療法の理論的基礎を形作った。

1921年にロードアイランド州の州都プロビデンスにて5人兄弟の末っ子として生まれる。1942年にブラウン大学を優秀な成績で卒業後、1946年にイェール大学で医学博士の学位を取得した。フィラデルフィア精神分析研究所(Philadelphia Psychoanalytic Institute)にて精神分析家としての訓練を受け、1958年に訓練を修了し、精神分析的な立場からうつ病の研究を実施していたが、自身の仮説を検証することができず、1961年までには精神分析と決別している。

その後、研究の過程で、うつ病患者の特徴として悲観的な思考(否定的な考え方)を持つことが分かり、こうした認知の歪みを修正する新たな治療的アプローチとしてうつ病の認知療法を1963年に考案した。またその研究に伴って、ベックうつ病尺度英語版(BDI)、ベック絶望感尺度英語版ベック不安尺度英語版といった、評価尺度を策定した。

ベックと精神分析[ソースを編集]

ベックは精神分析を否定しているわけではない「無意識を洞察するか、意識を洞察するかの違いで、精神分析の発展形」だと述べている。

井上和臣は「うつ病に主に取り組んでいたときは精神分析に、パニック障害に取り組んでいたときには行動療法に、人格障害(パーソナリティ障害)に取り組んでいたときには精神分析に再び接近している」と指摘している。

主な受賞歴[ソースを編集]

  • 1979年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)より精神医学研究財団基金賞(Foundations' Fund Prize for Research in Psychiatry)を受賞した。
  • 1989年にアメリカ心理学会(American Psychological Association)より応用心理学優秀学術賞(Distinguished Scientific Award for the Applications of Psychology)を受賞した。
  • 2006年にアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association)よりアドルフ・マイヤー賞(Adolf Meyer Award)を受賞した。
  • 2006年にラスカー財団(Lasker Foundation)よりアルバート・ラスカー臨床医学研究賞(Albert Lasker Clinical Medical Research Award)を受賞した。

主な著書[ソースを編集]

  • Beck, A. T. (1967 / 1970) Depression: Causes and treatment. Philadelphia : University of Pennsylvania Press
  • Beck, A. T. (1967) Depression: Clinical, experimental, and theoretical aspect. New York : Hoeber Medical Division,Harper & Row
  • Beck, A. T. (1976) Cognitive therapy and the emotional disorders. New York : Meridian
    • (ベックA.T.(著) 大野裕(訳) 1990 認知療法:精神療法の新しい発展 東京:岩崎学術出版社)
  • Beck, A. T., Rush, A. J., Shaw, B. F., & Emery, G. (1979) Cognitive therapy of depression. New York : Guilford Press
    • (ベックA.T.・ラッシュA.J.・ショウーB.F.・エメリィーG.(共著) 坂野雄二(監訳) 神村栄一・清水里美・前田基成(共訳) 1992 うつ病の認知療法 東京:岩崎学術出版社)
  • Beck, A. T., Freeman, A., & Associates. (1990) Cognitive therapy of personality disorders. New York : Guilford Press
    • (ベックA.T.・フリーマンA.(共著) 井上和臣(監訳)  岩重達也・南川節子・河瀬雅紀 (共訳) 1997 人格障害の認知療法 東京:岩崎学術出版社)

主な学術論文[ソースを編集]

  • Beck, A. T. (1963) Thinking and depression: Idiosyncratic content and cognitive distortions. Archives of General Psychiatry , 9 , 324-333.
  • Beck, A.T. (1964) Thinking and depression: Theory and therapy. Archives of General Psychiatry , 10 , 561-571.
  • Beck, A.T., Hollon, S.D., Young, J.E., Bedrosian, R.C., & Budenz, D. (1985) Treatment of depression with cognitive therapy and amitriptyline.  Archives of General Psychiatry , 42 , 142-148.
  • Beck, A.T., Steer, R.A., & Garbin, M.G. (1988) Psychometric properties of the Beck Depression Inventory: Twenty-five years of evaluation. Clinical Psychology Review , 8 , 77-100.
  • Beck, A.T. (2005) The current state of cognitive therapy: A 40-year retrospective. Archives of General Psychiatry , 62 , 953-959.
  • Brown, G.K., Ten Have, T., Henriques, G.R., Xie, S.X., Hollander, J.E., & Beck, A.T. (2005) Cognitive therapy for the prevention of suicide attempts: A randomized controlled trial. Journal of the American Medical Association , 294 , 563-570.
  • Butler, A.C., Chapman, J.E., Forman & Beck, A.T. (2006) The empirical status of cognitive behavioral therapy: A review of meta-analyses. Clinical Psychological Review , 26 , 17-31.

脚注[ソースを編集]

  1. ^ 2004 - Aaron Beck, The Grawemeyer Awards, Louisville, KY: University of Louisville/Louisville Presbyterian Theological Seminary, 2009, Retrieved 21 February 2014.
  2. ^ Aaron Beck bio, The Heinz Awards Undated, Retrieved 21 February 2014.

関連項目[ソースを編集]

外部リンク[ソースを編集]