行動療法

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行動療法(こうどうりょうほう、behavior therapy)は、心理療法のひとつで、学習理論行動理論)を基礎とする数多くの行動変容技法の総称。近年は広義の認知療法との交流・統合が進展し、認知行動療法と称されることも多い。

行動療法においてターゲットとすべきは客観的に測定可能な「行動」であり、また目標とすべきは「望ましくない行動の低減」や「望ましい行動の増大」といった「行動の制御」であるとされる。心理療法の方向性による分類では「訓練療法」の一種ということになり、精神分析のような原因探求的「洞察療法」や来談者中心療法のような受容的「支持療法」とは一線を画する。 他の心理療法に比べて時間がかからず費用も少なくすむ反面、クライエント自身の主観的体験や内面的葛藤を重視していないため、特定症状を除去したところで代わりに別の症状が出てくるだけだという批判もあるが、科学的根拠はない。

なお「療法」と称しているものの、行動療法の技法は精神科・心療内科などの医療に留まらず、種々の技能訓練習癖の改善、リハビリテーション、障害を持つ子どもの療育、犯罪者の矯正教育など、幅広い分野において利用されている。この場合、行動変容ないし行動修正(behavior modification)の呼称が用いられることもある。数ある技法の中には、古来より経験則として用いられてきたしつけや訓練の技法を洗練したものも含まれている。

主な技法[編集]

レスポンデント技法[編集]

強化技法[編集]

  • 覚醒条件づけ技法
  • 情動条件づけ技法

消去技法[編集]

  • 暴露法(エクスポージャ法)
  • 脱感作技法(拮抗条件づけ技法)

オペラント技法[編集]

強化技法[編集]

  • 一般的オペラント技法
  • 差異強化技法
  • 漸近的行動形成技法
  • トークンエコノミー技法
  • モデリング技法
  • バイオフィードバック技法
  • セルフモニタリング技法

消去技法[編集]

  • 一般的オペラント消去技法
  • レスポンスコスト技法
  • 条件性制止技法

資格[編集]

関連項目[編集]

関連書籍[編集]

訳書[編集]

  • Wolpe, J. (1969/1973/1982/1990) The practice of behavior therapy. New York : Pergamon Press
    • (ウォルピJ. (著) 内山喜久雄(監訳) 1987/2005 精神医学選書(6) 神経症の行動療法:新版行動療法の実際 名古屋:黎明書房)
  • Lazarus, A. A. (1981) The practice of multimodal therapy: systematic, comprehensive, and effective psychotherapy. New York : McGraw-Hill
    • (ラザラスA.A. (著) 高石昇(監訳) 東斉彰・大塚美和子・川島恵美(訳) 1999 マルチモード・アプローチ:行動療法の展開 大阪:二瓶社)
  • Bellack, A. S. & Hersen, M. (1985) Dictionary of behavior therapy techniques. New York : Pergamon Press
    • (ベラックA.S.・ハーセンM.(著) 山上敏子(監訳) 1987 行動療法事典 東京:岩崎学術出版社)
  • Foa, E. B. & Wilson, R. R. (2001) Stop obsessing!: how to overcome your obsessions and compulsions. New York : Bantam Books
    • (フォアE.B.・ウィルソンR.R.(著) 片山奈緒美(訳) 2002 強迫性障害を自宅で治そう!:行動療法専門医がすすめる、自分で治せる「3週間集中プログラム」。 東京:ヴォイス)

和書[編集]

  • 内山喜久雄(著) 1972 行動療法 東京:文光堂
  • 祐宗省三・春木豊・小林重雄(編著) 1972 行動療法入門 東京:川島書店
  • 梅津耕作(編) 1975 自閉児の行動療法 東京:有斐閣
  • 上里一郎(編) 1978 行動療法 東京:福村出版
  • 園田順一・高山巌(著) 1978 子どもの臨床行動療法 自閉症児:その技法と実際 東京:川島書店
  • 遠藤真(著) 1979 子どもの行動療法 吃音児:その臨床例と技法 東京:川島書店
  • 小林重雄(編著) 1980 子どもの行動療法 自閉症児:その臨床例と技法 東京:川島書店
  • 上里一郎(編) 1983 行動療法:現状と課題 東京:福村出版
  • 祐宗省三・春木豊・小林重雄(編著) 1984 行動療法入門:臨床のための理論と技法 東京:川島書店
  • 内山喜久雄(著) 1988 講座サイコセラピー(2) 行動療法 東京:日本文化科学社
  • 山上敏子(編) 1990 現代のエスプリ 行動療法:生活を豊かにする技術 東京:至文堂
  • 山上敏子(著) 1990 行動療法 東京:岩崎学術出版社
  • 久野能弘(著) 1993 行動療法:医行動学講義ノート 京都:ミネルヴァ書房
  • 山上敏子(著) 1997 行動療法2 東京:岩崎学術出版社
  • 山上敏子(著) 2003 行動療法3 東京:岩崎学術出版社
  • 風祭元(監修) 山上敏子(編) 2001 こころの科学99号 行動療法 東京:日本評論社
  • 飯倉康郎(編著) 2005 強迫性障害の行動療法 東京:金剛出版
  • 山上敏子(著) 2007 方法としての行動療法 東京:岩崎学術出版社
  • 小野昌彦(編) 2007 行動療法を生かした支援の実際:発達障害・不登校の事例に学ぶ 東京:東洋館出版社
  • 宮下照子・免田賢(著) 2007 新行動療法入門 京都:ナカニシヤ出版

行動療法ケース研究[編集]

  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 内山喜久雄(編集) 1984 行動療法ケース研究(1) 不安症候群 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 上里一郎(編集) 1985 行動療法ケース研究(2) 登校拒否 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 内田安信(編集) 行動療法ケース研究(3) 歯科心身症と行動療法 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 中川哲也(編集) 1987 行動療法ケース研究(4) 心身症(1) 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 野添新一・金久卓也(編集) 1987 行動療法ケース研究(5) 神経性食思不振症 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 中川哲也(編集) 1988 行動療法ケース研究(6) 心身症(2) 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 原野広太郎(編集) 1989 行動療法ケース研究(7) 非社会的問題行動 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 高木俊一郎(編集) 1990 行動療法ケース研究(8) 自閉症児の行動療法(1) 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 上里一郎(編集) 1993 行動療法ケース研究(9) 登校拒否 東京:岩崎学術出版社
  • 行動療法ケース研究編集委員会(編) 小林重雄(編集) 1994 行動療法ケース研究(10) 自閉症児の行動療法(2) 東京:岩崎学術出版社

視聴覚教材[編集]

ビデオ[編集]

  • 心理療法ビデオシリーズI:問題別アプローチ編 (JIP日本心理療法研究所)
    • 第9巻 「強迫神経症に対する行動療法」(Samuel Turner)
  • 心理療法ビデオシリーズII:心理療法システム編 (JIP日本心理療法研究所)
    • 第1巻 「マルチモダルセラピー」(Arnold Lazarus)
  • 行動の健康および健康カウンセリング (JIP日本心理療法研究所)
    • 第6巻 「小児喘息への包括的心理治療アプローチ」(Bruce Bender)
    • 第10巻 「禁煙のための行動心理学:エビデンス・ベースド・アプローチ」(Bonnie Spring)
  • 著名セラピストによる心理療法 (日本・精神技術研究所)
    • 第3巻 「マルチモード療法」(Arnold Lazarus)

DVD[編集]

  • 境界性パーソナリティ障害の理解と治療:弁証法的行動療法の実際 (JIP日本心理療法研究所)
    • 第1巻 「境界性パーソナリティ障害の理解:弁証法的行動療法について学ぶ」(Marsha Linehan)
    • 第2巻 「境界性パーソナリティ障害の治療:弁証法的行動療法の実践について学ぶ」(Marsha Linehan)
  • (JIP日本心理療法研究所)
    • 「簡単にできる専門的子育てのコツ:子育ての行動心理学的アプローチ」 (Edward Christophersen)

外部リンク[編集]