おでん
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おでん(御田)は、日本料理のうち、煮物料理の一種。家庭料理では鍋料理にも分類される。
出汁を醤油等で味付けしたつゆに、大根、竹輪、コンニャク、ゆで卵など様々な具材を入れて煮込んだ料理である。具材の種類は地域や家庭によって異なる。
また、2月22日は日本記念日協会に認定されたおでんの日である(2007年から)。
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名称
室町時代に出現した味噌田楽、田楽と言われる食物が原型である。古く田楽と呼ばれた料理には、具を串刺しにして焼いた「焼き田楽」のほか、具を茹でた煮込み田楽があった。のち、煮込み田楽が女房言葉で田楽の「でん」に接頭語「お」を付けた「おでん」と呼ばれるようになり、単に田楽といえば焼き田楽をさすようになった。
歴史
江戸時代に濃口醤油が発明され、江戸では醤油味の濃い出汁で煮た「おでん」が作られるようになり、それが上方に伝わり「関東炊き」や「関東煮(かんとだき)」と呼ばれるようになった(関東煮の語源については「かんとうふ煮」説や中国の煮込み料理に由来する「広東煮」説もある[1])。「関東煮」は昆布・鯨・牛すじなどで出汁をとったり、薄口醤油を用いたりと独自に変化していった。
その後関東のおでんは廃れていくが、関東大震災(1923年)の時、関西から救援に来た人たちの炊き出しで「関東煮」が振る舞われたことから東京でもおでんが復活することになる。しかし本来の江戸の味は既に失われていたために、味付けは関西風のものが主流となった。現在東京で老舗とされる店の多くが薄味であるのはこのような理由によるものである。もともとの「関東炊き」(濃い醤油味)は、老舗の味として関西で残っていることもあるし、東京でも一度は消えたが江戸の味はこうだったらしい、ということで作っている店はある[2]。
通常のおでんとは異なった種類のおでんとして、コンニャクのみを具とする「こんにゃくおでん」(「味噌おでん」とも呼ばれる)がある。だし汁ではなく湯で煮込んで熱くしたコンニャクに甘い味噌ダレを付けて食べる淡白な食品で、古い時代の煮込み田楽の遺風を残している。
地域性
日本では麺類のつゆに代表されるように、一般的に関東では濃い色合い、関西では薄い色合いが好まれるとされている。おでんに関しても基本的には同様であるが、上記のような複雑な発展の経緯があったために、関東で関西風のだしが本格的とされたり、関西でも濃口醤油を用いたりすることがある。また、関西では、濃い色合いのものを関東煮、薄い色合いのものをおでんと呼び分ける傾向もある。薬味は全国的に練り辛子が主流だが、味噌だれやネギだれなどを用いる地域もある。名古屋を中心とする中部地方では、こんにゃくや豆腐などに八丁味噌をベースにしたたれを付けて焼いたり、それらを湯掻いて味噌だれをつけて食べる田楽(味噌田楽)も健在である。
青森県青森市
ツブ貝、ネマガリダケ、大角天(薩摩揚げの一種)など独特の具が入ったおでんに生姜味噌だれをかけて食べる。2005年には「青森おでんの会」が発足し「B-1グランプリ」へ出展した。
静岡県静岡市
静岡県のおでんは濃口醤油を使い牛スジ肉でだしを取った黒いつゆを使用する。はんぺんは焼津産の黒はんぺん、すべての具に竹串を刺し、上に「だし粉」と呼ばれるイワシの削り節や鰹節、青海苔をかけて食べる。これは「静岡おでん」(発音は静岡市周辺での「静岡」の読み方にならって「しぞーかおでん」)と呼ばれており、この呼び方をセールスポイントにしている店や書籍も多数存在している。佐藤浩市が出演したキリンビールのテレビコマーシャルでも取り上げられ、全国的にも注目を浴びる事にもなった。2007年には「静岡おでんの会」という団体が「B-1グランプリ」という食の祭典に静岡おでんを出展し、3位となった。葵区にはおでん店だけが軒を連ねる飲食店街があり、多くの駄菓子屋でもおでんを販売している。また季節を問わず食されており、夏場のプールなどでも販売している(店によっては冬場より売れる所も存在する)。おやつ、酒の肴、おかずと幅広く食されている。また年に一度、「静岡おでんフェスティバル」が開催されており、人気投票が開催される等盛り上がりを見せている。最近では日本各地のおでんや、韓国、台湾などのおでん等も紹介している等、イベントで楽しめるおでんの幅が広がりつつある。また最近では静岡県のみならず、東京都内やバンコクでも静岡おでんが味わえる店が開店するなど、静岡おでんが食べられる地域も広がりつつある。
長野県飯田地方
醤油の出汁で煮た一般的なおでんに、ネギダレ(みじん切りにしたネギを醤油に漬け込みネギのエキスにより粘り気の出たタレ)をかけて食べる。具は豆腐が良く食べられる。
富山県
塩と昆布の出汁で煮たおでんに、玉子、焼きちくわ、焼き豆腐、かまぼこなど入れて煮込み練り辛子かおぼろ昆布を添えて食べる。
愛知県
「味噌おでん」は、八丁味噌をベースとした甘めの汁でダイコン、こんにゃく等のを煮込こむ。味噌の煮汁には豚のモツやバラ肉を入れてどて煮にしたり、味噌カツのたれにされることも多い。また、だし汁ではなく湯で茹でた後、味噌をつけて食する味噌田楽もある。
醤油味の汁のおでんについては「関東煮(かんとに)」と呼び、おでんといえば味噌おでんや味噌田楽を指す場合が珍しくなかった。また、具材でも薩摩揚げのことを「はんぺん」と呼ぶことが一般的だったが、最近ではテレビメディアや全国展開するコンビニなどの影響で、関東煮(かんとに)をおでんと言い換え、わずかながらも薩摩揚げとはんぺんを区別するようになった。しかし全てが同じという訳ではなく、通常の醤油味のおでんにも甘い味噌だれを付けて食べることもあるため、コンビニではからしの他に甘い味噌だれの小袋を付けて販売している。
兵庫県姫路市
薄味だが、「関東煮」ともいう。からしは使わず、しょうが醤油に付けて食べる。きざみ葱を散らすこともある。
香川県
おでんには茶色く甘い味噌だれ、黄色い辛子味噌などを添える。 「うどん店」では、必ずと言っても良いほど副食としてセルフサービス販売されている。
愛媛県
からしの代わりにおでん用の味噌を付けて食べる。 また、県内の一部の地域ではラーメン屋で提供され、ラーメンの出来上がりを待つ間に食べられている。
沖縄県
沖縄のおでんはてびち(豚足)をメインとしており、旬の葉物野菜が添えられる。 コンビニでは本土と同様の一般的なおでんと共にてびちも販売されている。
その他
関東を中心に「京風おでん」「京おでん」という名称で、薄味のダシのおでんを出す店があるが、京都のおでんに独自性があるわけでもなく、何をもって「京風」とするかの定義も曖昧である。同じことは、「京風うどん」「京風ラーメン」「京風スパゲティ」にも言える。おそらくは京料理と称されるもののイメージと合致する味の傾向から、「京料理風」という意味で名付けられたものと思われる。
販売形態
煮物としては珍しくファーストフード的な性格を持ち、特に冬の食物として好まれる。「おでん屋」と称される小さな一杯飲み屋で酒の肴として供されていることも多い。
かつては、屋台の「おでん屋」が夜になると町中に店を出して酔客の憩いの場となり、また駄菓子店や食堂などの店先におでんの大鍋を置き、七輪やストーブなどで日がなぐつぐつと煮込んでいる素朴な風景も方々で見られたが、いずれも1980年代以降は廃れつつある。
代わって近年、冬季になるとコンビニエンスストアが電熱式のおでん鍋を置いておでんの煮売りをするようになった。これは一般にも好評で広く定着しており、冬のみならず、一年中おでんを用意しているコンビニが多い[3]。
煮込み済みのおでん種をつゆごとレトルトパックにした商品も多く売られている。変わり種としては天狗缶詰が缶詰「おでん缶」を製造しており、店舗や自動販売機で売られている。
代表的な具
おでんの具材は、「おでん種」とも呼ばれる。
ほぼ全国共通で用いられる具材
- 大根 - 厚切りにして皮を剥いたもの。
- コンニャク - 黒・白の板状に加え、ひねったものや青海苔・ごま・ゆず・一味などの団子状の物もある。
- しらたき - 結んで食べやすい形にする。
- ちくわ - 穴の中にゴボウなどの野菜を詰めることもある。
- 厚揚げ・生揚げ
- 豆腐 - 主に焼き豆腐が用いられる。
- がんもどき
- 巾着 - 油揚げの中に餅等の具を入れ、かんぴょう等で口を縛った物。「ふくろ」とも呼ばれる。
- ゆで卵 - 鶏卵やウズラの卵
- 昆布 - 出汁を取った後の昆布を取り出し、結んで具として活用する。
- じゃがいも - 皮を剥いて、丸ごと又は一口大に切る。
- はんぺん - 白身魚のすり身に山芋を加えて蒸したもの。関東発祥だが、近年は全国的にみられるようになった。
- さつまあげ - 地域によってさまざまな名称やバリエーションがある。
地域や好みによって追加されることのある具材
- 信太巻 - 野菜などを油揚げやゆばで包む。信田巻とも。
- 厚焼き - 焼き蒲鉾の一種で原料に玉子が含まれる。
- 高野豆腐
- かまぼこ - 中国地方など。色の赤いものが好まれる。
- ニンジン
- サトイモ - 関西では海老芋などが使われる。
- ギンナン - 4~5粒程度を爪楊枝に刺して具とする。
- タケノコ
- ロールキャベツ
- キノコ - シイタケ、マイタケ、ブナシメジ、エリンギなど。
- スジ肉(すじ) - スジ肉のぶつ切りを串に刺したもの。牛スジが主であるが、中部地方の一部などでは豚を用いることもある。
- つみれ - 魚のすり身に鶏卵や澱粉などを加えた肉団子状の練り物。
- つくね - 鳥肉などのミンチに鶏卵や澱粉などを加えた肉団子状の練り物。
- つぶ貝、バイなどの巻貝類。串に刺して用いられる。
- 蛸 - 足の部分を用いるが、おでんの具としては、小さいイイダコが丸々串に刺さっている場合も多い。
- ウィンナー - 洋風おでんとして扱っている店もある。沖縄ではホットドッグ用のフランクフルトも一般的。
- 真薯揚げ(しんじょあげ・しんじょうあげ) - 海老を磨り潰して卵白と混ぜて揚げたもの。同様に海老の代わりにイカ・かに・ほたて等を用いたものもある。
- トマト - 主に1つ丸ごと使う。おでん専門店などで見かけることがある。
地域性の強い具
- 関東
- 静岡
- 中部
- 豚バラ - 角切りにした豚のばら肉。
- どて串 - 豚もつを串に刺したもの。名古屋を中心とする味噌味のおでんによく用いられる。
- 関西
- 北陸
- 四国
- じゃこ天 - 愛媛を中心に用いられる。
- 九州
- 馬すじ - 馬のすじ肉。熊本おでんの定番である。
日本国外のおでん
元来は日本でだけ食べられていたが、併合時代に台湾や朝鮮半島などにも広まり、現地では今でも日本語の「おでん」の名称で親しまれている。台湾語では「黑輪」と書いて「オレン」と発音する(台湾語には濁音の『で』がなく、『レ』と訛った)。なお、現在の台湾のコンビニエンスストアや屋台などでは、「關東煮」という大阪風の表記で広く売られている(台湾のセブンイレブンでは「関東煮」と日本の新字で表記)。韓国では練り物そのものを一般にオデンといい、醤油ベースの出汁で煮込んだり(日本のように他の具が入ることはまずない)、辛子味噌で炒めたりする。
上海の日系コンビニエンスストアなどでもおでんが売られているが、串に刺し、使い捨てのコップに入れて売るという違いがある。上海では「熬点」と書いて「Aódiǎn」と発音するが、語源は日本語の「おでん」で、煮込んだスナックというような字義をかけてある。
タイの日系コンビニエンスストアでもほぼ日本と同じスタイルでおでんが多く売られている。
関連項目
- おでんくん
- チビ太 - 赤塚不二夫の漫画のキャラクター。特徴的なおでん(上から蒟蒻・がんも・鳴門巻の串)を手に持って登場することが多く、これを受け、「チビ太のおでん」という商品も販売されている。商品化の際は鳴門巻は焼竹輪に変更された。
- おでんマン - 2chのアスキーアートの一つ。上から蒟蒻・玉子・大根がモデル。
脚注
- ^ 「たこ梅」関東煮・おでんの歴史
- ^ 1937年(昭和12年)発行の「軍隊調理法」(旧日本陸軍の調理教本)においては、本項で述べるおでんが「関東煮」と表記されており、別途「肉味噌おでん」として田楽風の料理が記載されている。
- ^ おでんを最初に取り扱ったのは、セブン-イレブンである(1979年)『“熱い”真夏のコンビニおでん戦争 値下げ、だし改良、品ぞろえ…』2007年8月28日 産経新聞
外部リンク
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