生活習慣病

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生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう、: lifestyle related disease: maladie de comportement: Zivilisationskrankheit)とは、

  • 生活習慣が発症原因に深く関与していると考えられている疾患の総称
  • 食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群[1]

目次

[編集] 概説

生活習慣病とは、生活習慣(life style)が要因となって発生する諸疾病を指すための呼称・概念である。ここで生活習慣と言っているのは、食事のとりかた、水分のとりかた、喫煙/非喫煙の習慣、運動をする/しないの習慣 等々のことである。各国で同様の概念は用いられており、例えば英語・フランス語・ドイツ語ではそれぞれ、英: lifestyle related disease、仏: maladie de comportement、独: Zivilisationskrankheitと言う。

世界の人々の生活習慣というのは、地域ごとに、きわめて似通っている場合もあれば、大きく異なっている場合もあるので、それなりの共通点や相違点が見られる。異なる国の人々でも、先進国同士で同じ文化圏であったりする等で生活習慣全般が類似している場合は、生じる生活習慣病の一覧やその割合・頻度が類似する傾向がある。

スウェーデンにおける32年の追跡調査[2]によれば、生活習慣(病)による全死亡リスクは次のようにされた:

  1. 喫煙 : 1.92倍
  2. 糖尿病 : 1.64倍
  3. 高血圧 : 1.55倍
  4. メタボリック症候群 : 1.36倍
  5. 高コレステロール血症 : 1.10倍 

このように、喫煙が最大のリスクとなるというデータがあるため、生活習慣病対策は禁煙を最優先とするべきだとの医療界からの意見[3]がある。

食生活は がん発生原因の30%に関わっているとする報告もある。

日本では、例えば、糖尿病1型糖尿病を除く[1])・脂質異常症家族性脂質異常症を除く[1])・高血圧高尿酸血症などが挙げられる。

日本では、食生活が欧米化してしまったこと(肉類の摂取量が増えたことなど)も生活習慣病増加の一因となっている、と指摘されている。同じく食習慣に関連して言えば、2003年には、アメリカカナダの栄養士会は合同で、牛乳や卵も摂取しない完全な菜食においても栄養が摂取でき、また菜食者はがん、2型糖尿病、肥満、高血圧、心臓病といった主要な死因に関わるような生活習慣病のリスクが減る、認知症のリスクも減ると報告した[4]

[編集] 日本

生活習慣病は、日本でも発生している重大な病気である。

日本では生活習慣に起因する疾病として主として、がん脳血管疾患心臓病などが指摘され、それらは日本人の3大死因ともなっている。肥満はこれらの疾患になるリスクを上げる。また肥満自体が生活習慣病のひとつともされることがある[5](なお、肥満に関連して起きる症候群をメタボリックシンドロームとも呼ぶ)。

また概説で説明したように、糖尿病1型糖尿病を除く[1])・脂質異常症家族性脂質異常症を除く[1])・高血圧高尿酸血症などが挙げられることもある。

[編集] 日本での歴史

日本では、昭和30年以降、日本人の死因として上位に浮上していた、脳卒中・がん・心臓病の対策を打っていた。

それらの疾病の要因として、かつて日本では加齢に注目していたために「成人病」(せいじんびょう)と呼んでしまっていた(疫学的な分析としての妥当性や、命名法が人々に与える影響を考慮すれば実は不適切であったのであるが、その視点で線引きを行い、そう呼んでしまっていた)。

「成人病」なる概念は、昭和30年代に「主として、脳卒中、がん、心臓病などの40歳前後から死亡率が高くなり、しかも全死因の中でも上位を占め、40-60歳くらいの働き盛りに多い疾病」として行政的に提唱されたものといわれる。がん、脳卒中、心臓病は「3大成人病」とされ、集団検診による早期発見、早期治療の体制が進められた。成人病は加齢による疾病の区分、生活習慣病は生活習慣による疾病の区分であり、両者間で重複する疾病も多いものの、あくまで別個の概念である[1]

だが、それらの疾病には、長年の生活習慣が深く関与していることが次第に判明してきた[1]。また、生活習慣の激変により、そもそも成人していない子供も糖尿病を発症するというようなケースが増えてきた[6][7]

このため、1997年頃から、予防できるという認識を人々の間に醸成することを目的として置換されるようになった[1]。 つまり、旧来の要因の理解のしかたや命名法が不適切であった、と理解されるようになり、また、不適切な名称を用いることによって、人々にそれらの疾病群の要因について誤った印象を与えていて、防ぐことができる疾病であるにもかかわらず、防ぐことができないかのような印象を誤って与えてしまっている、と考えられるようになり、またあらためて世界を見回してみれば他国ではlifestyle related diseaseなどの適切な呼称・概念が用いられていることに日本の医療関係者も遅まきながら気づき、ようやく より適切な分析に基づいて、別の適切な呼称を用いることが提唱[注釈 1]され、広く用いられるようになり定着した[注釈 2]のである。

[編集] 現状

2006年(平成18年)の死因の割合を見ると、悪性新生物(がん)、心疾患脳血管疾患の3大死因で58.2%を占めている[10]

10大死因 (平成18年 人口動態統計)
死因 割合
悪性新生物(がん) 30.4%
心疾患 16.0%
脳血管疾患 11.8%
肺炎 9.9%
不慮の事故 3.5%
自殺 2.8%
老衰 2.6%
腎不全 2.0%
肝疾患 1.5%
慢性閉塞性肺疾患 1.3%

心臓病と脳血管疾患のような主要な死因の下地になる病気は、糖尿病・脂質異常症・高血圧・高尿酸血症である。また、喫煙は上位4死因すべての危険因子であり、「予防可能な最大の死因」とされている。

生活習慣病の推定有病者数(平成14年)
高血圧症 約3,100万人
高脂血症 約3,000万人
糖尿病 約740万人

2002年(平成14年)の調査では、人口のほぼ半分に相当する47%がこの3つのいずれかに該当するとされる[11]

痛風は男性に集中しており、患者数は推定30-60万人、その予備軍である高尿酸血症は成人男性の20%とも言われる[12]。発症年齢もかつては50代だったのが30代へと若年化している。

肥満は中年以降に多く、2006年には40-70代の男性で30%以上、女性では若干少なく20-30%が肥満である[13]。肥満は3大死因を含めたこれらの疾患のリスクを上げる。

[編集] 対策

食生活を見ると、炭水化物の摂取量が減少し、それを埋め合わせるための<<動物性食品>>や<<脂っこく甘い菓子>>や<<甘い飲料>>の消費量の増加が原因とされる。また<<塩分の摂取過剰>>、<<野菜の摂取不足>>なども原因とされ、このような食生活の状況を改善することを目的として「食生活指針」や「食事バランスガイド」などが策定されている。

日本での生活習慣病の要因としては、総じて、いわゆる「食生活の欧米化[14]」や、運動不足、タバコの煙が強く関連している(要因として働いている)、とされている。

食生活は がん発生原因の30%に関わっているとする報告もあるわけだが、 食の欧米化との関連で生じている傾向が強いのは乳がん前立腺がん大腸癌であると考えられている[15]

タバコもがん発生原因の30%に関わっているとされ、もっぱら肺がんに関連しているが口腔や尿路のがんの主要な原因でもある[16]財務省日本たばこ産業の株の半数以上を保有しているため、喫煙規制や禁煙に関する動きが進みにくかったと渡邊昌が指摘している[17]

健康日本21」では、食生活、運動、タバコなどの項目について一次予防に重点に置いて目標値を定め実行を推進している。特に脳卒中が多発する時期である寒冷期の2月1日から2月7日に、厚生労働省主催の生活習慣病予防週間が実施される。

[編集] 注釈

  1. ^ 提唱そのものは、1970年代後半から聖路加国際病院の院長である日野原重明によって「習慣病」という名称が[8]、また川久保清によって1990年に「生活習慣病」という名称の提案がなされている[9]
  2. ^ ただし現在でも「成人病」という名称は、名称としては若干残ってはいる(施設名の「成人病センター」や、保険の「成人病特約」など)。

[編集] 脚注

  1. ^ a b c d e f g h 生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申) (厚生省)(現・厚生労働省)
  2. ^ Sundström J, Risérus U, Byberg L, Zethelius B, Lithell H, Lind L. Clinical value of the metabolic syndrome for long term prediction of total and cardiovascular mortality: prospective, population based cohort study. BMJ 2006 Apr 15;332(7546):878-82. Epub 2006 Mar 1.
  3. ^ 作田學杏林大学神経内科学教授「健康日本21中間評価報告書(案)に対する意見」2006年9月1日
  4. ^ Position of the American Dietetic Association and Dietitians of Canada "Vegetarian diets" Journal of the American Dietetic Association Vol.103 Issue.6, June 2003, pp748-765.
  5. ^生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」では肥満自体を生活習慣病の一つに含めている。
  6. ^ 小児生活習慣病(小児成人病)三重県松阪市の「たるみ内科胃腸科」のサイト
  7. ^ 子供の生活習慣病が増えています。All About
  8. ^ 「成人病に代わる『習慣病』という言葉の提唱と対策」,『教育医療』,Vol5(1978),No3,財団法人ライフプランニングセンター,pp1ー3
  9. ^ 「生活習慣病といわれる成人病」,『厚生』,45巻(1990),1号
  10. ^ 平成18年 人口動態統計(確定数)の概況 (厚生労働省)
  11. ^ 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 第1回資料 (厚生労働省)
  12. ^高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版』日本痛風・核酸代謝学会、2002年9月。ISBN ISBN 4-901935-02-X
  13. ^ 平成17年 国民健康・栄養調査結果の概要について (厚生労働省)
  14. ^ 図録▽生活の変化(1910年代以降の品目別純食料・たんぱく質供給量) (社会実情データ図録)
  15. ^ 食生活とがん:がん情報サービス (国立がんセンター)
  16. ^ 喫煙とがん:がん情報サービス(国立がんセンター)
  17. ^ 渡邊昌『食事でがんは防げる』 光文社、2004年4月23日。ISBN 978-4334974411。198-199頁。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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