国鉄ヨ8000形貨車

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国鉄ヨ8000形貨車
ヨ8000形ヨ8632(蘇我駅)
ヨ8000形ヨ8632(蘇我駅)
基本情報
車種 車掌車
運用者 日本国有鉄道
日本貨物鉄道
北海道旅客鉄道
東日本旅客鉄道
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
四国旅客鉄道
九州旅客鉄道
製造所 日本車輌製造川崎重工業、他
製造年 1974年 - 1979年
製造数 1,170両
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 7,200 mm
全幅 2,650 mm
全高 4,077 mm
自重 11.0 t
換算両数 1.0
走り装置 二段リンク式
軸距 3,900 mm
最高速度 85 km/h
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国鉄ヨ8000形貨車(こくてつヨ8000がたかしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が1974年(昭和49年)から1979年(昭和54年)までに製造した事業用貨車車掌車)である。

概要[編集]

従来から使用されてきたヨ5000形ヨ6000形の補充や、それ以前の老朽化した車掌車や有蓋緩急車などの置き換え用として、1974年(昭和49年)から1979年(昭和54年)までに1,170両が製作された。製作メーカーは日本車輌製造川崎重工業三菱重工業・若松車輌の4社である。

性能や外観は従来の車掌車から大幅に変化し、乗務環境を向上させた最新設備の形式として大量に製作され全国で使用されたが、1986年(昭和61年)に貨物列車の車掌乗務が原則廃止され、本来の用途を喪失した。翌年の1987年(昭和62年)に行われたJR移行では、添乗や控車などの用途に使用するため一部が承継されたが、使用頻度は漸次減少しており、淘汰が進んでいる。

構造[編集]

国鉄の量産二軸車掌車では、初めて便所(後述、車内設備を参照)やレジン制輪子が採用され、特に制動時の静粛性が格段に向上した。従来の鋳鉄製制輪子では制動時に車掌車の構造上(内部がほぼ空洞)共鳴音が激しく無線機の使用も出来ないほどであった。また、ヨ5000形やヨ6000形などの構造を全面的に刷新し、別途製作された完成車体を台枠にボルト固定するユニット工法が採用された。この車掌室ユニットはコキフ10000形コキフ50000形の仕様を踏襲したもので、コストダウンと製造合理化が図られた。外部塗色は黒色である。

室内設備は、照明の蛍光灯化、新造時より暖房の石油ストーブ化が行われたほか、車掌車内に便所も設置され乗務環境が向上した。

本形式はコンテナ車と同等の車掌室ユニットをヨ6000形相当の台枠上に載せた設計ゆえ屋根が短く、デッキは完全に露出した特異な構造である。これは床下機器の艤装空間を確保するほか、軸距を確保し、高速走行時の安定性を維持するための設計である。懸架装置は二段リンク式で、二軸車ではあるが担いバネを柔らかくして最高速度85km/hでの走行を可能としている。

製造初期の車両は最高速度65km/hの緩急車が多数残存していた北海道、および四国に集中投入され、北海道に投入された車両は寒冷対策として二重窓とされている。

特殊用途の改造車として、以下の区分がある。

28000番台(ヨ28001, ヨ28002)
非電化区間へ電車列車を直通運転するための電源車として、1987年(昭和62年)に改造された車両である。
JR九州において、当時は非電化であった豊肥本線水前寺へ電車特急「有明」(485系電車)乗り入れを行う際、当初使用されたスハフ12形客車に代わるサービス電源供給用電源車として2両が改造された。
改造に際して、石油ストーブ・便所・床下の水タンク・蓄電池箱等が撤去され、新たにディーゼルエンジン駆動の発電機・燃料タンク・ラジエターを搭載すると共に、台枠も強化されて、電車と連結する1エンド側端梁は延長のうえ両頭連結器が装備された。また、ブレーキ装置の変更と合わせて自動空気ブレーキ電気指令式ブレーキの相互読替装置が搭載されている。
塗色は白1色であったが、翌1988年(昭和63年)にハイパーサルーン・783系電車が水前寺行き「有明」に投入された際に、赤ラインが加えられた。
1994年(平成6年)に「有明」の水前寺乗り入れが終了すると用途がなくなり、1995年(平成7年)1月24日に廃車された。
38000番台(ヨ38000)
ヨ38000
貨物列車の推進運転を行うため、列車運転のための諸設備を追設した車両として1994年(平成6年)10月27日に改造された。
日豊本線の貨物支線である苅田港線小波瀬西工大前 - 苅田港間)に浜小倉(後に北九州貨物ターミナル)から入線する貨物列車は、小波瀬西工大前でスイッチバックする線路形態であるにもかかわらず機回しが行えなかったため、DE10形を列車の前後に連結するプッシュプル方式で運転が行われていた。運用効率低下などの弊害を解消するため、DD51形で推進運転をする方式に変更することとなり、この苅田港線内の貨物列車推進運転用にJR貨物小倉車両所において1両がヨ8612より改造された。
改造に際しては、石油ストーブ・石油タンク・床下の水タンクを撤去し、ブレーキ弁・警笛・前部標識灯(後部標識灯を改造)・電気式ワイパー等が装備された。塗色は両側で異なり、片側が朱色1色、反対側(トイレ側)が朱色、白色、青色3色のトリコロールカラーとなっている。
2005年(平成17年)1月、苅田港線の貨物列車運転終了で用途がなくなり廃車された。

イベント列車[編集]

DE10 76牽引 「大洲内子バンガロー列車」 (DE10 76+オハフ50 190「オアシス」+ヨ8000×16、1986年、予讃本線新谷駅 - 伊予若宮信号所間)

1985年(昭和60年)8月3日4日に高松-大歩危間で「バンガロー列車」というイベント列車が運転された。大歩危駅で窓に防虫網を貼り付けたヨ8000をバンガローとして使用するもので、編成はDE10+オハフ50+ヨ8000×18両であった。 翌年には高松駅松山駅 - 内子駅伊予大洲駅間で「大洲内子バンガロー列車」という同様のイベント列車が運転された。伊予大洲駅で窓に防虫網を貼り付けたヨ8000をバンガローとして使用するもので、編成はDE10+オハフ50+ヨ8000×16両であった。

現状[編集]

1986年(昭和61年)の緩急車連結廃止により通常の貨物列車に使用されなくなったため、大半が余剰になり廃車になったが、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化では一部がJRに継承された。会社ごとの継承両数は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が36両、東日本旅客鉄道(JR東日本)が55両、東海旅客鉄道(JR東海)が23両、西日本旅客鉄道(JR西日本)が4両、四国旅客鉄道(JR四国)が4両、九州旅客鉄道(JR九州)が16両、日本貨物鉄道(JR貨物)が148両の計336両であった。

鉄道車両の甲種輸送大物車による特大貨物列車への係員添乗用や工事用など特殊用途で、わずかながら現在でも使用されている。

2009年(平成21年)4月1日時点の在籍数は、JR東日本に2両、JR西日本に1両、JR九州に1両、JR貨物22両の計26両であった。

2016年(平成28年)6月1日付でJR西日本後藤総合車両所に配置されていた1両(ヨ8709)が東武鉄道に譲渡(JR西日本としての廃車)されたことにより、JR旅客6社から配置が無くなっている[1]

譲渡[編集]

本形式2両が1992年(平成4年)、長良川鉄道トロッコ列車用として譲渡され、ながら3形3001(とみか), 3002(はちまん)となったが、同列車の運転中止にともない廃車となった。

1993年(平成5年)には1両が島原鉄道に入線した。ヨ8001の車番が与えられたが、同時期に入線したワム80000(ワム80001)と共に車籍編入はなされず工事車両として使用された[2]

2015年(平成27年)には明知鉄道にヨ18080 、若桜鉄道にヨ8627が入線した。

2016年(平成28年)には東武鉄道で運転予定のSL列車用に、JR貨物からヨ8634、JR西日本からヨ8709が譲渡された[3]

保存車・ギャラリー[編集]

  • ヨ8006 : 北海道三笠市 クロフォード公園
  • ヨ8017 : 北海道佐呂間町 佐呂間駅跡交通公園
  • ヨ8055 : 北海道上砂川町 上砂川駅
  • ヨ8057 : 北海道釧路市 丹頂の里公園
  • ヨ8083 : 北海道北見市 個人所有
  • ヨ8411 : 神奈川県伊勢原市 伊勢原市総合運動公園
  • ヨ8591 : 長野県北安曇郡白馬村 白馬トレインパーク
  • ヨ8593 : 栃木県真岡市 SLキューロク館
  • ヨ8597 : 千葉県君津市 清和ゆめの牧場
  • ヨ8682 : 兵庫県三田市 はじかみ池公園
  • ヨ8771 : 福井県越前市 民間所有
  • ヨ8798 : 山形県河北町 河北中央公園
  • ヨ8916・ヨ8920 : 愛知県稲沢市 リーフウォーク稲沢
  • ヨ8926 : 愛媛県松山市 しおかぜ堂
  • ヨ8928 : 栃木県日光市 足尾駅構内
  • ヨ8639:大分県別府市 餅が浜保育園
  • ヨ8951 : 鹿児島県志布志市 大隅線記念公園
  • ヨ8952 : 鹿児島県大口市 ふれあいセンター
  • ヨ8953 : 鹿児島県鹿屋市 吾平駅
  • ヨ8955 : 熊本県水俣市 愛林館ふるさとセンター
  • ヨ8958 : 鹿児島県さつま市 永野鉄道記念館
  • ヨ18046 : 福岡県直方市 汽車倶楽部
  • ヨ18119 : 京都府亀岡市 保津川ライブスチームクラブ
  • 車番不明 : 京都府長岡京市 長岡京駅
  • 車番不明 : 北海道札幌市豊平区

動態保存[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 交友社鉄道ファン』2017年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」
  2. ^ 『鉄道ジャーナル』1995年4月号、P39
  3. ^ 東武鉄道、蒸気機関車C11形207号機「火入れ式」車掌車ヨ8634・ヨ8709も公開”. マイナビニュース (2016年9月12日). 2016年9月12日閲覧。
  4. ^ 「展示車両を紹介します。」SLキューロク館公式サイト

参考文献[編集]

  • 鉄道公報
  • 鶴通孝「子守唄のふるさとで今 雲仙普賢岳災害から立ち上がる島原鉄道」『鉄道ジャーナル』1995年4月号(通巻342号)、鉄道ジャーナル社、1995年4月。
  • 『日本の貨車-技術発達史-』(貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年)

関連項目[編集]