インフィニティ・ガントレット

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インフィニティ・ガントレット』(Infinity Gauntlet)は、1991年12月よりマーベル・コミックから出版された全6号のコミック(リミテッド・シリーズ)のタイトル、及びそれに登場する架空の道具の名称。原作はジム・スターリン(Jim Starlin)、作画はジョージ・ペレス(George Perez)とロン・リム(Ron Lim)。インカーはジョセフ・ルービンスタイン(Josef Rubinstein)とトム・クリストファー(Tom Christopher) 、エディターはクレイグ・アンダーソン(Craig Anderson) が務めた。

また、以降の3つのリミテッド・シリーズ、「インフィニティ・ウォー(Infinity War)」 「インフィニティ・クルセイド(Infinity Crusade)」「インフィニティ・アビス(Infinity Abyss)」に続いている。

他の複数のタイトル「クローク&ダガー(Cloak and Dagger)」、「ドクター・ストレンジ(Doctor Strange: Sorcerer Supreme)」、「ハルク(Hulk)」、「クエーサー(Quasar)」、 「シルバーサーファー(Silver Surfer)」、「スリープウォーカー(Sleepwalker)」でタイ・イン(クロスオーバー展開)がなされた。

あらすじ[編集]

このストーリーは、「シルバーサーファー」第3シリーズとリミテッドシリーズ「サノス・クエスト(Thanos Quest)」でフィーチャーされたサノスの復活から始まる。

サノスは、自ら集めた6つのインフィニティ・ジェム(「魂(ソウル)」、「力(パワー)」、「空間(スペース)」、「現実(リアリティ)」、「時間(タイム)」、「精神(マインド)」)を左の手袋に嵌め込み、インフィニティ・ガントレット(Infinity Gauntlet)を作り出した。

所有者に無限の力を与えるインフィニティ・ガントレットを手にしたサノスは悪魔メフィストの甘言にのり、全ての宇宙を支配することを決心する。

第一話(1991年7月)[編集]

ドクター・ストレンジが自分の館でくつろいでいるところに突然大音響が轟く。屋根裏部屋に飛び込んだストレンジは、天井を突き破って落下してきたシルバーサーファーを発見する。意識朦朧のサーファーは「想像を絶する恐ろしい破滅が…止めなければ…サノスが復活した」と告げた。

死んだはずのサノスの復活を知ったサーファーはドラックス・ザ・デストロイヤーと共にサノスに挑むが、インフィニティ・ガントレットの力に翻弄され、ソウル・ジェムの内部(ソウルワールド)に放逐されてしまった。そこでアダム・ウォーロックと名乗る金色の男と出合った二人は彼の力を借りて現実世界に帰還。サノス復活の凶報を伝えるため、宇宙の辺境から全力で飛んできたサーファーはついに力尽き、ストレンジの屋敷に落下したのだ。

その頃、無限の力を以ってしても愛するデスに振りむいてもらえないサノスは、虚空にデスを称える巨大神殿を出現させる。また、己の非情さをアピールするため、自分の孫娘ネビュラを腐敗した動死体に変えて見せびらかす。だがそれでもデスの歓心を得られなかったサノスは、ついに計画を実行することにした。

インフィニティ・ガントレットを嵌めた腕を掲げ、指をパチンと一つ鳴らす。

たったそれだけで全宇宙の生命の半分が消去された。スパイダーマンの恋人のMJが、アベンジャーズのメンバーが、ニック・フューリーが、ドクター・ストレンジの執事が、そしてスクラル帝国でも、衛星タイタンのエターナルズのコロニーでも。運良く生き残った者は、それぞれの大切な人々の消失を知り、驚愕と絶望に捕らわれた。

第二話(1991年8月)[編集]

大消失に見舞われた地球では、火災や飛行機事故などが頻発しており、生き残ったヒーローたちが人々の救出に死力を尽くしていた。またクリー帝国では、この大消失は宿敵スクラル帝国の陰謀であるとし、報復艦隊が発進していた。半数の神々が消去されたアスガードには、ギリシャ、ケルト、マヤ、アステカ、ロシア、ネイティブ・アメリカなどの神々が集合し、善後策を検討していた。

その時、ドクター・ストレンジの精神に何者かが接触し、サノスと戦う軍団を集めることを提案する。

エターナルズのエロスは、衛星タイタンのコロニーからテレポートされ、サノスの捕虜になる。サノスの精神操作を試みるエロスだったが、ガントレットの力で笑顔をつくるための口を消去されてしまう。

時を同じくしてドクター・ドゥームも怪しい動きを始めていた。「やがて自分が支配すべき臣民たち」を消失させられたという怒りと、この混乱の原因からさらなる科学と権力を得ようとする欲望が彼を突き動かしていたのだ。ストレンジの屋敷に侵入し、この大消失の原因をむりやり聞きだそうとしたドクター・ドゥームは、シルバーサーファーと戦闘になる。そこに割って入ったのは、ソウルワールドから現実世界に復活したアダム・ストレンジとピップ・ザ・トロルだった。

大消失を引き起こし、加えてネビュラとエロスを様々な方法で責め苛んでもデスに振り向いてもらえないサノスは、ついに怒りを爆発させる。

ガントレットの引き起こした怒りの衝撃波は銀河系の四分の一を蹂躙し、ギャラクタスが喰らおうとしていた星も砕かれてしまう。宇宙的な飢えを満たす機会を奪われたギャラクタスは激しい怒りを押さえつけ、知略をめぐらせつつ時を待つ。

また衝撃波は地球にも到達した。地球全土に大地震が発生し、都市は崩れ、津波が襲った。アメリカ西海岸は水没し、日本列島は海底に沈んだ。アスガードやアトランティスも大きな被害を受けた。

第三話(1991年9月)[編集]

アベンジャーズの基地へ転移したドクター・ストレンジ、アダム・ウォーロック、シルバーサーファー、ドクター・ドゥーム、ピップは、サノスに対抗する軍団の編成をキャプテン・アメリカに持ちかける。

ストレンジのテレパシーによる呼びかけに応え、ポータル(空間転移門)からアイアンマン、スパイダーマン、ウルヴァリンサイクロップス、スカーレットウィッチ、ドラックス、ファイアロード、ノヴァ、サブマリナー、クローク、ハルクが現れる。

地球ヒーロー軍団の編成をキャプテン・アメリカに任せたアダムとサーファーは、新たなポータルを通って銀河の果てへ向かう。そこには、エポックとクエーサー、エターニティ、時の巨神クロノス、ロード・カオスとマスター・オーダー、ラブ&ヘイト、ストレンジャー、ギャラクタス、2体のセレスシャルズといったコズミック・ビーイングたち、そしてウオッチャーのウァトゥとリビング・トリビューナルが参集していた。

宇宙の全生命体の統合体であるエターニティは、審判者リビング・トリビューナルにサノスの暴虐への懲罰を求める。しかし多次元宇宙の調和を守るリビング・トリビューナルは、今回のサノスの行動はこの宇宙における至高の地位をめぐる自然淘汰のひとつに過ぎず、「弱肉強食」は宇宙の基本原則のひとつである、として本件への関与を却下した。またウオッチャーも、傍観者たる自らの立場を表明して去った。アダムは残った他のコズミック・ビーイングたちに攻撃計画への参加をもちかける。

一方、デスの態度に業を煮やしたサノスは、完全なる愛人テラクシアを創造する。しかしそれでもデスは一顧だにしなかった。神殿の上に出現したウオッチャーを見てヒーローたちの襲来を予測したサノスは、彼らを皆殺しにすることをデスに宣言する。

時は来た。ストレンジの魔具「アガモットの眼」が大きなポータルを開く。アダムとサーファーが先行し、サノスの神殿から一光年の位置についた。ピップのカウントダウンに合わせて戦士たちがポータルをくぐり、神殿に突入する。

しかしアダムが立案したのはあまりに非情な計画であった。地球を代表するスーパーヒーローである彼らですら、陽動であり、捨て石にすぎなかったのだ。

第四話(1991年10月)[編集]

ソー、ファイアロード、ネイモア、アイアンマンがサノスに突撃する。しかしサノスは笑いながら、指を鳴らした。

時間が凍結する。凍結をまぬがれたのはサノスの周囲のわずかな範囲のみである。メフィストの「デスに対して貴方様の勇気を示すのです」というささやきに応じ、パワー・ジェム以外の5個のジェムの能力を遮断したサノスは「こうすれば奴らにも0.05%程度は勝つ望みがあろう」とうそぶく。サノスが再び指を鳴らすと時が動き出した。

ヒーローたちの攻撃がサノスに集中する。しかしそれを物ともせず、サノスの反撃が始まった。次々に殺されていくヒーローたち。 à 最後に一騎打ちを挑むキャプテン・アメリカ。サノスの拳が不壊のシールドを打ち砕き、キャップを殴り殺そうとした瞬間、ガントレット目掛けて一光年先からシルバーサーファーが超スピードで突っ込んだ。しかしわずかな差でガントレットを奪うことは出来ず、キャプテン・アメリカも死んだ。

アダム・ウォーロックの第一のプランは敗れた。そしてアダムはコズミック・ビーイング達を召喚する。

第五話(1991年11月)[編集]

コズミック・ビーイングたちは次元を歪めるほどの猛攻をサノスに加える。 しかしすべての攻撃は無駄だった。6つのジェムの力を稼動させ、全てを超克したサノスは彼ら全員を凍結封印し、自らを至高の神であると宣言した。

そしてついにエターニティが戦いを挑んだ。いくつもの銀河を吹き飛ばすほどの爆発が起こり、ついに決着がついた。サノスの精神はエターニティに取って代わり、この宇宙と同一化したのだ。

その時、一瞬の隙を突いた動死体ネビュラが、無防備なサノスの肉体からガントレットをひったくった!

生気溢れる肉体を取り戻したネビュラが最初に行ったのはサノスへの復讐だった。一瞬にして無力となったサノスとテレクシアを宇宙空間に放り出したのだ。窒息したテレクシアは死に、サノスは死を覚悟した。

しかしその瞬間、サノスはアダムが作ったポータルによって地球のアベンジャーズ基地に転送された。アダムから自らの心の闇を指摘されたサノスは彼の説得を受け入れ、ネビュラを倒すことに協力することになった。

形勢逆転に成功したネビュラだったが、ガントレットのもたらす超知覚と力を持て余した彼女の精神は崩壊しかけていた。

第六話(1991年12月)[編集]

アダム、サノス、シルバーサーファーらはポータルを使って神殿に転移する。死んだと思っていたサノスの挑発に乗ったネビュラは短慮な命令を下してしまう。「ガントレットを私の手に残したまま、それ以外の全てを24時間前の状態に戻す!」一瞬で世界は旧に復し、ネビュラは動死体に戻った。

自らの策が成功したことに満足し、悠々とガントレットを回収に向かうサノスだったが、次の瞬間にはネビュラが復活していた。ガントレットは着用者の思考だけで発動するのだ。

しかし次の瞬間、復活したコズミック・ビーイングたちによる一斉攻撃がネビュラを襲う。ネビュラは必死の防戦を繰り広げるが、彼女にはサノスほどの精神力や経験が足りなかった。

大混乱のさなか、アダムとサーファーはソウル・ジェムの内部に転移していた。サーファーを現実世界との絆として残し、アダムは自分の存在を拡張していく。ソウルジェムと同化を果たしたアダムは他の5つのジェムに干渉してガントレットの調和を破る。その瞬間、エネルギーがオーバーフローしたガントレットをネビュラが取り落とす。

地に落ちたガントレットを目指して殺到するサノス、ネビュラ、エロス、ソー、ハルク、ドラックス。果たしてガントレットを手にし、この混乱を制するのは誰なのか?

主要登場人物[編集]

  • サノス:エターナルズの指導者メンターの息子で、エロスの兄。
  • メフィスト:地獄の王子。
  • ネビュラ:サノスの孫娘を名乗る青い肌の女宇宙海賊。彼女を気に入ったサノスから実際に養子縁組を受けている。
  • テレクシア:一向に自分に振り向いてくれないデスに業を煮やしたサノスが、インフィニティ・ガントレットの能力で創造した「完璧な」恋人。

サノスに対抗するものたち[編集]

ヒーローとヴィラン[編集]

コズミック・ビーイング[編集]

  • デス:死を司るコズミック・ビーイング。
  • ギャラクタス
  • エターニティ:宇宙の人格とでもいうべき、全生命を統合する存在。ある意味デスの対極に位置する
  • ストレンジャー(Stranger):ひたすら知識を追求し続けるコズミック・ビーイング
  • ラブとヘイト(Love and Hate):愛と憎悪の感情を司る二柱で一組のコズミック・ビーイング
  • マスター・オーダー(Master Order)とロード・カオス(Lord Chaos):秩序と混沌を司る二柱で一組のコズミック・ビーイング
  • セレスシャルズ:宇宙全土にわたって生命体の進化を促進するために遺伝子への干渉実験を繰り返す謎の存在。全身鎧を着込んだ巨大なヒューマノイドのような外観を持つが、本体は高次元の存在
  • クロノス(Chronos)
  • エポック(Epoch):クエーサーに宇宙の守護者としての任を与えた超宇宙生命イオンの子。惑星サイズの頭部の形をしている。
  • リビング・トリビューナル:多次元宇宙の調和を守り、それを乱すものを裁く。公平、必然、復讐の三つの顔をもつ。
  • ウォッチャー:永遠の監視者

他のバージョン[編集]

インフィニティ・ガントレットは、パラレルワールドを舞台としたタイトル『What If』で2度特集され、シルバーサーファー[1]インポッシブルマン[2]がそれぞれガントレットを所有していた場合が描かれる。

単行本[編集]

他のメディア[編集]

テレビゲーム[編集]

カプコンより発売された、1995年の『MARVEL SUPER HEROES』と『Marvel Super Heroes: War of the Gems』はこのストーリーを原作としている。ただし、原作に登場しなかったヒーローやヴィランが登場している。

日本語版[編集]

小学館より発行されていたマーヴルクロス誌に掲載された。1号から6号に1話ずつ全6話が完全収録されている。

脚注[編集]

  1. ^ What If? #49 (May 1993)
  2. ^ What If? #104 (Jan. 1998)