JR東日本E129系電車

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JR東日本E129系電車
E129系100番台A5編成 (新潟駅)
E129系100番台A5編成 (新潟駅)
編成 2・4両
(すべての車両が0.5M方式の電動車
営業最高速度 100 km/h[1]
設計最高速度 110 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度 3.6 km/h/s
編成定員 581名(4両編成)
273名(2両編成)
車両定員 140名(クモハE129)
133名(クモハE128)
154名(モハE129・モハE128)
全長 20,000 mm
全幅 2,966 mm
全高 3,985 mm[* 1]
車体長 20,000 mm
車体幅 2,966 mm
車体高 3,985 mm
車体材質 ステンレス
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V (架空電車線方式
編成出力 2両編成:140kW×4=560kW
4両編成:140kW×8=1120kW
主電動機 かご形三相誘導電動機 (MT75B)
主電動機出力 140 kW
歯車比 97:16(6.06)
駆動装置 TD平行カルダン駆動方式
制御装置 VVVFインバータ制御(IGBT素子東洋電機製造製SC102 、1C2M)
台車 軸梁式ボルスタレス台車
動力台車:DT71C, DT71D
付随台車:TR255D, TR255E
制動方式 電気指令式直通発電回生純電気式〕・抑速耐雪ブレーキ付き)
保安装置 ATS-P・ATS-Ps
列車防護無線装置
EBTE装置
製造メーカー 総合車両製作所新津事業所
『鉄道ファン』2015年1月号、pp.60 - 66

E129系電車(E129けいでんしゃ)は、2014年平成26年)12月6日に営業運転を開始した東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流一般形電車である。

概要[編集]

2014年当時、新潟支社管内で運行されていた普通列車の主力車種は115系であり、最も車齢が高いもので新造から50年が経過していた[2]。これらの車両の一部に対してリニューアル改造なども行われているが、車両の老朽化、設備の陳腐化への対応は急務とされていた[2]。また、2015年(平成27年)3月に北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間が延伸開業し、それに伴い並行在来線のうち新潟県内の区間にあたる信越本線妙高高原駅 - 直江津駅間が第三セクター鉄道として設立された「えちごトキめき鉄道」に移管することとなり、JR東日本から当時新潟支社管内で運用されていたE127系12編成[* 2]のうち10編成を譲渡することから、車両が不足することとなった[2]

これらの状況を鑑み、E233系をベースとして仙台支社管内で運行されているE721系と同等の短編成設備や耐寒耐雪構造を採用し、新潟地区での実情に合わせた新潟支社向け新型車両として開発されたのが本形式である[2][3]。2両編成(A編成)と4両編成(B編成)とがあり、A編成2本による4両編成やA編成3本もしくはA編成+B編成による6両編成を構成することにより、旅客の需要に柔軟に対応することができる。また、E127系などの他形式の併結は緊急時を除いては考慮されていない。

構造[編集]

車体[編集]

半室構造の乗務員室

車体構造は車体下部にある台枠の一部を除きステンレスで構成された軽量ステンレス車体とし、客室扉の下部にあるレールヒータや機器ヒータなどを装備した耐寒耐雪構造としている。車体幅は定員増による混雑緩和とクロスシート部での車椅子の通過を考慮して2950mmとした拡幅車とし、腰部から下部の幅を狭めた裾絞り構造としている。客室の床面高さはE233系・E127系と同様の1130mmであり、115系の1225mmと比べて大幅に低くなり、共用ホームの高さ920mmと電車専用ホームの高さ1100mmの両方に対応できるようになった。側面には空気式の半自動機能付きの両開き客室扉が3つあり、扉の横にはボタンの周囲のLEDが点灯するタイプの半自動スイッチが室内外に装備されている。客室扉の間の側窓は「下降式と固定式の組合わせ」と「固定窓」の配置とし、赤外線吸収仕様の合わせガラスとしている。前面および側面にはフルカラーLED行先表示器が設置されており、行先の路線ごとに色分けの表示を行うことで乗り間違いを防ぐことができるようになっている。また各車両の側面の幕板部には車外スピーカーが片側に2個ずつ計4個が装備されており、英語放送を含む自動放送やメロディを流すことができる。先頭車とモハE128形にはデッドウェイト(死重)を搭載して低重心化を図るとともに、風に強い車両としている。先頭車には貫通幌を装備している[4]

車体前面は踏切事故対策からE721系と同等の前面強化を図ったほか、側面衝突対策から側構体の柱の位置に幕板補強と屋根構体の垂木の位置を合わせるというE233系と同様の手法を採用する[4]。前面窓下は、車体中心から側面に向かって下に1段くぼませて緩やかに上がる傾斜状とし、前面に付着した雪を外側に押出す形状としている。前部標識灯後部標識灯は地上からの視認性の観点から前面の上部に取付けられており、照明はLEDとしたが、従来のシールドビームHIDよりも発熱量が少ないため前面ガラスの熱線を標識灯の部分まで拡大させて、その部分の着雪を防いでいる[5][* 3]

乗務員室は半室構造とし、連結時には助士側を開放できる構造となっている。2両編成にはワンマン用の機器である両替機能付きの運賃箱を助士側背面に完全に収納できる構造となっており、運賃表示器を運転室と客室の仕切りの上部に設置しているが、整理券発行器と室外の側面のワンマン表示器の設置は省略されている。また、乗務員室の背面仕切部には非常救出口が設置されている[5]

車体塗色は、秋の稲穂をイメージした「黄金イエロー」と佐渡島に生息する朱鷺をイメージした「朱鷺ピンク[* 4]」の2色を配置しており、前面および腰部には朱鷺ピンクの太帯の上部にイエローの細帯、幕板部には朱鷺ピンクの帯をそれぞれ配置している[6]

主要機器[編集]

奇数形式車(クモハE129形およびモハE129形、以下Mc車およびM車と呼称)と偶数形式車(クモハE128形およびモハE128形、以下M'c車およびM'車と呼称)の計2両でMM'ユニットを組み、奇数形式車には制御装置・集電装置を、偶数形式車には空気圧縮機・補助電源装置[* 5]を搭載する。また、1車両2台車のうち1台車のみ電動台車とし、もう一方に付随台車とする0.5M車構成を採用し、編成中の全車両が電動車である[* 6][7]。各機器は、寒冷地での運用を考慮して耐寒耐雪仕様としている[8]

電源・制御機器[編集]

屋根上に設置された発電ブレーキ用の抵抗器(左側)と空調装置(右側)

制御装置はIGBT素子による2レベル電圧形PWM制御インバータ1基で1両の1電動台車(2基)の電動機を制御する、いわゆる1C2M構成のVVVFインバータ2群で構成された東洋電機製造製の SC102 を搭載する[6][8]。冗長性を確保するために故障時には1群単位で解放可能とし、2両編成単独運転時に1群(主電動機2基)を開放した場合でも35‰勾配での起動を可能とする限流値増機能を備えることで運転への悪影響を少なくしている[9]。また、ベクトル制御を採用することで空転・滑走時の高速な再粘着制御を実現している[9]

補機用の電源となる補助電源装置 (SIV)は、東洋電機製造製の SC103 を搭載する[6]。断流器箱、インバータ装置、トランスフィルタ装置で構成されており[10]、IGBT素子による3レベル電圧形PWM制御インバータで、直流1,500Vを電源として三相交流440V 60Hz(定格容量210kVA)を出力する[11]

空気圧縮機はE127系で採用されたレシプロ式の MH3108-C1200M (定格容量は1,200L/分)を採用する[6][7]

ブレーキ方式は回生発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用する[9]。常用ブレーキ、非常ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキおよび直通予備ブレーキの5種類を備え、常用ブレーキは0km/h付近まで電気ブレーキ制御が可能である[9]。また、閑散区間での回生ブレーキの失効によるブレーキ不足を発電ブレーキで補うため、発電ブレーキ用の自然冷却式抵抗器 MR183 を各車の屋根上に搭載している[9]

集電装置はシングルアーム型パンタグラフを採用し、Mc車およびM車後位寄りには上昇用引きひもを備えた PS33G が搭載される[7]。また、Mc車100番台の一部車両(123 - 130)前位寄りには霜切り用のパンタグラフ(集電可能タイプ)が搭載され、こちらに関しては引きひもを設置していない PS33D としている[7]

主電動機かご形三相誘導電動機 MT75B が採用され、各車両に2基搭載されている。E233系で採用されているMT75をベースに、豪雪地帯での走行を勘案して冷却風を側面の幕部に設置された整風板から風道のダクトを介して送る車体風道方式としている[7]

空調装置は、集中式である AU725 を屋根上に1両あたり1台搭載しており、容量は48.84kW(42,000 kcal/h)である。

台車[編集]

台車は、209系E231系、E233系で採用実績のある軸箱支持装置が軸梁式のボルスタレス台車を採用する。車両間の重量差を小さくするとともに、短編成時の車輪の空転の低減を図るため、MM'ユニットの連結面寄りが電動台車、その反対側が付随台車となっている[2]

E233系用との違いは、軸ダンパーの省略と空気ばねの自動高さ調整弁の棒受けの強化である。電動台車がDT71C, DT71D、付随台車がTR255D, TR255Eである[7]。TR255Dは2両編成の先頭車両前位寄りに搭載されることから、強化形の雪かきと車輪の滑走を防止するセラミック噴射装置を装備している[7]

駆動装置は、TD継手式平行ガルタン方式 KD355/1-C-M である[12]。TD継手はCFRP製たわみ板を使用し、耐水・耐雪対策を施すことで歯車箱内部への浸水防止を図っている[12]。歯車は、はすば歯車を用いた一段減速式で歯車比は97:16=6.06とし、収納する歯車箱は走行中の騒音および振動低減の観点から球状黒鉛鋳鉄製である[12]

運転台[編集]

主幹制御器は左手操作式のワンハンドルマスコンである[13]。また、運転席背面には降雪時に使用する道具を収納する[13]

作業時などに掲示する移動禁止旗に代わる移動禁止表示を搭載し、助士側前面窓上面部に表示器を、助士側側面前方に操作盤を配置する[13]

保安装置[編集]

新規に開発した統合形ATS車上装置(Ps形)を搭載する。この装置は、ATS-P形とATS-Ps形の機能を1台の装置に集約して、ブレーキ出力を非常ブレーキのみとすることで装置の小型化を実現している、また、運転台のATSの動作表示器には、新規に開発した、P・Ps統合形動作表示器が採用されている。これは、従来のP形の表示灯・Ps形の表示灯・パターン速度インジゲータを1つのユニット集約したものであり、ATSブレーキの動作の要因や装置の故障要因を表示できる機能を持っている[7]。車上装置は送受信制御部と継電器盤で構成されており、4両編成ではMc車とM'c車に1台ずつ、2両編成ではMc車に1台搭載する[7]

車内[編集]

クモハE129形車内。画像奥がロングシート部(2014年11月30日撮影)

内装は、自然豊かな環境と都会的な上品さを併せ持ったイメージとしている。壁面パネルはアイボリーとクリーム色、腰掛は暖かみを感じさせる暖色系のピンクブラウンとしている[14]。座席配置は、クロスシートだけでなくロングシートの需要も強い新潟の実情に応えるため、1両のうち半分をロングシート、もう半分を4区画のボックスシートを含むセミクロスシートとする配置を採用した。2両編成では前位寄り(運転室側)がロングシート、後位寄り(連結側)がセミクロスシートとなり、4両編成では2両編成同士が連結した状態と同じ座席配置となる[* 7]。車端には3人または4人掛けのロングシートを配置している[15]。ロングシートは一人あたりの幅を460mm(E127系比10mm拡大)とし、クロスシートは向かい合う腰掛の間隔を540mm(115系[* 8]・E233系比110mm拡大)とすることで出入りをスムーズなものとしている[15]。つり手の高さは床面から1630mmを基本とし、優先席では1580mmとしている。座席構造は片持ち式を基本とし、ボックス席に隣接する2人掛けロングシートと4人掛けロングシートは電動機の風道やその他の機器スペースとした蹴込み式としている[14]

サービス機器は、自動放送装置の搭載と次駅名を表示できる1段式のLED車内案内表示装置を側引戸の鴨居部に千鳥配置としている。案内装置を配置していない箇所には液晶ディスプレイを後付できるようになっており、2015年1月より一部編成に試験的に設置された装置を用いて「車内ビジョン」の放送試験を開始した。2015年7月まで試験を続け、技術的な課題等を見極めて本格導入を検討するという。

車内照明はLED式を採用することにより、従来の蛍光灯と比べて60%減と省エネルギー化の推進を図っている[15]

バリアフリー新法の施行により、M'c車に設けられるトイレ車椅子対応の大型洋式トイレとなっており[5]、天井には隠れ喫煙対策として炎感知器が設置されている。ただし、客室内の見通しを妨げないように枕木方向の寸法を極力抑えるようにしている。向かい側には車椅子スペースを設けている[5]

形式[編集]

クモハE129形 (Mc)
制御電動車。車体前位に運転台を備え、制御装置、集電装置などを搭載する。
クモハE128形 (M'c)
制御電動車。車体前位に運転台、後位に身障者対応トイレと車椅子スペースを備え、補助電源装置、空気圧縮機などを搭載する。
モハE129形 (M)
中間電動車。制御装置、集電装置などを搭載する。
モハE128形 (M')
中間電動車。空気圧縮機などを搭載する。
編成表
編成番号
← 吉田
新津・村上 →
B1 - B25 形式
クモハE129
-0
(Mc)
 
モハE128
-0
(M')

モハE129
-0
(M)
 
クモハE128
-0
(M'c)
搭載機器 VVVF CP VVVF CP, SIV
車両重量(t) 37.2 31.6 32.7 37.0
A1 - A22 形式
クモハE129
-100
(Mc)
 
クモハE128
-100
(M'c)
 
搭載機器 VVVF CP, SIV
車両重量(t) 37.2 37.2
A23 - A30 形式 >  >
クモハE129
-100
(Mc)
 
クモハE128
-100
(M'c)
 
搭載機器 VVVF CP, SIV
車両重量(t) 37.4 37.2
  • VVVF:VVVFインバータ制御装置、CP:空気圧縮機、SIV:補助電源装置

運用[編集]

ワンマン運転を行うA6編成

2014年12月6日より、2両編成の「A編成」が信越本線の長岡駅 - 新潟駅間、白新線および羽越本線の新潟駅 - 新発田駅 - 村上駅間、越後線吉田駅 - 新潟駅間で運用を開始した[16]。その後、弥彦線の全線、越後線の柏崎駅 - 吉田駅間、信越本線の直江津駅 - 長岡駅間、上越線水上駅 - 宮内駅 - 長岡駅間でも順次運用を開始した。最終的には新潟支社管内の直流電化区間全線での運用が予定されており、残る羽越本線の新津駅 - 新発田駅間でも今後運用を開始する予定である。

2015年11月28日現在、A編成28本が運用に就いており、2両編成のほか、連結して4両もしくは6両編成でも運転されている。またワンマン運転は信越本線の新津駅 - 新潟駅間、白新線・羽越本線の新潟駅 - 村上駅間、越後線の吉田駅 - 新潟駅間、弥彦線のそれぞれ一部列車で実施されているのに加え、2016年3月26日のダイヤ改正時からは、信越本線の直江津駅 - 長岡駅間、上越線の越後中里駅 - 長岡駅間のそれぞれ一部列車でも実施が予定されている[17]

なお計画では4両編成(0番台、B編成)を100両25本、2両編成(100番台、A編成)を60両30本の、合計160両すべてを新潟市秋葉区総合車両製作所新津事業所において製造する予定である。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ パンタグラフの折りたたみ時の高さ
  2. ^ 1995年(平成7年)の新造時点では13編成が運用されていたが、そのうち1編成(V3編成)が2008年(平成20年)の事故で1両が焼損し、2014年10月20日付で廃車された。
  3. ^ 全般的には同時期に仙台地区に導入されたHB-210系と同様の見付けになっている
  4. ^ 新潟を発着する上越新幹線を走行する塗装変更後のE1系E4系でも用いられている。
  5. ^ M'車には補助電源装置は搭載されない。
  6. ^ このような0.5M車構成の車両は、他にもJR東日本EV-E301系、JR東日本E353系(付属編成のクモハE353・E352形のみ)、JR西日本125系、JR西日本321系(付随車のサハ321形あり)、JR西日本225系、JR西日本287系、JR西日本227系でも採用されている。また、東京メトロ1000系銀座線用、中間車のみ、先頭車は0.25M車)、東京メトロ13000系日比谷線用、導入予定)、東武鉄道70000系伊勢崎線日光線・東京メトロ日比谷線乗り入れ用、導入予定)も0.5M車だが、台車(東京メトロ1000系の先頭車前位寄りの台車(全て付随軸)を除く)は車両の車端側を電動軸、車両の中央側を付随軸としている。
  7. ^ 分かりやすく言えば、モハE128とモハE129との間の連結を、先頭車同士の連結と考えればよい。
  8. ^ 新潟地区で運用される1000番台車(430mm)との比較である。同地区の115系0番台・500番台車は450mmである。

出典[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]