潰瘍性大腸炎

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潰瘍性大腸炎
分類及び外部参照情報
潰瘍性大腸炎
ICD-10 K51.
ICD-9 556
OMIM 191390
DiseasesDB 13495
MedlinePlus 000250
eMedicine med/2336
MeSH D003093

潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん、Ulcerative colitis:UC)は、主に大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の非特異性炎症性疾患。厚生労働省より特定疾患に指定されている。

クローン病とともに炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory bowel disease)に分類される。

目次

[編集] 歴史

1875年英国のGuy's HospitalのSamuel WilksとWalter Moxonによって報告された。日本では1928年東京大学の稲田龍吉らによって初めて報告されている。1973年には旧厚生省より特定疾患に指定された。

[編集] 疫学

10~30歳ないし、50~60歳台に多く見られる。米国での罹患数は約100万人、日本では約10万人と言われている。また比較的喫煙者の罹患者は少ないことが知られている。

[編集] 臨床像

基本的に発症すると緩解・再燃を繰り返して行く。全消化管に生じるクローン病と異なり、基本的に大腸に限局して生じる。また、大腸癌の合併頻度が高い。

[編集] 症状

主に「粘血便」・「下痢」を自覚して生じる場合が多い。重症化すると「発熱」・「体重減少」・「腹痛」・「貧血」等を伴ってくる。

[編集] 合併症

大腸粘膜の炎症によって腸管の蠕動機能が失われ、ハウストラ(大腸のひだ)の消失を生じたり(鉛管状腸管と言う)、腸管拡張を生じて悪化し腸閉塞像を呈したもの(中毒性巨大結腸症と言う)では、消化管穿孔を生じる場合もある。

また、サイトメガロウイルス感染を生じることも多く、難治性となる場合も多い。

[編集] 腸管外合併症

大腸以外にも関節皮膚などに合併症が生じることが知られている。これは免疫異常が関係していると考えられている。

[編集] 病理

主に直腸から発症し連続して全大腸に広がっていく。腸管粘膜の全層に炎症像が見られるクローン病と異なり、粘膜上皮に限局した炎症像を呈し、固有筋層に炎症が及ぶことは比較的稀である。主な所見は以下の通り。

[編集] 検査

[編集] 内視鏡

今日では最も広く一般的に行われる臨床検査。病変部は主に直腸から発症し連続して全大腸に広がっていく。主な内視鏡所見は以下の通り。

  • 腸管粘膜の血管透見性の消失
  • 発赤調・微細顆粒状の粘膜
  • 腸管粘膜に膿性粘液物の付着
  • 深堀れ潰瘍(サイトメガロウイルス合併例)

一般的には下部から上部に向かって悪化し、上部から下部に向かって緩和されると見られているが、まれに、横行結腸→下行結腸→S状結腸の順で緩和が見られても、その奥の上行結腸で密かに悪化が進むことがある。

[編集] 血液検査

炎症の強さの指標として、赤沈Hb等が用いられる。

[編集] 重症度

以下が主に用いられている臨床的重症度評価である。

  • 日本旧厚生省特定疾患治療研究班 「臨床的重症度分類」
「血便回数」「便回数」「発熱」「腹痛」「頻脈」「貧血」「赤沈」等と「内視鏡所見」で評価されていく。

以下は内視鏡的な重症度評価である。

  • Matts score

[編集] 治療

緩解・再燃を繰り返すため、治療は大きく以下の2つが行われる

  • 緩解維持療法(炎症が治まっている状態を維持する)
  • 緩解導入療法(炎症が強くなり再燃・活動時した状態から炎症を抑えていく)

[編集] 食事指導

基本的に、高カロリー・高蛋白・低脂肪・低繊維食を施行する。また、重症の場合は絶食・腸管安静を計り、点滴による高カロリー輸液を行う。

また、特定の食品が症状を抑えるかは明かではない[1]。「ω3脂肪酸、n-3脂肪酸を豊富に含む魚油サプリメントは、炎症を軽減し抗炎症薬を減らす」との報告があるが、データが少なくさらなる研究が必要[2]とされている。また、プロバイオティクスの有効性は統計学上の有意な差は無い[3]の報告もなされている。

[編集] 薬物療法

「緩解維持療法」・「緩解導入療法」共に薬物療法が基本となる。

サリチル酸製剤

緩解維持療法・緩解導入療法共に使用される。

サラゾスルファピリジン(SASP)は、約1/3が小腸で吸収され、大腸で腸内細菌によってSPと5-ASAに分解されて腸管粘膜に作用する。
  • メサラジン(Mesalazine・5-aminosalicylic acid:5-ASA ペンタサ® Pentasa アサコール® Asacol)
メサラジン(5-ASA)はサラゾスルファピリジン(SASP=SP+5-ASA)から SP を取り除き、有効成分 5-ASAのみを取り出した治療薬。そのため副作用はサラゾスルファピリジンより少ないが、メサラジンの方が大腸に届く前に小腸で吸収されてしまうことも多いため、製品では、ペンタサ®では腸溶性の被膜コーティングを、アサコール®ではpH依存型の被膜コーティングを施行し、大腸に到達してから5-ASAが放出されるように工夫されている。ペンタサ®には注腸薬もある。
副腎皮質ホルモン剤・ステロイド

主に緩解導入療法に用いられる。以前は緩解維持療法にもよく用いられていたが最近では緩解維持目的には使用されないことが多い。

  • ステロイド療法
プレドニゾロン(Prednisolone プレドニン® Prednine)を経口内服または点滴静注する。
  • ステロイドパルス療法
強力な緩解導入療法として、主にメチルプレドニゾロン(ソルメドロール® Solumedrol)やハイドロコルチゾン(ソルコーテフ® Solu-Cortef)等を用いて行われる。
  • 局所治療:坐剤・注腸剤としてリンデロン®、ステロネマ注腸®、プレドネマ注腸®がある。特に直腸炎型の場合は、ステロイド経口内服に比較して全身吸収が少なくステロイドの副作用が大きくないため有用である。
免疫抑制剤

以下は主に緩解導入療法に用いられる。非常に効果的な薬であるが血中濃度測定が必要であるため使用出来る医療機関は多くない。

以下は主に緩解維持療法に用いられる。

分子標的治療薬

以前からクローン病で用いられてきた。緩解維持療法・緩解導入療法ともに用いられる。

[編集] 血球成分除去療法

透析を用いて、患者の体外に血液を循環させ、炎症を起こす免疫細胞(顆粒球単球リンパ球等)を血中から取り除く治療法で、緩解導入療法として薬物療法と共に行われる。また、薬物抵抗性(ステロイド抵抗性)の場合においても治療効果は高い。

  • 白血球除去療法(Leukocytapheresis:LCAP セルソーバ® Cell-sorba)
  • 顆粒球除去療法(Granulocytapheresis:GCAP アダカラム® Adacolumn)

保険適応は潰瘍性大腸炎の活動期の病態の改善及び緩解導入で、1連につき10回または11回施行できる。通常週1回ずつ行うが、週2回以上施行する方法も有効な緩解導入療法として行われてきている。

[編集] 外科療法

手術の絶対適応として、劇症、中毒性巨大結腸症、穿孔、大出血、癌化などがある。特に癌化をのぞく4つは緊急手術の適応となる。基本術式は大腸全摘出術+回腸肛門吻合術・回腸肛門管吻合術である。

  • 大腸全摘出術・結腸直腸全摘出術
  • 回腸肛門吻合術(ileo anal anastomosis:IAA)
  • 回腸肛門管吻合術(ileoanal canal anastomosis:IACA)

基本的に癌化が認められた場合、炎症粘膜すべてが癌化の発生の確率が高いため、多くの大腸癌のように病変部のみの切除は行なわず、全大腸摘出術を施行する。

[編集] 現在研究中の治療法

  • アイオワ大学のJoel Weinstock等によって、寄生する鞭虫の卵を服用させる治療法が研究中である。
  • 順天堂大学医学部の大草敏史等によって、フソバクテリウム・バリウム(Fusobacterium varium)をターゲットとした除菌療法(抗菌薬3剤併用療法、ATM療法)が2003年より臨床試験中[4][5][6]

[編集] 脚注

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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