パルス幅変調

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パルス幅変調(パルスはばへんちょう、英語: pulse width modulationPWM)とは変調方法の一つであり、パルス波のデューティー比を変化させて変調すること。

パルス幅変調の式[編集]

パルス幅変調の数学的扱いは次のようになる[1]。簡単のため、入力信号として正弦波 の場合を考える。 ここで は次元を持ったある定数、 はそれぞれ角振動数、時間である。 また、変調されていないときのパルス波は、周期 ごとに幅 (ただし)の パルスを出力するものと仮定する。 このとき、パルス幅変調された信号 は、周期 ごとに幅 のパルスが出力されるように変調される。 は変調度で、 でなければならないので を満足しなければならない。

ここで、はHeaviside step function、 は次元を持ったなんらかの定数である。 Heaviside step functionのフーリエ変換表示

や公式

を用い(ただし、ディラックデルタ関数) [2]、 適時積分と和の入れ替えを行うと、

と書ける。 ここで、が時間の並進に対して 不変であることを用いると[3]をもう少しきれいに書き直すことができて、

である。最後の項を代入すると、 これはFM変調の式であることがわかる。

であるから、 ローパスフィルタでを除去できれば、分シフトされて 元の信号が復調される。

PWM (アナログシンセサイザー)[編集]

エンベロープジェネレーターやLFOなどサブオシレータでパルス幅を変化させ、

  • 発振するほどの高速変化により、独特の非整数倍音を生成すること。
  • 音量エンベロープのような低速変化により、連続的に音色変化(パルス波から矩形波など)させること。

PWM (音源チップ)[編集]

PWM(電源回路)[編集]

インバータにより直流交流に変換したり、チョッパ制御により直流電圧を制御する他、整流器(PWMコンバータともいう)としても用いられる。いずれも電源電圧より高い電圧を得るためにはリアクトルの充放電機能を用いる。また脈流高調波となって出力されるため、やはりリアクトルを用いてそれらを平滑化する必要がある。

チョッパ制御[編集]

チョッパ制御におけるPWMの例

高周波分巻式を除くチョッパ制御の場合、パルスの周波数は一定であり、パルスの幅だけを変化させることで平均電圧を可変とする。パルス幅が狭い場合は平均電圧が下がり、パルス幅が広いときは平均電圧が上がる。例えば次のパルスまでを10等分したとして、ON:OFFを2:8とすれば元の電圧の2/10つまり1/5になり、8:2なら8/10=4/5の電圧が得られる。100%の電圧が必要なときは単にONのままにするが、チョッパ装置そのものも抵抗となるため、それを短絡して直接負荷に流すこともある。


インバータ[編集]

インバータにおけるPWMの例

PWMで制御するインバータの場合はマイコンにより、スイッチング素子のゲート電極に信号を流すタイミングを決めるために、搬送波と呼ばれる三角波と、基本波と呼ばれる正弦波が生成される[4]。ゲート電極に信号を流すゲートドライブが搬送波と基本波の交点を検出し、4個(単相交流)または6個(三相交流)のスイッチング素子をオン/オフする。すると右図のようなパルス(黄色い矩形)が得られ、その平均電圧(赤い線)が疑似正弦波交流になるのである。

2レベル、3レベルというのは、パルスの電圧の程度である。3レベルインバータの出力電圧は100%、0%に加え、50%の電圧も得られる。2レベルでは0%と100%だけとなる。商用電源も発電所や変電所など、3、5、9レベルというような複雑な回路のインバータで、発電された電力変動の平滑化などを行なう。このようなインバータをマルチレベルインバータと称する。レベルが高ければ高いほど(数が大きいほど)得られる電圧の種類が増え、擬似正弦波が滑らかな曲線に近づいていく。反面、インバータの回路は複雑になっていく。


脚注[編集]

  1. ^ 初等的な信号変調の教科書にならどの本でも書いてある。例えば、(F.R.コナー 1985)などを参照。
  2. ^ の定義域に注意。は有限区間に制限されていないので右辺のの和を忘れてはいけない。
  3. ^ なので有限の並進に対して不変である。
  4. ^ 搬送波はスイッチング素子の動作周波数を示し、基本波は出力する交流の波形を示している

参考文献[編集]

  • F.R.コナー 『変調入門』 高原幹夫訳、森北出版〈電子通信工学シリーズ5〉、1985年ISBN 4-627-73350-X