ばち指

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ばち指の定義

ばち指(ばちゆび、撥指)とは、上肢・下肢のの先端が広くなり、の付け根が隆起し、凹みがなくなった状態を指す。名称の由来は、肥厚した指が太鼓のバチ状であることから。この症状自体に痛みなどはないが、重大な疾患の症状として現れる事が多い。症状の進行は、まず母指・示指から始まり、やがて他の指でも起こるようになる。

ばち指が起こる代表的疾患としては肺癌間質性肺炎などの肺疾患、チアノーゼ性心疾患、肝硬変感染性心内膜炎クローン病潰瘍性大腸炎などが上げられるが、先天的要因からばち指となる事もあり、その場合病気の兆候ではない。
慢性気管支炎肺気腫気管支喘息といったいわゆる慢性閉塞性肺疾患(COPD)では肺血管の損傷や動静脈シャントがなく、"ばち指"はみられない。喫煙歴のあるCOPD患者の"ばち指"では肺癌が疑われる。

発症機序[編集]

諸説があり、まだまだ不明な点が多い。血小板由来増殖因子(platelet-derived growth factor:PDGF)や血管内皮細胞増殖因子(vascular endthelial growth factor:VEGF)が肺で除去されないため、ばち指を起こすという説がある。肺癌では、加療・切除により"ばち指"も改善することがある[1]

脚注[編集]

  1. ^ Ciment, Ari J.; Ciment, Larry (September 22, 2016). “Regression of Clubbing after Treatment of Lung Cancer”. The New England Journal of Medicine 375: 1171. doi:10.1056/NEJMicm1514977. http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1514977.