国鉄419系・715系電車

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国鉄419系・715系電車
(共通事項)
419系
419系
基本情報
種車 581系・583系
製造年 1967年 - 1972年
改造所 日本国有鉄道小倉工場
日本国有鉄道松任工場
日本国有鉄道郡山工場
日本国有鉄道土崎工場
日本国有鉄道盛岡工場
改造年 1984年 - 1985年
改造数 419系:45両
715系:81両
運用終了 715系:1998年
419系:2011年3月12日
廃車 715系:1998年
419系:2012年9月29日
主要諸元
編成 419系:3両 (2M1T)
715系:4両 (2M2T)
軌間 1,067 mm
電気方式 419系:直流1,500V・交流20,000V (50/60Hz)
715系0番台:交流20,000V (60Hz)
715系1000番台:交流20,000V (50/60Hz)
最高運転速度 100 km/h
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 5.0 km/h/s
最大寸法
(長・幅・高)
21,000×2,950×4,245 (mm) (クハネ581形改造車)
20,500×2,950×4,235 (mm)
車体材質 普通鋼
主電動機 直流直巻電動機 MT54形 120kW
駆動方式 中空軸平行カルダン撓み板継手方式
歯車比 84:15 = 1:5.60
編成出力 120kW×8基 = 960kW
制御装置 抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁制御 CS15形
制動装置 発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキ・勾配抑速ブレーキ
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419系・715系電車(419けい・715けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が581系・583系寝台特急形電車を種車に改造落成した近郊形電車である。

元々は交流直流両用電車であるが、改造後に投入される線区への対応から、電源切替機能を交流側に固定し交流専用とした715系電車と残置した419系電車の2系列に分類される。

登場の背景[編集]

国鉄では、1982年(昭和57年)のダイヤ改正広島地区における列車運行形態を従来の長大編成不等時隔のいわゆる「列車型ダイヤ」から、短編成による等時隔頻繁運転のいわゆる「電車型ダイヤ」への転換を行った。これは利用者から好評をもって迎えられ、国鉄はこれを全国の地方都市圏に拡大していくことになった(「シティ電車」の項目も参照)。

直流電化区間では、従来からの車両に対し中間車への運転台設置改造や先頭車の新製を行って短編成化し、車両数を極力増やさずに編成本数増を行って対応したが、地方交流電化区間の普通列車は郵便荷物輸送の問題から電気機関車牽引に代わっただけの客車や電化前から使用されていた気動車がそのまま投入されていた。しかし、多くの電気機関車は貨物列車牽引に必要な高牽引力重視のため加減速性能が劣るうえ客車列車では起終点駅での機関車の付替えが必要で「電車型ダイヤ」に対応できないことから、新たな交流用および交流直流両用の近郊形電車が大量に必要となった。

これに適する交流直流両用近郊形電車としては、1978年(昭和53年)に片側2扉クロスシートの417系電車が開発された。しかし同系列の落成時期は、1970年代末期から1980年代の国鉄の累積債務問題が議論され、国鉄改革が急務とされた時期と重なり主にコスト面での問題[1]から、仙台地区へ先行投入された3両編成x5本計15両が製造されたのみに終わった。その後は同系列に準じた車体構造を持ち、電車としては新機軸のサイリスタ位相制御を採用した交流専用の713系電車が開発されたが、これも少数が試作されたのみとなった。

その一方で急行列車激減により余剰車が多数発生したことから、455系・457系・475系などの交流直流両用急行形電車に近郊輸送転用改造が施工された。

続いて以下の理由で余剰が発生していた581系・583系特急形電車の近郊形改造が提案された。

  • 新幹線延伸による夜行列車での運用減。
  • 寝台装置の関係から座席をボックスシートとしたことによる問題。
  • 昼行特急車両として設備面での見劣り。
  • 個人志向の強まりによるボックスシート敬遠傾向の強まり。

この結果、改造が施工され落成したのが本系列である。1984年(昭和59年)に交流専用の715系0番台が長崎本線佐世保線用に、続いて1985年(昭和60年)に寒冷地対応形の715系1000番台が東北本線仙台地区)に、交流直流両用の419系が北陸本線に投入された。

主な改造内容[編集]

JNR EC TNc581 side view.png
上 - クハネ581形(改造前)下 - クハ715形(改造後)塗色変更・扉増設・一部側窓をユニットサッシ化。
上 - クハネ581形(改造前)
下 - クハ715形(改造後)
塗色変更・扉増設・一部側窓をユニットサッシ化。
JNR EC TN581 side view.png
上 - サハネ581形(改造前)下 - クハ715形100番台(改造後)先頭車が不足したため運転台を取付施工。
上 - サハネ581形(改造前)
下 - クハ715形100番台(改造後)
先頭車が不足したため運転台を取付施工。

経費節減と車両の余命も考慮して種車となる581・583系電車の基本構造を活かし、近郊形電車として使用するための最小限度での改造工程とした。そのため、近郊形電車としては極めて特異な外観を有する車両となった。

主な改造内容を以下に示す。

扉の増設
種車が特急形車両で乗降扉が1両あたり片側1か所しかないため、1か所増設し片側2か所配置とした。既設の扉は幅700mmの折戸のまま手を加えず、増設扉も既設扉と同じ構造とされたため近郊形電車では前例のない幅の狭さとなった。
デッキと客室間の仕切は配電盤部分を除いて撤去。
戸閉回路はどの運転台からも開閉できる方式に変更。
窓の開閉可能化
種車の側窓は固定式であったが、混雑時等の換気を考慮し1両につき片側3か所が上段下降・下段上昇に開閉可能な4分割ユニット窓へ交換。窓の日除けは巻上カーテンとした。
  • 全窓開閉可能にすることも検討されたが、冷房装置を搭載していることから部分的な交換にとどめられた。
先頭車改造のクハ419形(左)中間車改造のクハ418形(右)
先頭車改造のクハ419形(左)
中間車改造のクハ418形(右)
クハ715-1 車内
クハ715-1 車内
ボックスシート
ボックスシート
中間車の先頭車化改造
特急時代は10 - 13両編成で使用されていた車両を導入線区の輸送量に合わせて715系は4両編成で使用することから制御車が不足するために、419系では3両編成で運用することから制御電動車化も要求されたため以下に示す中間車は運転台取付の改造が施工された。
  • サハネ581形→クハ714形・クハ715形(100番台・1100番台)・クハ418形
  • モハネ583形→クモハ419形
工法は、改造期間を短縮するため中間車端部のトイレ・洗面所・寝台4区画分を台枠ごと切断し、あらかじめ製造しておいた運転台ブロック・増設客扉・客室を接合する方式である。
新設運転台はクモニ143形に類似した非貫通切妻構造であるが、種車の特徴である深い屋根構造をそのまま残した関係で六角形の特徴的な断面となり「食パン列車」とも称された[2][3][4][5]
クハ714形0番台ならびにクハ418形は、編成中の補助電源と圧縮空気供給用に電動発電機 (MG) ・空気圧縮機 (CP) を新たに床下搭載した。
  • MGは急行形電車廃車発生品となる容量110kVAの物に脈流対策等を施工した。クハネ581形改造車のMGは150kVAであるため比較すると容量が若干小さいが、4両給電で冷房能力も小さいので問題はない。
座席の改造
座席⇔寝台の転換機能を封印するためボルトで固定。扉付近はボックスシートからロングシート105系新造車グループ415系500番台と同様の低座面かつ奥行きが深いタイプ)に変更された。荷棚はクロスシート部分は中・上段寝台の寝台舟に取付けられている物をそのまま使用し、ロングシート部分は中・上段寝台を撤去して新造の荷棚を設置した。
一部トイレの撤去
種車は1両に2か所のトイレと洗面所を設置していたが、トイレを偶数向き先頭車1両に1か所の車端側のみ残して、他の車両では撤去して扉増設スペースとした。偶数向き先頭車に残るもう1か所のトイレは業務用室(物置)扱いとして閉鎖。
洗面所は洗面器・冷水機等を外したが、洗面台自体は構造が頑丈なため撤去が困難なことや撤去跡にロングシートを設けた場合にロングシートがトイレ出入口を向くこと、使用地域が混雑区間ではないことから骨組みは撤去せず台座部にカバーを被せて使用不可とした。
走行性能の変更
電動車の歯車比は高速向きの3.50であったが、近郊形としては起動加速力を欠いて運用に適さないことから101系通勤形電車廃車発生品に交換して5.60とし普通列車運用に必要な加速力を確保した。このため従来の標準的な近郊形電車(歯車比4.82)に比べて加速性能は良いが高速性能では劣り最高速度は100km/hに低下。このため動力台車がDT32K形に変更された。
  • 大きい歯車比と重い車重から他系列電車が故障した際には、救援に投入された実績がある[6]
第2パンタグラフの撤去
種車のモハネ580形・モハネ582形ではパンタグラフを1両あたり2基装備していたが、このうちユニット外側の第2パンタグラフは元々交流区間では使用していない上、交直両用の419系も性能的に1基で充分と判断されたことから撤去された。

715系0番台[編集]

クハ715-1
クハ715-1
クハ715-101
クハ715-101

1984年2月ダイヤ改正に合せて長崎本線佐世保線用に48両が改造された交流専用車。改造は小倉工場(現・小倉総合車両センター)・松任工場(現・金沢総合車両所)。

  • なお715系改造車だけでも車両が足りず、同時期に713系を新造した。

形式[編集]

モハ715形・モハ714形
モハネ581形・モハネ580形改造の中間電動車。種車全車を改造したことにより交流電源周波数60Hz専用の581系電動車が形式消滅した。
クハ715形0番台
クハネ581形改造の下り方(長崎早岐方)制御車。種車のMG・CPは存置された。
クハ715形100番台
サハネ581形改造の上り方(鳥栖佐世保方)制御車。
クハ714形0番台
下り方制御車は種車のクハネ581形が不足したためにサハネ581形改造のクハ714形0番台2両が充当された。床下に110KVA MGとCPを搭載する。
715系0番台車両番号一覧
モハネ581
モハネ580
11 3 12 7 8 4 5 2 9 10 1 6
モハ715
モハ714
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
改造施工 小倉 松任 小倉 松任
サハネ
581
38 32 6 47 11 27 2 8 4 1 23 13
クハ715
100番台
101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112
改造施工 小倉 松任 小倉 松任 小倉 松任 小倉 松任
クハネ
581
8 1 7 2 4 5 6 32 3 17  
クハ715
0番台
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10  
改造施工 小倉 松任 小倉 松任 小倉 松任  
サハネ
581
  54 31
クハ714
0番台
  1 2
改造施工   小倉

4両編成12本(NM101 - 112編成)が組成され、全車南福岡電車区(現・南福岡車両区)に配置された。なおNM111・112編成がクハ714形を連結する編成とした。塗装は713系とともにクリーム1号地に緑14号帯が新規に設定された。

JNR EC Tc715 side view.png JNR EC M714 side view.png JNR EC M715 side view.png JNR EC Tc715-100 side view rev.png
クハ715形 モハ714形 モハ715形 クハ715形100番台

715系編成図。塗色は登場時のもの。2両の中間電動車を制御車で挟む4両編成。


改造[編集]

1986年から1990年にかけて、車体側面上部に残されていた583系時代の寝台使用時明り取り用小窓が、水の浸入を防ぐなどの理由で埋込工事が施工された。さらに同時期に塗装も白地(クリーム10号)に青(青23号)帯の「九州色」に変更された。

また車体の腐食防止という観点から以下の工事が一部車両に施工された。

  • 側面行先表示器撤去。
  • クハ715形0番台前面貫通扉埋込[7]
  • 閉鎖されたトイレの窓埋込。

運用[編集]

臨時急行「ホリデー佐世保」
1987年 肥前山口

1987年国鉄分割民営化時には48両全車が九州旅客鉄道(JR九州)に承継された。基本的に配置や運用の変化はなかったが、繁忙期には臨時急行「ホリデー佐世保」(博多駅 - 佐世保駅間)などに投入されたこともあった。

当初予定されていた長崎本線・佐世保線の他に鹿児島本線福間 - 八代間でも運用されたが、各車2扉の狭幅折戸でラッシュ時に対応できないこともあり徐々に数を減らし、営業運転からの離脱直前は回送で南福岡に出入庫するのみとなった。荒木 - 鳥栖 - 長崎間の直通普通列車も運転されていたが、1996年から813系電車に置換えられ、1998年3月26日の長崎本線885Mに充当された第9編成を最後に定期運用を離脱し[8]。クハ715-1を除き(後述)、全車廃車解体された。

保存車[編集]

クハネ581-8として保存されるクハ715-1
クハ715-1
廃車後も解体されずにJR九州小倉工場に留置され、2000年に種車のクハネ581-8に可能な限り近づける形で整備され、2003年(平成15年)8月9日より北九州市九州鉄道記念館に移されて静態保存された。
復元工事内容は、塗装を特急時代のクリーム1号+青15号に塗替・車両番号表記の復元・側面の中・上段寝台用明り取り窓と特急エンブレムの再設置。一方、増設扉・セミクロスシート・開閉窓・中吊広告枠は715系時代のままである。


715系1000番台[編集]

クハ715形1100番台
クハ715形1100番台
クハ715形1000番台
クハ715形1000番台

1985年3月のダイヤ改正に合せて仙台地区用に改造されたグループ。改造施工は、0番台を担当した小倉工場の他に郡山工場(現・郡山総合車両センター)・土崎工場(現・秋田総合車両センター)が担当した。

50Hz電化区間で使用されることから電動車は50Hz・60Hz両用のモハネ583形・モハネ582形とし、寒冷地で運用されることから客用扉半自動化や車内ロングシートの扉隣接部に防風板を設置するなどの防寒・防雪対策を施工したため1000番台に区分された。また増設運転台のタイフォン(空気笛)が0番台の床下から前照灯横へ搭載位置変更、中・上段寝台用小窓が当初から埋込などの設計変更が行われた。

形式[編集]

モハ715・714形1000番台
モハネ583・582形改造の中間電動車。
クハ715形1000番台
クハネ581形改造の上り方(黒磯方)制御車。
クハ715形1100番台
サハネ581形改造の下り方(一ノ関方)制御車。
715系1000番台車両番号一覧
モハネ583
モハネ582
17 20 21 33 34 35 37 39 43 48 52 67 77 86 90
モハ715
モハ714
1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015
改造施工 小倉 土崎 小倉 土崎 郡山 小倉 土崎 郡山 土崎 小倉 土崎 郡山 土崎
クハネ
581
31 40 39 9 34 41 16 19 38 20 14 10 23 18 26
クハ715
1000番台
1001 1002 1003 1004 1005 1006 1007 1008 1009 1010 1011 1012 1013 1014 1015
改造施工 小倉 土崎 郡山 土崎 郡山 土崎 小倉 土崎
サハネ
581
39 42 41 30 21 26 24 3 29 40 33 44 43 5 7
クハ715
1100番台
1101 1102 1103 1104 1105 1106 1107 1108 1109 1110 1111 1112 1113 1114 1115
改造施工 小倉 郡山 小倉 土崎 郡山 小倉 土崎 郡山 土崎 小倉 土崎 小倉

0番台と異なりクハ714形は存在しない。4両編成x15本計60両が改造され仙台運転所(現・仙台車両センター)に配置された。塗装は0番台同様クリーム1号地に緑14号帯としたが、前面塗分けが異なる。

後に仙台配置の455・457系がこの塗色を採用した際、地色はより白みがかったクリーム10号に変更。その後は本系列の地色もクリーム10号に変更された。

分割民営化時には60両全車が東日本旅客鉄道(JR東日本)に承継された。承継後に一部車両へ特別保全工事を施工。屋根の補修・寝台舟完全撤去・横引カーテンへ変更など改造された。このため末期には工事施工車と未施工車が混在する編成も存在した。

運用[編集]

東北本線黒磯 - 一ノ関間のほか、仙山線仙台 - 愛子間・奥羽本線福島 - 庭坂間でも運用されたが、1995年から701系電車への置換えが開始され、1998年に全車廃車となった。

419系[編集]

419系落成時の塗装
クハ418-3+モハ418-3+クモハ419-3

715系1000番台の登場と同じ1985年3月ダイヤ改正で、北陸本線金沢富山都市圏へ電車型ダイヤを導入することとなり、小倉・松任・盛岡の各工場で15本計45両が改造により落成した。

基本仕様は715系を踏襲する一方で、北陸本線は交流区間のほか滋賀[9]・新潟県内で直流電化区間を有していたことから、種車と同じく交流直流両用とされた。

また運用形態に合わせて3両編成となり、下り方(直江津方)先頭車は制御電動車(クモハ419形)とした点が715系との相違点である。

改造当初は、赤2号クリーム10号の帯を入れた塗装とされた。

  • 本塗装は、北陸本線のローカル列車に用いられる475系電車413系電車にも取り入れられたが、1988年から1991年にかけオイスターホワイトにライトコバルトブルーの帯を入れた明るい塗色の通称「北陸色」に変更された。
JNR EC Tc419 side view 1985.png JNR EC M418 side view 1985.png JNR EC Mc419 side view 1985.png
クハ419形 モハ418形 クモハ419形

登場時の塗色(赤2号+クリーム色10号帯)による419系側面図。3両編成化したため先頭車の1両(図中右)は制御電動車。


形式[編集]

クモハ419-14
クモハ419-14
モハ418-14
モハ418-14
クハ419-4
クハ419-4
クハ418-5
クハ418-5
クモハ419・モハ418形
モハネ583・582形改造の電動車ユニット。
クモハ419形は直江津制御電動車
主電動機冷却用の空気取り入れルーバを運転台助士席直後側面に設置する。
クハ419形
クハネ581形改造の米原方制御車。
3は前面のタイフォン耐雪カバーを装備せずスリットのまま廃車。
クハ418形
サハネ581形改造の米原方制御車。


419系車両番号一覧
モハネ583
モハネ582
9 36 41 42 54 55 69 72 76 22 32 40 44 49 51
クモハ419
モハ418
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
改造施工 小倉 盛岡 小倉 松任 小倉 松任 小倉 松任 小倉
サハネ
581
51 28 34 18 35 9 45 12 22  
クハ
418
1 2 3 4 5 6 7 8 9  
改造施工 盛岡 小倉 松任 小倉 松任 小倉 盛岡 松任  
クハネ
581
  13 12 27 15 21 11
クハ
419
  1 2 3 4 5 6
改造施工   松任 小倉

運用[編集]

当初は全車金沢運転所(現・金沢総合車両所)に配置。分割民営化時には西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継された。北陸本線全域[10]のほか1991年(平成3年)から2006年(平成18年)までは湖西線近江今津以北の区間でも運用されたが、幅が狭い客用扉などの問題から次第に福井以西もしくは富山以東の閑散区間運用が主になった。

全車に延命N工事を施工。座席モケットや化粧板・ガラス支持用Hゴムの交換・ブラインドの横引カーテンへの変更・吊手の増設などが行われ、一部車両では洗面台が完全撤去された。

1995年(平成7年)には七尾線の架線積雪対策として、モハ418-15に第2パンタグラフを搭載し早朝の上り1本で運用に投入されたが、1996年(平成8年)の転属に伴い撤去。ただし台座はそのまま残存する[11]

1996年(平成8年)3月には新設の福井地域鉄道部(現・敦賀地域鉄道部敦賀運転センター車両管理室)に転出。

  • 登場時、クモハ419形・クハ418形の前面に長方形の「TOWNとれいん」マークを掲出していた(クハ419形はクハネ581形時代の列車愛称表示器を活かして「普通」と表示していた)。JR西日本発足後の1987年(昭和62年)秋頃、五角形のマークに交換された(表記も「TOWNトレイン」となる)。クハ419形は遅れて1990年(平成2)年頃、元の表示を覆う感じで五角形のマークが付けられたが、2001年(平成13年)7月頃掲出が中止された。なお、マーク自体は2003年(平成15年)3月の小浜線電化記念など、各種イベントの告知に使用された。
クハ419形前面貫通扉・種別幕閉鎖工事施工車

2005年(平成17年)からはクハ419形の前面貫通扉・種別幕を閉鎖する工事も開始されたが、2006年の富山港線(本系列は運用されていない)分離・敦賀以南の直流化・521系の投入による余剰から、前述工事未施工車を含む編成から廃車が開始された。

2010年(平成22年) 時点では北陸本線敦賀 - 直江津間の普通列車で運用されていたが、2011年(平成23年)3月12日ダイヤ改正により定期運用を終了した[12][13]

なお、本系列廃車発生部品は京都総合運転所(現・吹田総合車両所京都支所)所属の583系に使用されたほか、一部は富山地方鉄道が購入同社の10030形電車に使用されている。

2012年(平成24年) 4月時点ではD01編成のクモハ419-1+モハ418-1+クハ418-1が保留車として車籍を有していたが、同年9月29日付で廃車[14]・廃系列となった。解体は同日から30日にかけて富山県高岡市伏木の日本車両リサイクル(現・日本総合リサイクル)で実施されることからトレーラーで陸路搬送された[15]。なお、2017年(平成29年)1月現在もクハ418-1のみが解体を免れ同所にて留置されているが、今後の処遇は不明である。

本系列の問題点[編集]

運行当初は電車化による列車の高頻度化に貢献したが、極度に改造経費の節減を図ったため不十分・不合理な点が残り結果的には以下の問題点を抱えた。

  • 片側2扉であるが、増設扉も含めて種車の幅700mm折戸を踏襲したため乗客の乗降に時間がかかり、列車遅延が生じやすい。
  • 一般的な車椅子用スロープを最大限に広げることができないため、車椅子での乗降の際にはさらに時間がかかり、場合によっては介助者3人がかりで車椅子を持ち上げなければ乗降できないケースもある。
  • 特急時代の間隔や幅が広いシートをそのまま流用したため定員が少なく通路も狭く乗客の詰込みには向かない。
  • AU41形床置式冷房装置の設置スペースによる客室分断(モハ714形・モハ418形)・クハネ581形改造車の機器室・カバーされたのみの洗面台・撤去されなかったトイレスペースなど無駄な区画(デッドスペース)が多く収容力が削がれた[16]
  • 営業最高速度は100km/hであるが、同様の普通列車へ転用された457系急行形電車および車体更新車の413系・717系電車は110km/hのままであり共通運用が組めない。
  • 側窓が小さく採光が十分でないため車内が比較的暗い[17]
  • 583系時代からの昼夜兼行運用による累積走行距離過多や経年から種車自体の老朽化が進行[18]
  • 天井に寝台の収容部分が残っており天井が低く全体的に圧迫感がある。

このように問題点の多い系列ではあるが、そもそも改造時の経年から長期使用を意図したものではなく、国鉄末期の厳しい財政状況に鑑み後継車が増備できるまでの暫定的な車両として割りきったと考えるのが妥当である。JR東日本・JR九州の715系は予定どおり1990年代後半には後継車へ置換えられたが、JR西日本の419系は交流直流両用車ということもあり他の急行形を含め置換えがほとんど進行せず、廃系列となったのは2012年である[19]

参考文献[編集]

  • 交友社『鉄道ファン』1987年12月号 通巻320号 特集:JR交流・交直流近郊形電車
  • 佐藤哲也・福原俊一『715系・419系寝台電車改造近郊形電車』(車両史編さん会、2001年)
  • イカロスMOOK『国鉄型車両の系譜シリーズ02 形式583系』(イカロス出版、2005年)
  • 藤崎一輝『仰天列車 鉄道珍車・奇車列伝』(秀和システム、2006年)

脚注[編集]

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  1. ^ 直流専用電車に整流機器を追加装備することになる交流直流両用電車は、直流専用電車に比べて高価である。
  2. ^ 「時代を象徴した食パン電車の終焉」、『鉄道のテクノロジー Vol.10』、三栄書房、2011年3月31日、 p.101、 ISBN 978-47796120222011年5月13日閲覧。
  3. ^ 「北陸本線食パン電車419系 ー記憶に残るリストラ電車ー」、『鉄道のテクノロジー Vol.10』、三栄書房、2011年3月31日、 p.126、 ISBN 978-47796120222011年5月13日閲覧。
  4. ^ “さよなら「食パン列車」 元特急の419系車両 JR北陸線、県民の足 セレモニーなく静かに”. 北國新聞: p. 16(朝刊). (2011年3月11日) 
  5. ^ “JR北陸線:「食パン列車」11日に引退 寝台列車の痕跡、惜しむファン”. 毎日新聞: p. 25(朝刊・地方版/新潟). (2011年3月8日) 
  6. ^ 『鉄道ファン』2011年5月号p.108。
  7. ^ クハ715-3(旧・クハネ581-7)は581系当時に事故復旧で前面貫通扉を埋込。
  8. ^ 鉄道ファン 1998年6月号 121頁
  9. ^ 2006年9月に直流区間を福井県の敦賀駅まで延伸。
  10. ^ 2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線金沢延伸開業に伴い、新潟県区間はえちごトキめき鉄道富山県区間はあいの風とやま鉄道、金沢以東の石川県区間はIRいしかわ鉄道にそれぞれ移管。
  11. ^ 『鉄道ファン』2011年5月号p.106。
  12. ^ 主な出典元の一つとして、「さよなら「食パン列車」「雷鳥」 11日ラストラン」(北国新聞公式サイト内 「石川のニュース」欄 2011年3月11日)などがあるが、JR西日本金沢支社からの公式発表等は一切ない。
  13. ^ 同改正では485系で運転されていた特急「雷鳥」も運用終了となり記念グッズなどが販売されたが、本系列の運用終了は特別な告知・グッズ販売は未実施。
  14. ^ 「JR電車編成表2013冬」ISBN 9784330331126 p.355。
  15. ^ 419系D01編成が伏木の車両リサイクル工場へ - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2012年10月1日
  16. ^ 藤崎一輝『仰天列車 鉄道珍車・奇車列伝』(秀和システム、2006年)p.149-150
  17. ^ 藤崎一輝『仰天列車 鉄道珍車・奇車列伝』(秀和システム、2006年)p.150
  18. ^ 藤崎一輝『仰天列車 鉄道珍車・奇車列伝』(秀和システム、2006年)p.151
  19. ^ 廃車時には本系列への改造施工から25年以上が経過しており、特急形であった期間よりも長く近郊形として運用された。

関連項目[編集]

  • 東武1800系電車 - 本系列同様に特急形から短期間使用を前提とした通勤形への改造を施工。