アナグラム

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アナグラム(anagram)とは、言葉遊びの一つで、単語またはの中の文字をいくつか入れ替えることによって、全く別の意味にさせる遊びである。

文字列を逆順にして一致するかどうかを調べればよい回文とは異なり、単純に考えて異なるN種類の文字列ならN階乗通り(N!;例えば5文字なら120通り)の並べ替えが可能なので、意味のあるアナグラムを一瞬で見つけるのは困難である。逆にそれだけの可能性があるため、たいていの言葉は(強引な意味づけをすることで)アナグラムになりうる。

例えば「アナグラム」から「グアムなら」などのアナグラムを作ることができる。

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アルファベットの例[編集]

英語の例[編集]

英語ではとくに、意味の上でもとの言葉と関連するようなアナグラムが多く見出されている。

  • anagrams = ARS MAGNA (アナグラム=偉大なる芸術(ラテン語))
  • Statue of Liberty = built to stay free (自由の女神=自由でありつづけるために建てられた)
  • Christmas = trims cash (クリスマス=現金をすり減らす)
  • astronomer = moon starer (天文学者=月を見つめる者)
  • astronomers = No more stars. (天文学者たち=星はもうたくさん)
  • conversation = Voices rant on. (会話=大声で騒ぎ立てる)
  • desperation = A rope ends it. (絶望=一本のロープがそれを終わらせる)
  • contaminated = NO ADMITTANCE (汚染された=立入禁止)
  • dormitory = dirty room (学生寮=汚い部屋)
  • narcissism = man's crisis (ナルシシズム=男性の危機)
  • one plus twelve = two plus eleven (1 + 12 = 2 + 11)
  • canoe = ocean (カヌー = 海)
  • Cinerama = American (シネラマ = アメリカ人)

以下はその他の例:

  • wing birth = bright win
  • Lost nature = Ultra stone
  • eros = rose
  • vegetarian = vinegar tea
  • Tom Marvolo Riddle= I am Lord Voldemort (『ハリー・ポッターと秘密の部屋』)
  • Trash We'd Love = Save The World (ロックバンドthe HIATUSの1stアルバム)

補足[編集]

日本語では清音と濁音・半濁音が同一視されることがあるが、アルファベットの場合 "I" と "J"・"U" と "V" が同一視されることがある。

日本語の例[編集]

促音拗音は全て直音として扱うことが多い。

いろは歌[編集]

日本語のアナグラムとしては、仮名47文字を並べ替えて意味のある文にした、「いろは歌」の文字の並べ換えが該当する[1][2]

ペンネームや芸名に用いた例[編集]

本名などのアナグラムをペンネームに用いる作家や芸名に用いる芸能人などがいる。

  • 伊島恭=Ijima Kyo - 雅孝司=Miya Kojiのアナグラム。
  • アルコフリバス・ナジエ(Alcofribas Nasier) - 16世紀フランスの文人フランソワ・ラブレー(François Rabelais)が用いたペンネーム。
  • 泡坂妻夫 - 本名の厚川昌男のアナグラム。
  • 船田学(ふなだがく)・加田伶太郎(かだれたろう) - 共に福永武彦のペンネーム。前者は「福永だ」後者は「誰(たれ)だろうか」のアナグラム。
  • マルグリット・ユルスナール (Marguerite Yourcenar) - ユルスナールは、本名クレイヤンクール (Crayencour)のアナグラム。
  • 遡玉洩穂(そだまもるほ) - 本名の細田守(ほそだまもる)のアナグラム。
  • 矢沼正太・犬屋タマセ - 本名の沼田誠也(ぬまたせいや)のアナグラムと思われる。
  • 石臼登代(いしうすとよ) - 臼井儀人(うすいよしと)がテレビアニメクレヨンしんちゃん』の脚本を書くにあたって付けたペンネームとする説があるアナグラム。
  • さかともえり - ともさかりえの歌手名(ともさかの本業は女優)。「とも」「さか」「り」「え」で分解し組み直したアナグラム。
  • 妻方仁(つまかたじん) - 本名の高松信司(たかまつしんじ)のアナグラム。
  • 小池田マヤ(こいけだまや) - 本名の山田佳子(やまだけいこ)のアナグラム。
  • タモリ - 本名(前項参照)の苗字(森田)のアナグラム。
  • 湊かなえ - 創作ラジオドラマ大賞受賞当時は「金戸美苗」(かなとみなえ)の名義で活動していたが、のち「か」と「み」の位置を入れ替えて小説家をデビューした。
  • カヒミ・カリィ(Kahimi Karie) - 結婚前の本名の比企眞理(ひきまり)のアナグラム。
  • マバヌア(mabanua) - 本名の学(まなぶ)のアナグラム。
  • パウル・ツェラン - ユダヤ系の本名パウル・アンチェル(Paul Antschel / Paul Ancel)を隠すためのアナグラム。
  • オグドレッド・ウェアリー(Ogdred Weary) - 本名のエドワード・ゴーリー(Edward Gorey)のアナグラム。
  • 三木なずな - 台湾出身の小説家。ファンである声優の水樹奈々のアナグラムから作成したペンネーム。

パズル作家[編集]

パズル作家の中にはアナグラムでペンネームを作る人がいる。

  • Sarah O. Haigy - 芦ヶ原伸之が海外で使用していたペンネームのひとつ。「Yoshigahara」のアナグラムである。
  • N. Claus de Siam - ハノイの塔の話を発表した人。リュカ(Lucas d'Amiens)のアナグラムである。

その他、パズル誌などの投稿者にもこの方法でペンネームを作る人がいる。

会社・企業[編集]

  • アリカ - ソフトウェア会社の一つ。社長の名前である「AKIRA(あきら)」を「ARIKA(アリカ)」と逆さに読み替えた。
  • EDWIN - デニム(DENIM)のアナグラムである(Mは逆さにしてWにする)。

人名をもじったもの[編集]

  • シュルレアリスムの父といわれるアンドレ・ブルトンは、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)を "Avida Dollars"(ドルの亡者)と批判した。「Avida Dollars」は「Salvador Dali」のアナグラムである。
  • Madonna(マドンナ) = MadOnna(マッド・女)並びは同じだが、ローマ字読みで変わる。
  • ジャズピアニストソニー・クラークが31歳で死去した時、ビル・エヴァンスが追悼の意を込めて「NYC's No Lark」(ニューヨークからヒバリ去る)という曲を書いているが、この曲名は「Sonny Clark」のアナグラムである。また、エヴァンズはリバーサイド・レコードに「Re: Person I Knew」(私が知っていた人について)という曲をレコーディングしているが、この曲名もリバーサイドの共同設立者/プロデューサー、オリン・キープニュース(Orrin Keepnews)の名前のアナグラムである。
  • 名古屋市長河村たかしが、表敬訪問のために訪れた東京五輪ソフトボール金メダリストのメダルを突然噛んだ騒動の際、「かわむらたかし」の名前が「わたしかむから(私噛むから)」「たからかむわし(宝噛むワシ)」「かしたらかむわ(貸したら噛むわ)」などになることが話題になり[3]、「生まれたときから噛むことが決まっていた」と揶揄された[4]

テレビ番組など[編集]

フィクション[編集]

  • ウィリアム・シェイクスピアの『ハムレット』(Hamlet)の主人公の名前は、『デンマーク人の事績』に登場するアムレート(Amleth)のアナグラムだと考えられている。
  • 吸血鬼ドラキュラ』以降に発表された、吸血鬼を題材とするフィクション作品の幾つかで、「Dracula(ドラキュラ)」のアナグラムである「Alucard(アルカード、またはアルクェイド)」が吸血鬼の名前として登場している。
  • グレッグ・イーガンの小説『順列都市(原題:Permutation City)』はタイトルの「Permutation City」を入れ替えたアナグラムの詩で始まる。また、各章タイトルも「Permutation City」のアナグラムである。邦訳版では「じゅんれつとし」を入れ替えた『使途連述』『術と試練』『受信裂渡』などが使われている。
  • J・K・ローリングの小説『ハリー・ポッター』シリーズに登場する、主人公ハリー・ポッターの宿敵であるヴォルデモートの名前は、「トム・マールヴォロ・リドル(Tom Marvolo Riddle)」という本名を嫌い、"I am Lord Voldemort" (私はヴォルデモート卿だ)と並べ替えて自称したアナグラムである。
  • ボンバーマンシリーズに登場するキャラクター『ムジョー』の名前は、モデルとなった中野忠博の当時[注 1]ハドソンでの役職「常務(ジョーム)」のアナグラムである。
  • さくらももこ原作のアニメ『さくらももこ劇場 コジコジ』に登場するキャラクター『虎田進』の名前は、彼の正体である「ノストラダムス」のアナグラムである。
  • 新沢基栄の漫画『ハイスクール!奇面組』に登場する「婦組(ふくみ)」のメンバーの名前は、実在の芸能人名をアナグラムにしたものである(例:薬師丸ひろ子(やくしまるひろこ)→子役締ひろ(こやくしまるひろ))。
  • ウィザードリィに登場するキャラクターの「トレボー」「ワードナ」の名前は、それぞれ作者であるロバート・ウッドヘッドRobert Woodhead)とアンドリュー・グリーンバーグAndrew C. Greenberg)のファーストネームを逆につづったアナグラムである。
  • スパイク・チュンソフトから発売されたゲーム『極限脱出ADV 善人シボウデス』には二つのアナグラムが登場する。「TWO MILK MEN GO COMEDY!」→「WELCOME TO MY KINGDOM!(ようこそ我が王国へ)」は序盤でアナグラムだと明かされる。「MEMENTO MORI, IF THE NINETH LION ATE THE SUN』(死を忘れるな、もしも9番目のライオンが太陽を食べた時)」→「THE MAN OF THE MOON RUKES THE INFINITE TIME(月の男(人間)は無限の時を支配する)」は作中の真相の一つで終盤にアナグラムが判明する。
  • スパイク・チュンソフトから発売されたゲーム『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』の英語版タイトル『Zero Time Dilemma』は「Me? I'm Zero; I'm Delta.」と並べ換えることができる。ディレクターの打越鋼太郎が意図したものでなく、ローカライズを手がけたAksys Gamesによるものか、あるいはただの偶然の可能性がある。
  • 仮面ライダーフォーゼ』の登場人物名には過去の仮面ライダーシリーズの人物名などのアナグラムが多く用いられている。例:歌星賢吾(うたほしけんご)→本郷猛(ほんごうたけし=仮面ライダー1号)。

その他[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ムジョーが初登場する作品『サターンボンバーマン』開発当時という意味。

出典[編集]