豆乳

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シンガポール楊協成の缶入り豆乳
塩からい豆乳(鹹豆漿)
豆乳[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 192 kJ (46 kcal)
3.1 g
食物繊維 0.2 g
2.0 g
飽和脂肪酸 0.35 g
一価不飽和脂肪酸 0.40 g
多価不飽和脂肪酸 1.00 g
3.6 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
(0) μg
(0%)
0 μg
チアミン (B1)
(3%)
0.03 mg
リボフラビン (B2)
(2%)
0.02 mg
ナイアシン (B3)
(3%)
0.5 mg
(6%)
0.28 mg
ビタミンB6
(5%)
0.06 mg
葉酸 (B9)
(7%)
28 μg
ビタミンB12
(0%)
(0) μg
ビタミンC
(0%)
0 mg
ビタミンD
(0%)
(0) μg
ビタミンE
(21%)
3.1 mg
ビタミンK
(4%)
4 μg
ミネラル
カルシウム
(2%)
15 mg
鉄分
(9%)
1.2 mg
マグネシウム
(7%)
25 mg
リン
(7%)
49 mg
カリウム
(4%)
190 mg
ナトリウム
(0%)
2 mg
亜鉛
(3%)
0.3 mg
他の成分
水分 90.8 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

豆乳(とうにゅう)は、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめた汁を漉した飲料である[2]牛乳に似た外観と食味があり、大豆特有の青臭さがある。この風味を好む人も多いが、飲みづらいと感じる人もいるため、果汁を加えたり砂糖などで甘みを加えた飲料も販売されている。なお煮詰めた汁を濾して残った繊維質のものがおからである。

豆汁を濾した豆乳を「無調整豆乳」と表記しているものもあり、近年は大豆の青臭さを抑えられる製法が開発されている。一方、飲みやすい味や香りに調整したものは「調製豆乳(ちょうせいとうにゅう)」とも呼ばれており、砂糖甘味料)・食塩ビタミン類の他香料植物油などを加えて飲みやすい味に加工したものが販売されている。また、不二製油は世界初の大豆の分離分画技術(USS製法・2012年特許取得)を確立させ、「低脂肪豆乳」と「豆乳クリーム」という新素材を生み出した。

各国における豆乳[編集]

中国語では「豆漿」(トウチアン dòujiāng)と称され、よく飲まれている。中華文化圏では、パオズ(包子)などの朝食とともに、暖かい豆乳に砂糖を加えた甘い豆乳(中国語で「甜豆漿」(ティエントウチアン tián dòujiāng)という)を飲んだり、これに油条と呼ばれる揚げパンを浸して食べる習慣がある。食堂、街頭の露天商、ホテルの朝食などで提供されており、カップやポリ袋に入れて買って帰ることも一般的である。また、中国ではミキサー以外にも、家庭用の自動豆乳機も売られており、自宅で大豆から作る人もいる。このほか砂糖を加えて乾燥させた、顆粒状のインスタント豆乳も販売されている。熱湯を加えれば、暖かく甘い豆乳となる。

また、豆乳に塩味の出汁を加え、浅葱と細かく切った油条を浮かべた塩からい豆乳(中国語で「鹹豆漿」(シエントウチアン xián dòujiāng)という)は、小さく凝集したおぼろ豆腐が含まれ、朝粥感覚の「食べる豆乳」である。もともと豆漿は華北を中心に飲まれていたが、1955年に台湾台北県永和市で開店した豆漿店、「世界豆漿大王」(現、新世界豆漿大王)が人気を集め、各地でチェーン展開した事によって、中華文化圏を代表する軽食として知られるようになった。

豆乳は、東南アジアでも広く飲まれている。ベトナムでも朝食用に「スアダウナイン sữa đậu nành」という甘い豆乳が販売されており、バニラココア風味のものもある。タイでも朝食用に「ナームトーフーน้ำเต้าหู้」という甘い豆乳があるほか、タピオカパールゼリー入りのものも販売されている。カンボジアでも練乳入り豆乳「タッグ・ソンダエク(Tek Sondaek)」が販売されている。

日本では、中国ほど一般的な飲み物ではないが、豆腐店の店頭などで、新鮮な豆乳が販売されている。近年はスーパーマーケットの店頭などにも並ぶようになり、無調整の豆乳や豆乳飲料を手に入れることが容易になった。中国と台湾には大豆以外に緑豆黒豆の豆乳もある。黒豆を用いた豆乳は日本でも製品化・販売されている。日本国内の代表的な製造販売メーカーは、キッコーマンソイフーズ(旧:紀文フードケミファ)、マルサンアイソヤファームなど。かつては、三菱化学フーズも販売していた。アメリカ合衆国では Eden Foodsなど。

アメリカ合衆国ではダイエット食品としてバニラ味やチョコレート味が人気があり、日本でもダイエット食品として人気がある。

日本では、紙パックプラスチックボトルに入った商品が多く販売されている。長崎県佐世保市には地元だけで販売されているポリエチレンチューブ入りの甘い豆乳があり、長年人気を維持している。

香港では、ビタソイという商品名の豆乳がガラス瓶入りで売られて人気があったが、現在は紙パック入りの方が主流となり、瓶入りを扱っている店は減っている。シンガポールでは缶入りの調製豆乳も販売されている。

関連する食品[編集]

豆乳ににがりなどの凝固剤を加えて固めると豆腐となる。無調整豆乳の中には、豆腐ができると表示しているものもある。大豆から豆乳を絞った残りかすはおからと言う。

豆乳をじっくり加熱した時に、表面にできる薄皮を引き上げたものをゆば(湯葉・湯波)といい、おもに吸い物の具として使われたり、刺身と同様にそのまま醤油などをつけて食べたりする。

豆乳を使った料理など[編集]

近年、日本では豆乳鍋や豆乳グラタン、豆乳シチューなど豆乳を使った料理の人気が高まっている。これ以外にも、また、コーヒーカフェ・オ・レカフェ・ラッテにおける牛乳の代わりに豆乳を用いたメニューも増えている(「ソイラテ」など)。ダイエット食品としては、豆乳クッキーなども販売されている。特に牛乳を豆乳で代用したデザートでは、ヨーグルトチーズアイスクリームなどの加工食品、豆乳チーズケーキや豆乳プリンなどたくさんのバリエーションがある。

健康[編集]

高タンパク低カロリーな食べ物として認知されている。また、大豆タンパクがコレステロール低下作用があるとされ[3]、ダイエット・健康飲料として飲まれる。

また、以下の様な成分が健康に良いとされるが、過剰摂取による健康被害も指摘されている。

豆乳は大豆イソフラボンが含まれ、ポリフェノール化合物の一種で、「植物由来エストロゲン」と呼ばれることもあり、体内で女性ホルモンのエストロゲンと同様の働きをし、これが骨粗鬆症予防効果、抗動脈硬化作用、更年期障害の緩和など健康にいいとされている。また、乳がん前立腺がん等の予防にも効果があることが、疫学的な調査で明らかになってきており、特にイソフラボン配糖体ゲニステインという物質に、腫瘍血管新生を抑える効果があり、それにより腫瘍の増殖を抑制することがわかってきた[4]。さらに、大豆固形成分含量が高い豆乳には、血糖値改善効果が期待できるとの報告もあるピニトールという成分が多く含まれている[5]

豆乳の主原料であるダイズにはマグネシウムが多く含まれており[要出典]、マグネシウムの大腸癌の予防の可能性が指摘されている[6]。しかし、過剰のマグネシウムには下痢を起こす作用がある[7]。特にサプリメントのような健康食品は過剰摂取の原因ともなり、ホルモンバランスを壊したり、摂取上限も問題ともなっている[8]

脚注[編集]

  1. ^ 五訂増補日本食品標準成分表
  2. ^ 広辞苑 第六版【豆乳】
  3. ^ コレステロールのお話 - マルサンアイ株式会社
  4. ^ 大豆イソフラボン - 九州大学 食糧化学研究室
  5. ^ Soy pinitol acts partly as an insulin sensitizer or insulin mediator in 3T3-L1 preadipocytes - The National Center for Biotechnology Information
  6. ^ マグネシウム摂取と大腸がんとの関連について - 独立行政法人 国立がん研究センター
  7. ^ 下痢 - 京都府立医科大学大学院
  8. ^ 食品安全委員会の専門調査会・厚生労働省の特保上限

関連項目[編集]

外部リンク[編集]