潰瘍性大腸炎

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潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん、Ulcerative colitis、UC)は、大腸潰瘍やびらんができる原因不明の疾患クローン病とともに炎症性腸疾患 (IBD, Inflammatory bowel disease) に分類される。1973年厚生省特定疾患に指定された[1]

目次

[編集] 疫学

若年成人に好発し、罹患数は増加傾向にある。最近は高齢発症も珍しくない。 原因は完全には解明されていないが、免疫抗体の異常が原因とされている。 特定疾患、および特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されている。

[編集] 症状

血便下痢腹痛発熱などがある。 若年者でこれらの症状をみた際には潰瘍性大腸炎を疑って精査する必要がある。

合併症として腸閉塞腸管穿孔をおこして緊急手術が必要となる場合がある。 また、潰瘍が深くなって固有筋層に及び、広い範囲の腸管神経叢(固有筋層の中層にある)が露出すると腸管の収縮機能が失われ、大腸の拡張をみるようになる。この状態が中毒性巨大結腸症であり、穿孔の危険もあるため腸管摘出が必要となる。

また、罹患中、治癒後とも大腸癌の合併頻度が高い。 この大腸癌は未分化で浸潤性が強く、悪性度の高いことが多い。

[編集] 所見

消化管造影 
注腸バリウム造影により、大腸の鉛管状変化(ヒダがみられなくなる)、偽ポリポーシス(粘膜が脱落し、残った部分がポリープのように見える)が特徴的とされる。
大腸内視鏡 
腸管粘膜のびまん性炎症、白苔の付着などをみとめる。
炎症の分布 
炎症は大腸の下部から上部へ向かって連続性に広がる。炎症自体は浅い潰瘍が広く広がる形をとる。
組織病理学的所見 
顕微鏡的には、あたかも大腸粘膜上皮を標的とした自己免疫疾患のような形態をとる。活動期には、粘膜上皮細胞の間に好中球が浸潤して上皮を破壊し、特に粘液を分泌する杯細胞の減少が目立つ。上皮がくぼんだ部分=陰窩(いんか)の中に溜まって微小な膿瘍を形成しやすい。粘膜固有層には形質細胞などが密集した、強い慢性炎症の像をとる。通常は粘膜に限局し、固有筋層に炎症が及ぶことは比較的稀である。

[編集] 治療

[編集] 薬物療法

  • サラゾスルファピリジン(サラゾピリン(R))やメサラジン(ペンタサ(R))。経口薬として。メサラジン(5-ASA)はサラゾスルファピリジン(SASP = SP + 5-ASA)から SP を取り除き、有効成分 5-ASA を取り出した新薬。そのままではサラゾスルファピリジンの方がメサラジンよりも直腸に届きやすいが、メサラジンは徐々に溶出する「徐放剤」として剤形を作ってある。似た薬であるが、患者の症状によりいずれかが適宜処方される。メサラジンはサラゾスルファピリジンよりも副作用が少ないとされている。
  • メサラジン注腸薬として。ペンタサ注腸(R)。
  • 非特異的な免疫抑制療法
  • 漢方薬による治療を行っている病院もある。
  • プレドニゾロン強力動注療法
  • ACTH静注

[編集] 白血球除去療法

  • リンパ球除去療法 (LCAP)、顆粒球除去療法(GCAP)など。患者の体外に血液を循環させて装置を通し、炎症を起こす免疫細胞(好中球など)を血中から取り除いた後に体内に返す。薬物療法のみでコントロールできない患者に対して行われる。患部が比較的広い場合には効果が期待できるが、患部が直腸のみなど狭い場合には効果はあまり期待できない。

[編集] 手術

前述の内科的治療(薬物療法LCAPGCAP)による炎症のコントロールが不良で、下痢・腹痛(がもたらす精神的苦痛)や貧血状態が続くときは、活動性ある部分の腸管を切除する。

また、活動性が比較的低くとも、炎症が持続している病変部は将来化する恐れが大きいので、予防的に切除することもある。特に、生検異形成が認められた場合はリスクがより高い(或いは既に、検体を採取しそこねた場所に癌が生じているかも知れない)ため、積極的な外科的治療の適用となる。

[編集] 現在研究中の治療法

[編集] 脚注

  1. ^ 日比紀文『潰瘍性大腸炎の正しい知識と理解 第2版』 (杏文堂、2003年9月)
  2. ^ 順天堂大学医学部附属順天堂医院
  3. ^ ATM療法について - 個人サイト

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献