肺炎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

肺炎はいえんpneumonia)とは、の炎症性疾患の総称である。一般的には肺の急性感染症として理解されている。

目次

[編集] 肺炎の分類

肺炎の分類としては、いくつかの異なった分類が存在する。

大きく分けて

  • 原因による分類
  • 罹患場所による分類
  • 発生機序による分類
  • 病変の形態による分類

などがあげられる。

[編集] 原因による分類

[編集] 罹患場所による分類

  • 市中肺炎:普通の生活のなかで発症した肺炎
  • 院内肺炎:病院で治療中の患者、他の疾患を持つ患者に発症した肺炎

[編集] 病変の形態による分類

[編集] 肺炎の症状

発熱呼吸困難、全身倦怠感、胸痛など

[編集] 肺炎の診断

理学的所見、胸部X線写真、胸部CT、採血(白血球数、CRP値、KL-6LDH)、喀痰培養など

喀痰のグラム染色は有用と考えられ、好中球による貪食像は起炎菌の同定につながることもある(肺炎球菌では特に)。ただし臨床研究では喀痰グラム染色と起炎菌とは一致しないと結論され、アメリカのガイドラインでは推奨されていない。

近年は迅速診断キットにより肺炎球菌レジオネラについては尿を検体として検査が可能となった。 (商品名 BinaxNOW®肺炎球菌、レジオネラ。溶血連鎖球菌の検査キットBinaxStrepAは咽頭粘液を検体とする)

[編集] 肺炎の治療

細菌性肺炎が疑われる場合は細菌にあった抗生物質の投与を行うが、原因菌特定には、喀痰培養同定・感受性検査など、時間のかかる事が多く菌の種類を推定して抗生剤の選択を行うことが多い。肺真菌症では抗真菌薬、ウイルス性肺炎では対応した抗ウイルス薬を用いる。

施設による違いはあるが、米国式のやり方をとっている施設では、菌の種類は推定せず、市中肺炎であるか院内肺炎であるかによって抗生剤を使い分ける。それは、胸部レントゲン像で菌の種類をみわけることはできないとする臨床研究の結果にしたがったものである。

[編集] 小児の肺炎

小児の肺炎では、経験的治療は大きく異なってくる。その違いは肺炎の起炎菌の違いによるものである。

新生児を除く乳幼児では、肺炎の3大起炎菌といえるのはインフルエンザ桿菌肺炎球菌モラキセラ・カタラーリスである。成人と異なりクレブシエラ属や緑膿菌は少ないため、第3世代セフェムよりも抗菌スペクトラムの狭いペニシリン系抗生物質を選択するのが一般的である(施設によってはセフェムを選択するところもある)。

モラクセラ(モラキセラ、ブランハメラともいう)はほぼ100%の株でβラクタム分解酵素(βラクタマーゼ)を有するため、ベータラクタム分解酵素阻害薬を配合した抗菌薬製剤(スルバクタム・アンピシリン、タゾバクタム・ピペラシリンなど)を選択することが多い。 喀痰塗抹グラム染色を参考にできるような施設では、肺炎球菌が疑わしい場合にはアンピシリンなどより狭いスペクトラムを持つ薬剤を選択する。

特に乳児では誤嚥性の肺炎も少なからず見られるが、高齢者と異なり誤嚥性肺炎でも緑膿菌感染症は少ないため、スルバクタム・アンピシリン(嫌気性菌にも有効であるため)を選択する。誤嚥性肺炎が疑わしい場合には、気道症状が治まるまで経口哺乳の禁止が必要となることもある。

学童以上の年齢では肺炎マイコプラズマによる肺炎が多くなる。細菌性肺炎との鑑別はX線像ではまず不可能であり、血液所見(好中球増加の有無、C反応性蛋白上昇の有無など)や全身状態、気道症状の程度などが参考となる。マイコプラズマにはβラクタム系の抗菌薬が無効であるが、テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシンなど)やニューキノロン系抗菌薬は副作用の問題で小児には投与しにくい、あるいはできないため、マクロライド系抗生物質を選択する。

(永久歯が生えていない小児にテトラサイクリンを投与すると、後に生えた永久歯に黄色く色素沈着することがある。また骨成長障害が副作用としてみられることも知られている。ニューキノロン系多くではの小児への投与は、動物実験で関節障害が見られたために日本では禁忌となっている。トスフロキサシンは例外。)

基礎疾患や障害のある患児では、その疾患によって肺炎の起炎菌に特徴がある。また、過去の細菌検査の結果も起炎菌推定の助けになる。

いずれの場合にも、喀痰培養の結果や(マイコプラズマの場合)血清診断の結果がでれば、それにあわせて最適の抗菌薬に変更していくことが必要である(広域スペクトラムの抗菌薬を漫然と投与してはならない)。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク