来談者中心療法

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来談者中心療法
治療法
MeSH D009629
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来談者中心療法(らいだんしゃちゅうしんりょうほう、クライエント中心療法、Person-Centered Therapy)は、カール・ロジャーズとその共同研究者たちにより提唱され、展開している心理療法の一派。 その名称は、ロジャーズによって、非指示的療法英語版 (Non-Directive Counseling) から来談者中心療法、そして人間中心療法英語版 (Person Centered Approach) へと、時代を追って改名されている。

ロジャーズは、個人のパーソナリティを、自己概念と経験の一致、不一致から説明。自己概念と経験の不一致が不適応や病理を生み出すと説明した。

これはオットー・ランク (Otto Rank) の意志療法の影響から生まれたもので、ロジャーズは晩年、あるインタビュー[どれ?]に答えて「わたしの師はオットー・ランクと、自分のクライエントたちです」と述べている[1]。なお、ロジャーズははじめて心理療法を受診する者を「患者」ではなくクライエントと称した。

概論[編集]

非指示的療法 (Non-Directive Therapy)[編集]

非指示的療法の時代(1942年 - )においては、ロジャーズは、繰り返し、感情の反射、明確化などの、カウンセラーの技術を提唱したが、「非指示的療法は単なるオウム返しのみで成立する」という誤解が広まったため、名称を来談者中心療法と改め、1951年に同名の著書を出版、カウンセラーの姿勢を重視するようになる。

来談者中心療法/クライエント中心療法 (Person-Centered Therapy)[編集]

来談者中心療法では、カウンセラー側の知識の量や権威は不必要とされ、それよりも、カウンセラーの態度、すなわち、無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致をどう実現するかが重視される。カウンセラーの態度条件を満たすためには、カウンセラー自身の自己実現が求められる事となる。さらに、後期[いつから?]のロジャーズや現在[いつ?]のロジャーズ派においては、プレゼンス(人がそこにいる事)という概念が重視されるようになった。

人間中心アプローチ/パーソンセンタードアプローチ (Person-Centered Approach:PCA)[編集]

後年[いつから?]のロジャーズは、個人カウンセリングよりも、エンカウンターグループ、エンカウンターを通した世界平和の実現へと関心を移し、それに伴い、来談者中心療法からパーソンセンタードアプローチへと名称を変更する。

ロジャーズの共同研究者や弟子たちは、ロジャーズの考えを引き継ぎ、発展させた。バージニア・アクスラインは子どもへのプレイセラピーに応用、ユージン・ジェンドリンフォーカシングとフォーカシング指向心理療法を提唱、ロジャーズの娘ナタリー・ロジャーズは表現アートセラピーを実践、プルーティは精神障害や知的障害を対象に、プリセラピーを提唱した。

非指示的療法のエビデンス[編集]

コクランライブラリーによるとNon-Directive Counselingは軽~中程度のうつ病、パニック障害にエビデンスを持つ。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Kramer, Robert (1995). “The Birth of Client-Centered TherapyCarl Rogers, Otto Rank, and "The Beyond"”. Journal of Humanistic Psychology 35 (4): 78.