ゴボウ

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ゴボウ
W gobou4031.jpg
ゴボウの葉
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
: ゴボウ属 Arctium
: ゴボウ A. lappa
学名
Arctium lappa L.
和名
ゴボウ
英名
edible burdock
greater burdock
beggar's buttons
ゴボウ、生
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 302 kJ (72 kcal)
炭水化物 17.34 g
- 糖分 2.9 g
- 食物繊維 3.3 g
脂肪 0.15 g
- 飽和脂肪酸 0.025 g
- 一価不飽和脂肪酸 0.037 g
- 多価不飽和脂肪酸 0.059 g
タンパク質 1.53 g
- トリプトファン 0.006 g
- トレオニン 0.026 g
- イソロイシン 0.03 g
- ロイシン 0.032 g
- リシン 0.067 g
- メチオニン 0.009 g
- シスチン 0.006 g
- フェニルアラニン 0.033 g
- チロシン 0.018 g
- バリン 0.033 g
- アルギニン 0.105 g
- ヒスチジン 0.031 g
- アラニン 0.025 g
- アスパラギン酸 0.177 g
- グルタミン酸 0.157 g
- グリシン 0.031 g
- プロリン 0.052 g
- セリン 0.025 g
水分 80.09 g
ビタミンA相当量 0 μg (0%)
- βカロテン 0 μg (0%)
- ルテインおよびゼアキサンチン 0 μg
ビタミンB1 0.01 mg (1%)
ビタミンB2 0.03 mg (2%)
ビタミンB3 0.3 mg (2%)
パントテン酸(ビタミンB5 0.321 mg (6%)
ビタミンB6 0.24 mg (18%)
葉酸(ビタミンB9 23 μg (6%)
コリン 11.7 mg (2%)
ビタミンB12 0 μg (0%)
ビタミンC 3 mg (4%)
ビタミンD 0 IU (0%)
ビタミンE 0.38 mg (3%)
ビタミンK 1.6 μg (2%)
カルシウム 41 mg (4%)
鉄分 0.8 mg (6%)
マグネシウム 38 mg (10%)
マンガン 0.232 mg (12%)
セレン 0.7 μg (1%)
リン 51 mg (7%)
カリウム 308 mg (7%)
塩分 5 mg (0%)
亜鉛 0.33 mg (3%)
 %はアメリカにおける成人向けの
栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

ゴボウ牛蒡または牛旁、悪実、: Burdock、学名: Arctium lappa L. )は、キク科多年草ユーラシア大陸原産。

目次

特徴 [編集]

日本で自生はしていないが、縄文時代の遺跡からは植物遺存体として確認されており、縄文時代か平安時代に日本に伝わったともいわれる[1]。主に食すようになったのは江戸時代から明治にかけてであり、根や葉を食用とする。茎の高さは1mほど、主根の長さは品種にもよるが50cm〜1mほどある。花期は6〜7月。紫色のアザミに似た総苞にトゲのある花を咲かせる。

利用 [編集]

食用 [編集]

ゴボウサラダ

日本ではを食用としてきんぴら天ぷらかき揚げなどに使われるほか煮物に用い、近年では細切りにした根を湯がいてサラダにもする。旬は初冬で、新ゴボウは初夏となる。根は、日本の他、日本が統治していた朝鮮半島台湾中国東北部の一部以外では食材としないが、ヨーロッパなどでは初夏に若をサラダとして食べることもある。

ゴボウにはポリフェノールであるクロロゲン酸が豊富に含まれている。クロロゲン酸は、ゴボウを水にさらしたときに出てくる茶褐色の成分であり、コーヒーにも含まれ、抗酸化作用がある。ゴボウを長く水にさらすとクロロゲン酸が失われてしまうので、皮はむかない、水にさらさず、すぐ調理する、大きめにゴロンと切る、ことがゴボウ調理の三大新常識となっている[2]。  

薬用 [編集]

欧米ではを薬用としてハーブ(バードックと呼ばれている)として用いられている。また、ゴボウは生薬漢方薬に用いられ、利尿発汗、血液浄化、皮膚疾患ニキビ湿疹乾癬)の薬の材料としても使われている[3][4]日本には薬草として中国から伝来。薬草としては発汗利尿作用のある根(牛旁根(ごぼうこん): Burdock Root)のほか、浮腫、咽頭痛、解毒に用いる種子悪実(あくじつ)、または牛旁子(ごぼうし))を用いる。日本では乳腺炎に種をそのまま食べるか、煎じる使用法も有効として民間に口伝で知られる。繊維質が多く、便秘予防に効果があるとされる。大腸がん・直腸がん予防に効果があるとするむきもあるが、これは正確ではなく、現在[いつ?]のところでは試験管レベルの実験で酸素状態の悪い成長した大腸がんの細胞にたいして選択的に倍加した毒性を発揮する性質があるとされている[5]

ゴボウの根の部分を野菜として利用するのは日本と朝鮮半島だけの特徴であり、先述のように葉の部分を野菜として、根や種の部分を漢方薬として使用されることが多い。

アレルギー [編集]

キク科植物に対しアレルギー性を有している場合は、注意が必要である[6]

ゴボウが関連する言葉 [編集]

  • ごぼう抜き - リレー走駅伝競走などで、後方からほかの選手を一気に抜き去ること、または、多数抜き去ることをごぼう抜きと言うことがある。『広辞苑』(第5版)には、「(牛蒡を土中から引き抜くように)一気に抜きあげること。」とある。なお、「ごぼう抜き」という言葉には、座り込みなどを行う人物を力ずくで排除するという用法もある。
  • ごんぼ(牛蒡)堀り - 青森県の方言に「ごんぼほり」(牛蒡堀り)というのがある。ぐずぐず不平を言って譲らない、酔ってくだを巻く(時に居座る)、強情である、ふてくされる(特に子供)、といった態度(あるいはそのような態度の者)ぐらいの意。なだめたり、お引き取り願うことはゴボウを「掘る」ことと同じくらい難儀であることから、であろうか。秋田県にも同様の言い回しがあり、秋田のローカルヒーローである「超神ネイガー」には「ゴンボホリー」という悪役が登場する。
  • 太平洋でごぼうを洗う - 男女の性交において、女性のの締め付けがゆるいと同時に、男性の陰茎が細いため、男女とも十分な満足感が得られないたとえ。
  • 牛蒡積み - 石垣の工法の一つで、野面積みの一種。奥行きのある石を短径面が外側になるように積んでいく工法で、名称の由来は石の積み方がゴボウの束を積み重ねたようであるため[7]大洲城若松城彦根城松江城などで見られる。

食文化の違いによる誤解 [編集]

ゴボウにまつわる食文化の違いがもたらした悲劇的な逸話として、「戦時中、外国人捕虜にゴボウを与えたところ、木の根を食べさせられたと誤解され、戦後にBC級戦犯として虐待の罪で処罰された」というものがある。小中学校でよく読まれる『はだしのゲン』でも言及されているため(『はだしのゲン』ではヤマゴボウと記述されている)、この逸話は小中学生の間でも比較的知られている。

しかし実際には、この逸話には曖昧な点が多い。「〜らしい」「〜と読んだ」などと伝聞調に語られることが多く、話す人によって、内容(場所、捕虜の国籍、量刑、処罰された人数など)が食い違っていることが珍しくない。また、ゴボウを食べさせたことそのものを直接の原因として処罰されたとする裁判記録などは見つかっていない。

この逸話は、特に極東国際軍事裁判(東京裁判)に批判的な立場から、一方的な復讐裁判の好例としてしばしば取り上げられている。

この逸話について触れている資料 [編集]

以下に、この逸話について触れている資料を挙げる。

  • この逸話についての最も古い記録の1つは、1952年(昭和27年)12月10日に行われた第15回国会参議院法務委員会で法務省保護局長齋藤三郎が行った米国派遣報告にある以下の内容となる[8]

一例としては、俘虜収容所の所員が、終戦真際食糧が非常に不足している。併しこれに対してできるだけいい食物を与えたいというのでごぼうを買つて来て食わした。その当時ごぼうというのは我々はとても食えなかつたのだ。我々はもう大豆を二日も三日も続けて食うというような時代で、ごぼうなんてものはなかなか貴重品であつた。そのごぼうを食わしたところが、それが乾パン代りに木の根を食わして虐待したというので、五年の刑を受けたという、こういう例もあるのだという話をしましたが、(…)

しかし、具体的に誰が処罰されたのかなど、詳しい情報の出所はここでは述べられていない。

  • この翌年の昭和28年7月2日の参議院厚生委員会では、日本社会党の藤原道子が、「ごぼうを食べさしたものを木の根を食べさせたのだということで二十五年の禁錮を受けておる」と発言しており[9]、この時点でも既に量刑の内容が異なっている。
  • 上坂冬子の著書『貝になった男 直江津捕虜収容所事件』では、新潟県直江津町(現上越市)にあった東京俘虜収容所第4分所の所長らが、終戦後、収容されていたオーストラリア人捕虜達から「木の根を食べさせられた」という告発を受け、うち所長を除く8名が裁判で絞首刑となった、という具体的な記述がある(ただし、ゴボウを食べさせたことが直接の原因かどうかは書かれていない)。
  • 朝日新聞の連載記事『地球・食材の旅』の1996年11月10日掲載分に、長野県下伊那郡天龍村にあった東京俘虜収容所第12分所(満島捕虜収容所)に勤務していた警備員1名が無期懲役の判決となり、その裁判中にゴボウを食べさせたことが虐待として扱われた、という話が掲載されている。ただし、この警備員はまもなく釈放されたといい、実際に本人に取材を行ったがこの話については語ってくれなかった、と述べられている。
  • 相馬暁は著書『野菜学入門』の中で「アメリカ人捕虜にゴボウを食べさせたために、昭和21年に、横浜の戦犯裁判で捕虜収容所の関係者が、二人が死刑、三人が終身刑、二人が十後年以上の有期刑の判決を受けた」と述べているが、それ以上の詳細については触れていない。
  • 村山有が、捕虜にゴボウを差し入れたことを理由に戦犯容疑者としてGHQに逮捕された、という話がある。
  • 清瀬一郎の著作『秘録東京裁判』の中には、「ある捕虜収容所」のケースとして、「牛蒡をオックス・テイル(牛の尾)、豆腐をロツン・ビーンズ(腐った豆)と誤訳したため、捕虜から不満が出た」という話が述べられている。
  • 漫画 『はだしのゲン』では、「捕虜にヤマゴボウを食べさせて25年の重労働を課された」という話が、映画『私は貝になりたい』では、「ゴボウを食べさせて5年の懲役を受けた」という話が出てくる。

懐疑的な意見 [編集]

刑罰の原因としては軽すぎる
捕虜収容所での虐待行為ならば、強制労働や肉体的暴力など、ゴボウよりも重い罪がいくらでもあったはずである。虐待行為の1つとしてゴボウが挙げられたことはあったかもしれないが、それだけを主因として刑に処されるというのは不自然、という意見がある。上記の第15回国会参議院法務委員会の答弁では、アメリカ司法局の行刑局長のベンネツトという人物にゴボウの話をしたところ、逆に刑の減刑について好感触があった、と述べられている。
欧米人にも根菜を食べる習慣はある
ゴボウを食べるのは日本人独特の習慣であるが、根菜を食べる習慣は欧米にも存在し、例としてカブニンジンジャガイモタマネギビートキクイモ等が一般的に食されている。またドイツスイスではゴボウとよく似た外見のキクゴボウScorzonera hispanica)を食べる習慣がある。従って、戦犯の裁判を担当するような人物が、ゴボウが根菜の一種であることを理解できないという論は不自然である、とする意見もある。

脚注 [編集]

  1. ^ 日立 世界・ふしぎ発見!」 2010年5月22日放映
  2. ^ 「ゴボウの新常識、アク抜き最低限に、抗酸化成分を保つ」2005.11.26 日本経済新聞
  3. ^ Chan Y.-S., Cheng L.-N., Wu J.-H., Chan E., Kwan Y.-W., Lee S.M.-Y., Leung G.P.-H., Yu P.H.-F., Chan S.-W.,"A review of the pharmacological effects of Arctium lappa (burdock)" [Article in Press] Inflammopharmacology 2010
  4. ^ Herbal Medicine From Your Garden”. Herbal Medicine From Your Garden. 2012年2月2日閲覧。
  5. ^ [1] (PDF)(2010年12月16日時点のアーカイブ
  6. ^ 流行中の「ゴボウ茶」、副作用報告があるなんて! 日経メディカルオンライン 記事:2012年6月8日
  7. ^ 石垣の分類
  8. ^ 参議院会議録情報 第015回国会 法務委員会 第4号”. 2012年9月1日閲覧。
  9. ^ 参議院会議録情報 第016回国会 厚生委員会 第7号”. 2012年9月1日閲覧。

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]