高野豆腐

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高野豆腐。水で戻した状態
凍り豆腐[1]
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 2,213 kJ (529 kcal)
5.7 g
食物繊維 1.8 g
33.2 g
飽和脂肪酸 5.84 g
一価不飽和脂肪酸 6.63 g
多価不飽和脂肪酸 16.64 g
49.4 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
(0) μg
(0%)
0 μg
チアミン(B1)
(1%)
0.01 mg
リボフラビン(B2)
(1%)
0.01 mg
ナイアシン(B3)
(0%)
0 mg
(1%)
0.07 mg
ビタミンB6
(2%)
0.02 mg
葉酸(B9)
(1%)
5 μg
ビタミンB12
(0%)
0 μg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(0%)
(0) μg
ビタミンE
(218%)
32.7 mg
ビタミンK
(54%)
57 μg
ミネラル
カルシウム
(66%)
660 mg
鉄分
(52%)
6.8 mg
マグネシウム
(34%)
120 mg
リン
(126%)
880 mg
カリウム
(1%)
30 mg
ナトリウム
塩分の可能性あり)
(25%)
380 mg
亜鉛
(55%)
5.2 mg
他の成分
水分 8.1 g

成分名「塩分」を「ナトリウム」に修正したことに伴い、各記事のナトリウム量を確認中ですが、当記事のナトリウム量は未確認です。(詳細

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

高野豆腐(こうやどうふ)とは、豆腐凍結乾燥させた保存食である。

乾燥状態では軽く締まったスポンジ状で、これを水で戻し、だし汁で煮込むなどして味を付ける。

歴史・名称起源[編集]

冬期に豆腐を屋外に放置してしまったことから、偶然に製法が発見されたと言われている。

俗に高野山で製造される凍り豆腐(こおりどうふ)が、精進料理の1つとして全国に広まったものとされるが、実際には、東北地方にも凍み豆腐(しみどうふ)と呼ばれる同じ製法の保存食があり、こちらは戦国大名伊達政宗が、兵糧研究の末に開発したという伝説がある。中国にも同様の食品があるので中国から伝来した可能性も高い。寒さの厳しい地方では、場所に限らず偶然の産物として発見され、普遍的に生産されてきた食品と見られる。

高野豆腐と呼ばれるに至ったのは、江戸時代において高野山の土産物として珍重されたからとも言われている。江戸時代においては最も流通した物がその販売地、販売者の地名を冠することがあり、これもその1つである。

高野豆腐の名称は現在では全国に広まっているがもとは関西圏で広く用いられていた名称で、甲信越地方・東北地方・北海道では凍み豆腐・凍り豆腐と呼ばれていた。甲信越・東北・北海道で作られる伝統的な製法の凍り豆腐は、で数個ずつ豆腐を連ねて軒先に吊るして作るので、その形から連豆腐とも呼ばれている。大阪ではちはや豆腐という呼び名もある。古くは氷豆腐と表記されることもあった。

東北地方では製造途中の凍ったものを凍り豆腐として冷凍販売し、乾物の状態のものを凍み豆腐として区別して販売されているため、注意が必要である。

日本農林規格(JAS)では、凍り豆腐が正式な名称となっている。

寒冷地で発達した食品であることから、現在では長野県が日本最大の生産地である。高野山近辺では現在は製造されていない。

製法[編集]

最も伝統のある製法では、硬く水切りした豆腐を適当な大きさに切り、寒中の屋外に放置する。夜間は凍結し、日中に溶けることを繰り返すうちに完全に水分が抜け乾物となる。水分が凍るとき内部に無数の氷の結晶ができ、溶ける際にその部分が小さな穴として残り、スポンジ状の多孔質な高野豆腐ができあがる。甲信越・東北・北海道、および高野山での古い作り方とされる。

高野山でも古くは上記の伝統製法で作っていたが、時代が下るに従い製法に工夫が施され独自の製法が確立されていった。夜間に凍結した豆腐が日中に溶けてしまわないように、専用の氷室に入れて数日間熟成させ、その後に解凍し乾燥させる。乾燥法も初めは天日干しだったが、後には乾燥用の室の中でなどを焚き強制的に乾燥させる方法が広まった。

現在は冷凍機で凍結し、乾燥機で乾燥する機械製法がほとんどである。

形状不良となった高野豆腐を粉末にしたものを粉豆腐と呼び、長野県などでは料理に活用されている[2]

膨軟剤[編集]

伝統的な製法による高野豆腐は硬く、水戻しには1晩かかり、柔らかく炊き上げるのは難しく、調理に手間のかかる食材である。このため現在市販されている高野豆腐のほとんどには、水戻しの時間を短縮し、柔らかく煮あがるように膨軟剤と呼ばれる食品添加物が加えられている。

アンモニア[編集]

極めて吸水性が高いアンモニアの性質を生かし、高野豆腐の水戻し時間を短縮する役割を持つ。乾燥が終わった高野豆腐をアンモニア処理室にいれアンモニアガスを充満させる。スポンジ状の高野豆腐の内部までアンモニアガスが行き渡りアンモニアが全体に吸着したら、密封包装をして出荷される。アンモニアが揮発してしまうと効果がなくなるので、保存時は必ず密封しなければならない。

アンモニア臭を抜くために、水ではなく熱湯で戻すことが推奨されている。戻した後、何度か水を替えて完全にアンモニア臭を抜く必要がある。アンモニア自体が有害であること、保存時にアンモニアが揮発すると効果がなくなることから、現在ではほとんど利用されていない。

重曹[編集]

たんぱく質を分解し食材を柔らかくする重曹の性質を利用し、高野豆腐を柔らかくする役割を持つ。生の豆腐を凍結し、重曹の入った水に浸して解凍する。重曹のしみこんだ豆腐の水を切り乾燥させる。たんぱく質の一部が破壊されているので水戻しも早く、柔らかく煮あがる。現在市販されているものは、ほとんどが重曹処理されたものである。

アンモニア処理の高野豆腐と違い密封保存する必要性は無い。また、熱湯で戻す必要もない。

重曹処理された高野豆腐は伝統製法のものに比べ、硬さが1/3~1/4程度で非常に柔らかく、別の食品といえるほど食感も異なる。その柔らかさから煮崩れしやすく、伝統製法の高野豆腐と同じ感覚で調理すると形が崩れてしまう。真水で煮ると崩れるので、組織を引き締め煮崩れを防ぐために初めから塩分が含まれた出汁で煮る。また、重曹処理された高野豆腐は炊飯器に水と一緒に入れて炊くことによって普通の豆腐に近いものを作ることができる。[3]

調理法[編集]

高野豆腐は乾物なので、調理するには水分を含ませて戻す必要があり、高野豆腐の場合には熱湯に浸して戻す湯戻しが必要となる。ただし、近年では湯戻しを必要としないものや電子レンジで調理できるものも市販されている。

保存性[編集]

乾物のため保存性は高いが、保存期間が長くなると脂肪分が酸化され品質が劣化する。味を損なわず食べられる期間は6か月程度が限度である。また、多孔質でにおいを吸着しやすいので保存時には注意が必要である。酸化防止とにおい移りを防ぐために、密封容器に入れ冷暗所に保管することが望ましい。

脚注[編集]

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  1. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
  2. ^ なるほど!こうや豆腐の秘密旭松食品
  3. ^ 伊東家の食卓2001年2月13日放送分より

関連項目[編集]

外部リンク[編集]