おから

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炒りおから
おから(旧来製法)[1]
100 g (3.5 oz)あたりの栄養価
エネルギー 372 kJ (89 kcal)
9.7 g
食物繊維 9.7 g
3.6 g
飽和脂肪酸 0.55 g
一価不飽和脂肪酸 0.71 g
多価不飽和脂肪酸 1.89 g
4.8 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
(0) μg
(0%)
0 μg
チアミン(B1)
(10%)
0.11 mg
リボフラビン(B2)
(3%)
0.04 mg
ナイアシン(B3)
(2%)
0.3 mg
(3%)
0.16 mg
ビタミンB6
(3%)
0.04 mg
葉酸(B9)
(3%)
12 μg
ビタミンB12
(0%)
(0) μg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(0%)
(0) μg
ビタミンE
(23%)
3.5 mg
ビタミンK
(6%)
6 μg
ミネラル
カルシウム
(10%)
100 mg
鉄分
(9%)
1.2 mg
マグネシウム
(10%)
37 mg
リン
(9%)
65 mg
カリウム
(5%)
230 mg
ナトリウム
塩分の可能性あり)
(0%)
4 mg
亜鉛
(6%)
0.6 mg
他の成分
水分 81.1 g

成分名「塩分」を「ナトリウム」に修正したことに伴い、各記事のナトリウム量を確認中ですが、当記事のナトリウム量は未確認です。(詳細

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
100g中の食物繊維[1]
項目 分量
炭水化物 9.7 g
食物繊維総量 9.7 g
水溶性食物繊維 0.3 g
不溶性食物繊維 9.4 g

おから日本中国韓国など、東アジア特有の食品の一種。豆腐を製造する過程で、大豆から豆乳を絞った後に残ったもの。食物繊維を多く含み、火を通して食べることが多い。

概要[編集]

本来、大豆の有用成分であるタンパク質を豊富に含む豆乳を搾った後の廃物であるところから、値段はごく安価で庶民的な食品である。場合によっては豆腐屋が無料で分け与えたり、捨てたりすることが、古く江戸時代からあった。現在では食品としての需要が供給を大きく下回り、また品質の劣化が早く日持ちがしないため、家畜の飼料として一部を活用したり、脱水して保存性を高めて供給されるほかは、ほとんどが廃棄されている。

名称[編集]

「おから」は絞りかすの意味。茶殻の「がら」などと同源の「から」に丁寧語の「御」をつけたもので、女房言葉のひとつ。

「から」は空に通じるとして忌避され、縁起を担いで、白いことから卯の花(うのはな、主に関東)、包丁を使わず切らずに食べられるところから雪花菜(きらず、主に関西)などと言いかえることもある。「おから」自体も「雪花菜」の字をあてる。寄席芸人の世界でも「おから」が空の客席を連想させるとして嫌われ、炒り付けるように料理することから「おおいり」(大入り) と言いかえていた。

中国語では「豆渣」(トウジャー、dòuzhā)または「豆腐渣」(トウフジャー、dòufuzhā)[2]韓国語では「비지」(ピジ)と呼び、精進料理や家庭料理の材料にする。

栄養[編集]

豆腐を作った後の残渣物だが、栄養的には優れている。一般分析値を見れば、乾物中の成分は粗蛋白質が約26%、粗脂肪は約13%、可溶無窒素物が約33%、粗繊維が約15%と非常に栄養価が高い。通常は水分を約75%から80%含む状態で流通している。含まれている粗脂肪(油分)の約50%は不飽和脂肪酸のリノール酸である。また、おからには脳の記憶力を高めるホスファチジルコリン(レシチンとも)が豊富に含まれている。記憶に関連した脳内物質としてアセチルコリンがある。アセチルコリンを作るにはコリンという物質が欠かせない。その前駆物質がホスファチジルコリンであり、ネズミにコリンを与えたところ、記憶力が良くなったという報告もある。

調理法[編集]

  • 卯の花 - 油揚げ椎茸にんじんなどの材料も使用し、出汁調味料で炒ってから甘めに煮付けるのがもっとも一般的な調理法。そのため、炒り卯の花、または単に卯の花と呼ばれることが多い。おから自体の甘みと相俟って独特の風味がある。
  • 豆腐ハンバーグのように、揚げ物や肉詰めなどの料理に、肉の代りとして用いることもある。水分をよく切るのがコツ。カロリーをおさえる効果がある。
  • 近年は食物繊維が豊富な食材として、ケーキクッキーなどにも利用されている。ホットケーキミックスに混ぜて焼くだけでも、独特の触感が味わえる。
  • 鯛の唐蒸し - 石川県金沢市では、背から切れ目を入れたにおからを詰め、蒸した鯛を2匹腹合わせに盛りつけた料理が結婚披露宴で振る舞われる。高知県中部にも、の腹におからを詰め、蒸し物にする独特の郷土料理がある。
  • 卯の花汁 - サケ、ブリ、ニシンなどの塩蔵品、とくに頭やアラを利用するのが美味い。鍋にたっぷりの水をいれ、塩魚を適宜に切って最初からいれ、中火にかけて気長に煮出し、ダイコン、ニンジンを半月形またはイチョウ形に薄く切ったものと、コンニャクを適宜むしり込み、油揚げを刻んで加え、煮えたころ、ねぎの五分切りをいれ、卯の花をどろどろになるくらい加える。魚の塩味だけで薄いならば、食塩をくわえ、また適宜酒を加える。味噌を加えることもある。薬味には青のり、こしょう、七味蕃椒など。
  • 卯の花鮨 - 卯の花を煮出汁、みりん、塩で調味し、鶏卵の白身を加え、たえずかきまぜながら炒りつけ、少量の酢を合わせてよく冷やす。別にイワシ、小あじ、コハダなどを普通のすしだねのようにつくり、塩をふりかけて酢につけ、肉が白くはぜるころ引き上げて酢をきり、卯の花を普通の握り鮨のように握り、上に酢魚をつけ、刻みしょうがなどをそえる。広島県岡山県あずまずし愛媛県丸ずし新潟県から寿司など。
  • 大分県臼杵市ではきらすまめしという、醤油漬けの魚を和えた郷土料理がある。
  • 卯の花膾 - タイ、サワラ、ヒラメ、スズキ、アジ、サバなど好みの魚を刺身ほどに切ってかぶるくらいの酢につけ、塩を少々くわえ、はぜて白くなったら引き上げ、残り酢を酒または味醂、砂糖などで調味し、卯の花はまずからいりして水分をのぞき、塩、砂糖で下味をつけ、火から下ろしてよく冷やしたところへ調味酢をあわせ、魚をその中にしのばせる。アサの実を炒ってまぜると、香ばしい。小鉢にもって刻み生姜をのせる。
  • 卯の花飯 - 卯の花を煮出汁、酒、砂糖、塩などで好みの味に炒り、酢をくわえてご飯のうえにのせ、刻み生姜をそえる。炒り卵、炒麻の実などを加えることもある[3]
  • 富山県などではおからをそのまま使い、油揚げやネギを入れてみそ汁にすることがあり、「ごーじる」と呼んだが、「呉汁を簡易にしたものと考えられる。

再利用など[編集]

通常、おからは産業廃棄物として処理される。全国民が少量ずつ毎日食べれば廃棄物にならないとも言われるが、現状では上記の理由などから多くが廃棄物となってしまう。

そのため、土壌用のボカシ肥家畜飼料として利用されてきたが、近年では、おからの再利用について様々な研究がされている。静岡油化工業株式会社は、2008年3月からおからを原料にしたバイオエタノールの製造を開始する。現在産業廃棄物として処理されているおからのバイオ燃料への再利用技術は、原油価格が高騰している昨今の社会背景の中、注目される。また、大手タイルトイレメーカーのINAXは、おから乾燥機「オカラット」を使用した再生技術を開発した。おからを瞬時に乾燥させることで、多くの水分を含んでいるため、すぐ腐敗するといった欠点のあるおからを日持ちのする飼料として販売することができるようにした。既に15台以上の「オカラット」を納入している[4]

他にも、成分を取り出して基礎化粧品の開発に成功した例[5]発泡スチロール様の緩衝材の原料[6]、乾燥おからを使った猫砂などの実用例もある。

大豆の代わりにおからを原料として味噌を作成した例もあり、熟成期間が10日間に短縮され、エタノール含量が多く、エステル香が強く、グルタミン酸含量が少なく旨味が乏しかったとの報告がある[7]。乾燥おからを使用した場合には、大豆原料の1.3倍、生おからの1.8倍のグルタミン酸含有を得たとのことである[8]

逸話[編集]

  • 荻生徂徠が若いころ、貧のあまりに近くの豆腐屋からおからを分けてもらい、飢えをしのいだといわれる。講談の有名なネタのひとつである。また、泉鏡花も貧乏時代にはおからで食いつないでいた。
  • 落語の「千早振る」には、知ったかぶりの隠居が在原業平の歌の意味を聞かれて、「唐紅」(からくれない)を「おからをくれない」とする珍解釈を語る場面がある。
  • 同じく落語鹿政談」では、豆腐屋が軒先に出しておいたおからを、飢えた鹿が食べてしまうところから話がはじまる。「千早振る」とあわせて、おからがほとんど廃物同然だったことがわかる。「「きらず」にやるぞ」と落とすところは関西風。
  • うな重の起源は蒲焼が冷めないよう、熱したおからを敷いた重箱に鰻を乗せて出前したことにはじまるという説がある。
  • 職人の小野二郎は、修行時代におからを自腹で購入し、休憩時間にシャリの握りの練習に用いたというエピソードが『プロフェッショナル 仕事の流儀』にて紹介された。
  • 能舞台や所作板はすべりをよくし、つやを出すためにおからで乾拭きをする。
  • 中国語では、強度不足の粗悪なコンクリートを使う等の手抜き工事を「おから工事」(「豆腐渣工程」(トウフジャーコンチョン dòufuzhā gōngchéng))と表現する。2008年に起きた四川大地震でも、建築物が多数倒壊するなどの影響が顕著に現れた。
  • 2004年6月20日鳥取県智頭町で行われた町議会議員の補欠選挙で、「オカラ」と書かれた票が投じられ、無効票扱いとなった。これに対して最下位当選者に1票差で落選した候補者が「自分の苗字(オカダ)の書き間違いだ」として同町の選挙管理委員会に異議を申し立てた。これが有効とされ最下位当選者の当選が無効となったため、今度はこの候補者が「自分がおからを牛に飼料として与えていることは町内では周知であり、この票は自分のことを指している」として県の選挙管理委員会に異議を申し立てた。県選管はいずれの候補に投じられた票ともせず、無効票とする裁定を下した。
  • 近衛十四郎主演の時代劇『素浪人 花山大吉』にて、近衛演じる主人公、花山大吉の大好物としておからが登場する。作中で花山大吉はおからを酒の肴として病的なほどに食しており、68人前のおからを平らげたこともあった。

脚注[編集]

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  1. ^ a b 五訂増補日本食品標準成分表
  2. ^ 『中日辞典 第二版』 小学館2003年、366頁。ISBN 4095156023
  3. ^ 卯の花炒以下の調理法は、「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p61-62 昭和33年12月25日発行 による。
  4. ^ http://www.inax.co.jp/eco/report/new_system/okara.html[リンク切れ]
  5. ^ http://www.otemon.ac.jp/management/caracteristic.html#6[リンク切れ]
  6. ^ 宮城県産業技術総合センター (2002年4月). “特許のご紹介”. 2014年2月26日閲覧。
  7. ^ CiNii おからの利用に関する研究 : その 1 おから味噌について”. 2014年2月26日閲覧。
  8. ^ CiNii おからの利用に関する研究 : その 2. 味噌製造におけるおからの乾燥効果”. 2014年2月26日閲覧。

外部リンク[編集]