チキン南蛮
チキン南蛮(チキンなんばん、Southern fried chicken)は、揚げた鶏肉を南蛮酢(南蛮漬け)とタルタルソースで味付けした料理。宮崎県延岡市を発祥とする。近年ではコンビニエンスストア・持ち帰り弁当チェーン店の弁当のおかずやスーパーマーケットなどの惣菜のメニュー、ファストフードの具材として、全国に普及している。
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[編集] 由緒
もともとは、かつて宮崎県延岡市内にあった洋食店「ロンドン」で昭和30年代に出されていた賄い料理がその原型である。「南蛮」漬けというその名の示すように、この料理は当初アジの南蛮漬けなどと同様に、衣を付けて揚げた鶏肉を甘酢にさっと浸したものだった。
「ロンドン」での修行を経て大衆食堂お食事の店「直ちゃん」を延岡市内に開いた後藤直が、1964年(昭和39年)に、慣れ親しんだ賄い料理を商品として開発。安価で手に入りやすい鶏の胸肉を使った料理として一品150円で売り出した。これがチキン南蛮の始まりである。なお、当時から現在にいたるまで、「直ちゃん」のチキン南蛮は甘酢に浸しただけの純粋な南蛮漬けであり、その後一般的に使われるようになったタルタルソースは用いられていない[1]。
現在の主流となったタルタルソースのチキン南蛮を考案したのは、同じく延岡市の「ロンドン」で「直ちゃん」の後藤直と共に修行し、後に宮崎市において1956年(昭和31年)に「おぐら(後に有限会社おぐら)」を開業した延岡市出身の甲斐義光である。 タルタルソースのチキン南蛮は、宮崎市の「おぐら」2号店で1964年(昭和39年)にオープンした、延岡市の店と同名の「洋食屋ロンドン」で開店翌年の1965年(昭和40年)に登場した。 当時のスタッフによると、タルタルソースのチキン南蛮が現在の形になり、人気メニューとなったのは登場から数年経った1970年(昭和45年)頃であり、当時は「洋食屋ロンドン」のみでしか出されていなかった。
しかしそのタルタルソースのチキン南蛮が、一洋食屋のメニューから県内ほとんどの飲食店で出されるメニューになったのには、「おぐら」の店舗展開にも関係があると思われる。 まず「おぐら」は「洋食屋ロンドン」の後、宮崎県内・鹿児島へ出店。1971年(昭和46年)には初めて延岡市に1号店「延岡おぐら店(現株式会社おぐら大瀬店)」をオープン。さらにその後も延岡を拠点に大分へも店舗を展開。ピーク時には20店舗近くになっていた。そんな中「洋食屋ロンドン」での成功を受けて、「おぐら」各店にもタルタルソースのチキン南蛮が登場、人気メニューとなり、地元発祥の料理として広く親しまれ、定着していった。
チキン南蛮の特徴の1つでもあるタルタルソースは、「洋食屋ロンドン」の常連客が、ある有名レストランなどから持ち帰り、サンプルとして持ち込んだ何種類ものタルタルソースを基に試行錯誤の後完成したとの当時のスタッフの話や、「延岡おぐら店」に出入りしていた、フレンチ出身のシェフに本格的なソースを作らせたという話がある[2]。また、タルタルソースと鶏肉という組み合わせのヒントは、するめとマヨネーズの組み合わせにあったという話も伝わっている[3]。
上記の経緯から、「直ちゃん」をチキン南蛮の元祖とする声がある[4]一方、宮崎県観光協会は今日において主流となったタルタルソースのチキン南蛮を考案した「おぐら」を元祖として紹介している[5]。
これを記念して、延岡市では2009年(平成21年)7月8日に、「直ちゃん」と延岡市に本社を置く「株式会社おぐら」の関係者や大学関係者、料理研究家などによる「チキン南蛮発祥の地宣言シンポジウム」が開催された[6]。
なお、両店とも鶏肉には胸肉を使用しているが、現在では脂肪分が多くボリューム感もあるもも肉を使う料理店も多い。
[編集] 各地方における状況
[編集] 宮崎県内
現在では、タルタルソースのチキン南蛮は宮崎県下の惣菜屋や飲食店では定番メニューとなり、各家庭でタルタルソースが作られるなど、宮崎のご当地料理・家庭料理として広まっている。なお、スーパーなどの調味料コーナーには、チキン南蛮用のタルタルソースや南蛮漬けのタレが必ずといってよいほどに売られている。
[編集] 宮崎県外
現在は首都圏や近畿圏において宮崎料理を提供する飲食店のメニューや、コンビニエンスストア・持ち帰り弁当チェーン店で弁当のおかずとして販売されている。
[編集] 参考文献
- 「チキン南蛮発祥の地宣言 延岡」『宮崎日日新聞』 2009年6月27日。ウェブ上で公開されていない箇所に由緒が記載されている。
- 「チキン南蛮 延岡に活力 きょう7月8日「発祥の地」シンポ開催」 『宮崎日日新聞』 2009年7月8日付 P.15。ウェブでは公開されていない。一面を使って「延岡発祥のチキン南蛮」の特集記事を掲載。チキン南蛮誕生の経緯、直ちゃんと延岡おぐら関係者の声やそれぞれの料理方法、チキン南蛮を愛する有名人の声などが掲載されている。
[編集] 脚注
- ^ 「元祖チキン南蛮の直ちゃん」(宮崎県情報サイト パワナビ パワーUPなお店)
- ^ 「チキン南蛮 延岡に活力」宮崎日日新聞、2009年7月8日付特集記事、P.15
- ^ おぐら公式ウェブサイト
- ^ 「宮崎観光資産フォトスケッチ 6 チキン南蛮(延岡市)」宮崎日日新聞 MIYANICHI e PRESS 2009年5月2日付
- ^ 朝日新聞 1997年9月11日付 夕刊、らうんじ面、P.3
- ^ 「チキン南蛮延岡発祥 観光資源活用へシンポ」宮崎日日新聞 MIYANICHI e PRESS、2009年7月9日付
[編集] 関連項目
- 農山漁村の郷土料理百選 - 別枠の「御当地人気料理特選」として選定されている。