RSウイルス

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RSウイルスの電子顕微鏡像

RSウイルス: respiratory syncytial virus)は、パラミクソウイルス科に属するRNAウイルスの一種。

遺伝子配列は決定されていて、A型とB型の二つの型に分類できる。ウイルス株間での差違は大きい。

環境中では比較的弱いウイルスで、凍結からの融解、55℃以上の加熱、界面活性剤エーテル次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒薬などで速やかに不活化される[1]

目次

臨床像 [編集]

RSウイルスは免疫不全の有る場合や乳幼児は気管支炎肺炎などの原因になることもある。感染症法でRSウイルス感染症は五類感染症(定点把握)とされている。感染により発症する宿主は、ヒトチンパンジーウシで、無症状のヤギなどからも分離される。

日本では、11月から1月にかけて冬期の流行が多く報告され、熱帯地域では雨期の流行が多いとされている。乳幼児の肺炎の約50%、細気管支炎の50~90%を占めるとの報告がある[1]。1歳までに50~70%以上の新生児が罹患し、その1/3が下気道疾患を起こすと報告されていて、3歳までにほぼ全ての小児が抗体を獲得する[1] 。母親からの抗体では、感染が防げない。くり返し感染しながら徐々に免疫を獲得する[2]

生後4週未満では感染の頻度は低いものの、感染した場合呼吸器症状を起こさない経過となることも多く、診断が遅れることもある。更に生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすいことも報告されており、注意が必要である。生後6ヶ月以内で最も重症化するといわれる。1歳以下では中耳炎の合併もみられる。発熱、鼻汁、咳など上気道炎症状の後、細気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現してくることがある。

感染力は強く、飛沫と接触感染の両方で感染し、発症前にも周囲の人を感染させる。小児は症状が消えてから1~3週間後も感染力を失わない[2]。しかし、医療現場での厳重な手洗いは感染率を低下させる。眼及び鼻粘膜からも感染すると考えられていて、通常の鼻と口を覆うマスクでは効果はないとされている[1]

看護する保護者や現場の医療従事者が、気管支炎やインフルエンザ様症状をおこし、多量のウイルスに曝されるため、小児より重症になることもある[1]

  • 2~5日の潜伏期の後、39℃程度の発熱鼻水など
  • 通常1~2週間で軽快
  • 呼吸困難等のために0.5~2%で入院が必要

診断 [編集]

病原体診断は呼吸器分泌物より、PCR法による遺伝子検出か免疫クロマトグラフィー法などによりウイルス抗原を検出する。しかし、年長児の再感染では有意な検査結果を得られない場合もある。

日本では「チェックRSV」「ラピッドテスタRSV-アデノ」などの免疫クロマトグラフィー法を用いた迅速診断キットが実用化されている。



日本における患者数 [編集]

日本におけるRSウイルス感染症患者の報告数は、2011年9月までは入院患者のみが迅速診断キットの保険適用対象となっていたが、2011年10月以降は外来患者も保険適用の対象となったため[3]、それ以前の報告患者数は感染の実態を正確に反映していない[4]

治療 [編集]

対症療法が主体となるが以下の分子標的治療薬の一つで抗ウイルス薬がある。

脚注 [編集]

  1. ^ a b c d e RSウイルス感染症 国立感染症研究所感染症情報センター
  2. ^ a b RSウイルスによる気道感染症およびパリビズマブ(シナジス)について 横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課
  3. ^ IDWR 2012年第34号<注目すべき感染症>RSウイルス感染症 国立感染症研究所
  4. ^ 13週連続で過去5年間の最高値を更新 RSウイルス感染症が早くも流行中 日経メディカルオンライン 記事:2008年10月17日 閲覧:2012年12月13日

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]