JR西日本キハ126系気動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
JR西日本キハ126系気動車
JR西日本キハ126系0番台
JR西日本キハ126系0番台
基本情報
製造所 新潟鐵工所(0番台)
新潟トランシス(10番台・キハ121系)
主要諸元
編成 両運転台付単行車(キハ121系)
2両編成(キハ126系)
最高運転速度 100km/h
設計最高速度 130km/h[要出典]
編成定員 114人(キハ121系)
260人(キハ126系)
車両定員 114人(座席56人)(キハ121形)
127人(座席62人)(キハ126形0・10番台)
133人(座席70人)(キハ126形1000・1010番台)
車両重量 35.9t(キハ121形)
34.9t(キハ126形0・10番台)
34.3t(キハ126形1000・1010番台)
編成重量 35.9t(キハ121系)
69.2t(キハ126系)
最大寸法
(長・幅・高)
19900×2939×3670 (mm)
車体材質 ステンレス
台車 円錐積層ゴム式ボルスタレス台車
WDT60形 (動力台車・2軸駆動)(0番台)
WTR244形(付随台車)(0番台)
WDT60A形 (動力台車・2軸駆動)(10番台・キハ121系)
WTR244A形(付随台車)(10番台・キハ121系)
機関出力 450ps
SA6D140H(1両あたり1機)
駆動方式 液体式
編成出力 450ps(キハ121系)
900ps(キハ126系)
制動装置 機関ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
耐雪ブレーキ
保安装置 ATS-SWEB装置TE装置
テンプレートを表示

キハ126系気動車(キハ126けいきどうしゃ)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)の一般形気動車

なお、本項では同時に同じコンセプトで製造されたキハ121系気動車(キハ121けいきどうしゃ)についても記述する。

便宜的にキハ126系の0番台+1000番台の編成を0番台、10番台+1010番台の編成を10番台として表記するほか、0番台を1次車、10番台とキハ121系を2次車と称する。

概要[編集]

JR西日本がローカル線の地方都市間輸送用としては初めて新製した車両である。山陰地方で道路交通網の整備が続き、鉄道の取り巻く状況が年々厳しくなっていることから山陰本線を高速化することになり、2001年の山陰本線安来駅 - 益田駅間の高速化事業[* 1]によって1次車として0番台が投入された。その後、2003年には山陰本線鳥取駅 - 米子駅間、因美線の鳥取駅 - 智頭駅間、境線の米子駅 - 境港駅間の高速化事業によって2次車として10番台および使用線区の輸送量を考慮して同一コンセプトながらも両運転台付きとしたキハ121系が投入された。

本系列は、1次車が島根県、2次車が鳥取県の資金援助(無利子貸与)を受けて製造された[1]

高速化された線区での高速走行ができる下回りと、同社が新造電車で行っている車両システムの統一や省力化、また交通バリアフリー法への対応などを盛り込んで設計され、1次車は全車が新潟鐵工所で、2次車は全車が新潟鐵工所を引き継いだ新潟トランシスで製造された。

構造[編集]

本系列は、山陰地方の鉄道を取り巻く状況を鑑み、現状の輸送力を確保しながらも高速化と効率化を両立し、今後の取り扱いや保守なども考慮して、以下の設計思想のもと設計が行われた。

  1. JR西日本の標準型車両の確立
  2. 省力化への取り組み
  3. シンプルデザインと暖かみの感じられる車両

以上の思想のもと、車両の標準化を目指して電車との機器共通化、省力化のため部品点数の削減、JR西日本の新製車両の共通コンセプトである「長く親しまれる落ち着いたデザイン」を継承しながらも「シンプルデザイン」と「暖かみの感じられる車両」を基本コンセプトとして外装・内装のデザインを行った。

また、同時に製造されたキハ187系とは保守軽減のため機器を極力共通化している。

車体[編集]

車体は軽量ステンレス製で、車体塗装は側面には赤色の帯を中央に配しコーポレートカラー青色が巻かれており、前面は黒色としつつも、高速運転のため警戒性を高めるため赤色が使用されている。外観は機能的な無駄のなさから美しさを見出せるようにデザインされた[2]。なお、以下の車両には車体全体にラッピングが施されている(施工順)。

  • キハ126-11+1011 - 「山陰海岸ジオライナー」専用ラッピング[3]
  • キハ126-15+1015 - 北栄町出身の漫画家・青山剛昌の作品「名探偵コナン」のラッピング。2012年の国際マンガサミットなどのPRのためだった[4]が、好評につき「まんが王国とっとり」PRを目的に継続使用。
  • キハ126-2+1002 - 石見神楽のラッピング。2012年の山陰デスティネーションキャンペーンのPR[5]
  • キハ126-14+1014 - 「名探偵コナン」のラッピング。15+1015の黄色基調に対し、ピンクを基調としたデザイン。2015年4月からまんが王国とっとりなどのPRを目的に実施[6]
  • キハ126-12+1012 - 「山陰いいもの探検号」のラッピング[7]

キハ187系と同じく223系2000番台と基本的に同一構造であるが、アーバンネットワークなどに比べれば乗降客が少ないことなどの理由で、断面形状は車体部の絞り込みがないストレートになっている。乗降扉は片側2か所に片引き戸で、常時半自動扱いで、操作はドアボタンで行う(ただし、極稀に自動扱いになっていることがある)。行先表示器運賃表と、ドアボタンの案内には発光ダイオード (LED) が採用され、行先表示器では種別をスクロール表示している。0番台は乗務員用扉が省略されており、ドアチャイムの音色が10番台・キハ121系とは異なっている。また、キハ126形の運転台のない側には転落防止幌が設置されている。

主要機器[編集]

本系列の製造に当たり、1つの機能に対して1つのスイッチ、1つの指令線が必要であった従来の考えを払拭し、デジタル化して伝送することにより引き通しの配線量を減らすことができるとともに、ガイダンスモニタの画面により制御することができる列車情報制御装置 (TICS) が搭載されている。

ブレーキ機関ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用し、雪の多い区間を走行することから耐雪ブレーキも装備されている。電車との共通化と、配管の減少および TICS の導入による配線の簡素化のために、JR西日本の気動車としては初めて電気指令式ブレーキが採用された。 基礎ブレーキ装置は踏面ブレーキ(動軸)・ディスクブレーキと踏面ユニットブレーキの併用(従軸)となっている。

ディーゼルエンジンはキハ187系と同じコマツ製の SA6D140H (450PS/2,100rpm) を1基搭載し、片方の台車に動力を伝達する(2軸駆動)。最高速度は100km/hであるが、起動加速度および中高速域での加速性能は従来車より向上している。2次車には馬力切り替えスイッチを備えており、450PSと低出力仕様である265PSに切り替えることが可能である[* 2][8]

台車は223系や207系と基本的に同一構造の軽量ボルスタレス台車であるが、最高速度は100km/hであることからヨーダンパは準備工事となっている[9]変速機はDW21(変速1段・直結4段)を採用し、これもキハ187系と共通する。なお、将来の130km/h運転に対応した設計となっている[要出典]

また、制御回路も223系などの同社の電車に準拠したものとなっており、冷暖房装置や制御装置、補助電源用の三相交流電源や列車やエンジンを制御する直流電源をエンジンに定速回転装置を介して接続した発電機で発電し供給する「電気駆動方式」を取り入れている。

車内[編集]

内装は暖色系の色彩でまとめられている。内装パネル、窓枠、乗客用の荷物棚や手すりに木質のプラスチックを使用しており、これらのほか、運転台や座席など、すべての内装品は簡単な工具により容易に取り外し・組み立てが可能で、保守の省力化を図っている。トイレ(洋式)は運転室の後部(キハ126形0番台・10番台の運転席後部、およびキハ121形の益田側運転席後部)に設け、ワンマン運転時の車内の死角を少なくしている。冷房装置は0番台では集中式が1台搭載されているが、10番台・キハ121系は集約分散式が2台搭載されている。

座席は、ボックスシートを基本とし、ドア付近の一部および車端部にはロングシートが設置されている。1次車ではボックスシートの手すりが座面の端から背もたれにかけて円弧を描くように設置されたが、10番台・キハ121系は座面に対して平行に設置され、上面に肘掛けが設けられた。トイレのある反対側には車椅子スペースを備えている。

10番台・キハ121系では防音・防振性能向上のため床構造を変更し床面高さが18mm高くなっているが[* 3]、乗降扉と貫通扉の高さは0番台と同じとしたため、乗降扉付近と貫通部の床にスロープを設けている。また、0番台は複層ガラスであるが、10番台・キハ121系では外側のガラスを合わせガラスへと変更し飛来物が貫通しにくい構造としている。

運転台は223系に準拠しており、横軸2ハンドル式主幹制御器緊急列車停止装置(EB装置)、TICSのタッチパネル式ガイダンスモニタなどを備えている。

形式・編成[編集]

← 益田
境港・浜坂・生山 →
キハ126形0・1000番台
キハ126-0
(Mc1)
キハ126-1000
(Mc2)
キハ126形10・1010番台
キハ126-10
(Mc1)
キハ126-1010
(Mc2)
キハ121形
キハ121
(cMc)

キハ126系は0番台+1000番台、および10番台+1010番台の2両単位で組成される。

キハ126形0番台・10番台 (Mc1)
益田向きの運転台を備えている先頭車で、車いす対応のトイレが設置されている。
キハ126形1000番台・1010番台 (Mc2)
境港・浜坂・生山向きの運転台を備えている先頭車。
キハ121形 (cMc)
車端両側に運転台を備えている先頭車で、車いす対応のトイレが設置されている。

配置と運用線区[編集]

山陰海岸ジオライナー専用ラッピング車
キハ126系石見神楽ラッピング車

全車両が後藤総合車両所に所属している[10]

前述の通り、島根県・鳥取県が資金援助したという導入時の経緯もあり、基本的には山陰本線の鳥取駅 - 益田駅間の快速列車を中心に、下記の区間にのみ運用されている。ただしキハ121系単行ワンマン列車については、運用の都合上、兵庫県の浜坂駅まで入線する運用がある。2011年4月より臨時快速山陰海岸ジオライナー」として土曜・休日のみ1日1本鳥取駅から豊岡駅まで乗り入れており、これにはキハ126-11・1011が使用される(もう1本はキハ47形で運用)。なお、本系列の投入により、快速「石見ライナー」(「アクアライナー」の同車投入前の愛称)・「とっとりライナー」の運用からキハ58系が外れた。

  • キハ126形0・1000番台
    • 山陰本線:鳥取駅 - 益田駅間(快速「とっとりライナー」「アクアライナー」「通勤ライナー」および普通)。
  • キハ126形10・1010番台
    • 山陰本線:浜坂駅 - 益田駅間(快速「とっとりライナー」「アクアライナー」「通勤ライナー」および普通)
  • キハ121形

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 高速化事業が完成した2001年7月7日のダイヤ改正にて、事業区間の安来駅 - 益田駅間と同時に米子駅 - 益田間も高速化された。
  2. ^ 山陰本線鳥取以東は地上設備の高速化対応工事が行われていないため、馬力設定を切り替えて最大馬力を265PSに制限して運用されている。
  3. ^ 0番台の床面高さは1,160mm、10番台・キハ121系は1,178mm。

出典[編集]

  1. ^ JR新型特急導入は公費でGO! 山陰や北海道で成功インターネット・アーカイブ)- 朝日新聞 2008年8月25日
  2. ^ 『鉄道ファン』2009年1月号、交友社、2008年、p.71。
  3. ^ 臨時快速“山陰海岸ジオライナー”にラッピング車両 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年10月23日
  4. ^ 山陰本線キハ126系、『名探偵コナン』フルラッピング列車に - 4/3運転開始 - マイナビニュース 2012年4月1日
  5. ^ 「石見神楽列車」のデザイン決定について - 島根県報道発表資料
  6. ^ ラッピング列車”. まんが王国とっとり. 2015年8月14日閲覧。
  7. ^ “山陰いいものマルシェ開催に合わせ運行開始する臨時快速列車「山陰いいもの探県号」車両デザインについて” (日本語) (プレスリリース), 西日本旅客鉄道, (2015年11月27日), オリジナル2015年12月13日時点によるアーカイブ。, http://archive.is/yGd3W 2016年9月24日閲覧。 
  8. ^ 『Rolling stock & Machinery』第20巻第12号、p.55
  9. ^ 鉄道ジャーナル』2003年9月号 鉄道ジャーナル社 p.89
  10. ^ 「JR旅客会社の車両配置表」『鉄道ファン』2011年7月号、交友社

参考文献[編集]

  • 鉄道ファン』2001年1月号 交友社 p.57 - p.61
  • 『鉄道ファン』2003年9月号 交友社 p.66 - p.69
  • 『鉄道ファン』2003年11月号 交友社 p.83
  • 廣瀬智晴・山本聖明・谷浦聡也(JR西日本鳥取鉄道部西鳥取車両支部)「JR西日本キハ47における馬力設定確認の改善に関する一考察」、『Rolling stock & Machinery』第20巻第12号、日本鉄道車両機械技術協会、2012年12月、 55 - 57頁。
  • 『データで見るJR西日本』 - 西日本旅客鉄道
  • 『鳥取県高速化事業』 - 鳥取県地域振興部交通政策課